U-kiの読書日記(98/11/24～98/12/6)

U-kiの読書日記(98/11/24～98/12/6)

『奇跡の少年』（角川文庫）オースン・スコット・カード、読了。- 98/12/7 00:00:00
本日の調子:ああ、難波弘之先生のアノ曲が頭にこだまする～。

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＃１２月６日
とても気持ち良く、そして「急いで読むのがもったいない」くらいの文章でした。
と、ちょっと他の女性系のページのような感想をとりあえず一行書いておきます。
いや、冷やかしじゃなくて、馬路でそう思ってしまったんス。このオイラが。
子供を描かせたら右に出るものなし！のカードなので、主人公がまだ子供のこの巻はとっても良いできなのかもしれない。主人公のアルヴィンばかりでなく、彼の一家の全てが魅力的。個性的。登場人物名を控えなくてもポンポン名前が出てくる作品が最近はなかったのでうれしい。家族モノとしては最高だろう。でも「大草原の小さな家」なんて見てないよ、俺。「ラット・パトロール」とか「名犬ラッシー」は見てたけど。アニメでそれ風のモン（「若草のシャーロット」は違ったか？）は見たことあるけどねぇ。
さてはて、「宗教色が強い」という文章を他のページで良く見ますけど、俺的にはそんなことなかったッス。「教会」と「一家」の関係を見てですかね？スロウワー牧師やアーマーが宗教臭いのはあたりまえなので、きっとアルヴィン側の方も指してそういってるんでしょうね。俺の「超自然」に対するスタンスが他の人とは違う、というのがあるんでしょうな。
まじないが通じるところが「我々の世界とは違う」みたいな評価が多いんで驚いているんですが、俺は最後の方でアルヴィンが行なう「奇跡」以外は９９％普通小説として読んでしまったです。なんか「超自然」って宗教以上に「信じる・信じない」あるいは「どう受け止めるか」の話なんだと思うんですよ。幽霊だの、予言だの、虫の知らせだの、悪運が強いだの、怪我や病気が祈りやまじないで良くなるとか。
古い時代は科学的に説明できることもそこに属していて（かまいたちとか、鬼火とか）薬草から薬を作る、という行為が「魔法」とみなされたりしてた部分もあるので、そーいった感覚で読み進んでしまった。もっとそれらを魔法にした「魔女も恋をする」の時のような読み方はできなかったんですよぅ。
おまじないや縁かつぎって今もほそぼそと生残ってるでしょ？その効き目が「科学的に保証されてない」だけで。
今でも店先にキチンと塩を置く料理屋を知ってるし、漁師は船出の前に大漁と無事帰還のお祈り＆おまじないをするとききます。そういうモンじゃないでしょうか。受験生は合格祈願するし、厄年には厄払いをしにいくんじゃないですか？この小説ではその効き目が確実に出てるだけで。（そうか、それがたいしたことなのか！）
「エレナが夫をなだめるまじないをしたので、アーマーは懐柔された」
これってサマンサが指を動かしたらピキピキン！と音がしてダーリンが消えちゃった！という描写に比べたら、「今日の運勢で、金運あり！って書いてあったのでパチンコでもうかった」といってるのと変わりがないような感覚でとらえてしまったんス。俺。
宗教小説は『黙示録三一七四年』とかが良い例で、これはそれにひきかえ、牧師さんが出てくるだけで普通なんではないの？外国なんてこんなもんでしょ？しかも昔だし（笑）昔の人は迷信を信じ、信心深い。
ただそれだけのような気がするんだけど。どうでしょ？
特定の宗教のない単一民族の国日本はこのミラー一家の信じるものが一番近いんじゃないかな、などと勝手に考えます。…とか超自然だの宗教だの、怪しい話題に切り込んでいくときりがなく、「ここは聖教新聞社か？」といわれそうなのでここでやめておく。
しかし、解説を読んで大ショック！し、知らなかった。既に５巻でているが、それでもようやく三部構成の第一部だとぉ？続編があるとは知ってたがよもやこれほどとは。
つまりこれは『ソングマスター』の主人公の子供時代だけをピックアップした話！みたいなもんなのか？！こんなに大満足なのに！
しかも壮大な歴史改変モノ、と知ってショック大！ありえざる世界「パヴァーヌ状態」になるのかぁ？はたまた違うフリしてアメリカを暴く「ワイルドカード状態」になるのかぁ？スゲー楽しみ。
うーんしかし、テイルスワッパーとアルヴィンの関係に皇帝とアンセットの幸せな時期の関係を見てしまうなぁ、今思うと。
「泣かせのカード」のストーリーテリングがまだ炸裂していないこの巻で俺はめろめろだ。ってゆうか変に大人になってない純粋なアルヴィンとその一家がよかったんだろうか。無垢は最大のヒーリング素材だものな。テイルスワッパーが去り際にミラー一家に絵を送るシーンで俺ってば電車の中なのに泣きそうになってしまった。ここで泣く奴っていないか？「くそう、今日はフェアリィの風が目に染みる！」とかいって目がかゆいふりをしたのでした。
うーむ、やはりおしむらくはこれが超大河小説の第一巻にすぎないということであろうか。
せめて３、４巻で終わる話だったら希望が持てたのだが。この種のお話が最後まで翻訳されるとは到底思えないので、それを思うととても残念だ。角川だし（苦笑）。
俺としてはこの１冊だけでも充分得した気分になれたし久々に良い読み物を読んだ気分にさせてもらったので、たとえ続きがでなくても後悔はすまい。
続きものが苦手で敬遠してきたが、一旦はまればとことんはまる男でもある。
まぁ、続きを楽しみに待つ物語が俺にも一つくらいあってもいいのでは、とか思う。

