U-kiの読書日記(99/1/5～99/1/18)

U-kiの読書日記(99/1/5～99/1/18)

「けものたち滅ぶとき」（日本語版omni８４年２月号）ロジャー・ゼラズニィ、読む。 - 99/01/19 00:00:00
本日の調子: そーいや、俺もナイト２０００、乗りたかったなぁ。

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＃１月１８日
コレだよ、コレ！まさに俺好みの話。『対犯罪装甲撃滅兵器＜デス・エンジェル＞』というタイトルで映画撮ってくれ！＞アルバート・ピュン！
いやー、基本的にこーゆー頭使わない、戦闘機械が延々と戦闘を繰り広げるだけの話とかも好きなんだよねぇ。しかも人工知能ＡＩ内蔵の車がしゃべる、しゃべる（笑）
＜草の葉＞や＜悪の華＞が好きな人にもオススメ、というか男性のアイデンティティなのでモロ、ナイト２０００のＫＩＤ、という見方もある（苦笑）。
でも、やはり一風変わった愛憎劇、というのがこのお話の本筋。お約束通りの展開もかっちょよければただ痺れる以外ないではないか。『日米決戦２０１５』の小林源文漫画を思い出し、一人興奮！
「攻撃コントロールを私に返してください」
「だめだ！奴は俺がしとめるんだ！」
はぁう～～、カクカク。お前ら大鷲のケンとコンドルのジョーごっこはヤメロ！（笑）やはり機械知性とのコンビネーション戦闘はかくあるべし！
「俺のカンでは奴はここにいる」
「私のセンサには何も感じられません。人間は疲れているとき幻をみるのではないですか？」
「ウルセー、この野郎！いるといったらいるんだ！気合を入れて探しやがれ！」ボカッ！
（一部脚色して御送りしております）
＜雪風＞も最近はぺらぺらしゃべるのでこのノリだよね（嘘）
しかし、ここで描かれる＜けもの＞、とはエンジン制御にコンピュータチップを使うようになった自動車にヒントを得た、ロボットのような自動車たちのこと。ある日、コンピュータウイルスのようなものに＜感染＞し、人間の言うことを聞かなくなり、野性化し、徒党を組んだ野良車たちのことである。まさに『自動車甲殻団ワイルド・~~バンチ~~マシン』状態である。
兄を殺したキチガイ自動車と闘って１０年。復讐を果たしてからさらに１５年。男は野生車を追いつめ、狩ってきた。そしてそれが今終わろうとしている。最後の群れを狩り出し、そして宿命のアイツ―赤い奴。無論、通常の３倍の戦闘走行能力―をしとめる時がやってきたのだ！
あうー、燃える！燃えるぞぉ！確かにお安い話であるから作品集からはもれちゃうだろうなぁ。シルヴァーバーグの『カーＳＦ傑作選』から漏れたらもう二度と拾われることもないだろう作品。残念だなぁ。まぁ、あれには「悪魔の車」と「異端車」の２篇が既に収録されていてゼラズニィは車好きなんだなぁ、と思った。
ん、ちょっと待て、あれも似たような…ぐはっ、やはりそうか、これ「悪魔の車」の正当な続編じゃん（苦笑）
訳は伊藤典夫先生。ううん、しかし野性化した車、「放れ車」か、俺も一生懸命考えたけどいい言葉が浮かばなかった。野良車、野生車、どっちもイマイチだし。飼い犬が放れるように、車が人間から放れる、で放れ犬ならぬ＜放れ車＞でいいのか。うむむ。俺の語彙にないだけかもしれないがやはりちょっとそこだけしっくりこなかった。
「悪魔の車」が単に車がカッコイイ、というかお馬鹿な過剰武装車両であったという印象しか残らなかったイマイチな作品だったのに対してこちらはぐっと読ませる。６５年に書かれたものと８１年に書かれたものということでゼラズニィ自身の力量が上がったのかもしれない。あるいは前者が「タクシーロボット」的な陳腐な空想上の産物なのに対して後者は８０年代初頭の科学をさりげなくちりばめてデコレートすることでＳＦとしての質がぐっとアップしている気がするのだ。うまい。古くてカッチョ悪いと思っていたものがピカピカにリサイクルされてしまった感じである。映画や小説も続編の方を面白くするのは大変なのにやるじゃん、さすが超Ｂ級作家！＞超Ｂ級はＡ級より品はないが強力なのだ（笑）。
かなり俺内部ランキングの上位に食い込んだ。うーん、俺内部ゼラズニィランキングとかやってみるか。下位作品は再読必要だろうが、上位ならば再読不要だろうからベストでもいいかもしんない。

