U-kiの読書日記(98/8/22～98/8/29)

U-kiの読書日記(98/8/22～98/8/29)

まんがの林inジョージ- 98/08/30 00:00:00
本日の調子:われはマッキントッシュ！（発売おめでとう記念日in JAPAN）

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＃８月２９日
徹夜明け明け（徹夜した翌日も普通に働いたその翌日という意味ダヨ）でへろへろなのにｉＭａｃ見に新宿へ。来て、見て、触ったら、もう我慢できなかった。さっさと金を払う。
夕立に当ってとどめがはいったのだろうか？日曜夜から発熱。
月・火・と死んでいた。イヤ！死ぬのはイヤ！ってゆうか、もうすぐ３０だというのに熱ごときで何日も寝込むのはなんとかならんかいな？子供じゃあるまいし。
自己（健康）管理に問題アリ、少し考える。

あと、やはり「日記」を名乗る以上は読後すみやかに感想を書いておくべきだと思う。アップする前の推敲は必要だけど、時間が経つとやはり感じ方が変ってしまう。
絶対譲れない部分は書いておいて、体裁整えてアップするのは遅れてもいいと思うのだが。それに同じ日に書くと、その日の精神状態で全部の文章が書かれるので、「動的な心情の記録」ではなくなってしまってよろしくない。
というわけで、９月からは読む量をちょっと調整。あと買う量も（笑）。

８月２７日はマンガ東鳩のコミックス第１巻発売日。徹夜だったので買えなかったが、ジョージのまん森行ったら平積みで買えたっす。しかも９月１０日には「マルチ、がんばりますっ！」という恥かしさ炸裂！のノベライズが電撃文庫から出るようです。
アワーズとガムとをチェック。ジオブリはなかったが、両誌での平野センセの獅子奮迅の活躍はよかった。いままではずっと正気で作品を書こうとして、力尽きて、ラストギャフンだったが、話の中で的確に力を抜くというか、好き放題やるすべを見つけたようでなにより。HELLSINGもついに来月コミックス化！よくぞここまで成長したな・・って感じ。

『おたんこナース』（小学館）佐々木倫子、全６巻完結。
しくしく、もう似鳥さんの顔の縦線が見られないのね。
「犬の医者」こと『動物のお医者さん』からのファンだけど、やっぱこの路線は話作りがかなりしんどいようですね。私のホームドクターをしてくれていた病院勤務の薬剤師の先輩も病院辞めちゃう、というのはなんかできすぎのような気が…。その先輩は「あの漫画シャレにならなすぎる」といっていたっけな。やはりディティールは大切ですね。何事につけ。
あー、また一つ腹かかえて笑える漫画が消えたか。『幕張』でも読み返そう。＞なぜ？

『センチメントの季節２－春の章－』（小学館）榎本ナリコ
やはり予想通り、得るものはもはやなくなっている。連載中の夏の章も一回目は良い感じだったんだけど…。
もうこれは「ファッティーなオタクお兄さんのためのオカズ」という商品ですな。これじゃもうオカズにできない俺としては買う意味がない。「眠れる森」の女の子が露骨にエヴァのアスカなのとか、もう我慢ならん。
Ｈシーン抜けば「ホタルの光」「胸の奥のナイフ」が良い。「桜前線」のラストは妄想じゃなければ合格だったのにねー。夢落ちは向かないよ、この作品群。
次を買うかどうかは不明。まー、古本になってからでもいいや、という感じではある。

『ヨコハマ買出し紀行５』（講談社）芦奈野ひとし
うがー、ついつい、ついつい、買わずにいた。（出てたの知ってたけど）
こーゆー話って偽善臭くなりがちだけど、これはうまいよなぁ。
『ヴァーミリオン・サンズ』沈んだ世界版というか（ムチャクチャやな）。
まぁ、『ああ、女神さま』肯定してる時点で俺の負けなんだけど。
アルファさん、あれでロボっ娘なんだから反則だよな。
ちなみに、「ヨコ出し」と呼称する運動を薦めています。
あと書けば確実に俺の人気が下がる「ヨコシマな買出し紀行」というのもあるんだけど今はヒ・ミ・ツ。

『ブレンパワードフィルムブック１』（角川書店）
富野監督が「イデオンの後継」と明言した作品であるからには放っておけない。
で、漫画とフィルムブック、比べてこちらを買う。いのまたムッチーキャラの裸体が飛交うという噂のオープニングも見たかったし。
うーん、なんかなつかしの富野節全開（笑）。動画で見てないけど、ダンバインとエルガイムの匂いがぷんぷん。リアルタイムで見られない以上、全話終ってかからでもいいや、って感じ。今のところはどうにも評価できないね。