『現代ＳＦ最前線』（双葉社）森下一仁、買ってきた！- 98/12/6 00:00:00
本日の調子:こいつを枕にしてみればＳＦ文化の夢をみるか？

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＃１２月５日
うう、値段を聞いて覚悟はしてたが、ここまで厚いとは。当然まだ全部読んでいない。ぱらぱらめくって気になった頁だけ読んでみる。
うーむ、割と普通だ（笑）。
これは失礼な物言いかもしれない。だが、普通の書評だ。かしこまってないし、悪ぶってないし、偉そうでもない。まるで普通の人が普通に読んだ本の感想を書いてるみたいだ。
え、それじゃいけないのかって？いやいや、誰もそんなこといってないじゃないですか。ただね、こちらとするとＳＦＭのブックレビューやら偉い先生方のＳＦ評論なんかを読んでるんでこの「身構えの無さ」にかなり違和感を覚えたんですよ。何か身近な人のブックレビューを読んでるみたいで。これは良いことだと思うですよ。
最初、目次を読んで、「なんでぇ、１５年でこれぽっちかい」と思ったら大間違い。遠近法みたいなもんでだまされた。700pは伊達じゃない。すごい分量だ。
この本の功績は大きい。この１５年間には著者の森下さんもあとがきで云っておられるようにこのように膨大な量の本が出版されており、このような大量の紹介があってもなお、紹介しきれていない本も存在する。その中で「自分にとって」読む価値がある本が、その存在すらしらずに歳月の中に埋もれている可能性が有るのだ。読む価値のあるなしは、あくまで「自分が決めること」である。偉い評論家の先生が「是非読んで欲しい一冊」というからにはそれなりの完成度はあろうが、読みモノとしての出来と「読む価値があるか」は別である。例えば「鯨が人間の邪悪さに絶望して陸に上がって切腹する話」（＞『ヨナ・キット』イアン・ワトスン）を「馬鹿らしい」といって切り捨てるか、「スゲェよ、センス・オブ・ワンダーだよ！」といって血涙流して喜ぶかは「自分」にしかわからない。だがね、そんな本が「あるよ」ということを知らなければ、一生遭遇する機会もなし。ありがたがってる人はその人生で一回分の貴重なお楽しみの涙を流す機会を失ってしまうのである。
山男に聞いてみよう、なぜ山に登るのだい？「そこに山があるからさ」そりゃそうだ。なけりゃ登れないわな。この「なけりゃ」は実在しないという意味ではない。その存在を知らなければ山はないも同然なのだ。本も同じだろう。絶版だろうが品切れだろうが、「読んでみたい」と思う本の存在を知ることから始まるのだと思う。読んでみて「価値があったか否か」という問題は読まないことには評価が出来ないのだ。
また膨大な量の出版物のなかで我々が読書にさける時間というのは限りがある。いかに他人が薦めようと、評価しようと、明らかに自分に合わないと思われるものはバッサリと切り捨てる必要が有ると思う。例えば、俺はペリー・ローダンは読まない。ハヤカワＦＴから出てるものも読まない。もみあげの太い作家の長編は読まない、などなど。じゃぁそれ以外は全部読むの？とんでもない。時間的・経済的な理由から考えて「効率よく好みの本を読んでゆく」のが一番なんであって、こういったガイドは「自分」のターゲットのセレクトに多いに役立ってくれるはずである。ひょっとしたら「××の作品は読まない」と自分で切り捨てた中にも「例外」が少なからず潜んでいるものだ。ガイドブックは敵味方識別装置であり、自分好み探知器になる。
この本は過去１５年の「小説推理」での森下さんの新刊ブックレビューを元に構成されている。当然、今も買える本と買えない本が出てくる。古い本が買えなくて比較的新しい本が買えるとはあえて云わない。云えない出版状況であることには間違いない。だから買えるものについては「新刊レビュー」のように、敵味方識別装置として使い、既に入手困難な本についてはその存在を教えてくれる秘宝の地図として使うのが正しかろう。
これを読んで知らなかったが読んでみたいと思う本も既に先頭の方でいくつか発見しており、おかげであわてて古本屋に在庫のあるのを思い出して買いに走った本もいくつか有り、散財の元を作り出してくれている。また、入手不能な本のレビューを前にして、今後この悔しさを味わうことのないよう、これから出会う新刊情報にはチェックの目を光らし、それこそ水も漏らさんぞ、という心構えであり、ネット上のレビューページもありがたや、新刊情報もありがたや、などと思うのでした。何しろ「オビ・ワン・ケノービ、あなただけがたよりです」といわんばかりの唯一の頼みの綱、ＳＦＭの新刊レビューにも限りがあるからねぇ。
そーいえば、この本の紹介はハードカヴァで出版された年代なので、文庫落ちしてから買って読んだものについては年代の不一致などもいとをかし、だったりする。

