U-kiの読書日記(98/9/19～98/10/1)

U-kiの読書日記(98/9/19～98/10/1)

「超ギャルゲー論」と「ある漫画家の死」について。- 98/10/02 00:00:00
本日の調子:オタクもほどほどにね！

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＃１０月１日
ちょっと立て込んでいてなかなか職場近くの本屋にも行けない。比較的遅くまでやってるけど２２時でしまっちゃうからなぁ。地方のＣＤレンタルとかも兼ねたタイプの書店は深夜までやってるけど、都市型の本屋は遅くてこの時間だ。西荻に至っては２１時で閉店。悲しい。昔、八王子に住んでいたときの方が本が即買えたというのは、なんということだろう、とか思う。

で、昼休みに抜け出して職場近くの本屋でアワーズとコミック・ゴン３号を買う。
アワーズは『HELLSING』が載っていないので買うのを躊躇。でもジオブリとトライガンの続きが気になり立ち読みする時間もないので買っておく。
コミックゴン３号は最初無視していたのだが、どこかのページで「かがみあきら」特集をやっているというのを見ていたので購入を決意。とりあえず電車の中で読んでみる。
アミニメック読者だった俺にとって彼の死は「漫画家が過労死する」「オタクに死す」といういろんな意味で衝撃の事件だったのであり、当時一番思春期してた８４年、彼の死はロックスターが若者に与える死の衝撃と同様に俺のココロに深く残ることとなった。その後、エロ漫画家はらさけるの死を知った時もやはり「かがみあきらの死」は俺の脳裏をよぎったのである。すげー切ない。「ねこじるの死」とか「山田花子の死」とはそういった意味で俺にとってまったく別の次元の話なのだ。
他にも「月刊ＯＵＴ伝説」「ロボダッチ特集」（＞個人的に超ヒット）などやはり読ませてくれる。敬愛する「藤子・Ｆ・不二雄」先生の特集はドラえもん以外のＳＦ漫画＝以前中央公論社が出していたブ厚い藤子先生のＳＦ短編集愛憎版収録の作品群が、今どの漫画文庫で読めるか、という貴重な資料になった。一応ここに紹介された作品は全部覚えている。また読みたいものばかりだ。買い漁りたくなったきた。

さらにクイック・ジャパンのあの目立ちすぎる表紙を発見。
「ま、マルチ～！」
これだけで普段買ってない奴も買ってしまうんだからたいしたもんである。
ギャルゲーについていろいろ考えるようになってから、そうだな、ちょうど１年と少し経ったんだね。それまでは「こんなもんにパソコン使うな！」とかいってたんだが、それ専用にマシン買っちゃうくらい今は駄目になった俺。ただ、リーフゲームが新しい「ＳＦを感じさせるメディア」であることを感じさせたのは事実で、（ロボ子だの、スタンドだの、魔法使いだの、エルクゥだの電波だの、そりゃスゲェさ！）そりゃ今もレイプを果てしなく繰り返したり、調教モノとかいう不思議なカテゴリが結構な勢力を誇っていたりするわけだけど、恋愛シミュレーションがかつての偽人工知能シミュレーション『エミー』の延長線である、ということに気が付いた以上、俺はいわゆる『ギャルゲー』をもうしばらくは見つめていきたいと思う。これがどこまで「進化」するか、である。
一通り遊んで今はようやく「底付き感」を感じ始めている。でも、やめたわけじゃないよーん。少しお休みしてるだけ。ジャーニー亡き今、東鳩のアニメ化が一刻も早く望まれる。あ、その前にＰＳ版がどう化けるか、という楽しみもある。
このページのタイトルも「変えようか」という話もあったが、ＰＳ版・漫画・アニメと当分陳腐化しないのでは？という後輩の意見でそのままになっている。２０００年まではもつかな？？
業界人がそこそこいるので色々噂は耳に入ってくる。がんばれ、ＬＥＡＦ！
「特集・超ギャルゲー」は面白いし、ページも少ないんで立ち読みでいいから読んでおくように。（＞ＳＦ研）
個人的にはあの「戸塚宏」の特殊もうれしかった。中学の時、彼のネタは熱かった。友人が『わたしが直す』を買ってきて、ゲラゲラ笑いながら読んだのは遠い思い出。
最近『女犯坊』など復刊されてＳＦ研でも大人気、「ふくしま政美」の特集もあるが、まだ読んでいなかったりする。

