U-kiの読書日記(98/6/25～98/7/4)

U-kiの読書日記(98/6/25～98/7/4)

『パヴァーヌ』（サンリオＳＦ文庫）キース・ロバーツ、読了。- 98/07/03 00:00:00
本日の調子:誕生日の女王陛下なみ

コメント:
＃７月２日
パヴァーヌ、すげー！
もう相対フォントプラス十倍海王拳状態。
お願いだ、宮崎駿、ってゆうかスタジオジブリ映画化してくれー！
おまえらの作るアニメなぞ一つも見たくないが、そうなったらこの作品が本屋に平積みになるんだよ！絶対そうなって然るべきだよ！くそう、なぜこれがもう読めない？！他人に薦められない？語り合うことが叶わない？
呪われよ出版業界！死ね！死して屍拾うもの無し！死ね、角川春樹！（八つ当たり）

ああぁ、ここ最近の読書で５千年続いた俺のベストＳＦが音を立てて崩れてゆく～。
イギリスＳＦ。おそるべし。『逆転世界』はまさに大いなる序章にすぎなかったのか？
さすがサンダーバードやちびのレックスを生み、国営放送でプリズナーを堂々と流した国だけのことはあるぜ！ダイアナ妃もＪ・Ｇ・バラード『クラッシュ』inフランス、って感じだし、もう今後１０年はイギリスＳＦ以外超禁止令を発行するすかないのか？
御三家よ、猛省せよ！（ってもう死んでる奴もいるな）

アジモフよ、もみ上げを剃れ！
ハインライン、病気でお国の役にたてなかったお前は四十七人殺しをやれ！
そしてクラークよ、それでもお前はイギリス人か？ヅラを堂々とかぶれ！

ＨＥＲ、ＨＥＲ、
またも興奮しすぎました。sumimasen....
今回はあまりのわくわくさに実は読んでいる途中に２回ほど途中の感想をアップしようとしたんですが、「最後まで読んでみなくてはわからん」と思って我慢してたんです。結果、まったくその通りだったわけです（笑）。
その２回をぶっとばして今回のアップにすげかえようと思ったんですが、今回は敬意を込めて最初で最後の三夜連続方式でお送りしたいと思います。

初日。
一人のスタンド使いの青年が発射した弾丸が、エリザベスのババァ（初代）を打ち倒した瞬間、宗教革命派は泡と消え、スペイン無敵艦隊はその舳先を変え、その名の通りの無敵ぶりを発揮。イギリスはスペイン国王フェリペ２世の支配下に置かれると、世界はカトリック教会の支配に置かれ、法王は教会の名のもとに科学を規制し、世界は中世の生活様式そのままに２０世紀を迎えた。産業革命もない世界。中国からオーストラリアまで法王の手が届く世界。それがバヴァーヌの世界だった。
萌える！萌えまくる設定だ！これは本の背表紙に書いてある文句を脚色したものでなんら本編の手の内を明かすものではない。だけどやはりＳＦＭで第２章「信号手」だけを読んだのでは伝わってこないのだ、この重厚な改変世界の雰囲気が。やはり序章と第１章を読んでこそ、である。一冊になった時の威力はすごいのだ。半分まで読む。

二日目。
作品世界に慣れてきてあまり新鮮さを感じなくなる。牧歌的雰囲気、スチームパンク風のテクノロジー。やや退屈になるも、各章は独立した作品として楽しめる。
第１章は「ジム・ボタン」
第２章は「スキャナーに生きがいはない」
第３章に至っては『岬一郎の抵抗』、あるいは漫画デビルマン、ダンテ『神曲』といったスケールのでかさで展開される。
それで第４章、第５章、だれるというか、ああこのまま淡々とアナザーワールドの描写が続くのだなぁ、などと気を抜きながら読む。

三日目。
しまった。そこへきてこの衝撃の第６章である。
ぐあー、しまった！卑怯だよ。俺の大好きな展開だよ！
すべてはこの終末のために周到に用意された伏線だったのだ。
最近、長編小説の追い込みはファミレスか喫茶店でコーヒーがばがば飲みながら、という風にしないと駄目な俺。たぶん５回くらいはファミレスの長椅子の上でのたうって周りから変な目で見られたはず。ううん、こりゃちょっと卑怯すぎるかっこよさだね。
そして電車の中でエピローグ。
ぐぁー、『アンドロメディア』のエピローグに爪のあか煎じて飲ませてやりてぇ！
この部分の解釈って人によってはさらりと流して終わりかもしれないが、俺的には震えがきたね。やっぱこの「震え」は古本でしか味わえないのかしらん、と思いつつ、この感動に浸るため筆を休める。そんなふうに思ったのは久しぶりだ。普通は我慢できなくてほとばしる熱いパトスをキーボードに叩き付けてしまうのだが、なんかこの時はもったいない気がして、いや、ホントにぼけっと何もする気がしなくなってしまった。