『初体験物語』（角川文庫）姫野カオルコ、文庫購入＆再読。- 98/12/5 00:00:00
本日の調子:すごいよ、姫野さンのセクシー・コマンドー！

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＃１２月４日
無論、ハードカヴァも購入、ダ・カーポの連載もたまに読んだりしていた姫野さんのお笑いエッセイ集の文庫化である。
オオケンと姫野さんの本は出たら即買うことにしている。二人の場合は「今」の状態が手に取るようにわかるからだ。よって文庫落ちするまで待つというのは威力半減である。（特にオオケンはアルバムの内容と文章の内容がリンクするので）
はっきりいって今回もトバしてます。彼女。
読書開始３分で電車の中で吹き出し、ヤバイ、と思ってそのまま家に帰って文字通り抱腹絶倒。こ、これは下品と紙一重だ。そしてしまいに俺は泣きながら哀願する。
「いやだ。俺はもう嫌だよ、姫野さン。これ以上俺が女性に抱いている幻想を破壊するのは止めてくれよう」
そうお願いしても彼女はやめてくれない。俺が「つまらん。もうやめた」と思って本を投げ出さない限り、彼女はこれでもか、これでもか、と俺を攻め立てる。
うぶでいくじなしで性に対してガチガチ倫理観の鎧を着ていた俺はもういない。しかし、姫野さんは初めてであったあの時のまま、「鋼鉄の処女」のまま、世間の男に媚びる「女性」を攻撃し、意気地のない「男性」を攻撃し、「性」という、ひょっとしたら我々の日常の中ではゴハンと同じくらい身近なのに時として爆発物の様に扱われている話題をお手玉のように弄んでみせる。そして結局最後にはいつまでだっても愛だの恋だの性的関係だのに縁のない自分に怒りの矛先を向けて自爆してしまうのである。
「ありがとう、姫野さン。おかげで今回も腹抱えて笑わせてもらったよ」
読後に遠くを見詰めながらそうつぶやく俺。しかし、縁の無さでは俺もタメはってるので自分の年齢を考えると笑ってばかりもいられない。「姫野さん、あんたは俺の心を映す鏡だよ」とかいいながら、涙を流して読みつづけているが、もはや「菩薩」の域に達してしまった（すまんです。勝手に決めてます）姫野さんと違ってこちらはまだまだ燃えるような煩悩盛り。年も重ね、浮いた噂の一つもここ数年（イヤ、まじでかなり長いよな）ないとあっては、「うう、俺も姫野さんと同じ運命に？！」まさに死ぬのはイヤぁ！状態。「みんな、けしてあたしのようになるんじゃないわよ！とくとごらん！」といわんばかりの姫野さんの文章を見るにつけ、ああ、そりゃそうさ、ＯＫ、わかってるよ、でもね、俺一人の力じゃどうしようもないんじゃ。そう思って今日に至る。
あまり周囲に本を読む女性はいなかったのでサンプリングは少ないんだが、世の中に「姫野さんみたいな女性」は結構いるんだが、姫野さんを好きだ！という女性はあんまりいないのかしらん？と思うのである。
以前、薦めたある女性は「だから、これを読んでどうしろと？」と猛烈に怒られた。いやね、どうしろとも云ってないんですが(--;
本を読むという飲み屋のお姉ちゃんは「割とおもしろかったわ」（どう考えても面白くなさそうな顔だった）と答えただけだった。
じゃあ、一体誰が彼女の本を読んでるんだ？やはり読まれてないのか(;_;)?
そう思うと猛烈に彼女の本をオススメしないではいられない。
俺からのお願いだ。読んでやってください。
但し、子供、カマトトぶってる奴、ラヴラヴ状態な奴は読まんでよろしい。
愛に渇いた、大人の憤りを理解してる人だけ読んでね。

ＳＦＭ９９年１月号・アワーズの表紙にモノ思う。- 98/12/2 00:00:00
本日の調子:ゾンビってます。調子悪いッス。

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＃１２月１日

細田さんのハヤカワＳＦ文庫1200番までリストに現在までの分を追加登録しておこうとして、四苦八苦。そうか、毎月ローダン含めて３冊なんだなぁ。全部買っておけ、といわれても当然かも。でも読まない本を買ってもしかたがないので「切り捨て」はするべきなんだろうなぁ、と最近の自分の姿勢を省みる俺。

で、９９年版ＳＦＭの第一号を読む。おお、色々一新されてるが、２１世紀を目前になんかかっちょよくなった気がするなぁ。どことなく。
「私家版２０世紀文化選録」もそれらしい企画。あー、＜定吉七番＞シリーズ、読みたくなっちゃったよ！この頃ってまだ角川スニーカー文庫ってなかったんだよなぁ？角川ノヴェルズという新書が創刊になった翌年くらいか？あの「番長がケツ掘りまくる」恐怖の小説『終わりのないラヴソング』はスニーカー文庫で出て、それがさらにルビー文庫に流れたんだよな。時代は巡るぜ！
ＳＦゲームレビュー、「話題のゲーム、『Ｇ－ＰＯＬＩＣＥ』の世界観に酔う！」＞誉めすぎ（笑）。
やりたくなっちゃったよ！というよりか、巻頭ページでのミッション紹介に添えられた勝手なチャプター（マン・プラスだの終わりなき戦いだの）が超卑怯！（笑）
SF BOOK SCOPEにヤングアダルトとかの区分けがなくなると前から聞いてはいたが、ようやく実施されたようだ。他にも５０年代ＳＦ特集をやる、との情報もようやく実現の様子。おお、さらにはノンフィクションのレビューコーナーを森山和道さんが書いている！これもずいぶん前に聞いていたんですけどね。
例によって小説はまだ読んでませんが、ネタ的におもしろそう。早く読もう。
＜新・雪風＞もいよいよクライマックス！なの？（笑）