『がんばれ！！ゲイツ君』が本に？- 98/09/29 00:00:00
本日の調子:レベル１

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＃９月２８日
比較的遅い時間までやっている荻窪の駅前本屋で『HELLSING』を探すもなし。
かわりに『マイクロソフト・シンドローム』（オーエス出版社）を買う。
既にネット上で読んでいる内容だが、『がんばれ！！ゲイツ君』の外崎則夫氏と『真・窓と林檎の物語』の梅津信幸氏がページ下の余白でお互いの文章に入れているツッコミがなかなか抜群。作者自身の注もイイカンジだ。やはりＨＴＭＬの引き出し的なものより、こうした紙媒体の表現方法もそれはそれで味がありやはり同じものでも別媒体で表現するのには意義があるなぁ、と実感。
それにしてもＭＳが司法省に訴えられたあたりから、そこそこＭＳの信頼が落ちてきてここらへんのサイトの巡回もしなくなってしまった。そこでハマったのが今のＳＦ系書評の多いページ巡りなんだけどね。
俺も単に「死ね死ね」いってないでこーゆー身のある文章を書いてみたいとは思うんだが。この両者の文章読んでいる方が楽しいのでその修行はあっさりパスしていたりする。実際使うに当っての文句は言えるけど、それをどうしろ、というレベルまで言及できないからねぇ。
あまりｗｅｂ巡りをしないおじさん達に是非読んでもらいたい一冊ではある。いままで見かけたＭＳ批判本とは違った、本当にコンピュータ好きで仕事でもじゃんばりに使ってる人の意見は一味違うからね。中村正三郎さンは、まぁ、やはりそれなりのステータスのあるプロだから、やっぱこの二人とは持ち味が違うと思うしね。
「オーエス出版社」から出ているのもなんとも笑えた。

『ＦＳＳ９』も買って読む。「騎士」について統一された一冊で非常にわかりやすい。いつも思うが、これを連載で読まされたんでは何がなんだか、という感じだけど、後輩連中は嬉々として読んでいるし、ちゃんと説明してくれる。うーん、これが若さか。
俺なんか最初の一巻目、何度も読み返してようやく筋通ったし、それ以降も何度も何度も歴史年表とにらめっこ。士郎正宗の漫画もそうだけど、こーゆーサブコンテクスト充満漫画は知識系オタクのこころをくすぐりまくる。エヴァもそうだったんじゃないかな？我先に単語の意味とか追求したりして。なんにせよ、ＦＳＳの巻数は俺の高校時代から重ねてきた年とほぼ一緒であることを考えるとうーむ、やれやれ、という感じだ。

最近のＳＦＭ、そしてＧ２Ｏについて。- 98/09/28 00:00:00
本日の調子:非番のソケット・ソルジャーなみ

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＃９月２７日
先週の疲れが出て一日寝ていた。そでれも飯は食わねばならんので夜でかける。

