U-kiの読書日記(98/12/15～98/12/19)

U-kiの読書日記(98/12/15～98/12/19)

『ＳＥＸＹゲーム大全』（ＫＫベストセラーズ）、読む。 - 98/12/20 00:00:00
本日の調子: スミマセン、僕のアレはヘッドフォンなしのウォーケンなみDEATH。

コメント:
＃１２月１９日
これは先に紹介した『美少女ゲーム大百科』と読み比べ、という意味で買ってみたが、うーん、全然駄目（笑）。
この「ベストの本」というシリーズと「別冊宝島」を比較してはイカンのかもしれない。本の作り方が非常にヘタくそで、おやじ向け大衆紙の寄せ集めという感じがする。俺が作る同人誌ってのは「時間も人手もないのよ、でも情熱だけはわかって！」という「雑な作りの本」が持つ「熱」だけがウリとなるんだが、商業誌がそれじゃイカンでしょ。大衆紙のスタイルは毎週くだらない記事をおもしろおかしく通勤中のおじさんに知らせるという目的からあーゆースタイルに定着したわけで、それをムック形式の本に適用するなってー感じですな。ファンタジェンヌのお尻の方の白黒ページの方が見やすいし面白いぞ！とだけは云っておこう。
で、本題に入る。まぁ、作りはおいといて、着眼点や記事そのものは結構興味深くおもしろいものもあった。まぁ、この「エロゲー」という業界に今、俺自身が興味津々だった（おお、既に過去形）せいもあるけどね。
某メーカーでコンシューマー向けのギャルゲー（年齢制限がないオンナノコが出てくるゲームをこう呼称する。対して、年齢制限のある、パソコン用ゲームでオンナノコが出てくるものをエロゲーと呼称する。ギャルゲーの集合の中にエロゲーは完全に包括されているというのが俺の扱いである）をプロデュースしてる後輩や、某美少女ゲーム雑誌でライターをやっている後輩などがいる関係でここらへんの生々しい話は既に聞き覚えのある本当に生々しいものであり、会社辞めてエロゲー会社を作ると豪語していた俺にとっても非常に有益な情報が満載というのは保証しよう。（俺の方の野望は今のところ頓挫中）
買った理由はカラーページに一応、リーフゲーとＯＮＥとＦ＆Ｃのゲームが載っていたから。しかし、半端な作りだよなぁ。カラーページのゲームについてはほとんど載せただけで言及してないんだから。新進ゲームソフトとか、今度出る注目ソフト情報なんてーのは雑誌のになうべきもんであり、こーゆー本には不要では？とも思うが、どんなムックもその出版当時の流行モノの記事はあるか、と思いそこらへんに対するツッコミは引っ込めることにしよう。
いや、しかしホントに見づらい本だ。もう一回参照したい記事が目次から引張れないんだからたいしたモンだぜ。