『へんちんポコイダー』（双葉社）永井豪
やっぱ、思い出の代償は高い。これで９００円だもんな。ゆえに『タマイダー』は買わなかった。読んだことないんでね。７６年のテレビマガジンに掲載か。じゃあ多分、初出のものを俺は読んだのか。けっこう有名だったから俺が読んだものが再録なのかと思っていた。
キョーダインあたりが表紙だったころ、俺は初めて雑誌を買った。テレビランド、テレビマガジンを比べて、後者を選んだ。まぁ、この手の雑誌はちびっ子向けテレビ番組（いわゆる俺の大好きな特撮系）のタイアップなんだけど、漫画も載っていて、コロコロコミックとかに出会うのは小学校３年生くらいだったので最初に読んだ漫画の本でもあった。永井豪、もしくは彼名義のダイナミックプロ作品や、すがやみつるの漫画の洗礼を俺は受けたのだ。（ちなみに初めて買ったコミックスは『ミクロマン』、次が『マカロニほうれん荘』。これを小学２年生で楽しんでいたあたりで俺は終っていたのかもしれない）
今はオモイデの品が簡単に手に入る。こうして俺の記憶にしかなかったものが店先に並ぶ。ＬＤだって同じだ。俺の脳だけがきれいに保存していたのに、他の、３日も経てば劣化してしまうような記憶しかもたない、愛情のない記憶しか持たない人に、お金と引換えにそえれらの品々は彼らの記憶を更新する。
「負けてらんないのよぉ、あんたたちにぃ！」
俺の魂は小さく叫んだ。

『すべてがＦになる』（講談社ノヴェルズ）森博嗣、遅れて感想アップ。- 98/08/29 00:00:00
本日の調子:モクの切れた犀川先生なみ

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＃８月２８日
（本当の読了日は８月８日である。思うところが多すぎて感想がのびのびになってました。書きかけの原稿を腐らせるのもなんなので、見切をつけて今アップします）