新型Ｇ３、宮内タカユキ、ＤＶＤ、新しくないもの＝大人のおもちゃ。 - 99/01/18 00:00:00
本日の調子: ６月６日は吉日なのか？妹よ、幸せになれ！

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＃１月１７日
妹の結婚相手の家族に会うための帰郷は、何か、熱出して寝ていた正月のやり直しのようであった。そうか、この週は正月単発番組の再放送でラクする週だったっけな。
故郷から戻る途中、やはり業の深さから秋葉原に寄ってしまう。古いエロゲー雑誌を整理してる時に発見した某鬼畜ゲームに劣情をもよおし、中古で売ってたら買ってやるか、ぐらいの気持ちだったのだが、アキバをうろつく俺の目にとまったモノがあった。それは…
新しいＧ３Ｍａｃ！
そ、そーいや１５日発売だったっけ？
うがーー！欲しい！猛烈に欲しい！欲しすぎて死ぬ！というくらい安いのだった。
そ、そうだ、メールで情報を仕入れていたものの、冬ボーナス払いでｉＭａｃを買ってその引き落としと同時に５万円値下げになったショックから新型機のリサーチを怠っていたのだった。
趣味の悪い横から透けるＧ３の文字も俺には「買え」としか映らない。これはガメラ３の予兆なのかッ！地球人類にはあがらえない欲望なのかッ！
はうぅ、くそ、べらんめぇ、こうなったらこの場で夏のボーナス払いで買えば同じ事だろうが、こんチクショウ！とマックアカデミーで「２つほど包んでくれ！」「１つで充分ですよ」とかをやりそうになっている自分にはっと気付き、イカンイカン、性能は悪かないがリサーチが足りぬ！と、やむなく理性を出現させてパンフだけ貰ってきたのだった。
フーム、なるほど。フツーのＲＡＭが使えるようになってバカバカ展開されてしまう筐体とかファイヤーワイヤーとかはイイ。でもなー、家はまだＡＶ機器が一つもデジタルじゃねぇからすぐには６６０ＡＶの代わりは務まらんなぁ、と判断。
まずはｉＭａｃでＭａｃで使えるＵＳＢ機器をそろえて、だんだんイカレつつある家電製品を徐々にデジタルな奴に替えてそれで広い部屋に引越ししてからでも遅くない！ってゆうか６６０ＡＶ、貴様死ぬまで現役で俺の伴侶だ！根性見せろ！と結局浮気寸前で夫婦の絆を深めた俺と静(SIZZ)はどちらかが死ぬまでもう少しやっていこうという事になった。
そーいや引越しは結局今回見送ったんだよなぁ。しゃくだが更新料を払うのでさらに家計に余裕はナシ！ボーナス振り込み直後の大尽気分から一気に貧乏気分へ落下。
で、ソフマップやメッセサンオーうろつくも新品・中古とも目的のゲームは見つからず。古すぎたのかなぁ、などと思っているといきなりソフマップ土日恒例タイムセールこと今買えすぐ買えさすれば１０％引きタイムが開始され、あわわわわ、と思っているといつの間にか『雪色のカルテ』を握ってレジに並んでいた。果たしていつやるんだろう？疑問。
そーいや、メッセサンオー内部をうろついていた時、麻雀ゲームの歌らしいのを宮内タカユキらしき人が歌っていた。一年くらい前、歌手廃業宣言してファンページが励ましを呼びかけていたけれど思いとどまってくれたのだろうか？歌手だの声優だの役者だの、色々難しい職業だと思うけどファンもいるわけで、なんとも頑張って欲しいと思う。
そういえば、友人の妹もずっと声優修行をしていたんだけど、（ちょい役こなしてもう６年？）ようやく「花さか天使てんてんくん」で準レギュラー役に就いたらしい。おお、努力は報われてこそ華よのう。と爺臭いことを思う。
アニメといえば「ガサラキ」はもう、絶対対象年齢２０才以上推奨状態！あれじゃちびっ子、ライデン・アーマーの玩具が欲しい！なんて思いやしねーよ。大人が買うためのおもちゃだよ。懐かしいキャラのグッズなんかも完全に対象年齢３０才前後狙ってるよな。以後、それらを「大人のオモチャ」と呼んでやろう。
まったく、ロボコンだのミクロマンだの日本沈没だの、「新しいモノ」を作る気力が世代的に萎えてきてるのか？はたまた、俺と同世代（生まれたときからカラーテレビ＆人類月面着陸済）がメディア提供側・制作者サイドにまわったとき、なにか自分が子供の頃感銘を受けた「作品」のオマージュをやりたい、という欲求に屈してるだけなんだろうか？という気がする。ＪＯＪＯのカプコンゲームも「なぜ今第３部？」というとそれがゲーム性の高い話であったことも事実だが、何より企画制作者たちが俺と同世代だからなのかなぁ？と思ってしまう。９９年中に「北斗の拳」の格闘ゲームとか出てきても俺はなんの驚きも感じないぞ！
とか思いつつ石丸ソフト１で新しげなモノ、ということで「タツノコ新世紀」アニメという肩書きの「ジェネレイター・ガウル」のＬＤを手に取るもうむむ、購入思いっきり迷う。ＤＶＤが出たからねえ。「アポロ１３」のＬＤも買ってないや、と思って寄ったのだが、メジャータイトルは無論のことマイナーなタイトルも結構ＤＶＤにシフトしている売り場を見ると悩みだけが大きくなる。とり・みき先生も苦悩していたが、置き場所取る＆技術的にアナログなＬＤはハードカヴァの本を次々文庫へダウンサイジングしてしまう俺としてはこれ以上投資するわけにいかない媒体なのだ。ＬＤでしか見られない異様な特撮コレクションや全話セットもどーせまたＤＶＤで出るんだろ？と思うと焦って買うことないっか、と思ってしまう。（ぁぁあ、だけどアイアンキングもレッドバロンも俺の魂をゆさぶった挙げ句、財布の紐をゆるめまくるゼ！）
今回は帰郷直前のＰＨＳの故障、携帯のバッテリ不足、mobioNXのポインティングデバイスの破損、メールサーバーの不調など、モバイル環境はアポロ十三（じゅうぞう）なみに散々であったな。はふぅ。

「ソロモン王の指輪」（ＳＦＭ８０年２月号収録）ロジャー・ゼラズニィ、読む。 - 99/01/17 00:00:00
本日の調子: せいじんと入力して星人と変換されればＳＦ者。

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＃１月１６日
単行本未収録のＺの短編をやっつけています。
この話で精神感応を用いた異種族との接触交渉行為を「Ｘ」と呼んでいるけど、まさか自分が没後に「Ｚ」と一部で呼ばれてるとは夢にも思うまいな（笑）
これも結構ソロモン王のはなしをモチーフにしてるので、前提知識というか蘊蓄タレな話になっている＆例によって宇宙に広がった地球人類に虐げられる他種族、というこれまたゼラズニィ先生の御得意＆俺好みの設定です。雰囲気は「復讐の女神」に近いか。
言語超越者（まぁ、テレパス能力で通訳＆交渉を行なう役割の人）のお話です。
例によって先進国が後進国を侵していくように、地球人類は宇宙へ進出し、未知の種族と接触し、平和的に地球人式を押し付けて搾取を繰り返しているのでした。
『わが名はコンラッド』や『光の王』でもこの＜先進国＞対＜後進国＞の構図はその両側に何が配置されるかが変わるだけなので、基本的にゼラズニィはこの構造を物語の構造に持ってくるのが好きなんでしょうな。短編だとシンプルになるのでこの構造がくっきり見えてきて＜地球人類＞対＜異種族＞＝＜先進国＞対＜後進国＞が頻繁に用いられてるような気がする。そしてそれは人類側の大半は悪いことではなく必要なことと思っており、人類の中のはねっかえり者がそれに向かって牙をむく、というパターンにもなっている気がする。そんな主人公は「実は悪ぶってるが動物には優しい」という漫画とかでモテル不良タイプの男の子そのまんまでは？！と今気が付いてしまった（笑）。
ゼラズニィの描く超能力者＆異種族コンタクト者＆男女愛憎劇＆昔話モチーフという結構贅沢な物語であったが、いささか詰め込みすぎ＆話の時刻系列、例によって真っ直ぐじゃない＆まだ訳がこなれていない頃の黒丸尚訳なので、ちょっと読みずらいけど、Ｚ形式に慣れてれば問題ナシ。ああ、これをあばたもえくぼ、というのね（笑）。
テレパス合戦で負けたとき用の精神崩壊防御用の自閉機構＜精神的タコツボ＞という概念は俺も自分の書いた話でも使ってるアイディアで（まぁ、これは電脳世界から精神が受けるショックを逃がすためのしくみだったけど）「自分が思い付くようなことは既に誰かがやっているの法則」だよなぁ、と思った。
人間なんてコンチクショウ、もっと他のモンに優しくしろよ、なゼラズニィが読めて良かったですわ。