第１章、４メーカーを検証する。
冒頭のＬＥＡＦ、マルチに関する記事は不要。俺にメールでもしてくれたほうがマシな話が聞けるでしょう。なぜここだけ「リーフ」の関係者のインタビューがないのか？
まぁ、あちこちで散々やられてるからか、忙しくて断られたか。ちょっと前のマルチが表紙のコンプティークや電撃各紙、オフィシャルホームページやオマケゲームで散々スタッフの肉声は聞けてるわけだしね。しかし、この記事はナンセンス。まぁ、「鬼畜系」の実体を暴くコンセプト本、とこの本を捕らえればおざなりにしていいのかもしれない。
普通に選べばリーフ、Ｆ＆Ｃ、エルフ、アリスが４メーカでしょ。そこらへんの記事って雑誌や既にいっぱいでてるコレ系の本でやられちゃってるから、あえてスポイル！というのならいいんだけど、看板にいつわりありってゆうか、そういう作りなんです、ってゆう姿勢がみえないまま本ができてる感じがして、「不透明」「思想なし」が感じられる点がイヤ～なのかな？個々の記事はそこそこ面白いのにねぇ。
「アイル」の森田氏
いや、エロゲー会社をホンキで作ろうと会社設立の勉強までした俺としてはこーゆー真摯な会社に対する態度をもった社長さんの意見に敬服してしまう。
森田氏は「～というメーカーが多いらしいですよ」（あえて書かない）という。確かに。好きだから、で無理な仕事させてたんじゃいかんですな。あと自分の会社の製品に対する厳しさ、俺はかなり尊敬する。（ここのゲームやったことないんだけどね）
「リビドー」の大友氏
この社名は俺も考えていたので初めて見た時は死ぬほどくやしかったし、やってみたゲームの作りのうまさにはさらに悔しさを増した俺である。『放課後恋愛クラブ』＆『マニア倶楽部』は一番サカリが付いていたころプレイしてかなり感心したが、ページ作成は挫折したまんまだ。ＳＳ版は買っていない。ただ、ＳＳ版が予想に反して飛ぶように売れているのを見てコンシューマ市場は潜在的にエロを求めているんだなぁ、とかなり感心した覚えがある。１８推（禁止ではなく推奨なのだ）加工されても売れるモンは売れる。そこにとても巨大なビジネスチャンスを見たのだ。後述のシーズウェアも成功した例。だが、失敗作も多く、「Ｈシーン抜いただけのエロゲーが氾濫」というのがＳＳの現状である。である。「ＰＳに移植される方が世間認知度の格が上」という風潮もできあがってしまている。まぁ、メーカー勤めの後輩に聞いたところまったくそのとおりで一時期奴からＳＳ、ＰＳへの移植の困難さについて相談されたこともあったがＰＳの一人勝ち状態になってその悩みはなくなったといっていた。だがＤＣはパソコンとの移植がさらに容易になるようで、セガの人はエロゲーをいかにＤＣに流しやすくするかで明暗が別れるという認識が必要だと思うよ。（俺の予想では変な倫理感が働いてまたセガは負けると思う）ガイジンにいわせれば日本ほどポルノ規制が緩い国はないそうで、コンビニでヘアヌード付きの雑誌がこんなに簡単に買えてインカ帝国？らしい。ゲームだって同じだと思うのよね。だから規制をなくせ。規制反対。規制というのはコントロール可能なものに対してかけるものだ。エロ漫画もエロゲーも発作的に騒ぎはするが結局制御できていないんである。免罪符みたいな１８禁シールや表示しかできないならコンシューマゲームもそうしろ。ソニーだからセガだから、なんて関係ない。現に全然売れてないＮＥＣの某ゲーム機は規制なしではないか。数が出るとそれだけ騒ぎが大きくなって制御が効かない、という定めは乗り越えられんのか。
というわけで、放課後シリーズは綿密な計画のもとに作られ、俺は見事に躍らされたことを知る。
「イリュージョン」の吉村氏
伊達杏子で俺のポリゴン魂に火が付き、ページまで立ちあげたのだが、肝心のポリゴンエロゲーメーカーの人の意見がこれっぽっちでは哀しい。ホンキのポリゴン野郎（おそらくナムコに棲息）の台頭を俺は心待ちにしている。いや、その前にアニメキャラダッチワイフが登場する方が先のような気もする。

第２章鬼畜と純愛
といいつつも、鬼畜側のインタビューしかしてない（笑）
作ってるうちに方針が変わったのか、そもそも純愛をやる気がなかったのか？謎である。が、ＰＩＬというブランドで「SEEK」を初めとするＳＭモノの代名詞になり、最近ｊａｍというブランドで「My Girl」という純愛系ゲームを出したからこの人オンリーなのかもね。で、確かに「ストーンヘッズ」の田所氏のインタビューはかなりホンキはいってて良い。プレイヤーというか、それ系ライターの声しか聞いたことがなかったので、作り手がどんな意識でやってるか個人的には聞いてみたかったのだ。
純愛と鬼畜は紙一重。ヒロイン以外をつまみぐいできるシステムは果して純愛なのか？という田所氏の指摘はかなり正しいと思う。すごく面白かった。
うーん、フランス書院とかのインタビューも見てみたいぞ。（先日トゥナイトは面白かった。エロ小説のタイトルの付け方とかやってたのだ）

第３章、歴史の証人
「シーズウェア」の人の話。コンシューマで売れてしまってＰＣ逆輸入のゲームまで発生した特異な会社である。もとはメイドさん＆館ゲームのはしりである「禁断の血族」シリーズで売っていたメーカーである。
俺もエロゲーの歴史について語る資格のない男である。なにしろ東鳩まではずーっとその売り場自体を否定していたんだから。作る側も、売る側も、買う側も「パソコン市場のダークサイド」とながーいことみなしていたんである。ゲームほとんどやらなかったしね。互換機を仕入れて、９８用のエロゲーがＷｉｎ用ＣＤＲＯＭになってきて市場がにぎわってきた頃、（調度「痕」発表の頃）が俺のこの方面への目がいき始めた頃である。発掘された雑誌も９６年頃が最古。９８エロゲー全盛期を俺はある先輩を通してしか知らないのだ。
コンシューマのギャルゲーを作ってる後輩の話とあわせると今後のコンシューマギャルゲーとＰＣエロゲーがどういった方向性をもって発展するかの予想に役立つ。