買いのがしていたＳＦＭ１１月号を読む。
「世界幻想文学大賞＆ブラム・ストーカー賞特集」。
ダン・シモンズは短編も良い。あ、『カーリーの歌』って表紙変わっちゃったんだ。
溝口さんはブレイロックを猛烈に押している。この「十三の幻影」はＳＦオタク用「レベル３」っぽくて良い。しかも今時フリッツ・ライバーも読めて良い。
受賞作一覧を見て、おお、そうか、あれもこれもそうなんだと驚く。ありゃ、『人間以上』はちがったんだっけ？お、これは『国際幻想文学大賞』か。うーん良く分からん。
馬鹿にしていた「雪風２」も先月あたりからは楽しい感じ。いつ文庫になるのかな。
で、最近のＳＦＭといえば中村融の「幻想空間の測量図」と牧眞司の「牧流・ＳＦ作家評伝」が良いんである。そりゃ名前くらいしか知らない、あるいは名前も知らない作家を紹介されて「へぇー、今度読んでみよう」というのも重要だが、やはり知ってる読んでる作家についての方が楽しいのは事実。
なんと今回はディレーニィとバラード！ぐぉ！死んでもいい！うれしい！
特にあまり知られていないであろうディレーニィの「黒人でゲイで失語症」（かつ、マグロ漁船乗船経験アリ）という三重苦についてすげーオセンチに語られているのに猛烈に感動。こーゆーエピソードって結構文章として残すことが重要だと思う。エリスンＶＳアジモフの漫才ももはや世界ＳＦ大賞傑作選がない今、読むことができないが、読んだ人には通じる話なんである。あとバラードが中国の日本軍の捕虜収容施設にいたこととか。（これは『太陽の帝国』でわかるんだけど）先月はバラードとシルヴァーバーグ、さらにその前はオールディスとエリスン。その前はギブスンとレム。って書いていくときりがない。中村さんの連載が比較的なじみ深い作家なのに牧さんが対抗？してる気もする。なんにせよマルケスあたりを紹介してくれるよりは最近ＳＦを読み始めた人にはいい勉強になるのではないか？
中藤さんの記事を読む。おお、こういう記事を書く方だったのか、と思う。
佐藤亜紀の旦那の佐藤哲也の短編「イトノコ部隊」を読む。この一篇で評価するわけにはいかないが、図らずもこれが最初に読んだ彼の作品になってしまった。特に「コレ」といった強い印象はまだない。やっぱし『イラハイ』あたりを読まないと駄目ざんすかね。

そしてオフのとき先輩から借りた、どこの本屋でももう買えない、アスキーからでた「ガンダム専門雑誌」というついにここまで意味不明のものが出たか、という感じの『Ｇ２Ｏ』を読む。
のっけから「晴れた日には、コロニーがよく落ちる」という、「電波がよく届く」に置換可能なコラムから始まり、噂通り「ガンダムオンリー・ゴン」という印象。
大河原邦夫のいいかげんなインタビューや「冒険王版漫画ガンダム」とか読める部分は多かった。でもね、おいらこいつには８００円払えません。でもきっと、何年かたったらこの本のプレミア、すげー付くんだろうな。あと個人的にはハゲた富野監督の写真が超ショック。「だ、誰だおまえは～（涙）」という感じ。

ＳＦ者オフ会、そして『あざやかな瞬間』（りぼんマスコットコミックス）清原なつの、再読。- 98/09/27 00:00:00
本日の調子:クランチ中に「高速度」使ったスキャナーなみ

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＃９月２６日
ＳＦ者オフ会、当日。
いろいろトラブルも発生したが、とりあえずつつがなく終了。
皆さん楽しんでくれた御様子。
もっと個人的に話をしたい人もいたが、雨も意外と体力を奪い、結構へとへとな部分もあったので、日が変わる前に帰宅。
オークションで入手した数冊、かつきさんに買ってきてもらった続き物の抜け（おお、これで一応持ってる抜けは消えました＞感謝）、雨でふやけてないかチェック。一応無事で胸をなでおろす。

そしておとみさんに譲っていただいた、大学生のとき先輩に借りて読んだきりの俺の思い出の一品。
『あざやかな瞬間』（りぼんマスコットコミックス）清原なつの、を読む。
ぐおお、凄い、凄いよなつのさン！収録作品全部ＯＫだよ。問題なし。
特に「飛行少年モッ君の場合」はすっかり忘れていたが、今読むとパーフェクト・オセンチ・ＳＦ作品である。これを中学生の時読んでいたのだよ、俺は。
で、俺がＳＦ研に入りたいという志をもつことになった記念碑的作品、「７日の休暇をとって」やはり何度みても感動が深い。残念ながら俺はここに登場する山倉さんの存在がすっぽり抜け落ちていた。だが、今は山倉＝姫野カオルコタイプであると認識。
「山倉はあたまがよすぎてかわいそうなところがある」（ホロリ）
という漠くんのセリフに共感するのであった。
この本（『ゴジラサンド日和』もそうだが）、随所にウルトラマンだのゴジラだのでてきて、当時フツーの女子にはうけなかったのでは？と今更ながら思う。で、ＳＦ研の女子の先輩はしっかりキープしていたので、まぁそこから「花ゆめ」にはしってゆくタイプにはＯＫ問題なしだったんだろうな、とか思う。