萌絵が真賀田四季博士に出会うプロローグを読んだ瞬間、「おもしれぇ！」という感覚に包まれた。文章のセンスなんてこの程度の量でわかるものだ。
ぐいぐい読み進んでいるつもりが赤坂見附の駅に着いたとき、５分の１くらいしか進んでないことを確認し、「これが上下二段組の威力か？」とも思ったのだがそういうわけではなかったようだ。
「新本格」。それに挑むとき、脳は読み進むことよりも余計な処理を散々やっているらしい。また、面白い文章や文節や単語があるたびに脳が反芻してひっかかってるようだった。「話」が進み出すまで、そういった理由で読むスピードがでなかったのである。「事件」が起こってしまってからは「事実」の描写だけになった。そしたらもとの速度で読めた。この小説の「トリック」というか、推理モノの場合それイコール物語の骨格・構造なわけだけど、それがスゴイ。反則じゃないのってぐらいスゴイ。その「反則」っぽいところを新本格っていうのかな？なんて思った。
とにかく理系です（笑）。
そうなんだ、思い出した。あまりに「理系」な描写というか文章なので話題になったんだよな、この本。ＳＦとかの境界線云々じゃなくって。
思ったのが、レゴブロックから岩波新書まで、想像を要求される単語がない！皆、経験に基づく既知のものだ。
普通は想像を要求されるディティールが必ずある。
…胡蝶蘭とか伊万里焼とか洋楽とかアニエスｂの服とか…
この本にはそれがないのだった。かなりびっくりである。
しかもコンピュータの描写がすごい。惜しむらくはワークステーション＋インターネットレベルで終っちゃってること。いまだに大型汎用機を仕事で扱ってる俺としては「ＵＮＩＸ」のお化け（レッドマジック）なんてもうブートしちゃえ、ＧＯＧＯ！って感じだった。ま、時代が受入れるのはこのレベルでしょうね。
コンピュータのこと全然しらない文系の人がこの作品をどのように評価してるか知りたいですな。たぶん、俺が上記に挙げた単語みたいに＜インテジャー＞なんて処理されてるんだろうな。この作品の３００ｐ前後、ＵＮＩＸとｃ言語の知識がないとチンプンカンプンだと思うんですが、文系の方どうかご意見求ム！！（笑）
映画アポロ１３見た人で、「アクエリアス号」のコンピュータ再起動がいかに大変な作業かを感じてくれた人は少ないんじゃないかなぁ？とか古いネタを思い出す。パソコンでＷｉｎｄｏｗｓがハングして「リセット」「電源ブチ」の感覚しかない人たちには想像できんだろうねぇ。
この作品、９６年の作だが、おもしろいと思うのはこれより２年前、この作品か書けたか？というのと書けたとして受入れられたか？ということである。
この日記をご覧になってるかたは少なくともコンピュータやインターネットに実際に触れて感じることのできる人でしょう。でも、あなかがたの大半はＷｉｎ９５導入後、インターネットやパソコンに触れている人だ。つまり、９５年１２月以前にこの作品が成立したか？がすごく興味がある。
なぜなら、これほど「今」にマッチしたコンピュータの描写のある小説を知らないからである。知らないことを「未来」の設定として書く、これが安いＳＦの逃げだ。うまくいけばギブスンのように評価されるが、失敗したらただの安物である。