第４章、新興メーカーまかりとおる
スタジオｅ・ｇｏと新ブランド６つの紹介である。
うげ、こーゆーの見ると、この「雨後のタケノコ状態」あるいは「戦国時代」のようなエロゲー分野に参戦するのは、気後れしてしまう。だが、彼らの豪語する「市場のイキの良さ」が確かだという感触もわかる。おもしろいフツーのゲームは作るのが大変な割にはゲームとしての作りが単純なエロゲーの４分の１も売れていんである。
半年後はこの記事は意味がなくなるだろうけど、「今」時点では非常に新鮮なサンプルである。

第５章、業界の周辺
声優、フィギュア、グッズ（トレカ）、雑誌についての記事。
Ｈゲーの声優さんの話もまぁ、普通。声優やってる友人からもここらへんの事情は聞いているからね。声優というのも「アイドル化」が進んでおり、そーゆー売り方ができない娘は大変らしい。みんな副業をしながら夢を追っている。某脱衣麻雀で一回声を当てたらソレ系の仕事しかまわってこないと嘆いていた。このインタビューの娘のように前向きに喘ぎ声を出せる娘みたいのが生残れるのかもしれない。久川綾や三石琴乃だって神経太いからやってられるんだもんね。ここらへんは女優と同じだね。仕事で脱げるか脱げいないかみたいな。
フィギュアは専門外なので割愛。しつこいようだが、これが昂じて美少女ダッチが登場してそこから「セクサロイド」が登場するのではないか、とそこにだけ興味がある。
トレカもね、いまＳＦ研ですごく集められてますよ。グッズもすごい。ときメモのプライズマシンにはじまって、ポスターも部室にべたべた状態。役に立たないアクセサリーが散乱。俺はコレクターの気持ちはわかるが自分がけしてそうならないことを知っている。ライダースナックのカードとスーパーカー消しゴムで卒業してるのだ。ある後輩は「みんな退行してるんですよ。いま、お金持ってる世代が幼児化してるんですってば」と冷静な意見を言っていた。普通の書店でポケモンのカードと一緒に東鳩やPiaキャロのガードが売ってるのを見るとなんともいえん。（無論、ポケモンは子供が、それ以外はオトナが買っているわけで）ただ、このカードメーカーの意気込みは「トレカなんてゲームの画面まんま焼いてるだけじゃん、俺が作ってやるよ」という俺に対して「ウチはちゃんと商売してる」というプロ根性を見せてもらったので、簡単に馬鹿にすることはやめよう、と思った。
雑誌はまぁ、本当の現場の話は聞いたことがあるので、この雑誌の「カラー分け」は面白かった。ほぼ俺の選球眼は正しかったという確証を得る。あとテクポリやポプコム、コンプティークの時代のコラムがちょっとある。こっちの話の方が俺としては盛り上がったんだけどな。なにしろこの雑誌業界も大変らしいのである。

巻末にある「大淫和辞典」
おもしろくない。センスが大切ですね、下ネタは！

とうわけで、カラーページは意味無し、ページ構成が変で異様に枚数稼いでいるが、枚数分の内容がないのが残念。中綴じにしてスッキリすれば半分の厚さにしかならないし、内容も半分の値段なら納得がいくものだった。なんか美少女系ゲーム雑誌の白黒ページの濃い奴、という感じの本であったが「空想美少女大百科」と違って「エロゲー」だけを特集したことには意味があると思う。ただ、この「ベストの本」は基本的におやじ向けの風俗ムックなのでま、このレベルでしかたないかな、という気はする。同シリーズの『ＳＥＸＹコミック大全』も─マンガで「抜く」時代がやってきた─などという「なにをいまさら」なおやじ向けのアオリ文句が付いていてそこに安っぽさを感じてしまい買わなかったんだが、今は読んでみてもいいかな、と思う。
「駄目な本」といいつつかなり長文の感想になった。それだけ「感じる部分」は多かったのだと思う。ＰＣのゲーム業界の根底を支えている「エロゲー」の実体に興味のある方は読んでみて損はないだろう。
最後に全然関係ない話。
昔、パソコンゲームは「ＳＦチック」な作品が多かった。エロゲーも同様で、そのエロに至る無理なシチュエーションをごまかす手法として「ＳＦ、ファンタシィ」な設定が多用されていた。そう、パソコンとＳＦはゲームを通して、昔はずっと仲が良かったのである。今の変なリアルさの追求がそれを駆逐してしまったのだ。学校の中でＨする方がよほどファンタジックで嘘臭いんだけどねぇ。大場惑氏のように現役プログラマと兼業のＳＦ作家（草上仁さんや東野司さんは違ったかな？）も８０年代当時は元気で、掘晃氏や谷甲州氏の機械・土木課の理系と違った、電気・電子・情報系のＳＦ作家が頑張っていたんである。そういう意味では俺の見るところ、＜電撃文庫＞の行こうとしてる道がもっとも注目株なんじゃないかなぁ、という予言をして終わり。