気持ちよくなってきたのでそのまま寝る。

『殺す』（東京創元社）Ｊ・Ｇ・バラード、読了。- 98/09/25 00:00:00
本日の調子:こ、これも映画化すんの？

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＃９月２４日
くわっ！ついに！ついに出たぞ、バラードの新刊。そ、そうか。映画化すんの？だから出たの？
この作品「Running Wild」が同人誌「トーキング・ヘッド」で柳下さんによって紹介されたのを読んだのは９１年頃だろうか？翌年の同誌の「Ｊ・Ｇ・バラード特集」で既に山田順子さんの訳は完成しているにもかかわらず、出版予定だった福武書店が書籍部門（特に海外文学）からの撤退を決定しており、公にならないことが確定していたのだった。当時はそれほど出版状況に憤りを感じていなかったし、訳されているなら当然他の出版社から出るのだろうという楽観的な観測をしていたのだ。だが、実際は６年、かかっていようやくである。しかもタイトルは『殺す』だし（苦笑）。『ホログラム街の女』に続く腐れタイトルをつけた担当者に俺も対抗してやろう。君に捧げる言葉は『死ね』だ。猿助めが！
まぁ、映画化というからみがあるにせよ、埋もれていたものを掘り出してくれたことには感謝しよう。装丁も最近の創元ＳＦ文庫の感覚に近いやつで、とても個人的には気に入っている。（『溺れた巨人』と『時の声』は表紙で買い直したほど）著作タイトルがびっしり内側に織り込まれた極太の帯も秀逸。捨てられないな、こりゃ。
訳が良いのだろうか？すごくバラードの文章特有のアクがない。普通小説みたいだ（笑）。解説を読むまで気が付かなかったけど、この作品の体裁──精神医リチャード・グレヴィル博士の日誌より──と同じ形態をとった姉妹篇である「攻撃目標」（『第三次世界大戦秘史』収録）の文章と比べてもかなりすんなりした印象を受ける。まぁ、書かれた時期としては４年の歳月が流れ、『太陽の帝国』が執筆されているのもあるかもしれない。うーん、やっぱ訳の妙だという気がする。
しかし、慎重に選びぬかれた言葉で挿入される「チャプター」で寸断されているところは相変わらずである。それまでの実験小説的な技法が違和感を薄めて使用されているのは見事。
突然飛び出したドクター・ミリアムって単語を見て飛び上がる。同人誌で解説されていたが、バラードの作中人物の命名方法には特定の規律がある。って、この場合『夢幻会社』の登場人物と同じ名前だっただけだけど（笑）
文章が読みやすく文字数も少ないのですいすい読み進んでしまう。
さて、作品だが、予想とはだいぶ違った雰囲気だった。

・あらすじ
閑静な高級住宅地で、３２人の大人が殺され、１３人の子供が誘拐された。
いったい何が起ったのか？

で、まぁ、ミステリじゃないからさらっと書くと、子供による大人殺しが行われたんである。そこに至るまでを過程をドクター・グレヴィルが語ってゆく。
犯罪を実行する子供は、まぁ一番登場する娘が８才というのは確かだが、予想していた年齢より３、４才年上で、１７才前後なのがちょっと予想と違った。神戸の酒鬼薔薇事件のときもそうだが、もっともナイフエッジな魂を宿すのは１４才前後というのが以前からあったので中学生・高校生の差というのはでかいのだ。最年長＝１５才、で小学生もいる、という予想だったんだが、事件の凄惨さは想像をはるかに超えていたので、まぁこの内容は１７、８才がメインじゃないと無理かなぁ、と。でも１３才と８才の兄妹が最低ラインとしてキーを握っているというのはやはりうなずき所である。
この小説のシチュエーションを単に「異常」「狂気」「理解不能」という人が大半なのでは？と思う。映画化されても『クラッシュ』のときのように観客の大半が「倒錯映画」とみなすだろう。バラードの世界を理解しているものだけがそこにスポイトで抽出された「現実」のエキスを見出して戦慄することができるのだと思うとちょっとした選民意識にかられる。まぁ、一般民間人の諸君。君らは己が内に潜む、あるいは隣接する狂気に気付かずにせいぜい、ある瞬間に驚きながら犠牲者になってくれたまえ。おっと、そうだ、犠牲者になる確立は俺にも平等に潜んでいるんだった。
本書の解説は例によって柳下毅一郎氏である。くぅ、ずるいよ。毒カレーを筆頭に最近の日本を蹂躪している凶悪・狂気犯罪をならべたててるなんざぁ、タイムリーすぎるよ。まってましたといわんばかりだよ。そして俺と同じように「現代はバラードによって予言されている」っていってるよ。ダイアナのクラッシュもバラードだって云ってるよ！（いや、知ってる人は馬路でそう思ったって）
ともあれ、８８年の作品がようやくよめたことをうれしく思う。俺の人生テーマである「人間の心の監獄とは？」をバラード節でえぐってくれた本書に出会えてかなり大満足な俺であった。
久々に海外のバラードのサイトを覗いてみるとするか。