で、今月のヤングキング・アワーズ、平野耕太が表紙かぁ。うーむ、マイナーなバンドや歌手がメジャーデビューしたときとかに似て、嬉し・寂しであるよ。

『晴れたらねっ』（ジェッツコミックス）東城和美、読む＆他マンガ数冊。- 98/12/1 00:00:00
本日の調子:新しい服を着るといつも雨なのはなぜ？

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＃１１月３０日
うう、駄目だ。こんな漫画で骨の髄まで和んでいる俺が駄目だ。
もう来年は３０になるんだから、この漫画の高校生とシンクロしてはイカン！と思いつつもシンクロ率９８％。
駄目だよ、卑怯だよ、ここに出てくる駄目で馬鹿な高校生は虚構だと思えないよ。リアルだよ。リアルタイプガンダムの２８倍リアルだよ。
村岡元基は大学生のお姉さんにおもちゃにされてあっさりふられてしまいます。
で、お友達の山森くんに真理絵、由理恵という双子の美人大学生姉がいる事が発覚。ひょんなことからかかわりあいになってしまいます。特に妹の奥手でカタブツの由理恵しゃんとの第一印象は最悪な感じ。で、こっちの方とくっつくんかいな、という予感（笑）
「いやだ。もうふられるのはイヤッ！」ふられた相手を悪く言わず攻撃の矛先を自己に向けている様は良いぞ。（よかねぇか）オンナの嫌な部分を見てしまって「女なんて、ケッ、」にならないで「ふられるのはイヤ」にとどめて、再度女子大生をターゲットにしてしまうところに男としての業を感じる。（苦笑）
ああぁ、駄目だ、こういう自分が性格ブスだと激しく自覚してる姫野カオルコタイプに徹底的にヨワヨワな俺。由理恵さんはもろですね、モロ。しかも理系の学校行ってるし。
年上に相手にされない反発からロリーに走り、近所の小学校へ見学会。しゃ、しゃれになんねーぞっ（笑）。どこからかこういう話を聞いて描いてんのか、アンタ？
まー、ボクは岸川くんや宗重くんとは違うけどね。こーゆー友達はいました。実在です。
理系のガッコ行って、「女いないぞこの大学」とか声にだしてゆーなよなぁもう。俺もすぐ云っちゃう方だけどよぅ(;_;)
何にしろ、その場のパッションで「こんな女嫌いッス」とか云っちまったり、「アタシのどこが好きなの」とかきかれて言葉につまったりする元基くんに涙を禁じ得ない。人間正直が一番だが、人生のあらゆる局面にそれが適用できるとは思ってはいけない(;_;)＞泣くな、俺。
何も出来ない自分から逃げちゃダメだ！とかいってすることないので勉強しちゃうところも良し（笑）
前にもどっかで（永野のりこ作品かな？）書いたけど、誰かから実体験聞いて描いてるんじゃねーの？とか思わせる作品である。
ヒトシ兄ちゃんと山森弟くんが両方ファッションメガネでもて顔なのがいつも通りの東城和美だよ（笑）。
こんな時代だから愛が欲しい。最近は寝る前に一読してしまうぅぅ。
好き。

『無限発光電虫林』（ウイングスコミックス）東城和美
そうか、先に紹介した大陸書房の２冊は今はウイングスコミックスで読めるのか。
内容が一緒かどうか確認していないけど、書店でちょっと前にチェックしたのはそれらだな、きっと。
＜黒いチューリップ＞シリーズも『禁区』とかこの本とかもぱらっと読んでダメーな感じだったのだけれど、ちゃんと読めば…やっぱ駄目だった（笑）
『晴れたらねっ』で正解。駄目だ、向き不向きがあるんだ、相性があるんだ。おにぎりも具が命なんだ。お茶漬けは梅茶漬け以外禁止なのと一緒だ。

漫画『ガサラキ』の１巻も買う。うーん、やっぱ漫画（紙媒体）は副読本的になっちゃうのかな？あからさまにＴＶアニメより説明的でわかりやすいぞ。これもエヴァ漫画と一緒でアニメが終わると熱が冷めて全部そろえないタイプだよな。だったら買うな、って感じ。この人他にも漫画描いてるんだ。最近の作家さんは知らんなぁ。
アニメも展開が急だけど、その方が勢いが出てうれしいものが有る。単純なロボット戦闘モノでなくて良い良い。

『多重人格探偵サイコ』の３巻、面白いけど、やっぱこのペースでしか話が進まない＆読めないというのはスピード感があってすいすい読めて　話の次の展開への期待度が高いだけに個人的には読むのがつらい。ほんと、俺ってこらえ性のない男。
最近角川にやけに貢いでいるが、不本意である。なぜ同じような厚さの文庫本が集英社では５０５円なのに角川文庫では７２０円とかなのだ？うーん、納得がイカン！

『マップス全１７巻＋外伝』（ノーラコミックス）長谷川裕一、一揆に読む。- 98/11/30 00:00:00
本日の調子:背中がかゆいシェルパーソンなみ。

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＃１１月２９日
うーむ、そんなに読むスピード遅い方じゃないんだけど、土日２日間の膨大な時間をコイツを読むのに費やしてしまった。＆すげー一生懸命読んでしまった。
この漫画、ＯＶＡの１だけ見て知らんぷりしてたけど、リアルタイムで読んでたらスゴクはまっただろうなぁ、と思う。だって基本的に「人類家畜説」ものじゃん、これ。スケールが百億倍くらいでかいけど、基本的に『超生命ヴァイトン』のノリである。うわー大好きだ（笑）。
いわゆる「××篇」とかで話が寸断しているのか、と思ったら全１７巻でほぼ一つの話にまとまっていてビックリ。最初からこんなに壮大なスケールの話を考えていたんでしょうか長谷川さン？！でも正直、最初の２巻まではどたばたスペオペですけどね。（絵のタッチも含めて３巻以降が本番、という感じですな）これが８巻あたりになるともうドハマリ。ツボ＆お約束をしっかりおさえつつここまで見せるか！みたいな雰囲気であります。
高校生勇者＆半裸のお姉ちゃん＆変な乗組員が船で銀河漂流というスタイルが漫画の表紙で「それなり」の印象を与えてしまっていたのが俺がひいてしまった理由である。あとは「秘宝探し」とか「里見八犬伝型」のステレオタイプだと思っちゃったのよね。「銀河星図」を持つ「マップス」を探して云々という…。でも違うんだもんなぁ。良い意味で裏切ってくれた感じ。
ＳＦの持つ”リアリティ”ってなんだろう、といつもスペオペを見て思う。「マップス」を読んで考え直したのはそんなもんはコーヒーに入れるクリープではなく、お茶菓子みたいなもんなんだ、ということ。まぁこれも一つの考え方ですな。
このスピード感と理解しやすさはマンガならではあり、これが小説で出ていたらどうか、というのはある。でも思わずスペオペの魅力ってやつを思わず見直しちゃったよ。おもしろいわ、これ。
生物の負の精神エネルギー＝断末魔とかを扱った作品は他にもあるけど、それを我々の銀河単位でやる、というスケールのでかさ、億単位の時間など、とにかくスケールがでかいのに違和感がない。銀河先住民族やブゥアーを作った人々のエピソードに至ってはステーブルトンかい！ってぐらいの風呂敷きの広げ方である。
ＳＦのガジェット＆用語をこれでもか！といわんばかりに詰め込んでいてとてもたまんねー！豪華幕の内弁当か！って感じですな。
人の殺し具合も多すぎず少なすぎずでよろし。伏線の張り方もよろし。ちょっとリプミラ不死身すぎるかな、という気もするが、その分ゲンが傷だらけになりながら頑張ってるので良いッス。
「歌う流星」の話とかだけでもいけまっせ。リープタイプの宇宙船のアイディアは秀逸。マキャフリィの『シェル・パーソン』も船体以外に頭脳体があればよかったのに、とか思ったけど、合成人間とはいえ、あっというまに再生できちゃうテクノロジーあったればこそだから無理ってもんか。
個人的にはリプミラにも星見にも魅力はあんまし感じなかったなぁ、キャラよりもストーリーの引っ張り方で見せてもらった、って感じです。今、そこいらにうようよしている「キャラ萌え型」の作品群に見習って欲しいです。
（うーん、でもリプリムは個性出てたので好きだったなぁ。幼児体型だったけど(^^;)）
記録する事が目的のブゥアーって『グレイベアド』のＤＯＵＣＨと同じなんだもんな。本を読むタイミングってやっぱあるよなぁ。
既に２回繰り返し読んでいる（笑）大当たり。ハマる一作でした。
（『ベルセルク』とかもそうなんだけど、マンガとはいえ、十巻以上出ちゃってる奴は読んで見たいけど読み通すのつらいんだよね、これが。）