『秘密』（文藝春秋）東野圭吾、読了。 - 99/01/16 00:00:00
本日の調子: そりゃもう成人式直後の相馬君なみ。

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＃１月１５日
俺の感想？
秘密。
だってよーそれいったらネタバレしかねーんだもんよー。しょうがねーじゃん。
「じゃん、って云うから、お客さん関東の人？」とか俺の偽装亡命がお店のお姉ちゃんにばれちゃったのと同じくらいバレバレぢゃん。
基本的にぬか喜び小説なんだよね、これ。
色々あるんだけど、結局冒頭のバス事故で主人公・平介が妻と娘を失った、という根底に流れる悲しみは最後まで払拭されない。それは同じ事故の被害者の藤崎がラスト付近で再登場していることで強調されている。彼が出てきた時点で俺はラストの悲劇性をもう少し高い値で予想しなければならなかったのかも、である。実際はそのギミックに「おおお、スゲェ」と素直に驚いて、エンタテイメントとしてはおもしろい、と思ってしまったんだが。読後、反芻し、感想を捻出しようとすると「す、救われねぇ」というどうしようもないやるせなさが募ってきて読んでる時、及び読了直後の「おもしろい」感がしなしなとしなびてゆくのを禁じ得なかった。
「もっとシアワセにしてやれよ、圭吾！」
長編小説はまた食い物にたとえちゃうけど、コース料理みたいなもんで俺としてはメインディッシュがくそまずくても、デザートでも前菜でも「おお、これは！」と思えれば合格。全体的に味がまぁまぁよりは一品突き出た方が与える点は高い。この小説は全体の味が非常に良い方の部類なんだよね。他人に自信を持って薦められるのは確か。
さらにまた別の例えで云うと、これってクッキーの詰め合わせ缶みたいなモンに思えちゃったんだよな。そこが食い足りない理由かも。まずいクッキーじゃなくて、うまいの。だけど、「なかでもこいつが一番うまいよな」と云えるクッキーがないところが俺的には痛い。しかも、これがパルナスの菓子だとすると、俺は既に本場モスクワの味を知っている、というところも痛い。（誰がわかるんだこの気持ち＆例え（笑））
（※パルナスというのは関西方面の亀屋万年堂みたいなもんです＞関東圏の方。♪モスクワ～の味～パルナス・パルナス～というＣＭを流していた。関西の人にナボナといえば王さんのＣＭだろ、といってるようなモンです）
そーいや、ＳＦチックです。なにが？このクッキー詰め合わせの幾つかが。俺のマイベスト１冊である『タイムトラベラー』（新潮文庫）を読むと、この小説味が落ちちゃう。どこがどうかというと、（見たい人だけ読んで）ネタだけでいえば収録されてるシェフィールドとファーマーの短編が、かぶって見えるのだ。本場の味だもん、そりゃ負けちゃう。
あと気になったのは、事故を起こした運転手の「秘密」がすげー気をもませたくせに（俺からしたら）たいしたことがなかったのが許せぬ。ミステリとして捕らえるにはこのパートのオチをもっとしっかりして欲しかった。（書き方はしっかりしてたので、ホントにオチ、ギミックの部分が不満）それに俺は逸美にシアワセになってもらいたかったぞ！（ホント、文也は逸美とくっつきゃよかったのさ！＞勝手だな、俺）
ああ、東野さんも元技術屋なのね。徹夜勤務のシフトとかまたヘンなところでシンクロしちまったよ。しかも舞台は三鷹・吉祥寺・荻窪・新宿紀伊國屋書店という絶妙な中央線、俺ライフライン（笑）。さらに、平介は俺の心の故郷、札幌はススキノへ飛ぶ！（笑）
みんな、平ちゃんはイイ人だったから、イイお店に行けたんだヨ。いかに心がすさんでいてもススキノで客引きのおじさんについていっちゃ駄目だよ！９千円余分に払うだけでなんか済まないって鴻上尚史も云ってるヨ！さらにいうなれば、歌舞伎町ではさらに危険度１８０％アップ！最近では池袋の危険度がさらに２０％増量（当社調査結果）なので、心がすさんだ時に繁華街をうろついて無傷で生還できる可能性はお年玉付き年賀葉書の５等が当るくらいの確立だと思ってネ！ちゃんと手慣れの同僚や上司の紹介でね！お酒は飲んでるとお金を払う段階で嫌な顔されるからネ。酔った勢いで行こうってならやめときな。というか、年取ってからそーゆー知識・経験がないとハマル・溺れる・騙されるとヘレン・ケラーなみの風俗三重苦を味わうので若い男性諸君は適度に社会勉強をしておきましょう。結婚して倦怠期が訪れてからでは遅い！ヤバイ！子供の担任の若い教師にムラムラしてしまうとかいうみっともなくてわろし状態を迎えることになるぞ！（かといって、マンゾク情報を愛読する２０代とかにもなって欲しくないが）
ま、それは小説としては１円分も関係ないのでおいといて、だ。（その割には文字数使いすぎ＞俺）
恋愛と性の部分。いくらなんでも１１才じゃ吉野純雄とかじゃないと対象外だよ。俺の可能範囲は○○才以上推奨だよ！とか思ってたら、ちゃんと話の中で順調に成長しちゃっうのね。あら、俺のスタンド射程内に入っちゃったよ。おいおい、お互い一撃必殺の間合いまで近づいちゃったよ、どうなるよ？という展開もあってすげードキドキ。
しまいにゃ相馬くん登場だよ（笑）。相馬くん！君の勇気に俺は涙がでそうだったぞ。１５年前の俺に君と同じだけ根性があれば、おれは少なくとも恋愛に関して負け犬根性を背負って生きなくて済んだと思うと、「リプレイさせてくれ、アバッキオ！もしくは堂本クン！そしてあの娘の職人気質のオヤジと再対決させてくれ！」という感じになってくる。（なんか一人で思い出して泣きそうになってる俺）
このパート、まじで平介の行動が夫なのか父親なのかわかんねーけど、弱い男の行動の典型ではあるよな（苦笑）。ヘンにサイコになるんじゃなくて、「安堵」を得てる、という描写がなんとも切ねぇ。やきもち焼きはみっともない、と俺は思うけど実際そーなったら俺だって盗聴セット買ったり興信所に行ったりするかもだよなぁ。しかも、考え様によっては娘と妻、両方失うことにもなるわけだし、ねぇ。
俺はステレオタイプの一家離散を経験してるから、夫婦の愛情だの親子の愛情だのをさほど信用してないところはある。（美徳は認めてるけどね）だから平介と直子の関係の持つ緊張の糸が切れる方向でずっと読み進んでいたのでラスト付近に至るまでかなりドキドキした。だってずっとかろうじて関係保ちつづけてるから。
あー、なんか書いてたら意外とエキサイトできたな。細かいとこ見たらいっぱい突っ込めるってことか（笑）

ネタバレ警報発令！
って俺、これ嫌いなんだよな。でも今回はラストの「秘密」部分について話さないと意味ねーし。
ええい、面倒だがこれでどうでぇい！（ネタバレ含みの俺の最終感想はココ！）

というわけで、ネタバレ抜きの最終的な感想をとりあえずここにも書く。未読の方はこれで我慢してくれ。
シチュエーションが異様なだけで、ここに描かれている人間の感情描写はとてもありふれたごくフツーの状態。愛憎・葛藤・嫉妬、それを変な方向に美化していない。それで物足りない感触があるのだと思う。ありふれたままの描写では俺は感動はしない。村上春樹ぐらいキザったらしく美化してくれてもその方が「感動」はできる。東野圭吾は今回それをやらなかったのだと俺は思う。
作者は読後に読者に様々な推測をさせるのを許す「遊び」（機械部品に与える空間的なゆとりの方のです）を設定しているようにも見えるが、うーん、そんな意図はなくて文章通りの意味しかないのかもしれない。
もし前者だとすると、俺はアホなので読者ごとに異なる推測が可能な設計の話よりは誰もが同一の方向に誘導される話の方が好きなのかも、と思った。
後者なら最高傑作とは呼べないが、間違いなく優秀な作品、ということで落ち着くだろう。
果してあなたはどう読む？