『吉原蛍珠天神』（集英社）山田正紀、読む。- 98/09/24 00:00:00
本日の調子:くぉ、ばんぺいくんにすら女がぁ！

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まさか土日はさんで２回もホスト（汎用機）をリブートするはめにおちいるとは…予想だにしなかった。
ちょほー、もう肉体限界death!

＃９月２３日
ヤマナダさんのページでいきなり「吉原蛍珠天神」の名前を見る。おや、これは『地球軍独立戦闘隊』の横にあったけど買わなかった本のタイトルと一緒だ。
げ、なんか予想とだいぶ違うぞ（笑）。
それもそのはず、あの表紙じゃぁ、芸者とのオセンチ話と思われてもしかたがない。
収められた中編３作は「あやかし」「辛うござる」「吉原蛍珠天神」で、うーん、なんか趣味じゃない、と思って捨て置いたのだ。
表題作は「チャンバラ小説が書きたくて書いた」とは筆者の談だが、まぁ、チャンバラというよりは「必殺仕事人」のような雰囲気で、俺としてはかなり楽しめた。
＜黒衣衆＞という戦闘集団はなーんか漫画的である。一人は槍に変形する鉄棒使い。一人は分銅付き鎖使い、一人は両刀居合いの達人である。で、主人公は赤い鞭を使う（笑）
ちょっと間違うと、「ハカイダー四人衆ｖｓアカレンジャー」である。
主人公は飾り職人！（秀さぁ～ん！）だ、駄目だ。また必殺仕切人のビデオ見たくなっちゃったよぉ！中条きよし以外超禁止だよ！（勇さぁ～ん）ああ、なんだか倒錯してきたのでここまで。ちなみに「辛うござる」は朝鮮で覚えたキムチの虜になった男が妻も剣も捨ててキムチ作りに励む話（笑）。山田正紀の作風の広さに今更感心するばかりである。しかも本作品は彼が２５，６才のときに書かれた「若書き」の作品である。才能、という言葉を思い知らされた感じである。

『ああっ女神さまっ１７』（講談社）藤島康介がコンビニにあったので買ってくる。
もう年１回というのはつらいなぁ。しかもアフタヌーン買わなくなって久しいし。
ほとんどベルダンディもスクルドもラブに走っていないのでまた心が離れつつあるぞ。
（一回全部売って、売った古本屋でまたそろえたという前科アリ）
それにすぐ等身を下げるな！ペイオースを子供にするな！ペイオース様から色気を抜いてどうする？！ってゆうか、ロリーに媚びを売るのはやめれ！！！

『ゲルマニウムの夜』（文芸春秋）花村萬月、読了。- 98/09/21 00:00:00
本日の調子:キリコ・キュービーは郷田ほづみ！

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＃９月２０日
花村萬月の禿げ頭とちょび髭を見ていると、「怪物ランド」の子泣き爺ィを思い出す。（役者名、赤星さんだっけか？）「夢みんぞ～」いやぁ、禿げはいやぁ！
というわけで、『ゲルマニウムの夜』一気に読み。最高です。(;_;)/
ゲルマニウム、と聞いても『温泉』としか思い浮かばない父さんだ、そうか、鉱石ラジオのことなのね。そしてそれを胸に、透明なイヤフォンを耳に、夜の草原で、神の庭で、永久機関の夢を見る。おおぉ、バラード的だ！イカス！イカスよぉ！
先日「ダ・カーポ」の受賞作家の人間解剖を読んで、本作品に一番興味を持ったものの、まだ売っていないようだったので『ブエノスアイレス午前零時』でも買うか、と本屋にいったところお隣りに積んであったので衝動買い。新刊は買ってすぐ読まないとすぐbook-offに並ぶので、悲しい思いをしないためにさっさと攻め落としたのだった。まさに風林火山。