『テレビマガジン７０'s』（講談社）、購入＆読む。- 98/11/29 00:00:00
本日の調子:ぼくは６才！なみ。

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＃１１月２８日
すばらしい。まったく、今はお金さえ払えば思い出の品はなんでも「キレイな形で」手に入る時代なのだな、とつくづく感心。たとえ、新しいものをひりだす力のなさの顕れであっても、金持ってる２０代後半から３０代への商売的アプローチの一環にすぎなくても、だ。この一冊の持つ破壊力は俺のいわゆる幼年期の半分を補完してしまうもので、変に記憶力を補って、補って、とかもうせずに済む＆他の同世代の記憶の谷間に落ち込んでしまったものをこの一冊でサルベージ可能なのだと思うと目眩がする。
最近読み返した自分の作った同人誌で１８才の自分が小・中学校時代のことを思い出して懐かしんでるスタイルがあって、「けして同じ味はだせねぇや」とか思っていたのだが、１８才の大学入学当時の自分が神田の古本街にやってきて存在を期待していたのは、この頃のテレマガのバックナンバーであった。が、自分の愛した「世代」は雑誌の創刊が済んで軌道に乗り始めた頃であり、プレミアがつかない部分であるためかまったく見つからなかったのであった。最近のハロウィンスペシャルとかで求めた「懐かしの玩具」とかも、いわゆる「ブリキのおもちゃ」ではなく、プラスチックとダイカストの世界である。それこそまさに昭和５０年代、１９７０年中期から８０年に世にあふれていたものたちなんである。結局そこに「懐古趣味」は行き着いてしまうんである。
テレマガは子供のための本である。「子供向け番組」＝アニメ・特撮モノ＋その関連玩具＋その漫画化作品という「マーチャンダイジング」の媒体であった。
これさえあれば雑誌そのもの含めて、俺の子供時代の周辺媒体はほとんど補完されてしまうのである。いや、ほとんど俺の「子供時代」のすべてといっても過言ではない。
スーパーロボットアニメとその玩具、ミクロマンを柱とするタカラの玩具、永井豪とダイナミックプロのマンガ、石森プロの特撮番組、戦隊ヒーロー、すがやみつる、それが１０才までの俺のすべてだったからだ。あとは駄菓子屋のお菓子とか流行もの（ＴＶ番組含み）がちょろちょろっと入ればハイ、１００％である。昼間は学校でなんかやってたわけだしねぇ。
似たようなムックである別冊宝島「１９８０年大百科」（この本が扱っているのは７５～８５年である）を読んでみても同じ年代を扱っていながらも心に訴えかけてくるモノが全然違うのである。まぁ、単に俺が子供だってことかも知れないが、大人の視点からとらえた構成は良く出来た歴史年鑑ではあっても、それ以上心には訴えかけてこないものなのだ。
その雑誌のスクラップ・ブック的なものが第三者的な出版社でなく、雑誌出版社本体から出てくる、という部分に一種異常なものを感じつつも感謝して受け入れてしまうわけである。
「テレビランド」「テレビくん」といった競合雑誌もあるし、これ系の雑誌を買わずに少年漫画誌＋テレビだけで育った人もいるだろう、タカラの玩具に入れ込まなかった人もいるだろう、そう考えると俺がこれだけ感動しているのは要するに俺が「テレマガ的人間」だった、という事実を再確認したに過ぎない。この雑誌を中心に「子供向け」の商品を手にしていたのが俺なんだ、という自己の再認識である。
んが、ネットは広大である。これをネタに「同志」を募れば結構存在するかもしれない、などと思うのである。
俺クロニクルにとって非常に重要な一冊となった。
（蛇足：これを買った本屋で見た『斎藤和典の世界「変身サイボーグ」』で見た「サイボーグ・ライダー」の写真は美しかった。やっぱ欲しいッス）