『蜂工場』（集英社文庫）イアン・バンクス、読了。 - 99/01/15 00:00:00
本日の調子: 森に立てこもったランボーなみ。

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＃１月１４日
感想覆面座談会・開始！
U:「これのラストはみごと、大ギャフンですな？」
Y:「ってゆうかあまりにみごとなのでギャフン扱いは失礼ではないですか？」
U:「しかし、『逆転世界』がギャフンなら、これもギャフンだろ？」
Y:「ちょっと待ってください。そもそもギャフンはそれまでの話と全然関係ないネタで幕引きされる場合であって、きちんと整合性がとれてる場合は使わないのでは？」
U:「小説版『プリズナー』は不条理ギャフンだけど、『逆転世界』は筋通ってるからなぁ、強いて云えばハード・ギャフン？といったところかな」
Y:「ハード・ギャフン…。それ、難しいですよ。言葉の存在自体が（笑）」
U:「でもこの『蜂工場』は、ハード・ギャフンだよ。罠だとか、びっくり箱としての仕掛けはまたとないほど精巧で大掛かり。衝撃力も十二分だ」
Y:「確かに。もー締め切り過ぎたし、収拾つける気力もないから、爆弾でふっ飛ばしちゃえ！とか『俺が追加で時を止めたぜ』とか『僕の脳をかえちてぇ～ん』とか『私は神だぁー！いくぞチョミタン！』とかいうのとは違いますね」
U:「違いますな」
Y:「よし、じゃあ改めて宣言。この小説、超ギャフン！」
U:「ラストの２章で往復ビンタくらうだろ、あれが効きましたな」
Y:「私は『ＨＥＡＶＹ』（村上もとか）のダブル・トルネード・アッパーを思い出しましたよ」
U:『アレックス、あんたはクレージーだ！』
Y:「やめて。またbook-offで探す漫画が増えちゃう（笑）」
U:「前にスキャナー掲示板で白石さんがスタージョンの『君の血を』と比べてたでしょ？あれ、的確だね」
Y:「そうですねぇ、みごとに小説上に展開された人造人格というか、人造人間というか」
U:「絶対ＳＦじゃないって聞いてなけりゃＳＦなオチを予想するぜ」
Y:「でも私、子供の頃、主人公のフランクみたいなことやってましたよ」
U:「虫や小動物殺すこと？子供は子供の残酷さってのがあるからな。俺もトンボの羽むしったり、カエルの尻に爆竹詰め込んだりしたよ。アオダイショウは祟られるから殺らなかったがヤマガカシは殺した」
Y:「うわ、私は生き物って好きだったからそれやらなかったですよ。私は火炎放射器を作ったり、物置の大きな草刈り鎌で近所の原っぱの草木を蹂躪したりしましたね。葉っぱだけのより花が咲いた奴を刈る方が興奮しましたね。あと物燃やすの。家の裏にゴミ焼き用の焼却所があったんだけど、そこでオヤジが物を燃やした時はいろんな物を投げ込んでましたね。あとは変わった石を隕石扱いしたり、呪術とかに凝ったり」
U:「草花も生き物だっつーの（苦笑）。小説から話逸れるけど、今はそーやって俺なんかが消化してきた残虐性が同じクラスの弱い子とかに向いてるからいじめがヒデーことになってたり、酒鬼薔薇事件みたいのが起きちゃうわけだろ？今の日本の都市部じゃフランクより異常な子供、いっぱいいそうだよな。それを思うとリアルさ倍増（苦笑）。そーいやさ、フランクのやる＜戦争＞なんかにも覚えがあるだろ？自分のおもちゃとか勝手に敵味方に分けて遊ぶやつ」
Y:「僕はミクロマンでやりました。ミクロマン対その他のおもちゃ。アクロイヤーはなぜかミクロマン軍団でした」
U:「武器が同じの使えるからだろ？（笑）俺は金がなかったからフランクみたくダム作ったり、＜標的＞を作ってパチンコ・空気銃・爆竹・ロケット花火で粉砕したりしたよ。ガンプラ・ブームの時は抱き合わせでいらないプラモをセットで売りつけられたんだが、そういうプラモは適当に組み立てて、戦争ごっこの破壊標的にしたよ」
Y:「あ、私も＜インターセプター＞のミサイルに火薬つめて爆発させたら、パイロットがぴゅーっと真上に飛び上がって、『脱出成功！』とか云ってた記憶があります。我々の世代はまだ空き地とか大自然の遊び場があって、家庭用ゲーム機もなかったし、結構フランクみたいな＜オトコノコ遊び＞を経験してるんでしょうね？＜秘密基地＞作ったり」
U:「そうだな、俺から見たら、あれはフランクが１６才なのにそういったオトコノコの残酷さをもっと年齢と共に拡大したヤツを持っているところが凄いんだよな。で、その描写が延々続く。結構最後の頃には思い出話が挟まってフランクの年齢を意識しなくなってきてさ、あんまり異常に見えなくて話がどう進むか不安になってきたけどね」
Y:「私もどう収拾つけるのかわからなくって、親父さんの実験室にＳＦなオチが詰まってるもんだとばかり思って読んでましたよ」
U:「俺は兄貴がどう関係するのかをずっと考えていたぜ。まぁ、後半に来て、過去は変えられないから思い出話はスポイルして、やっぱり実験室の扉が開かないことにはなんもわからんと思ってたけど」
Y:「ラスト寸前で深町くんが『土曜日の実験室ゥ！』とかいってついに実験室に突入した直後、高見沢派が立てこもる深夜の生徒会室へ、腹に目玉つけた木曜の男が『爆弾で王室をぶっとばすんだ、ぎゅんぎゅぎゅん！』とわめきながら突入！といった感じで繰り広げられる嵐のような展開の次に、あのオチですからねぇ」
U:「ちょっとその表現、的確すぎるぞ、知ってる奴には（笑）」
Y:「良く考えるとあれでラスト、島からバスでロンドンに帰ればプリズナーだったのに！」
U:「あ、良く考えると小説版『プリズナー』にそっくりだな」
Y:「え？じゃぁ、やっぱただのギャフンじゃないですか？」
U:「いや、あくまで雰囲気がだよ。小説全体の筋は通ってるからオチの種類は違うんだけど、ほら、あの『貴様がNo.1か！この野郎！』って最後の扉あけたらババァがよぼよぼしてた、みてぇなとこがさ」
Y:「お、おそるべしイギリス！（涙）」
U:「そうか、バンクスもイギリス作家だし、舞台の島もスコットランドだな。やっぱスゲェわ、イギリス」
Y:「これでＩＲＡとキリスト教入ったら完璧でしたね！」
U:「この作品、テレビ映画化の予定もあったみたいだけど、ぽしゃったのかな？親父をミッキー・ロークにしてラストＩＲＡの爆弾で爆破される教会に埋もれさせればお望み通りだぜ？」
Y:「うーん、やっぱそんなの誰も見ないだろうから、却下」
U:「この本がもう読めない時点で集英社を爆破すべきだと思うんだが？」
Y:「ホントですよ、＜蜂＞探してんのに古本屋で見つかるのは『蜘蛛女のキス』ばっかでしたからねぇ」
U:「紹介してくれたokkoさんと本を譲ってくれたHasterさんにお礼を云っておかないといかんですな」
Y:「お二人とも、どうもアリガトウございました。バンザイ！」
（収録、u-ki宅にて）