過去のことを調べて緻密に書く、これもいい。だが、「古いシステム」の話は理系の人間にうけないし、当然物語の道具にはできても主軸にはもってこれない。陳腐になってしまう。成功した例は『カッコウはコンピュータに卵を産む』くらいだと思うが、あれは小説というよりノンフィクションの迫力が読ませているのであり、また専門的すぎてコンピュータ関係の人以外は楽しめない可能性が有る。そういう意味でこの『すべてがＦになる』が非常に微妙な成立条件のうえに成立っていることに気がついたのである。
犀川先生と萌絵の考え方がずっと自分に近いものだと思えて親近感を通り越して安心感を感じてしまう。
そしてときおり織込まれる哲学的思弁。ってゆうか、軽い会話として流されていてまるで禅問答（笑）こういう哲学的思弁って学生時代にしかディスカッションできないんだけど、絶対やっておくべきことだと思うね。そーゆー相手がいなかった人って不幸だよなぁ。
「現実ってなんでしょう？」という問答が表紙にも書いてあるが、情報になってしまえば、「現実」なんてはほんとうに曖昧模糊としたものだということになる。ＶＲカートのシーンはその象徴か？
この人たちとことん理系だよ。というか、俺の思考・行動形態にすごく近い描写が多すぎる。「キャンプに日傘を持っていく人はいないよ」でもこの人、夏のキャンプ場で熱い豆出しのコーヒーがぶがぶ飲んでる（笑）ま、キャンプでアイスコーヒーは無理だとしても、普通コーヒーメーカー持っていかないって。屋内でも夏はなぜかアイスコーヒーを飲むのが文系の人。彼らは研究所内でも熱いコーヒー。俺も考え事をするときは必ず熱いコーヒーだ。場所・時節、関係なし。
あ、あとアイスはキャンプ場でも食べたいよな。（これは萌絵のお嬢様描写か（笑））
加えて云うなら、この事件現場となる特殊な研究所、そしてそこにいる面々。彼らは「理系」というよりは「オタク」なんである。趣味のオタクではなく、特殊技能のあるという意味でのオタク。余談だが、『マジックランチャー』での庵野監督の発言から浮彫りになるアニメーター像というのが、この研究所に集ってくる人々の性質とまったく一致しているのは興味深い。「人との接触を避け、どこか子供っぽい」ま、簡単に抜粋するとそんなところか。あまりここでオタク論を繰り広げる気はないのでここらでやめておく。あ、ちなみに萌絵と犀川先生はオタクじゃないですよ。念のため。
トリックは少々強引だけど、面白かったので許します。以後のシリーズ、これよりビックリなネタだったら承知しねぇけどな（笑）
あと、萌絵・犀川コンビもさながら、やはり真賀田四季博士の天才ぶりに脱帽。これを生み出した森氏の脳に感嘆する。『羊たちの沈黙』のレクター博士のファンの俺としてはこりゃ完全に彼を越えてるな、というかわかりやすい人物像だった（笑）ネタバレになるのでこれ以上の発言は控えさせていただきます（笑）。
というわけで語れば際限ない「すべＦ」の感想、強引ながらまとめさせていただきました。細部つっこみだしたらきりないもんね。そーゆー楽しみかたができる本にであえて本当によかったと思います。というわけでとりあえず完。