パソコン雑誌、週間ＡＳＣＩＩの「でじ式」に注目。 - 98/12/18 00:00:00
本日の調子: 株が下がった時のゲイツなみ。

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＃１２月１７日
ああ、ついにだーたでもらえる日経ＭＡＣもこれで最後か。
しかしつまらん内容だ。そりゃｉＭａｃとＯＳ8.5しかネタがないのはわかるがどうして最近は雑誌の特集がおんなじになっちゃうのかな？今月は「Ｗｉｎとのファイル交換」と「ＯＳ8.5の問題点洗い出し」。数ヶ月前の「ＶＡＩＯマックを作る！」とかの驚きがねぇんだよな。
ＭａｃＯＳ8.5は今出てる雑誌で（バグで）大騒ぎのようだが、発売日にパッチが出ていることを考えると紙メディアの限界を感じる。皆が本当に困っている時は「こんなにすばらしい！」って記事が満載なわけだから。かといって今度はそれを翻す記事が一月遅れで掲載される。雑誌が躍らされてるんじゃユーザーはもっと躍らされている。もっともいまどきネットに接続してないユーザーはいないか。
ちなみに私はＤＴＰもせず、Officeも使ってないので害はありませんでした。
ただ、こんだけメモリ積んでてファインダが死んだ時はガベジコレクションに問題あり、と思ったけど。ＵＳＢの機器がでまわってないことが最大の不満ですな。あとＰＰＣネイティヴでないソフトいまだに使ってる俺に問題アリだな。

今週の週間ＡＳＣＩＩのつまらなさといったらない！たぶん過去最低ではないか？
俺が単にＷｉｎ９８を導入していないというだけでなく、なんか「しかたなく作った」みたいな作りだ。見るひとが見ればわかることなんだけどね。（＞なら買うな）
ただ、先週からの連載「でじ式」（福冨忠和）のロボットの頁は興味津々で見ている。おそらくは『肉体のヌートピア』（永瀬唯）を読んでるな、という気はするが、一般の雑誌でこの手の話が語られる機会は少ないので見守って行きたい。
きっと来週はＶＲウォルドーの話になるけど、これが『バーサーカー・皆殺し軍団』かせめてハインラインの「ウォルドー」にまで溯るかが見物。まぁ、どうして「人型」にくらっとくるのかは『となりのアンドロイド』を読めば良し、でしょう。
ポストペット２００１が話題になってるようだが、俺も一時期はそれ用にアカウントとったんだけど、試用期間中に散々いじめて飽きてしまった。ニムさんの息子さんは「ゲーム」だと看破したようだけど正解でしょう。やり取りする相手＝対戦プレーヤーが野郎の先輩だけじゃぁね、飽きるわ。かといって金払ってポスペタウンに入る勇気もなし。ああ、でもＭａｃクラッシク型のヤツとかハムスターとか飼い慣らしてぇ気はするよな。これでジェット機とか戦車とか「オトコノコ向けセット」があれば楽しいのに。「Ｋさんの家で散々砲撃を浴びた。もうあそこへは行きたくない」とか独白してくれる戦闘機！萌えるなぁ。（＞駄目か？）

あと、ひさびさにパソパラとゲーメストを買ってみる。エロゲーは超不作ああ、すぐにでも売っぱらいてぇ～。
カプコンのＪＯＪＯゲー、すげー難しそう。だが、おれはスタンドだしっぱなしという男のロマンを実現するためにやるぜ～、やってやってやりまくるゼ～。

『バトルテック１＆２』（富士見ドラゴン・ノベルズ）Ｗ・Ｈ・キースJr.、再読。 - 98/12/17 00:00:00
本日の調子: 酸素欠乏症にかかってシアワセそうなテム・レイなみ。