『王立院雲丸の生涯全３巻』（サンデーコミックス）広井王子・池上遼一、読む。 - 99/01/12 00:00:00
本日の調子: 髭剃り失敗、のシュトロハイムなみ。

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＃１月１１日
『学園帝国ジュウベイ』の前に広井王子のやらかした失敗作。
彼も「サクラ大戦」でウハウハになるまでにはずいぶん苦労したそうである。でもなぁ、俺からしたら「サクラ大戦」は小林源文が９０年頃にアニメージュに連載して、宮崎アニメなどを偏愛するアニメ左翼からのかみそりや嫌がらせメールボム、抗議攻撃等によってあえなく連載中止となった『東京兵団』のスチームパンク版にしか見えないんだよね。『東京兵団』の連載情報を募集中ですので、アニメージュやコンバット・コミックのバックナンバーお持ちの方はご一報ください。
で、本題。
昭和初期、一度目の世界大戦が終結し、パリでは万国博覧会が開催され、日本は、やや軍事国家の色を強め、世界の列強諸国と対等に渡り合うべく国際化に尽力していた時代。
公家から派生した巨大財閥、王立院グループの御曹司、雲丸は強大な愛国心に燃える若き軍の野心家、神島少将とささいないざこざを起こしたのをきっかけに自分の生きる道とこれからの世界の中での日本の在り方を見極めるため、飛行船に乗って国外に旅に出る。
神島はナチと結託。神器「草薙の剣」を献上し、同盟をはかろうとするも、偶然居合わせた雲丸によってその計画を邪魔されてしまう。以後、神島とことごとく対立してゆく雲丸。
草薙を奪うのにロボットを出したり、鬼を実体化する中国の陰陽術のような「鬼降術」やそれに対抗するための「仙術」、中国の裏組織「神龍」、上海に神島が建てた「要塞」など、テイストは一歩間違えば「サクラ大戦」と一つも変わりないものであり、広井王子味、というえばそれらしいが、芸風にヴァリエーションがないとも取れる。でもそれいったら小池一夫先生はどうなる？！という話もあるな（笑）
ヘミングウェイやエノケン、ナチの実在の幹部などを登場させたりして現実世界とのシンクロ率をあげようとしているのだが、そもそも読者層の時代への意識が薄い上、雲丸の所属する王立院グループの力加減とか実在性とかが希薄なために雲丸のアイデンティティがぼやけてしまっているし、神島の中国での所業やナチの動きなどもあまりに荒唐無稽すぎたのがまずかったのかなぁ、と思う。
日本の陸軍の一将校が果たしてどこまで力があるというのか？議席を急激に増やしたばかりのナチ党に何ができるというのか？当時少年だった俺にも無茶がありすぎるといえた基本設定だった。少しはあのＪＯＪＯのシュトロハイムの違和感のなさを見習って欲しい！話全体に勢いがあれば、その程度の嘘はピントがぼやけて作品背景に馴染んでしまうものなのだ。
やはりあまりに無茶な展開に俺以外の読者がついてこられず（笑）、３巻で打ち切りになった。しかし、同じ打ち切りでも小池先生が打ち切る時の、あの末広がりの予感を感じさせる切り方ではなく、まだちゃんと出し切ってないのに紙で拭いちゃった尻のように気持ちの悪い中途半端な印象なんである。まぁ、今やらせたらもう少しマシになるのかしらん？
この頃は『男組』や『青拳狼』の頃と違って、少年誌・青年誌の住み分けができていたので掲載誌を誤ったのかも？でも大人が読むにはやはり設定が無茶すぎた。もう少し練り込んで欲しかったなぁと思う。
でも池上先生の書く劇画はあまりにもカッチョイイので買って読んでしまったのだ。娼婦ジジとの恋愛も良かったし、なんといっても「斬首人シュミット」が（笑）ああ、カッコイイ、カッコイイよう、こんなオヤジ、どんな世界にもいねぇよう！（爆笑）

これだから、人生家業はやめられない─中学時代の友人と会う─ - 99/01/10 00:00:00
本日の調子: 池の中から飛び出した直後のあ～るくんなみ。

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＃１月９日
なんと、ｗｅｂページを見た中学時代の友人からメールがきた。
さぞかしこのページの主催者に「あんた俺の知ってる男では？」とメールするのは気合いがいっただろうと思うとその勇気に敬服せざるを得ない。
こうなってくると履歴書ページでも作った方がいいんかいな？という気はする。
しかし、開口一番やつがいったのは「いやぁ、なんか文章読んでてしゃべり方のアクセントまで想像できちゃったから半ば確信」とか「あのノリの人間が他にいたら俺は人類を疑う」とか好き放題いってくれたので、まぁ、良しとする。
まぁ、メールでやり取りをして近所で会うことにしたのだが、半ば故郷を捨てこちらに出てきた俺にとって、奴は、懐かしいながらも恥ずかしい、過去の実体化したいうなれば、「過去の亡霊」。そんな奴と俺は酒を飲みながら曖昧なオモイデ話を鬱鬱とすることになるのか、という想像もチラリと脳裏をよぎり、期待半分・不安半分であった。
が、そんな不安は杞憂であった。奴はキチンとお互いの共有した時間の延長に立っていることを確信できる男だった。過去を踏まえた上で、現在と未来を語ることができたのはかなり有意義であった。
ともすると、最近はネット上の自分が「正」で、実空間の俺ってすげー希薄ジャン、とか思っていたんだが、今の俺は過去の俺に根差した時空連続体の一端であることの確証が得られた、そんな感じである。
あの中学生の黄金の日々、「究極超人あ～る」年少化実写版のような日々は夢ではなく実在だったのだと確信。ひょっとしたら俺の美化された過去の記憶にすぎないのか？という部分に別の証人が現れ「美化どころか一つ残らずそのまんま」といってくれたのはなんとも心強くうれしかった。まぁ、美化できないほどの悪たれでアホたれではあったんだけど、面白おかしい思い出に加工してたような不安がいつもあって、ある日「そんなん嘘じゃん」と指定されるんじゃないか、という恐怖があったんだけどねぇ。いや、見事にホントに俺ローカルの記憶が補完されたのだった。
で、奴と語り合った結果、結局あの当時我々の部活仲間の生活というのはトラウマであれ、刷り込みであれ、ある方向に形付けられて、そのまま伸びているんじゃないか、という話になった。みんなそれぞれの道を歩んでオトナになっちまったけど、それはあの時代という核があっていまそろいぶみしてもあの頃となんらかわりなく話あえるのでは？そう思うと少し身震いしてしまった。
でもね、ｗｅｂのスゴイところは、俺とまったく人生共有してなかったにもかかわらず、通ってきた筋道が似通った人が存在することなんだと俺は奴に語った。
でもそれは知識レベルであって、意識レベルではあの集団の洗礼を受けたものにはかなわねぇな、ということで落ち着く。全員が、それぞれ独自のエネルギーと専門分野とを持っていながらも互いに交じり合い高めあっていたあの日々。奴はリーダーだったのだがホント良くまとめていたと思う。
奴いわく、「でも君を越える人にはまだ出会ってないけどね」だそうで、それは俺も同じ。俺を止めてくれたりとか、刃を交わし合う真のライバルや伴侶には出会ってねぇですよ、といって笑ってやった。
（そりゃ部分部分で上だな、って感じる人は山盛りいるけど、ねぇ。人間は統合されたモノだから…）
ああ、ビバ！サイバーエイジ！俺は今を生きているぞ！！！