＊お・ま・け＊
実は今回はあまりの面白さに、「森博嗣vs俺inすべＦ」という形式で１００％ネタバレってゆうか、話にそったコメント集があるのでそれもアップロードします。
読んだ人以外は読まないでね。こーゆー「引き出し」が簡単に作れるからＨＴＭＬってスゴよね。さっさと標準にしたいよね。
でもどっかのバカが環境が追いつく前に手前ェんとこのソフトがデファクトスタンダードだと思って先走って、メーラーのデフォルト設定をＨＴＭＬ形式とかにしちゃうから、「ＨＴＭＬ形式は無条件に外しましょう」とか「ＨＴＭＬ形式でメール送る奴は馬鹿」とかになって、結果、ＨＴＭＬ形式の普及を遅らせてるんだよね。リッチテキスト形式のときは責任範囲がWindowsの中だけで済んだけど、ＨＴＭＬ形式の電子メールについてはさっさと機種依存せずに標準化したかったのでまったく腹が立つ。
死ね！ビル・ゲイツ！ ってゆうか、くたばれＭＳ！

『緑の星のオデッセイ』（早川ＳＦ文庫）フィリップ・ホセ・ファーマー、読了。- 98/08/28 00:00:00
本日の調子:か、カレーの犯人は・・・お前だっ！（ビシィ！）

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＃８月２７日
『ＳＦ大百科事典』にも紹介されていたのでとりあえず吟味。
これの原題って「The Green Odyssey」、で主人公の名前がアラン・グリーンだから、「グリーンの冒険」ってことにならんのか？でも確かに「Green's」じゃないからなぁ。一面の草原、あと歯を緑色に染める習慣などもあるので「緑」はいろんな意味を持っていると思われる。これでいいのだ。
この作品は５７年の作で、『夏への扉』『裸の太陽』と同期だそうな。うーん、前者２作が当時いかに突飛な出来だったかというのは想像に難くない。「当時のＳＦのイメージ」（古いＳＦのイメージ）ってこういう「地球外冒険譚」が多かったんじゃないかな？と思う。Ｅ.Ｒ.バロウズなんかが真っ先に思い浮かぶ。こーゆーＳＦのＦ味が強い冒険モノ、どうも我々の仲間内では流行らない。無論俺もほとんど読まないのだが。ファーマーのこの話は単に怪獣だの野蛮人だのが暴れまわるペルシダーだのあまつさえ場所が地球であるターザンなどとは一味違って、ちょっとＳが入っている。シチュエーション的には少し前に読んだポール・アンダースン『処女惑星』に似ている。
主人公は宇宙船の事故で野蛮な文化の惑星に漂着するが、どうもその惑星にはかつて高度な文明が栄えた形跡がある、というものだ。冒険モノにＳ味を出すには地球外、かつ失われたテクノロジー、なんていうキーワードがあればいいらしい。そしてその惑星に適合した生命体の描写が緻密であれば、なおハードＳＦということになる。ニーヴンのリングワールドなんていまいった条件をすべて満たしているぞ、なんて思ったりする。人間の数が少ないとあーゆー味になるのかな？
面白かったのか、矢野徹さんの訳がよかったのか、１日で読了。すいすい読めた。頭休めにはちょうどいいかもしれない。人工的に作られた平坦な平原とそこに吹き荒れる風の世界。そこを進む車輪の付いた巨大な帆船（ローラー）。うーん、なんかかっこいいなぁ。でもムアコックもやってなかったけ？といわけで、この手の話は似通ったのがいっぱいあるし、味も同じ気がするので数をいっぱい読んでもしかたがないなぁ、とも思う。
でも明らかに『処女惑星』よりは面白かった。できれば若い頃に当たりの一冊を読んでおけばいいのでは？と思う。いや、子供ならいっぱい読んでもいいのかもしれないけど、大人の読み物にはちょっとねぇ。ジュブナイルとかにも落としやすそうだし。（好きな人もいるだろうけど）一歩間違うとヴァンスの＜魔王子シリーズ＞もこの雰囲気になるんだが、あれとかゼラズニィとかはなーんかうまく違う味にしているんだよな（不思議）。うーむ、よぉーく考えると『レギオン』とかも『機甲兵II』とかが出てこないで、ナーが人間で、だったら同じ味かも。だから陳腐だ、みたいな評価が多いのかな？逆にこの主人公グリーンはサイボーグじゃないけどｘｘｘ埋め込んでるし、そーゆー部分が良かった気がするな。
あと個人的にはこの古代社会の描写はよくできてたと思う。信仰深いところもよかったし、「匂い」の描写もよかった。どんな美人のお姉さんも月一回しか風呂に入らないので臭いのだ（笑）。でも源氏物語とかでみんな香を焚きしめているのは体臭消しのためだもんね。もし『なんて素敵にジャパネスク』な世界とかに現代人の俺とかがタイムスリップしたら、「美人」は全部おかめ顔だし、匂いはすげーし、食べ物や衛生なんて考えると目眩がするんだが、安易な漫画や小説は言葉もぺらぺらだし、古代の美女と簡単にくっつくし、そーゆー「俗」な部分はすぱっと切ってしまうんだよな。その点、ファーマーはエライ。言語についてもほんの数行だが、「あらゆるアリアン系言語体系と一致しないのだ」という一言でけっこう説得力を出している。そーだよ、地球のバベルの塔は宇宙にだって適用されて然りだよ。
迷信深い世界でグリーンが自分の子供に懐疑的思考の訓練をしているところもよかったな。「自分の目で見るまでは信じるな。そして信じていたものがくつがえされることもある」そうだよ。俺も経験第一主義的な部分がある。あまりにも中学高校と空想世界に長く居すぎた反動だ。というわけで、読んでいないモノについてあまり悪く言うのもなんだし、バロウズの火星シリーズとかも一回気合い入れて読んでみるしかないのか？食わず嫌いはいかんよねー。（でもある程度選択はしないと、時間がもったいないのも事実。読書は学生のうちにしておこうね）
総合評価、中の上。