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＃１２月１６日
西荻のゲーセンには「バトルテックセンター」があった。屈強なロボフェチどもを一度に８名も鋼鉄の棺桶みたいなコンパートメントに押し込んで、お姉さんコマンダーの云う通りにバトルメックと呼ばれるポリゴン重装甲メカを地下サイロから発進させて敵だろうが味方だろうが眼前のターゲットに限られた時間内に全弾を打ち尽くすまで闘いつづけて１時間で千円もとられてしまうという恐ろしいシステムが存在したのだ。残念なことにこの秋に他の体感設備と一緒に閉鎖になってしまったのだが。渋谷のセンターと違ってすいていてよかったんだけどね。パソコンでアレ以上のゲームができるんだから時代の流れには逆らえなかったんでしょうなぁ。
というわけで、それもあるし、本棚の整理で発掘されたのでこの作品を読む。
全６巻刊行予定だったが、本当にどこまで出たのかは謎である。俺は引っ越しして仕事も忙しくなったせいか、このシリーズは３巻までしか持っていない。１と２で向こうで発刊された第１巻の内容が完結するので、
１「グレイ・デス軍団の誕生」
２「サンダー断層の決戦」
の２冊までを再読。
本書は「バトルテック」という「メック」と呼ばれる戦闘ロボットユニットを使用したウオーシミュレーションゲームのゲームノヴェルである。
グレイソン・デス・カーライルはその「死」というミドルネームが気にならないほどにたくましく成長していた。
から始まって、お話は、
彼は父のメックを卑怯かつ残酷なやり方で破壊した謎の赤い巨大メックに復讐を誓うのだった！（ぐぉ、燃える！）
に移り、政治的に難しい銀河英雄伝説的要素をはらんで、陰謀巡らす政治家の娘に騙されて恋仲になったり、敵の女メック戦士（！）を仲間にしたり、「武器のないメックでどう闘うのかな？」とか「これがなんだかわかるな？」と偽の爆弾持って生身でメックに立ち向かったりとか波瀾万丈の末、２巻のクライマックス、
「奴だ！父さんをやったあの赤いメックだ！」で最高潮。
そして最後は１５０人の部下と一隻のジャンプシップと数台のメックを所有する傭兵軍団が誕生している、という内容だ。
駄目だ、徹底的にお約束過ぎて燃えてしまう～！！！
汚ねぇよ。ミドルネームが”DEATH”なんてありか？出来た軍団は髑髏のマークの”GRAY DEATH LEGION ”だよ、グレイ・デス・レギオン！帝国華激団とかの２倍はカッチョイイよ！
というわけで、今は猛烈に全巻読みたいのである。
ゲームノヴェルのお約束で、巻末にはプレイの様子が語られているし、ゲームの特性上、惑星の条件などが事細かに巻頭に書かれている。これは「トラヴェラー」なんかも一緒だろう。今回の舞台は惑星トレルワンだが、その環境によって実際のテーブルトークのゲームに変化が出てくるわけだ。（パソコンでも当然同じだ）
当時、あまりテーブルトークはやらなかったので興味薄かったが、後にパソコンでおおいにMechWarrior2を堪能したので、「ああ、ゲームとリンクした小説ってのも悪くない」と思ったのだった。
この本は巻頭カラーのインチキな河森正治デザインのメック（ロボット）が良し！なのだが、これにまつわるお話が一つある。
もうサイトがなくなってしまったが、９５年頃は外国の大学生が運営するバトルテックのインチキサイトがいっぱいあって、著作権無視の画像がたくさんアップされていた。が、このゲーム自体が著作権違反だったらしく、MechWarrior2の日本語版が出るとすぐさまこれらのサイトも消えてしまった。もろダグラムやもろマクロスのメカに勝手なメック名を付けていたのが日本のアニメ版権所有会社にバレてしまったのである。
当時はそれを暴くのが楽しくて、画像をたくさんダウロードし、ブックマークもたくさん増やした。今もＭａｃのバックアップディスクとかには存在するんじゃなかろうか？
で、そういった背景を背負っているこのゲームのノヴェライズのメカデザインをパクられた一人である河森氏本人がやってるところにイタく感動した覚えがある。話はどうせ屑だし、シリーズもの嫌いだし、コレクターでもない俺が買ったのは、ロボフェチだったのとその点だったと思う。
ご丁寧に「マローダー」というマクロスの敵メカ「グラージ」まんまのメックを氏がデザインし直してるところに涙を禁じ得ない。（笑）
主人公が乗るメック「シャドウ・ホーク」は中級でこれらはオリジナルが多数存在する。中でも奇抜なのは「ハタモト＝チ」という鎧武者型のメック。これは小説にはでてこないのかなぁ、とMechWarrior2の世界をパソコンでたっぷり堪能してしまった今でこそ全巻読破を夢見るのである。
しかし、さすがマクロス、モスピーダ、サザンクロスをつないで一つの作品、ＲＯＢＯ・ＴＥＣＨにしてしまった国である。アニメ・ロボに関しては「馬鹿だねえ」の一言につきますな、うん。