－あらすじ－
主人公の青年は殺人を犯し、中学まで収容されていた修道院兼教護施設へ舞い戻ってきた。
院長への屈辱的な奉仕を条件にかくまってもらったのだ。
そこで彼は背徳の限りをつくす。
神を冒涜しながら、その救済を求め、己の倫理と世界の真理をつきつめていく。

ってな感じ。まぁ、あらすじというか、シチュエーションですな。いわゆる「ストーリーもの」ではないので、どうでもいいです。
著者の禿げ頭と経歴を見て、安部譲二あたりの不良小説か、と思いつつも「カトリック系修道院」という単語から自分を切り離せずに手にしたわけだが、自分としては大当たり。敬愛する姫野カオルコ女史も修道院でのトラウマがバシバシ（笑）なのだが、日本でキリスト教の影響を受けた人の傾向にすごく惹かれるようなのである。（ちなみに俺は影響６％未満のはず）
俺は特定の宗教を持っていないのだが、それゆえ、逆説的に「神」とか「宗教」の話から離れられない宗教野郎なのだ。
この主人公、朧（おぼろ）の文字をもって（ろう）という名の殺人者で不良の青年の、なんと利発で行儀のいいことか！そこでもって「僕」の一人称で語られる内省。もうめろめろッス。
朧の「露命、だなんてなんて俺は爺臭いんだ」というセリフにも笑った。まるで高校生の時の俺だ（笑）
文章の表現も、稲垣足穂が好きそうな場所とかいう表現が、「ツボついてるなぁ」と（笑）。
俺の私見だが、人を物理的に傷つけたり法に触れる行為を行う者が「不良」呼ばわりされる現代において、もっと病んでいる本質的な「不良」はなにくわぬ顔でそこらへんをうろついている「世間」（作中では施設の外をこう呼ぶ）の人々にわんさかいるわけで、この作品の主人公のような心の「高み」を見せつけられると、我々の倫理観というのがいかに危うい集団幻想であるかということを思い知らされる。この世で最も多いのがこの知能指数百前後レベルの馬鹿である、というのはまぁ、ここでも何度も書いているので肯いておわり。半端な知性というのはは悲しいもんですな。
規範とか道徳とか、神とか罪とか、そんなものに正面から立ち向かうのは恥かしいという気風さえある現代に花村萬月は小説という形式で正面から立ち向ったといえよう。汚れた行為を端正な文章で描くことにより、人間の本質をブラッシュ・アップさせる手法は見事。
暴力シーンはエリスン並み。俺自身はあんま縁がなかったので結構衝撃でかかった。（俺っておぼっちゃまくんなのか？）エロシーン、というか俺の表現でいうところの「汚れ」シーンはちょっとくどい気もする。でも大人の読み物なんだからま、いいっか。
臭いと腐敗の描写は圧巻。アレルギー性鼻炎で鼻がまったくきかなかった中学時代が一番コンプリートな思い出なのはなぜだろう？「臭い」から隔離された俺の前頭葉が一番我が物顔で酸欠の夢の中を暴れまわっていたからかもしれない、などと夢想する。
イコノクラスム（偶像破壊）なんて単語をここで見るとは思わなかった。「愛と暴力の小説」なんて陳腐な表現はやめやめ。「破壊の小説」なんだよ、コレ。

そしてなんといっても胸にせまるのは聴罪神父のモスカ神父への告解シーン。俺も中学生くらいのときに、いやせめて成人するまでにこれくらいのことは済ませておきたかった。パードレもさぞかしあの世で泣いていることであろう（意味不明）。
ああぁ、糞ったれのミッキー・ロークが主演でも『死に行くものへの祈り』は泣けた。やはり告解シーンがあってこそカトリック。俺もＩＲＡに入ったら懺悔ＢＯＸ持ち歩こう。