『産霊山秘録』（祥伝社ノンポシェット文庫）半村良、読了。- 98/08/27 00:00:00
本日の調子:あぐらをかいて飛ぼうとした男たち！なみ

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＃８月２６日
いやー、けっこう時間かかっちゃいました。この本。角川から出てた上下巻ではなく、祥伝社ノンポシェット文庫版だったのでちょっと厚めの一冊として読みました。けっこうここが重要だったりする。上の巻、下の巻に分かれていたら果たして俺は下の巻を読んだだろうか？果たして買っただろうか？というのが正直な感想である。続き物は苦手だが、上下巻もけっこう苦手で、上を読んで「あーもうわかった」みたいな気になって投げ出すことも多かった。続き物に至っては最初と最後だけ読む、という外道もよくやったものだ。（ま、続きを読ませる話じゃなかったってことでしょ）
で、この本は危なかったんである。上の巻を読み終えるのに２日かかってしまった。ようするに読むのが苦痛だったんである。つまらないんじゃなくて、読みづらかったのだ。きっと分冊なら投げ出していただろう。で、下の巻。これは１日で読んでしまった。おもしろかったのだ。これを読み切らずに投げ出していたらきっと損していたと思う。そーゆー本であった。
さすが「伝奇ロマン」の始祖、半村良の初期の作品といおうか。小説としては『石の血脈』の方が面白いが伝奇としてはだんぜんこっちのほうが面白い。いや、正直ここまでスケールがでかい話になってくるとは上の巻だけではわからなかった。（目次の章立てみれば少しは察しがついたんだろうが）少々急ぎ過ぎてるものの、織田信長の時代から始まっていれば、せいぜい江戸時代止まりと思う普通ではないだろうか？まさかあのペースでちゃっちゃと現代、俺の生まれたあたり（アポロの時代さ）までえんえん話が続くとは思ってもみなかった。そしてだんぜん、古臭い戦国歴史絵巻きよりも、江戸時代に入ってからの方が「物語」として読めるようになって断然読みやすく、おもいしろかった。それが下の巻なのである。
日本の歴史を天皇の影の使いとして操ってきた＜ヒ＞の一族。その隠された歴史の中の活躍を暴く、というのがこの話のスタイルである。半村良、うまいのかもしれないが、史実を延々と並べ立てて、「此れ此れ、この部分、此れがこのように見れば＜ヒ＞の仕業なのである」を延々と繰り返されたのではたまらない。これなら「ムーブックス」とか「サラブックス」とかの『超古代文明は実在した』『戦慄の人類破滅計画』『宇宙人の隠された遺骸』なんかの本の書き方に近いわけだから半端に時代小説気取りで書かれるよりも、現代語で水曜スペシャル風に「なんと、この二つはピタリと一致するではないか！（ババン！）」みたいなアオリの入った展開とかのほうがよほど面白い（笑）。小池一夫の原作の方がよっぽど面白い（爆笑）。
同じ伝奇でも先日読んだ『桃色浄土』みたくホラーでなく、こういう「ロマン」の方が断然好きですな。登場人物がみな、捜し求めるモノを持っている。己の信じる正義に基づいて行動している。そして報われない(;_;)。これだ、これだよ、俺の好きな話はよ！
『石の血脈』と『岬一郎の抵抗』ぐらいしか半村良は読んでいない。『戦国自衛隊』はあーゆー映画の原作だから評価していない。あとは『回転扉』『軍靴の響き』といったところ。『ＸＸ伝説』シリーズを読んでいないのだ。『石の血脈』があんまりにもできすぎで、その他のを読んで（とくに『黄金伝説』『巨根伝説』なんていかにも陳腐そうなタイトルぢゃん）幻滅したくなかったというのもある。実際どうだかしらないが、やはり７０年代に書かれた伝奇は良い、という判定になってしまった。特にこの話、後半になるにつれて、権力、あるいは天皇そのものへの激しい反抗感がみなぎっている描写がある。こーゆーの、個人的に大好きなんだよなぁ。（いや、断じて天皇モノだからじゃないよ（笑））『石の血脈』でも吸血一族に最後まで抵抗する記者の描写がある。とても好きなシーンで忘れられない。「－彼の血は一升以上あった－」赤い血の流れる人間が持つ、個人が対抗できない大きな力に対する、飽くなきプロテスタンティズム。どうしようもないとあきらめ、妥協して生きていくことがあまりにも多い世の中で生きているのだから、せめて架空の本の中の人物にはカッコ良く抵抗してもらいたいのである。虚構の世界ではうまく行けばそれが成功しちゃったりするし、失敗しても美談としてかっこよく心に響くんだよなぁ。現実では虚しいだけなんだけど（笑）
とにかく、最初の章で＜ヒ＞の少年、飛稚がブルージョウント（そーなんだよ、ヒの奥義って三種の神器をつかったジョウントなの！）しちゃって死んじゃったとき、すげー悲しくなって「なんか、飛稚のために読まなきゃ」って思ってると兄の猿飛も人間としての幸せを前にブルージョウント（失敗）しちゃうし。くー、やるせねぇ、って感じで読み進むと、あらら、あの人も？ありゃ、これも？って感じで＜ヒ＞の血筋は薄まりながらも我々の時代までついてまわり、そして大戦後、トミーの話になってあのラスト。くぅ、こたえらんねー！矢追純一のＵＦＯスペシャル並みだよ！というわけで、飛稚、彼のキャラクタの魅力が俺を牽引し、ラストで見事に人類ポカン計画完了！って感じだった（笑）。
実は『軍歌の響き』を『霊長類南へ』と『皇帝のいない八月』と一緒に買って、飽くなき権力への反骨ゥ！の心を振り返ろうという計画だったのだが、うーむ、とりあえず「伝説」モノも読んでみるか、という気にはなった。