『１００台のコンピュータ』（アスキー）スタパ齋藤・船田戦闘機、読む。 - 98/12/16 00:00:00
本日の調子: ドクター・パソコンこと宮永好道なみ。

コメント:
＃１２月１５日
前から欲しかったがどこの書店にも売っていやがらねぇ。しかし、アキハバラのラオックス・ザ・コンピュータ館１Ｆに行けば確実に入手できるだろうとたかをくくって放っていたら確実に２刷とかになっていた本書である。
ＡＳＣＩＩ系列の一部雑誌ではおなじみのライター、スタパ齋藤氏と船田戦闘機のパソコン衝動買い野郎のパソコン青春クロニクルである。
両名の買った、もらたった、つまり所有したパソコンの累計が１００台なのだ。こりゃスゴイ！でもやっぱりスタパ氏のほうが台数的にも内容的にもすごかったけどね。（何しろ現在の週間ＡＳＣＩＩの連載が「物欲番長」だもんね）
さて、敬愛するスタパ齋藤氏のパートである。
彼に注目したのは俺が若さ全開、俺バブル絶頂期で浦和にカンヅメになってる地獄の開発ＳＥであったころ、開発所で寝泊まりしてるとき、夜うろうろしている時出会った雑誌「ＥＹＥ・ＣＯＭ」で彼の熱い語り口に引かれ、当時毎日コミュニケーションズの中綴じ本の奴隷だった俺を一気にアスキー野郎に変貌させてくれたのが彼だった。実際新創刊のＴＥＣＨ・Ｗｉｎとかも彼が記事を書いていなかったら買わなかったかもしれない。で、当然の如く『スタパミン』『ＰＣ道』は購入済であり、インターネット上でも「PC-watch」の彼の記事もかかさず読んでいる。─要するにファンなのだ。
スタパ氏と俺の共通部分はいまだに「サイバー」とか云ってるところだろう。
今、サイバーという用語は比較的「サイバー度が薄いものを無理矢理関連方面と結び付けるとき」くらいにしか使われない。中国じゃ「電脳」と書きやがるくせに日本では既に「電脳」なんて書く奴はいねーは、サイバーフォーミュラーは全然サイバーじゃねぇので「ヘイバーフォーミュラ」扱いだわ、アグリ涼とはいったい何人なのかとかな状態なのだが、俺ときたらもう「未来退廃的あるいは電子頭脳的、機械人間的」ならはなんでもサイバー扱いである。コンビニやくされファーストフードのようなお手軽さこそがサイバーであり、前述のように用途が限られてしまう昨今は何事かッ！と目玉を大きく見開くと後輩が脅えるのでやめておく。セガ・サターンを背負ったり、腕にリブレットを付けたりするとサイバーだね。とかいうのが正しい「サイバー」だと思うのだが。
あ、全然本の話になっていやがらねぇ。本題に移ろう。
俺が第一次パソコンブームと呼んでいる８０年代初頭、スタパ氏は伝説の名機ＰＣ－８００１を購入。ＲＯＭ焼きのＢＡＳＩＣで、以下のようなプログラムを書き、

10 PRINT"ﾊﾞｶ";

20 GOTO 10

ＲＵＮ！（実行）。画面中に「バカ」の文字がが満ちるのを見て「すげー、俺がこのコンピュータを制御してるぜ」って感じを満喫した、とあるが、これは俺もやったことであり、当時「８ビット熱」にやられた小僧どもに共通の症状であった。
このプログラムを紹介した時点でスタパ氏の力量がわかろうというものである。すげー共感度大である。そりゃもうシンクロ率４００％突破状態である。
以下は氏のパソコン遍歴がえんえん続くが、ノリは俺にとって「いつものノリ」であって非常に楽しく読んだ。いまさら俺がここで紹介するまでもない。気に入る人はとことん気に入るし、そうでない方もいるという、クセのあるパワフルな文章である。お気にめしたら前述の２冊の著書も古くない内容なので読むことをオススメする。
スタパ氏と俺がシンクロするもう一個所の部分を抜粋する。

アイツったら信じられねぇよ欲しいと思ったら後先考えずにすぐ買っちゃうんだぜ～、などと批判されてその理性のなさをけなされるのはもちろん、欲望を阻止できないオトナはいずれくさいメシを食うハメになるのだと蔑まされる。
まったく理解しがたい風潮なのだが世の中実際そういう感じになっている。