「永久凍土」（日本語版omni８７年６月号）ロジャー・ゼラズニィ、読む。 - 99/01/09 00:00:00
本日の調子: ある意味、本日フロスト日和。

コメント:
＃１月８日
突然ですが、俺のささやかなこだわり。
ゼラズニィ、ディレーニィ、ヴァーリィは最後「イ」ではなく「ィ」と記述。
アジモフは死んでも「アシモフ」とは書かない。ヴォクトは「ヴォー」にしないから「ヴォート」にも「ヴォークト」にもならない。＜エイリアン・スピードウェイ＞は皮肉を込めてきちんと「セラズニィ」と記述。ファンタシィも「シィ」にしてるけど、これは気分で「ジィ」にする。まぁ、ちいさなこだわりだけど、わざとかそうじゃないかはどこかで書いておきたかったのよ。
あと、「泣ける」「泣きが入る」というのは実際には泣いてません。いわゆる泣きたい気分というやつですな。「泣いた」って云ってる時はきっと泣いてます。感情凍結してた時期もあったんだけど、最近は年取ったせいかかなり体は感情に正直ですな。

ところで本題。カナザワさんのご厚意で送っていただいた「永久凍土」。ずっと前にケンさんのページでレビュー（６月２３日）を読んで読んでみてぇ、と思っていたので非常にありがたかったです。（感謝）
舞台は１世紀で四季を巡るリゾート惑星バルフロスト。その惑星の冬は長く、厳しい。半世紀続く氷雪の攻勢から人々で賑わう季節までリゾート施設を守る惑星管理コンピュータに移行した不屈の人格アンドルー・オルドン。
そこに今は落ちぶれた冒険家ポールが若い恋人のドロシーと共に訪れる。だが彼にはそこで一人密かに精算しなくてはならない過去があったのだ。
ポールの対決しなくてはならない過去はその惑星の＜女神＞と化していた。死と冬を司る女神に…。
いつもながらスケールがデケェんだよ！Ｚの人！
なぜ四季の一巡りが百年？！
なぜコンピュータが管理しているのが「都市」ではなくて「惑星」？！
そしてなぜ敵が「女神」？！
だけど戦う理由はフツーの男女の「愛」と「憎しみ」なんだよな（笑）お安い人間ドラマなんだよね。
短いお話ですがガジェットのスケールは惑星規模。オチはアクロバットでウルトラＣ。でもやってるこたぁ痴話喧嘩。おお、これぞまさにＺ節！
詩的に分断されたチャプターはちょっとバラード風味（笑）
読めてシアワセでした。

『日々の泡』（新潮文庫）ボリス・ヴィアン、読了。 - 99/01/08 00:00:00
本日の調子: ピエール、ピエールはどこじゃ？腹がへったぞよ！

コメント:
＃１月７日
ぶくぶくぶくぶく。。。
ネズミがっ！ハツカネズミがかわいいよぅ！
それだけ。とか書いたら怒られるかな？（笑）
いや、実は年またいで読んでた本はこれとＳＦＭだけ。通勤時のお供にしてたんだが結構時間がかかってしまった。なるほど、ボリス・ヴィアン、前評判通り「ヘン」である。
読んでいるぶんには抵抗がなかったんだけど、よぉーく考えるとこのタイプの文体というか小説って読んだことないッス。
話はファンタシィじゃないんだけど、表現方法がファンタジック。小説経験値が低いので、比較対照が見つからない。強いてあげれば、浅暮三文氏の『ダブ（エ）ストン街道』が近いかな？ファンタジックなガジェットが登場するってことぐらいしか共通じゃないので引き合いに出すのは申し訳ないんだけど。宮沢賢治とかとも違うし。本当に奇妙な話である。
どんな具合に奇妙なのか例を示すと、曲を奏でることでカクテルを調合してくれるカクテル・ピアノ。主人公の恋人クロエはその肺に蓮の花が育つ奇病で病死する。親友シックは思想家の書く本を集めるのに全財産を費やして破滅するが、その本というのが様々な装丁を施されていて、「ああ、あの鞣革、しかも著者の左手の親指の指紋が付いてる奴は持ってないんだ！」という感じ。トイレットペーパーに印刷されて出版されてるヤツとかもある。なんかシックの行動は今の希少な古本とかを買い集めてる自分の姿とダブってしまってなにやら切ないものがある。マニア道の業の深さの極みみたいなモンである。そして俺の大好きな料理人ニコラ！（ダブのピエールに匹敵！）奇妙奇天烈な料理を作り、家の中では絶対使用人として堅苦しい敬語しか使わないのだが、許可さえ出れば気さくな知恵有る年長の友人としてふるまってくれるナイスガイである。
この物語はイタリアのブルジョア階級の青年の青春と破滅を描いている。ロック的とも云えるけど、激しさはないのでロックになぞらえるもの難しい。もっと音楽の趣味にも幅があればいい例えが浮かぶのだろうけど。ある種の音楽とプロテスタンティズムが作品の根底に流れてるのは感じられるけど、それをいつも通りの口調で語れないのは俺の経験不足としか言いようがない。
椎名誠にも影響を与えたという不思議な造語とその名にふさわしい奇妙なガジェットがイタリアのグロテスクなまでに誇張された社会構造の不安定さにはめ込まれて、異様な輝きを持つ文字列のタペストリを織り上げている。日本語に翻訳された時点でどうしても一段味が落ちてしまっていると思えるところが残念である。
誠実な主人公と一本気な友人を次々と見舞う不幸と破滅はあまりにも不条理でカミュやカフカを思い出させる。
１９６８年五月革命に参加した世代に異様に支持されたというけれど俺にはその熱は伝染しなかったようだ。サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』だとかビートルズだとかに感動しない世代だからなのか、単にソリがあわなかったからなのかはわかならない。
ただ、これは悲劇であり、風刺である。味付けはダブエストンに似てるけど明らかに底に流れているものは俺の心に訴えかけてくるのは別のもので俺のかつての暗黒面を呼び起こそうとする不思議な力が有る。
最後に主人公とニコラと仲良くやっていた台所のハツカネズミが猫に頼んで自殺を志願する。愛する人を奪い、自分を不幸に追いやった　蓮に一撃くらわそうと河にかがんで機会をうかがいつづける主人公の姿を見ての決断だ。そこに学生時代、自分個人ではどうしようもない理不尽さを与え続ける「世界」に対するやるせなさに耐えながらも生きていかざるをえなかった自分の姿をチラリ、と垣間見たのだった。
早川から出てる全集で短編も読んでみたいけど、入手難しそうだよなぁ。

『今日子─愛スル弾丸─全２巻』（ビッグコミックス）家田荘子・池上遼一、読む。 - 99/01/07 00:00:00
本日の調子: 上機嫌の伊佐岡センセイなみ。（まだまだ子作りも可能！）