『トライガン最終完成型』（徳間書店）内藤泰弘、読む。- 98/08/26 00:00:00
本日の調子:ヒロミ、MY Love(意味不明)

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＃８月２５日
鶴さま～！素敵～！
というわけで、もう既にすっかりアニメからは足を洗ったはずの俺だったが、ほんの気まぐれで見るはめになった「オセンチ・アニメ」こと『センチメソタル・ジャーニー（生）』。俺に同人誌を作らせた挙げ句に毎回生で見て生でＶＴＲ録画させるという恐ろしいパワーのサンライズアニメだったわけだが、そのジャーニーを見るに当たって、「正確な放映時間がわからなかった」ために見ることになってしまったアニメ、それが「トライガン」だった。いや、ほんとエヴァ以来アニメ見てないのよ。それで深夜いっぱいやってるけどどーでもいいと思ってたのよ。でも。。。
鶴さま～！しかも「ですわ」言葉～！（乱心）
ＨＥＲ、ＨＥＲ、ＨＥＲ、
というわけで、保険屋さんのお姉さん（小さい方）に失ったはずの魂が共鳴して、「気になるアニメ」になってしまったのだった。で、ちびちび見る。巡回牧師のウルフウッド、大きい方の保険屋のお姉さん、それにサイバーダインサイボーグモデル１０１型かつ左手に銃を内臓している男、かつ平和主義者、かつ抜群の早撃ち男、かつ「大尉の色は人気がありますからね」、かつ頭がとんがっている男、ヴァッシュさんがとってもハートウォーミングなことに気が付いてしだいにのめってきた！
ヤングキングアワーズも最近読んでいてなんだか話がわかーんない！と思って先輩に軽く素性を聞いたところ、「なくなっちゃったアノ雑誌の連載だったんだよ。だから今アワーズでやってるのはマキシマム」。だそうだ。マキシマム、といわれても「コマンチ・マキシマム・オーバー・キル」ぐらいしか思い浮かばないこの俺だ。全然合点がいかない。
そんなとき、これが書店にあった。アワーズに話が載っていないとき「最終話を決着つけてるんで忙しいんです。これからはマキシマムで一生懸命やるんで応援ヨロシク」とか書いてあったのを思い出し、さらに都合がいいことに、マキシマムとそれでない徳間のコミックスがそろっておいてあったので買って読む。一応、マキシマム前はこれで完結なんだから感想書いてもいいよな（苦笑）
・・・なるほど、つながったぜ。俺の中に断片的にあったものがよ！（だったらアニメちゃんと見ろ！＞俺）そーか、それで今のマキシマムなのか。ふむふむ。
でもね、漫画よりアニメの方が面白いよ！こりゃめずらしい。誰か全部見せてくれ～。
いやね、でもこの原作あってのアニメだよね。鶴さまの声は聞こえないけどさ。ヴァッシュとレムの話なんてなんか『僕の地球を守って』（＞死人出した例のアレ）みたいでとってもいいわ。砂蒸気って丘蒸気みたい、じゃなくて『銃夢』の列車強盗の話みたいで、ってゆうか全体的に『銃夢』入ってるよなぁ。ただ、俺が読んでなかっただけで、最初からキチンと星間移民船が砂の惑星に緊急着陸して、なんとか船のテクノロジーを生かして西部劇風の世界を維持してる、ってゆうのが解説されてたわけだけど。
あと、「ＴＲＩＧＵＮ」の意味も分かって３つ目のＧＵＮが「ライデンレーザー」の百倍（当社比）というのも分かってかなり俺的にＧＯＯＯＯＤ！
世界観もいいがキャラのできの良さにも感心。ナイブズのねじくれた心もとってもわかりやすくて好き。漫画だと鶴さ…じゃなくてメリルのヴァッシュへのＬＯＶＥがイマイチ弱い感じだけど、楽しそうなので許す。マキシマムで２３才になった彼女と１５０才のヴァッシュくんがどうなっちゃうのか、ハラハラドキッチョしながら見守るです。レムはいい女だから、負けないで！鶴さ…いや、メリル！！
ジオブリよりもこっちの方にリキ入っちゃうな、これからは。

＃お・ま・け：「ベルナルデリ保険日報」九尾たかこ
しまったよ、俺、この漫画のラストが『トライガン』のラストだと思っちゃってたよ。
ギャグでしめるとはやりおるのう、とか思ってしまった（笑）
こーゆー『ＯＬ進化論』漫画は大好きですな。
がんばって、鶴さ…いや、メリル！ファイト！

「ソフト・モンキー」ハーラン・エリスン、読む。- 98/08/25 00:00:00
本日の調子:記憶にございません（笑）

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＃８月２４日
収録は新エドガー賞全集（ハヤカワミステリ文庫）アメリカ探偵作家クラブ傑作選１４である。
一人の黒人浮浪者をモチーフにやはり都市と人間に巣食う暗黒面をえぐり出した作品。エドガー賞全集（下）収録の「鞭打たれた犬たちのうめき」のほうが露骨にホラーであり、どちらかというと都市伝説っぽいが、こちらは個人の中の闇を描いていて短い割にはその完成度の高さに圧倒される作品である。浮浪者を扱った「コー川の罪喰い」（ブラッドリー・デントン）も社会派ホラーを書いているそうだが、エリスンのこの両エドガー賞受賞作はその「社会派ホラー」というジャンルがあるならばかなり上位にくる作品ではなかろうか？
オススメである。