そう、俺もまったく同じ扱いを会社で受けてマス（苦笑）
貯金ナシ、パソコン１０台所有だから当然ですな。俺バブルな時は原稿書き上げた直後の氏の衝動買いと同じ事をやっていた。会社に寝泊まりして残業時間が２００時間を越える生活というものを俺も体験している。編集だのライターだのの生活が大変なのは当時ＤＯＳ／Ｖマガジンの編集をやっていた先輩から聞いて知っていたし、残業バブルと体調の悪さを競っていた記憶もある。先輩が仕事柄、おいしいデバイスを安価で入手したり最新マシンを借用したりするのを見るにつけ、俺の物欲はバーニングし、その勢いで当時４０万近くしたＤＵＯ２８０ｃとかも現金で会社帰りに買ったりしていた。
編集者とＳＥ、仕事は違えど精神的肉体的な状態は非常に似ており、ここに書かれているすべてのことに俺は共感し、多いに笑ったのであった。
また、所有した数はパソコン雑誌編集部に出入りし、パソコンライターをしているスタパ氏にかなうわけないのだが、俺は汎用機やミニコンからＵＮＩＸサーバーまで触ってるし、Ｆ社製の製品なら仕事でいっぱい扱っている。触ったマシンの総台数は３５台くらいだからまぁ、ややため張ってるといえるのではないかしらん？（ちなみにスタパ氏の所有経験台数は５５台。か、勝てねぇ）

船田戦闘機氏のパートについて。
船田氏はスタパ氏の記事でしか知らない。が、丸井のパソコン売り場での初体験や「潜水艦の艦長になりたかった」という部分では非常に共感する。むしろ勢いだけの文章に共感＆笑ってるスタパ氏よりも人間的な部分が見えてきて「パソコン少年」だった自分とシンクロする部分が高い気はする。
富士通のＦＡＣＯＭブランドのメインフレームを触っているのもＧＯＯＤ。俺はその名を冠した会社に入り、そのブランド名がついえて社名が変わった今も汎用機（今はグローバル・サーバー＝ＧＳという）を相手にしている。
そーいえば社会人になりたてのころ、友人の同期のオンナノコで会社で汎用機を触ってる娘とスキーに行ったおり、使ってるシステムについて話をしたのだが、むっちゃ興奮したのを覚えている。その娘は外見的には全然カワイクなかったのだが（失礼）、「オンナノコが俺と同レベルで汎用機の話をッ！」と思うと異様にアドレナリンが分泌されたのだった。全国行脚すればＩＢＭ汎用機の処理に不満を持つカワイイ女性がいるかもしれん、とかすかな希望を抱く。いやね、その当時はパソコンって「マニアックなホビー」だったんですよ。ＰＣ９８持ってる女性がNIFTYで２％くらいだったんじゃないかな？今でこそ茶髪のシブヤ系男女もアキハバラで買物してますけどね、当時はそーゆー設定（まぁ、記号）だけでずいぶん萌えたんですね。まぁ、今は一連のパソコンブームとパソコンの社会的地位の上昇で飲み屋のお姉ぇちゃんでもパソコンの話ができる娘ってのが結構増えてますけどね、やはりソレ系の話題は映画や小説と同じで「ただ話ができりゃいい」レベルだと萌えないんですねぇ。情報系の専門学校に行ってる娘でも言語の話になるとわかんない、とくる。お前らプレステばっかやってねぇでしっかり勉強しろ！とかオヤジ臭くなって終わり。
話がそれたが、船田氏の知識範囲は結構俺の守備範囲とかぶっている。「ウォーゲーム」「未来世紀ブラジル」などの映画が引用されるところもＧＯＯＤ。
こじまさん＠暴走野郎さんもお気に入りの３ＤＣＧ作成ツールDoGAはＸ６８が始祖だったことも初めて知った。俺、ＭａｃのＱＴのオマケで知ったんだもんね。もはや宗教と化したＯＳ－９について触れられているのも良い。
でも、ホント、おとなしい文章だなぁ。小田嶋隆やスタパ齋藤の文章を読むと全然嬉しくない。かなりフツーで物足りない。が、氏がそれほど異常でないことの顕れなのか？と納得する。海外電脳マーケット事情についても物足りず。ここはやはりクーロン・黒沢氏で決まりでしょう。そーいえば、コレ系ライターの人ってなんでこーヘンなペンネームが多いのかな？サイバーだから？（苦笑）