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＃１月６日
『サンクチュアリ』の横にあったのでとりあえずパラパラめくってみる。２巻で終わるならまぁ、買って読んでみるか、という気になる。
しかし、池上遼一先生とか叶精作先生の劇画は必ず小池一夫先生の怪しい原作がつくものと思い込んでいるので、原作側が雁屋哲や広井王子だったりしてもあんまりテイストがかわらないなぁ、とうっかり購入してしまうんだから不思議といえば不思議である。パースやコマ割といった漫画的な技法によるアクセントが映画監督の「撮り方」のように気に入ってるからなんだと思う。（大林監督のノブちゃん効果や実相寺監督のジッソーアングルなどはそれがスクリーンに炸裂することだけで満足感があるものな）
今回も原作が家田荘子なのはしっていたけども、例によって「女の愛と性」がうるさく全面にでてるかな？と思って読んでみたが、うーむ、結果としては予想よりわりとフツーなものであった。
「わたしも戦うわ！愛のために…」
ってセリフで言わせないで話で書かないとイカンよねぇ。
今回の「敵」がでかそうだから読んでみたのだ。「カプリコン・１」みたいに、「政府」が証拠隠滅にでて、昨日まで存在してた人が存在していなかったことになってしまう、あの恐怖！それがこの作品にあったので読んでみたが、実体は野心家の女副大統領の企業癒着止り。なんかなぁ、拍子抜けである。
激しい女ｖｓ女の対決！にもっていこうというのはわかるけど、なんか尻つぼみである。小池一夫の「えっ、ちょとマジ？そりゃふろしき広げすぎと違う？」みたいなのりを期待していた俺が悪いのかもしれんが、家田さんがホントに原作ならここまでが限界なのかな？という気がした。漫画原作って所詮は小説よりも大法螺吹いた方がいいわけで、少し遠慮が見えた時点で「イマイチ」感を禁じ得ない。
ま、敵のスカイ副大統領（これがサンクチュアリのビゼット大統領補佐官にかぶりやがる）のやりくちとか夢に出てきそうな残酷描写があって、「ぐぉ、猿渡哲也の漫画にすることを要求スルッ！」とか思ったけどね（笑）
漫画の残酷描写でぶるっときたのは『リスキースタッフ』で生かされたまま少女がバラバラ臓器になっちゃった話以来かな？『サイコ─多重人格探偵─』のほうがオエって感じなのに吐き気がしないのはやはり絵柄でオブラートがかかってるということか。
愛のために白人ゲイと結婚してグリーンカードを得て、ＵＳアーミーの特殊部隊にまで一気に上り詰める今日子の姿は確かに家田さんの求めていた「愛で強くなる女」像かもしれないがリアリティがともなっていなければ作者の思いのカラ回りにすぎなくなってしまう。米軍基地でレイプされる、という出だしを売り文句にする以外ないではないか、という話だった。愛を知り、その愛する人を殺され、さらに両親まで殺され、自らを殺人機械にまで変えてまで、敵を追いつめていながら（すでに今日子は殺人で手を染めている）最後に怨敵を殺さないとは何事か！というのが最大の不満かも。これじゃ忠臣蔵で吉良を討たないみたいなもんで、あそこでブワッと感極まってしまう俺としてはもうそれだけでカタルシス度ゼロであるよ。ただ、殺してればスッキリ良い話、ってことになるかという疑問はある。
あーあ、サンクチュアリの伊佐岡センセイの鼻息でも見て心を慰めるとしよう。

『オルガニスト』（新潮社）山之口洋、読了。 - 99/01/06 00:00:00
本日の調子: ドイツ軍懲罰大隊の最前列兵士なみ。

コメント:
＃１月５日
「野郎ども、スターリンのオルガンだ！頭を低くしろ！」
というわけで、俺が知ってるオルガニストといえばスターリンのみ。
（すんません、コレ、購入時から決定してたネタです）
そんな俺が勢いで購入し、読むぞ宣言してしまったのが本書である。
正直にいって俺は好き嫌いが天と地ほどに激しい男で、食い物に限らず森羅万象、好きなものはいわれずとも極限まで追い求め、その代償に気にならないものはさっぱり白紙状態。おかげで効率よく脳みそが使えているという次第である。無論、俺が小学校の通知表で駄目だったものといえばその嫌いなものだったわけで今も変わらず嫌い＝苦手なものの筆頭にくるのは体育と音楽である。果してそんな俺がこんなモロ「音楽小説」読んで大丈夫なのか？という感じだったがその昔、少年サンデーに連載されていた『音吉くんのピアノ物語』に魂を注いでいた時期があったことを思い出し、「そうか、音吉くんのように苦手分野でも俺を引き込んでくれた作品があるじゃないか！」と思って挑むことにする。
しかし、相手は「オルガン」だぞ、「ピアノ」じゃないんだ。そもそもオルガンとピアノの違いも良く知らねぇじゃん、俺。
organと聞いて思い出すのはCybernetic-Organ（もしくはOrganism）、つまりサイボーグ・人工臓器である。もしくはゲバ学生用語の「オルグ」くらいなもんである。（わからない人は学生運動をやっていたお父さんや上司に聞いてみよう）
で、よーく考えると小学校の時あったオルガンは足踏みのふいごがついてフガフガと音を鳴らしていた。ピアノは妹がやっていてうちにもあったのでいわずもがな。空気で鳴らすのと引っ叩いて音を出すかの違いか。全然別モンじゃん。電子オルガンと電子ピアノは今度はどうなっちゃうの？とか思いつつ作品中のオルガン描写を読む。
ああ、そうかよく教会シーンで威厳に包まれた音色を響かせているパイプオルガン、あれのことだ、と思う。なんかやけに巨大で煙突みたいにハイプがそびえ立ってるの。
リードオルガンとパイプオルガンがあって、まぁ、フツーのピアノとグランドピアノぐらいの違いに思っていたのだが、ふむむ、なるほど、パイプオルガンは楽器の王様なんだと理解する。読後、手元にある資料に２葉のオルガンの写真があった。なるほど、でかいやつはこんなにでかいのか！演奏台（コンソール）は本体と別でいいなんて、なんかコンピュータみたいだな、とか思う。で、読んでる最中いまいちピンとこなかった「ストップ」の形状や配置例もわかる。おお、こんなふうにまるいもんが配置されてるのか。ペダルは空気を送るんじゃなく、こーんなに並んでいるのか。ふむふむ。なにかきっかけがあって知識が広がるというのはいいことだ。ひょっとしたら二度と使わない知識もあるが、類似・関連事項にであった時、零は何倍しても零だが、一知っていればあとは想像力が何倍にもしてくれる。
さてはて、オルガンの機械的な理解はできたけど、演奏は聞いたことが無い。バッハも聞いたことあるけど特徴を理解していないからバッハが理解できない。『ゲーデル・エッシャー・バッハ』っつーくらいで、現代音楽の重要ポイントなのはわかるけど、ショパンやシューベルトやモーツァルトに比べてバッハというと思い当る曲が無い。ピカソといって「おお、アレね」といって彼のキュービズムに走った絵の雰囲気や「ゲルニカ」を思う人は多いけど、モネとかルノアールとかキリコというと「え、有名な人だよね」って返ってくる、あの人たちの感覚だろうなぁ。クラッシック音楽で知っているのは「第九」と「別れの曲」「ワルキューレの騎行」「青く美しきドナウ」（おお、傾向がでてきたぞ）あとは学校に通ってた時聞かされた奴ぐらいだよな。「剣の舞い」とか「魔王」とかヘンなのしか覚えておらん（笑）
音楽が嫌いになったのは聞き取りができないからで、もう和音のテストとかの後は「俺はイルカじゃねぇんだよ！」とかいって荒れまくり、偉大な作家さんたちの顔に落書きするのみだった。いまさら少し反省。とにかく味覚と聴覚は視覚の２０分の１も自信が無いので最初にパイプの音色と料理の関連付けがでたとき「うぉ、もう逃げたい」「俺ってもうオトナだから嫌な本は読まなくてもいいのよ」という感じになった。
かろうじて引き止められたのは舞台がドイツなのと丁寧なオルガンと音楽の説明によってである。知らない機械の説明を受けるのはなかなかに楽しい。残念ながら風景描写のように音楽はいくら説明されても頭の中には再現されないんだけれども。
で、幸いしたのがカヴァかけてもらっちゃったので、帯の説明書きすら読んでいなかったこと。恥ずかしながら物語がどういう方向に進んでいくか全然わからなかったので「事件」が起きるまではどうなる、どうなる、でなんとか読み進むことができた。帯読んでたらズバリが書いてあるのでどうなっただろう？とか思ってしまう。
で、事件が起き、本の半ばを過ぎた７章からは、もう、全然嫌じゃなくなっていた。だってだって、ああ、もうここからはなんとなく予想ができるじゃん。俺の専門分野じゃん！というトキメキだけで読み進むと、あぁぁ、なんという当初から予想できない展開の連続！（俺が鈍かったのか？）
最後、ヨーゼフとテオが歌いあうシーンで思わず泣いてしまったですよ、あたしゃ。音楽じゃなくて詩（うた）になってるんだもン。こりゃ新しい表現を見た！って感じです。
しかもヨーゼフとテオとマリーアの各々の状況を考えると、泣く以外ないっしょ。
とにかく、これだけはいっておこう。
なんか昔の話だと思ってる人、それは間違いです。現代よりもうちょっと未来のお話です。
音楽のオルガンの話だと思っている人、そりゃそうなんですけど、それだったら何がファンタジーノベルやねん、ってことですわ。実は、実はアレなんです。とってもアレな話なんです。とても科学のお話なんです。ぐぉあ、もう限界。
俺のページに来てるような連中にはウハウハなお話なんだよ！いいから黙って読め！
ＨＥＲ、ＨＥＲ、
すみません、とりみだしました。というわけで、u-kiの読書日記初、
ネタバレ警報発令！
未読モノは覚悟して見よ。ってゆうか見ないで。ってゆうかちょっと見て逃げて。