解説で大野万紀さんがいっていることがすべてだと思うのでこれ以上は書かない。
ただできるだけ多くの人に探して読んでもらいたいと思うだけだ。
「ナウシカ」や「ラピュタ」のようなアニメでこの世界を見てみたい、と感想にある。１９８７年、サンリオが消えた年とはそういう年だったのだ。
訳者の方はパヴァーヌの世界を夢に見るほど強烈なものだったという。その絵柄は「ナウシカ」や諸星大二郎（！）に近かったという。う～ん、諸星(^^;
かく云う俺も古いイギリスの描写でＪＯＪＯの第一部を想像しながら読んだのであんまり人のことはいえないよな（笑）

間違いない。俺が読んだＳＦで掛け値なしの最高傑作だ。
マニアが読めない本の話を自慢するためでなく、ただ素直に思う。これは最高のＳＦであり、最高小説だと。
探せ、読め。

＃＃インテリマウスの独り言
ここからは直接作品の評価には関係しない記事です。俺がペダンティズムに浸りたいだけのコーナーです。

「パヴァーヌ」pavaneフランス：十六世紀の初めにスペイン起こった舞曲で宮廷で盛んに踊られた。孔雀の優雅さを真似た二拍子（もしくは四拍子）のゆったりした曲で近代ではラベルの『死せる王女のためのパヴァーヌ』が特に有名。（グランド現代百科事典）
なるほど、この作品にこれほどぴったりなタイトルは見つかりませんな。タイトルがすべてを言い表しているといっても過言ではない。調べたかいがあるというものだ。最近はあらかたカタカナも使い古されて耳慣れない響きは音楽の世界にあるような気がする（オラトリオとかね）

ノルマン人という言葉がやたらと出てくる。はて、いったいどんな人じゃ？
ノルディック、ゲルマンなどが連想されるがあまり外れではないことを確認。なるほど、北方蛮族ぐらいにとらえれば良いか。俺は残念なことに中学生が習う以上の世界史は独学でしか学んでいない。したがって有名な史実なのかもしれないが、「ノルマン征服」(1066)によってイギリスは「外国人」によって征服されてしまったそうな。アメリカインディアンやアイヌ人みたいな話が「英語の里」にもあったわけだ。
ウルトラセブンに似たような名前の地球の先住民族がいたよなぁ…。あ、あれは「ノンマルトの使者」か。やっぱセブンのＳＦ度はすげー。

ケルト語だのゴート語（「カリオストロの城」の中の架空の言語ではない！）だの、少数派の古い言語を教会が奨励し、わざと滅びないようにしている描写がある。言語を統一させず、民衆を統一させない。「分割統治」だ。「バベルの塔」はこのことを言い表した寓話なのだ。
実は「英語」が一番乱れてる国とはイギリスなのだった。日本だって西と東で日本語が違うように、英語の国イギリスだって地方によっては「なまり」があってそりゃもうとんでもないそうだ。オーストラリアやアメリカ、それに他の国々は「統一された近代英語」をしゃべっているわけで、イギリス英語のような混乱は少ないのだ。というような内容のビデオを中学校の自習の時間に見た記憶がある。ま、大筋は間違っていないと思う。ヘレニズム文化がどうでルネッサンスがああで、こうで、なんてことは中学校の社会の授業でもやってる内容で俺が今更ここで偉そうに講釈たれる話じゃないが、「言葉は文化」。というわけで俺は昔、またも神と人類の起源とを求めて「バベルの塔」の問題を手繰ったことがある。文化がどのように世界に拡散したかと同じように、言葉がどのように変化・拡散したのか調べたのだ。すると色々見えてくる。なぜ古い言語は動詞が後ろにくるのか？なぜラテン語ではなく英語が世界を制したのか？なぜ、インド人はヒトラーと同じアーリア人なのか？（これ、意外と即答できる人いないんじゃない？）ここらへん、インド・ヨーロッパ祖語については『言葉の考古学』（青土社：コリン・レンフルー）が非常に面白い話を展開しているので言葉のお勉強書として興味があったら一読することをオススメしておく。

我々、平和ボケのジャップには、今もイギリスには階級－支配階級と労働者階級－があること、フランスとイギリスに「かえる食ってる下衆」「北の泥沼の樵」とかいう確執があることなどは想像がつかない。スコットランド、アイルランドの血の争いを知らない。カトリックとプロテスタントの、カインとアベルの永遠の喧嘩を知らない。話はそれて、インドとパキスタンの話なんてずっと前からある話だが核実験なんて言葉が出てくるまで無関心だったし、今も無関心な人はいる。地球人類という兄弟は憎しみという凶器をもって戦争という名の兄弟喧嘩を絶え間なく続けているのだ。今我々は第二次世界大戦という大きすぎる兄弟喧嘩の後の小休止を味わっているに過ぎないのだ。平野耕太はエロ漫画家だが、マンガでここらへんの問題にサラリ触れていることに俺はすごく感心するのだが。
パヴァーヌはイギリスがもっと知りたくなる。人間をもっと知りたくなる。言語が思想を生み、思想が宗教を生み、人々が宗教という哲学によって生かされていることを、無宗教の神亡き神の国の民である我々にさえ教えてくれる。そんな作品のような気がしてならない。
ちなみに、キリスト教が成立した背景をすごくわかりやすく解説しているのはヨースタイン・ゴルデル『ソフィーの世界』である。宗教という名の哲学をやっつける際には是非読んでいただきたい。