さて、読後、この二人に多いに共感してしまった俺である。年齢的には３つくらい下になるのかな？という感触である。８２年に始まった「パソコンサンデー」「ＮＨＫ趣味講座パソコン入門」を見る１年前の小学６年生のとき、「模型とラジオ」かなにかでＶＩＣ－１００１かＰＣ－８００１を見て、「ゲームセンターあらし」のさとるがやってるのはこれだなぁん？と思ったのが俺のそもそものコンピュータとの出会いであり、以後は著者両名と部分的には変わりのないエピソードを経て今日に至る。二人と大きく違っている点は、８ビットの第一次パソコンブームの後、高校・大学の６年間、つまり１６ビット機＝ＰＣ９８独占時代にパソコンから離れていたことである。いろんな意味での多彩さが失われていた時代であり、まぁ、ちょうど良かったかな、と。卒業研究でパソコン使う事になって再燃するわけであるが、その時、「ＯＳって何？」「ＦＤってコマンド？」「Ｃって何？」だったんだが、一ヶ月ほどですぐ知識吸収できたのは８ビットパソコンに触れてＢＡＳＩＣでプログラムを組んでいたおかげだと思っている。後に仕事でさまざまな異なるプラットフォームに出会ってもほとんどが８ビット時代に押さえておいたコンピュータの基礎知識の応用で理解できたので当時の両親の云っていた「将来への投資」はあながち的外れではなかったと思う。
この二人が語る結論、「８ビットは熱かった。あの熱はもう存在しない。今の同じＯＳ、同じプラットフォームで多様性が失われ、今は欲しいと思わせるマシンがない。でも俺達はパソコンというかコンピュータのない世界なんて考えられない。ないなら核戦争で滅んだほうがまし」というのは俺もまったく同意見だ。
今の俺は社内ではかなりでばったパソコン野郎として知られ、最近はメーカ品でないパソコンやフリーウェアやフリーＯＳの業務への適応の際にはまずコイツに聞け！みたいにいわれるし、あげくに正規品は高いので増設部品はコイツにアキバへ買いにいかせろ！とかいわれてそのくせ怪しいジャンク屋じゃ駄目でちゃんと領収書もらってこい、それと増設もやれ、とかいわれるのだが、嫌な顔の一つもしないのも悪いが、はっきり云って仕事と趣味のコンピュータは切り離されてるから楽しいのであって、最近不本意ながらＷｉｎも扱えてしまう俺はしかたなくそれらのコンサルティングやら実作業やらをやっている。まぁ、しかたないとはいいつつも嬉しくもあるのだが。
会社がＭａｃを導入してくれないか？という幻想を９４年頃はホンキで抱いていたんだから俺もたいしたモンである。そーゆー俺は本当は「情報の収集能力」が比較的先端なだけで、技術的に多岐でも深くもない。俺をここまで牽引してくれたのは主にＳＦ研のNIFTYのホームパーティを開いた一人のサイバーな潜水艦艦長志願の人だったし、その後俺を支えてくれたのは骨の髄までサイバーなＸ６８ユーザーでリブラーなのにＩＢＭ関連会社に勤める男と、当時からジャンク屋のおやじよりもジャンクパーツに詳しいく、通常に売られてる製品には文句しかつけずになんでも自作に走った挙げ句、最後はチップの中にプログラムを書き込む職業に就き「インテル死ね」と叫んでいる男のおかげである。俺なぞ、汎用機の御守りになってからすっかり「仕事」としてのパソコンとの付き合いはなくなっていまだにWin95のまま、Officeも97にしないので開けない書類が満載という状態である。新しモノ好きで衝動買い野郎な事は確かだが、けして（技術的）冒険野郎ではなかった。最近はまたパソコン熱が冷めているので最新動向を見失っていて全然サイバーじゃない。JAVAは面白いので近いうち是非完全マスターしてサイバー最先端野郎として返り咲きたいモンである。
俺自身の電子デバイス遍歴みたいのも洗ってみたが、彼らと大差なかった。結局、この本もなんか一連の「なつかし本」系列になってしまった気がする。
これを読んで「パソコンのネットワーク遍歴」みたいな本があったら読んでみたいと思っている。ネットも300bpsから2400bpsが主流になった草の根・商業ネットブームから今のインターネットブームまで歴史があるわけで、それを客観的につづった本というのを見てみたいのである。
俺のパソコンってゆうか電子デバイス遍歴は俺を語る上でかなり重要なパートであり、近日エッセイにアップの予定。（って、またぽしゃる可能性も大）
８ビット時代を生きてきた人には是非読んでいただきたい本である。
参考に本家の方のリンクにある懐かしのコンピュータカタログが拝めるサイトのリンクを張っておく。あなたの思い出のマシンと出会えれば、これ幸いである。

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