『グレイベアド』（創元ＳＦ文庫）ブライアン・Ｗ・オールディス、読了。- 98/11/28 00:00:00
本日の調子:髭剃り終了後の尊師なみ。

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＃１１月２７日
ううむ、偶然であるが、『ルナティカン』で子供をめぐる大人の話を読んだ後にやはり子供をめぐる大人話を読んでしまって、勝手に感慨深くなっている俺である。ただしこちらは子供がいないことによって子供の存在を浮き彫りにしていくわけであるが。
いやー、しかし読後に残った率直な感想は、「暗い、重い、救いがない」の三拍子がそろっている典型的な「イギリスＳＦ」じゃん、という感じだった。ああぁ、だからイヤよ、島国根性って。
登場人物名から、アルジャーノン＝天才ねずみ、マーサ＝エンパシー・ボックス、という連想をしてしまった時点で俺の負けである。ジンガンダロウってちょっとイカレた教祖様みたいな人については、なんだか細身の麻原彰晃ってイメージしか思い浮かばなかったッス。あ、こっちの方が２倍くらいは理性的だったけどね。
なんだか思ったことは伊藤典夫氏の解説とだぶってしまってなんだか書くのもためらわれる感じだが、テムズ川を海へ向かって下ってゆくパートの合間に、過去のエピソードが逆行するように挿入されている構成はお見事。疲弊しきった老人が愚痴ってるだけのダイナミズムのない話をこの構成にすることによって「読ませるベクトル」を生み出しているわけである。この設定だけでフツーの作家が書いたら真ん中で飽きちゃうわな。さして大きなイベントがあるわけでもないが、川を下る現在のパートもこの世界に至る経過が暴かれてゆく過去のパートに負けず読もう、読もう、という気にさせる。でも正直にいって過去のパートの方がずぅっと面白かったけどね。
人類破滅！救いなし！イギリス作家！というとディッシュの『人類皆殺し』もそうだなぁ、と思い当たるが、これを読んでやはり引き合いに出してしまうのはバラードである。
こういっちゃなんだけど、バラードの描く終末のヴィジョンは「美しーい！」とか叫びながら狂ったカメラマンのおっさんが大惨事の現場でカメラのシャッターをパシャパシャ押しまくっているような感じである。そう、破滅や終末に美学を見出してんじゃないの？という気がするんである。だが、オールディスは『地球の長い午後』でも感じたことだが、グロい。人間の持つ不完全さ、醜さ、グロテスクなイメージを手作りの瓶詰めジャムみたいにして差し出してくる、という感じなのだ。我々が普段口にするのはきれいに工場加工された、脱色され、人工色素を添加された食べ物がほとんどである。ソーセージだってドイツの田舎に行けばブタをばらして腸を引きずり出して、肉をミンチにして太ったおばさんがせっせと腸詰めマシーンで紡いでいくんである。牛乳だって絞りたては生臭くてどろりとしているんである。苺ジャムだって赤くなくてどす黒くて粒々満載なんである。なんか回りくどい喩えになってしまったが、オールディスの作品の感触はそういった天然生造り、って感じなのである。田舎の家ではい、どうぞ、ってだされた食べ物を都会モンが見てうおっ、って思う感じに似ている。うまく言えないけどそういう感触なんである。
子供が消えた地球で、淀んだ大河をゆるやかに海を目指して下ってゆく老夫婦。救いも希望も未来もないが、それでいて嫌にならない、なぜならそれが「あるがままの姿」だからだ、そう思わせてくれる作品である。
高齢化社会まっしぐらの日本に住んでいるわけだし、自分もいつか年を取って老人になるのだと思うとバラードの現実離れした破滅なんかじゃないぞわっとした生の恐怖を感じる。今も理屈っぽいのに年取ったらアルジーなみにくどくど妻に説教たれるのか、俺は？という恐怖だ（苦笑）。
グレイベアドって灰色ひげのおっさんのことだったのか。てっきり「グレイベアド」っていう名の惑星の話かと思ってた。（自爆）
年取った時のために、結婚しときなさい、というお話。といったら怒られるか？（笑）

『ルナティカン』（光文社文庫）神林長平、読了。- 98/11/27 00:00:00
本日の調子:ＶＫテスト中のレイチェルなみ。

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＃１１月２６日
ちょっとした長旅のお供にキオスクで買って、暇つぶして、はいさようなら。ってーのを「読み捨て本」と呼んでいるわけだが、これってホントにその系統の本だな、と思った。いやー、つまんないってわけじゃなくて、読み易すぎ。つまんない＝くどいってのがあると思うんだけど、珈琲の酸味が苦手、という人のために酸味を徹底的に抜いたらこんなんなっちゃった、みたいな感じですな。（また意味不明なたとえでスマヌ）

月の地下には「ルナティカン」と呼ばれる非合法のネイティブな「月人」が存在した。
ポールはルナティカンの子供であったが、月を牛耳る大企業ＬＡＰの生きる広告塔としてＬＡＰ製の最新パパ・ママ・アンドロイドに育てられていた。女性作家のリビーは持ち前の正義感からポールの人権が侵害されていることをＬＡＰの代表ツバイに訴えかけるが当然相手にしてもらえない。ポールに近づく「虫」を始末するためにツバイに雇われた「自由探偵」リック。彼はルナティカンの出身であり、実はポールの叔父であった。リックはリビーのような存在が現れる日をじっと待っていたのだ。ポールをＬＡＰという「檻」から救い出すために…。

というお話である。
ふつーの作家なら当然「ポールのミラクル大作戦」って感じで、自我に目覚めたポールくんがアンドロイドの両親やその親会社の存在に疑問を抱き、「私は自由な人間だ！番号で呼ぶなぁ！」（＞呼んでないって）といわんばかりに反抗、自分のルーツを探るため月の地下世界へ旅に出る、みたいになると思うんだけど（そう思うのは俺だけかしらん？）そこはさすが神林先生。なんと主役はさえないおっさんのリックの方なのでした。（ひえー）
うーん、リックとリビーの手引きでポールは独力で地下のルナティカンの世界を目指すんですけどね、あくまでお惣菜というか、メインディッシュじゃないんですよ。かといって自由探偵リックが大企業の刺客を相手に丁々発止の大バトルを繰り広げるわけでもなし。六畳一間のボロアパートにリビーを連れ込んで、「何もないが、まぁ茶でも飲んでくれ」って感じ。
お前はメトロン星人かっつーの！！！
これではどこで盛り上がっていいのやら、どこに重きを置いていいのやらって感じである。なんかこんなテイストの小説なんて読んだことねーぞ、って意味では貴重な体験だったなぁ。しかも、リック＝自由探偵っていわれても、よれよれのコート着たハリソン・フォードの姿しか思い浮かばない。リックといえばデッカード！というのは安直すぎるか（苦笑）。
まぁ、ストーリーをたとえるなら、螺旋の非常階段をぐるぐると降下しているうちにいろんな事やいろんな人に会いまして、えっ、なんだ、そうだったの？的にポールではなくリックの方が色々な事実に突き当たってしまう。頭の中がぐわんぐわんいってるリックをよそに、ポールは二人の思惑通り、地下世界への冒険を終えて、しっかりＬＡＰから独立する。ラスト、ポールがママ・アンドロイドと決別する時の「ママ……好きだったのに……」がなんともやるせねぇ気持ちにさせる。が、その横にはガフの作った紙人形を見つけてビックリしているデッカード…もとい、リックの姿があるのだった。ってな感じ。
いいのか、ホント、こんな話で！（笑）まぁ、「その世界で特異な存在である主人公が自分に欠けているモノを探していく話」はその他の神林作品でさんざんやられているので、これではあえてその路線を脱線させたのかも？とか深読みをしてしまうワタシ。
まぁ、編集者鈴木広和(26)さんと神林さんが楽しく仕事をしてるなぁ、という気がしてよかったです。（＞ギャフン！）