イカレ！半端なサイボーグ！
の話なんだよ、サイバーなオルガンの話だったんだよ。(;_;)/
ドイツでサイボーグという、いうなればシュトロハイム状態！
サイボーグフェチでパワードスーツフェチな俺は当然、若き日々をどうして「人工臓器や義手・義足はあんなにもダサイのか？脳内の運動命令を外部に出力する方法は？」とかばーっかり考えていたのだ。特に交通事故などで半身麻痺の人というのは脊髄の中の神経伝達網が切断され、それが再生しないという理由がほとんどなのだ。意外と、この中枢神経系が再生しないという事実はソレ系の話では知られていると思う。どうして俺はその神経パルスを伝達するブリッジが作れないのか？と前々から疑問だったのだが、うん、この作品で氷解である。この技術さえあれば外骨格式のパワードスーツにタイムラグなしで運動が伝達できたり、巨大な人型ロボットの操作系（外骨格の延長）としての道が開けるのでは？と思っていたのだ。そのテーマに真っ向から取り組んでいる話をはじめて見る気がする。
ギブスンが提示したソケット頭（あるいはボタンヘッド）が実用的でないのは今じゃみんな知っている。あれはサイバーのレトリックなのだ。
で、自動車事故で半身不随となり消えたオルガニスト、ヨーゼフがサイボーグ・オルガニスト＝ハンス・ライニヒという図式が明らかになってからも物語りはダイナミックに進んで行く。
いや、サイボーグ器官という材料を得て、ますます大胆に音楽に身を捧げ、音楽のために悪魔に魂を売り、恩師に「ただしくない」と糾弾された男の悲しいまでの物語が展開されてゆく。
オーマイガッ！
かくして芸術が人から色々なものを奪って行く魔物であるというオーソドックスなネタを現代科学というスパイスで見事に調理した作品となったわけである。
オルガニストってサイボーグにもひっかけてんのかいな？という気になってくる。
で、ラスト「君はもう人間でいられない。君はどうしたい？」「ぼくは＜音楽＞になりたい」で、まさかと思ったけど、本当にそんなことになっちゃうなんて…。
俺は＜人間でないモノ＞になることに憧れつづけてきた男です。でも彼は違った。俺のように不純な理由からでなく、＜音楽＞を愛し、人でないモノになってもオルガニストであり続けたかったという、真にピュアな魂が、やむを得ず人間の肉体を喪失していくというなんともいたたまれない物語なのだった。
思えば『エンジン・サマー』のラストを彷彿とさせるも、その１０倍わかりやすかったッス。もうボロ泣きッス。
くそう、これも「バロック・ミステリー」とかいう帯の文句が気になるな。なんか他に売り文句なかったんかい？タイトルと帯びからはきっとこんな物語だって想像ができないぞ。……というか、想像ができない展開だから面白いのかもしれないけど、俺のような奴もいるかもしれないし。
うむむ、ネタバレといいつつも、この真剣に脊椎神経切断をサイボーグ技術で救済しようという物語を埋もれさせてしまうのはとても惜しい。この部分によって実はこの作品はＳＦだ、と断言できるわけだから。
もうネタバレで良いからせめてここには大きく「これは希有の医療サイボーグ技術モノです！」って書くしかねぇかな、と思った次第です。
果して俺はそれを知って読んでたら面白さが半減しただろうか？悩む。
俺は推理小説を尻から読んでしまうような男だからなぁ、難しいトコロです。
今回の第10回日本ファンタジーノベル大賞、機械化卒業してＳＥ経験もある技術屋の山之口さんが音楽と音楽家の話を書き、ずっと作家業やってる涼元さんがＳＥの話を書いている。うむむ、なんともおかしな話ですな（笑）
とりあえず、『青猫の街』を読んで「最高ぢゃん！」と思ったところに溝口さんの「『オルガニスト』の方が良かったです、オルガンが好きになるかもしれません」という感想を読んで「なにをッ、負けるか」（＞謎（笑））という気持ちだけで買ったんですけど（部数も少なそうだったし）今は大変感謝しております。
オルガンが好きになったか？というと疑問ですが演奏を聞いてみたいとは思いました。もともとオーケストラの演奏とか聞くのは好きなんです。学がないだけで。
結局、自分の守備範囲のモノならなんでもＯＫマーク付けてしまうのは邪道かも知れないけど、俺はプロの評論家じゃないし、ここは書評ページでもないし、何読んでも「面白い」って云ってるわけじゃないし、何読んでも「イマイチ」って云ってるわけでもないんだからそれでいいと信じる。
ただ、この本だって絶対普通だったらセンサーに引っかからない敬遠本だったわけで、そう思うと、本と出会うきっかけって不思議ですなぁ、と深い感慨に包まれて終わり。

過去の日記(98/12/20～98/12/29)を見る

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