『星の瞳のシルエット』（リボンマスコットコミックス）柊あおい、全１０巻読了。- 98/08/23 00:00:00
本日の調子:司くぅ～ん、はぁはぁ＆かくかく、

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＃８月２２日
ついにやっちまいました。
柊あおい・『星の瞳のシルエット』全１０巻、一気買い。
荻窪のbook-offで、ばら買いで、オール１００円。前にこれをほのめかした時は別の場所で全巻そろいを買おうと思ってたんだけどねぇ、千円なら買うぜよ。引っ越してきたばかりの頃、近所の貸し本屋が潰れるにあたって放出した『めぞん一刻』全巻買い以来の行動だな。
とりあえず、自分の脳内の軌跡をたどる。おおぉ、正確だ。正確すぎるぅ！昭和６２年（もうこの元号に懐かしさすら感じるとは…）冬くらいまでは読んでいるじゃねぇか。俺が大学行く寸前まで？ってことは妹は中学生までは「りぼん」を買っていたというわけか。俺が大学生になってから辞めたんだっけ？それとも「もうイヤ！、あたしは「花ゆめ」に乗り換えるのよ」という妹に金を渡して俺が買っていたのか？萩岩睦美「アラビアン花ちゃん」や岡田あーみん「こいつら１００％伝説」は記憶にあるんだが…俺の記憶もなまっちょろくなったもんだぜ。
で、７巻くらいまで読んでいることが判明。くそ、あと１年ちょい読めばよかったのか。次の新連載の表紙を下宿の近所の雑貨屋で見かけたとき、それを読みたいじゃなくて「『星の瞳の』終わったのか…」だったのを思い出す。おお、ここらへんは鮮明だな。
で、未読分、読む。
で、最初から読む。
ぐぉあ～！オレはこんな連中のためにやきもきしていたのかぁ～！（激怒！）
オレの青春を返してくれ～！（意味不明）
ＨＥＲ、ＨＥＲ、ＨＥＲ、
なんだよ、こーゆー話だったけかよ、トレンディドラマの１０倍海王拳状態じゃねぇかよ。
好き好き者同志のくせに単に口に出していないだけ
こ、こんなことでストーリーが成立してしまうのか、香澄、久住、おまえらの６年はいったいなんだ！もっと楽しいことして過ごせ！馬鹿者！！！
最終的にくっつきゃなぁ、くっつきゃいいってもんじゃないと思うんだよ、おぢさんは(;_;)。青春は二度と帰ってこないんだぞ。せっかく同じ中学から同じ高校に行ったんなら６年間ラブラブに過ごせたんだぞ。そりゃ、途中でうまくいかなくなったりするかもしんないけどさぁ、ひでーよ。ある意味、ただ暗黒だよ。
それからなぁ、とりあえず、真理子、お前は死ね！
いや、香澄ちゃん、あんたも悪いんだよ。久住、お前はあほだがやることはやった。認めよう。そうか・・・そーゆー人間関係だけで俺は何年も・・・くやちぃ！
今読むと、おケイは記憶の中よりずっといい女だったし、司くんなんて記憶にもなかったのにすげーいい味をだしている（彼らのパートすげーオカシイ）。つまり、俺が変わったのだな(;_;)。
（でも、最終巻でたたみ込むようにうまくくっついていく様に涙を禁じ得なかったのだが＞正直な話。ミルクハウスも最後読むまでの間が長かったよなぁ～）

しかし、連載開始時、俺って中学生かと思ってたけど、見たらモロ高校生ぢゃん。そ、それなのに俺ってヤツぁ、シンクロ率４００％だったんかい！
そーいやぁ、思い当たるフシはあるけどねぇ。中学生のときのオイラときたらまるで無敵生命体だったもんなぁ。そりゃ、シンジ君なみの悩みも苦しみもあったけどさ、色恋沙汰０％！（３年間保証付き）だったしな。自分の正義に忠実に生きてたし。今思うに、「思うように生きてきた」のって中学のとくに２、３年生の時だったよなぁ。１４、１５という年齢が俺の人生の絶頂期だったわけだ。で、それがすぎた頃、生意気に色気付いて、それでこぉーんな少女漫画でハラハラドキッチョしていたというわけか。納得。弱すぎるぞ、１６才の俺(;_;)。

そうか、これで『ＥＮＧＡＧＥ』へなだれこみかよ。指輪はとくにでてこないのね。でもなーんかそーゆー「約束」はしちゃってるわけか。でも名前で呼び合ってるから「事後」の確立７８％だよ。香澄ちゃんが赤くなってるからって油断はできないよな。４年も離れるわけだし。（無粋）でもおまえら、『耳すま』の雫ちゃん（中学生）に圧倒的に負けてるぞ。俺の見たところ雫と星司は９８％事後だね。という、おやじギャグをかまして、自分の穢れ具合を確認する俺。センチメントの季節のアレじゃないけど、「もうあんな気持ちでこの漫画読めない」ワタシに涙するのだった。

蛇足：全然関係ないけどアナタはナニ派？俺は基本的にりぼん派の女は好きだが、なかよし派、マーガレット派とはうまくやっていけそうにない。ちなみにスクルドは『どぼん』＝りぼん派とみなすので許可（笑）

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