漫画『ステーシー』、『ショウ』、読む。- 98/11/26 00:00:00
本日の調子:二日酔いでゾンビってマス。

コメント:
＃１１月２５日
あー、脳が死んでいて小説を読む気力がありません。よって漫画ばっかし（苦笑）

『ステーシー』（ぶんか社コミックス）長田ノオト
原作は云わずと知れた（ホントか？）大槻ケンヂの『ステーシーの美術』（単行本は『ステーシー』（角川書店））である。まったく俺にことわりもなくこんな漫画出しやがって！ぷんぷん！（って何様よ、＞俺）
長田さんの絵は挿し絵やカヴァで見た時は抵抗なかったけど（むしろ好感度大だった）、この漫画ではちょっと受け入れがたいものがあった。うーん、「ステーシー」という作品がこういう内容なんだからしかたないのかも、だけど、基本的にＳＭの拘束具とかスプラッタな描写に向かないヒトなのでは？と思ってしまった。
実際、『リンウッド・テラスの心霊フィルム』という詩集からイメージされた「電波虫」、「モンブラン」、「なつみさん」といった作品は読んでいて抵抗なかったし、良く出来てると思ったからなぁ。
月刊ホラーＭに載っていた漫画か。俺には縁がないなぁ。きたがわ湘の漫画でホラー（ポラー？）の好きな男女の漫画があったけど、俺は基本的に好まないですな、ホラー。
そーいや、『リンウッド～』が思草社から角川に流れてから、オオケンの文筆業が激しくなったんだよな。当時は「文筆業は大槻ケンジでやります」とかいってたのにいつのまにか「ケンヂ」にもどってるし。俺が当時こだわりで書き分けてると「ジになってますよ」とかいわれたからなぁ、本人もイヤになったんでしょう。
オオケンファンなら必須のコレクターズアイテムでしょうが、そうでない人にはオススメしません。まずは小説『ステーシー』にてオオケンの限りない少女への愛と世の無情さを感じて欲しいという所でしょう。漫画のセリフはすべて原作のものですし、原作そのまんまの歌詞の歌が収録された「ステーシーの美術」というアルバムもあることですしね。

『将（ショウ）全３巻』（少年マガジンコミックス）しげの秀一、発掘。
バリバリ伝説のしげの秀一、入魂のサイキック・アクションである。が、人気はイマイチだったらしくあえなく３巻で打ち切り。まぼろしの名作『ガリベン番長』もコミックス２冊分は連載したのにコミックスにはならなかった。くそぅ、なんで『はっさくツインズ』は出て『ガリベン番長』出さねぇんだ、センスねぇぞ講談社！
９２年に少年マガジンに連載されたこの作品、「西暦２０００年で人類の歴史を終わらせようとする組織は実在する」という俺的に燃え燃えな設定なんだけど、やはりいまどきのクールな少年たちには「うさんくさい」って思われてオシマイなのかしらん？そのわりにはＭＭＲとか大人気なのにねぇ。マガジンって不良ものとかが受けるのにこれは駄目だった。拳法って別の方向性でダサイと思われてるのか、それともバリ伝のしげののイメージをくずされたんでファンが離れたんだろうか？うーん、謎だ。
自然界に存在する宇宙エネルギー「力（パワー）」を自らの体をアンプにして攻撃能力に変換できる武術者「能力者（パワー）」。うーむ、燃える設定だ。
主人公の尾崎将は、潜在的なパワーの使い手で、自らその拳を封じていた。将来はオートバイレーサーになりたい、なんて思いながら特に悪ぶってるわけでもなく正義漢ぶってるわけでもないわりとフツーの高校生だった。彼の高校に「組織」のエージェントがやってきたことから物語は始まる。
女の子人質にとられてそれを救出しに行く、とか、戦闘中にどんどん「能力者」としての才能に目覚めていっちゃう展開なんてお約束でいいんだけどねぇ、打ち切り。(;_;)
「仙人」とか「十文字四天王」とかライバルの設定もバッチリスタンダードなんだけど、お約束すぎたのか打ち切り。(;_;)
こーゆー話こそ串団子式でバシバシ戦闘して、敵の奇妙な技が炸裂して、新しい必殺技会得して、敵のレベルがインフレして、主人公のパワーもインフレする、というのが許せるのではないか。だってそれ以外の要素がない作品なんだからさ。
謎の「あの方」とか、謎の球体とか、六田登も『バロン』とか描いていた時期なので、ちょっとうれしかったんだけど、こーゆーうさんくさいリアルさは受け入れてもらえないんだろか？うーん、うんうん、俺は好きなんだけどなぁ。
スタンドパワー全開のＪＯＪＯの第三部が終わった頃だったので、第四部のふがいなさをこの作品にぶつけまくっていたのだ。五郎ちゃんが修羅丸にやられるシーンなんてモロＪＯＪＯ（笑）。
これも９２年の作品か。うーん、大学生の頃だった気がしたけど？未読の方はお暇なら探してみてね。