発表・受賞・出版までえらいスピーディー。こういう勢いにのっているところも良し。（まぁ、受賞作は売れ線だから、出版社も意気込み違うんだろうけど）
「文学界」の平成十年六月号掲載分の「ゲルマニウムの夜」のパートが完成度が高い。「舞踏会の夜」は単行本にするにあたっての蛇足っぽいけど、実は折り目を付けたくなる文章はこちらのほうが多かったりする。
なんだよ、こんなイキのイイ作品が読めるなら「文学界」とかも読んでみてもいいかな？と思った。「掲載雑誌を文芸界にして、漢字にルビをふらなくていいのがいい」とは花村氏の談。３、４回は辞書引いた。それも漢字辞書。漢語的表記で迷うのも久々だ。「竈」とか「含羞む」とかね。文脈から読めるんだけど、自信がなくて（笑）

装丁のフランシス・ベーコンの絵もＧＯＯＤ。ふーん、宗教モチーフに描いてもいたんだ。よく見つけてきた、という感じ。ベーコンの解説は省くけど、彼と同姓同名の近代哲学の重鎮の存在もかぶってきてすばらしいの一言に尽きる（イドラ論の人ですよ）。本はカヴァも大事だなぁ、と久々に思った。だから今回はハードカヴァ買って正解。
花村萬月、この作品以外を読むかどうかはまだわからないなぁ。なんかこれが最高だったらどうしよう、って感じではある。なんかまとまらないが、考えてもしょうがないので、ゲルマニウム、終わる。

『ＯＮＥ～輝く季節～』（ムービック）館山緑、読む。- 98/09/20 00:00:00
本日の調子:やりぃ！＜エイリアン・スピードウェイ３＞ＧＥＴォ！

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＃９月１９日
「ガンダム版ゴン」と噂の、「ガンダム専門雑誌」というまったく意味不明なカテゴライズの雑誌『Ｇ２０』を求めて徹夜明けの体を引きずるも、まったく皆目見つかりません。（ホントに「さくらやホビー館」にしかないのか？）で、思わず置いてあった『ＯＮＥ』のノヴェライズをＧＥＴ。とりあえず夕方まで死んで、起きてもそもそと読む。
無論、買う前に気になる部分を探ってはおいたのだ。
＜あちら側の世界＞を描いているか、である。作者もあとがきで触れている通り、『ＯＮＥ』の＜あちら側の世界＞＝永遠の国を描写することに異論がある人もいるかもしれないが、俺はいいと思う。しかもこの作者の捕らえている世界観は結構イイ線いってる気がする。結構自分としてはモヤモヤしていた部分もあるので、良い模範解答を見せてもらった感がある。「あの小さい長森はいったい？！」という話で盛り上がった覚えのある人は模範解答を一読することをオススメする。ただ、解答例であって正解はプレイヤー各々が持っているべきだとは思うけどね。
東鳩小説のところでも書いたが、このＯＮＥもきっちり長森だけにしぼって話がかかれているので、同じエロゲーノヴェライズでも「痕」よりははるかに見られるかな、という感じ。
ただし、既存の部分はゲームの文章の方がうまいのは事実だし、誤字が多い（ここはなんとかならんのか？俺が書いてるわけじゃないいんだぜ）と、いうわけで全体としてはお粗末。まぁ、ファンのコレクターズ・アイテムとしては合格でしょう。
七瀬や茜の話も、売れ行き次第では出る可能性も？？？？（ないか）

で、気まぐれに荻窪のbook-offではない古本屋を巡る。本当はジョセフ・ヘラー『キャッチ＝２２』を探していたのだが、思わぬ拾い物２点。
一つは角川から出ていた、セラズニィが名前だけ貸した＜エイリアンスピードウェイ＞の３巻をＧＥＴ。くぉ、嬉しい。でも中身はＧＥＴした嬉しさに比例するかは謎（笑）
もう一冊は知る人ぞ知る『暗黒太陽の浮気娘』を１００円でＧＥＴ。大学生のとき見ていたので、早川ミステリ文庫のオレンジの表紙をスキャンして発見。著者名覚えていなくて背表紙の色だけで見つけた。まぁ、もう一度読んで見たかったのだ。

あー、もう徹夜作業でバテバテ。もう若くないなぁ（笑）。

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