『ＡＬＧＯ』全３巻（ヤングジャンプコミックス）荻野真、読む。- 98/11/25 00:00:00
本日の調子:ＨＡＬ美さんもアルゴだったよなぁ。

コメント:
＃１１月２４日
サイバーパンク漫画、といって誰の頭にも『甲殻機動隊』しかでてこない、という貧弱な事態はいつから始まったんだろう？とにかくこの作品は出てくるのが早すぎた。早すぎた名作である。
しかし、本当に早すぎたんであろうか？今この内容を描いてもあったりまえじゃん、になってしまうんではないだろうか？
荻野真は『孔雀王』の読み切りで注目し、連載＝串団子形式戦闘漫画になってからは無視していた。絵柄的に癖が強すぎて好きにはなれなかったのだ。
しかし、この「ＡＬＧＯ」のＣＧを広告で見たときブルッときた。俺の「甲冑フェチ」を満足させる鋭角な戦闘フォルム。手にしたランス状の武器。そしてなりより舞台は「サイバースペース」である。これが燃えずにいられるか！
でも、実際始まった連載を見たときは、「うーん、これ、メカモじゃん」というメカ昆虫が襲ってくるお話になっており、「これなら未来警察のほうがマシだよ」と当時はカックンきていたのだ。
んが、今改めて見直すと、９０年当時の「サイバー」イメージの限界がここにあったのではないかと思う。わずか数年後に『甲殻機動隊』が登場するわけで、それ系のファンにダサイといわれて歯牙にもかけてもらえないのは当然かもしれない。だが、９０年にこの作品があったという事実が重要なんであって、それは「ＷＷＷブラウザが登場する前のインターネット」というのに似てその存在自体に意義があったのである。
基町走太郎ことランと秋川理沙は現代のサイバー・アヘン窟、秋葉原のジャンクパーツ屋で奇妙な基板と出会い、「人間世界」と「電脳世界」の戦いに巻き込まれてゆく。
彼らの通う学校は秋葉原にあるハイテク学園、「万世橋学園」。それって「アキハバラ電脳組」のノリじゃん、とか今更感心。しかもコマンドプロンプトから"RUN"とか打ち込んで、挙げ句に基板の中のゲーム世界に入り込んだりしてる…ってこりゃすがやみつる先生の「マイコン電児ラン」とか「ゲームセンターあらし」の世界じゃねーですかい！まぁ、すがや先生は「ＴＶゲーム」という媒体を感性のみで超常空間にまで飛躍させた男であって、それとこの「ＡＬＧＯ」を同列に語ってはいかんですな。
ＰＣ－９８全盛期の時代にこの作品は電脳世界という、実体と虚構がないまぜになった世界を構築しようとあがきまくっているのである。９５年頃のＷＷＷブラウザとＷｉｎ９５によるインターネット革命やＶＲ、ナノマシン、などが一般化する前に描かれた「電脳」のイメージはいまでこそ「夢の跡」ではあるけれど、電気→電子、実体ＶＳ虚構、ハードＶＳソフトのそれらの対立と融合のめくるめくイメージを必死に描いているのである。ポスト・ウェットウェア、それが「ＡＬＧＯ」の世界観である。
そして、ついには我々も神のプログラムの一環であり、あまつさえバグなのかもしれないと示唆する。この大胆なパースペクティヴは一連の士郎正宗作品も持ってるものなのだが、彼の作品ほどメタメタせずにずがっとストレートにぶちまけてくれているところが気持ちいいのだ。
単三乾電池の電気を超高電圧の電流に変換する銃「雷電」とか、背中に発電機やバッテリを背負うというヴィジョンは俺も「対電脳」の武器としてストレートにイメージできるものであり、いささか「整合性」には欠けるものの、大切なのは「イメージ」であって、本質ではないのだと思う。
最初の１５話、蟻元篇だけで打ち切ってもらってもよかった気もするが、続く幾つかの挿話のうち、電脳アイドル・ユマの話が秀逸で一見の価値がある。
個人的にはＦＭ－ＴＯＷＮＳとかを取り上げているところがスゴイと思う。実はＭａｃよりも先にＣＤ－ＲＯＭドライブを付属させてそこからＯＳを起動できたのは何を隠そうＴＯＷＮＳなのだ。マルチメディア＝ＣＤ－ＲＯＭソフトという誤認のある時期もあったくらいでまさにマルチメディア＝パソコンのイメージを先走っていたマシンなのである。
蛇足だが、このＹＵＭＡはＴＯＷＮＳのイメージガールだった南野陽子や宮沢りえをイメージしている。当時の富士通の宣伝部長がアイドル路線を押したのでＴＯＷＮＳカレンダーやポスター、テレカはお客の受けがよく、当時は年末ひっぱりだこだったんだが、高倉健になってからはそんなことはなくなってしまった。悲しい。
そんなＹＵＭＡのヒット曲、曲名は「スキズマトリックガール」（笑）
この歌の歌詞がすげーのよ。当時「サイパン」にはまっていた俺とその一党はハマリまくり（笑）。

～カウントゼロからはじめましょ…
　ドライヴの上のモナリザ…
　ホログラムの愛…
　ニューローズホテルに行けば～

というもの。これぞまさしく正しいサイバー・パンクってもんです。コラージュ文明こそがサイバーエイジの象徴だ。いまでこそアイコラなんて流行ってるけど、ＰＣ－９８くん全盛期なんてみんなが気軽にグラフィックを操作するなんて考えられなかったわけで。一部のドッター（１６色ドット版画師）のＣＧが珍重されていたんである。（これは今も一緒か）文字や画像の切り張りが別のイメージを築き上げるというのがサイバーパンクの真骨頂だと思っていたんだがいかがだろうか？
で、ヴァーチャルアイドルとラン恋の逃避行を盛大にやりとげたところで、何の関連性もないアラブの成り金王子、カイロ（回路！）のエピソードで幕を閉じることになる。パーツ屋の軍部のオヤジ配下の秋葉原六部衆とか伏線を残しつつ打ち切りである。無念。
ラストの幕引きはいささか強引であるものの、最後、視点がずーっと引いていってゲーム基板に落ちるところに震撼してしまった。いやはや、もったいないけど、ヘタに長ったらしく続いて串団子式対戦漫画に成り下がるよりはよかったかもしれない、とか思う。２０００年を前に是非見直してもらいたい作品である。

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