『高い城の男』と『モンゴルの残光』とかも読みたくなっちゃった。

すべての古本をこの一日に…- 98/06/29 00:00:00
本日の調子:禿げあがったアッカーマンなみ

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＃６月２８日
ぼつさん＆溝口さん合体サイト「クラスターの領地」にも紹介されているが、俺のまだいったことのない中央線沿線（中野・大久保方面）の古本屋さんにいってみたのだ。（昨日off会がなければ行こうと思っていた）
高円寺の古本屋さんは日曜日休みなので、「やってなかったら」とか思ったけどちゃんとページの紹介みれば場所や定休日が書いてあるではないか。駅名と店名だけ押さえて出かけて、なかなか店舗が発見できずうろうろしてしまった。いつもこうだぜ＞オレ。
しかし！「恐怖モバイル男」の俺は計測ギルド員（逆転世界）のようにＰＨＳの電波状態を確認し、路上より「クラスターの領地」へ侵入。詳細データ確認し、地形分析。目的地へ向かったのだった。
そして、収穫。

「高原書店・新宿古書センター」
「サンリオお買い得」情報を聞きつけて行く。なるほど、コンプリートで３０万、という売り方だったのをようやくバラしたわけね。しかし、プレミアの付け方、カスミ書店と似ているなぁ。しかし、幅が広い。『ロードマークス』（ゼラズニィ）５００円から最高は『馬的思考』（ジャリ）８千円まで。これ、８千円もする本か？『パヴァーヌ』が１５００円だったみたいだぜ。（価格の一覧表があるのだ）アンナ・カヴァンとか俺が名前知っていて欲しいやつ『去りにし日々…』とかは４千円だ。ちっ！一つも欲しくない＜ホースクラン＞＜グレンジャー号＞とかは千円。妥当だ。売れ残っていて欲しいもので２千円以下のものを購入。
『コスミック・レイプ』『バケツ一杯の空気』『スラデック言語遊戯短編集』。
『ガープの世界』は５００円だったのでせっかくだからサンリオ版を買った。
『沈黙の声』（トム・リーミィ）はサンリオ版はなかったがちくま文庫のがあったので購入。（近所の本屋で見たが、もう入手難しいのでは？）
『サンディエゴ・ライトフット・スー』は先日カスミ書店で買ってしまっていた。ここの方が安かった。悔しいがこれもまた人生。（古本は最近負けが多いのだ）
早川ＳＦ文庫、創元推理ＳＦ文庫はやや興味深い品があったが、品揃え、価格ともブックパワーＲＢワンダー館なみ。状態もあまり良くなく、特に購入しない。ああ、お願いだからサンリオの背中に直接値段シール貼らないで！

「古書ワタナベ」
ここは小さい、だがその品揃えはスバラシイ！！ここで俺が最近欲しがっていた文庫本がほとんどそろってしまった。「回転率が良い」とあるが、確かに、棚に並んでいない本も魅力的だったし、俺が買った本も一部は積んであった。また補充されるのだろう。
９０年頃、ディックの短編がちくま、新潮、早川から続けて出そろい、「いったい何が？」とか思っていた。俺は後輩に薦めてハメておきながら自分では気に入ったモノしか購入しなかったので本棚は不揃いだったのだ。今、コンプリートになる。特に早川の４冊は今でも買えるが、一冊だけ新しいのもナンなので古本を探していたのだった（笑）バラで売っていてラッキー。福武から出ていた『第三次世界大戦秘史』（バラード）は長年、出版されていたか否かも不明だったので実物を見、安価で購入できたことがすごくうれしい。（後ろに、「福武書店(平成７年３月まで)／ベネッセコーポレーション(平成７年４月１日より)」とある。俺がＳＦから離れているうちに起こった事件の一つだ）
それなりのお値段だった本、『パパの原発』『エデン』『ギャラクシー』『戦時生活』。
結局一番高かったのがシェパードの本である。千円。ジグソーさんと同じ値段で送料やこれ以上探すエネルギーを考えて妥協。ま、今新刊で買えば８００円くらいになると思われるので気にしないことにする。おしなべて本の状態は良い。良すぎる。ビニールでパッケージングされている本なんかは開けるのがもったいないくらいだ。（でも飾りじゃないのでムク）グラシン紙で包まれていないやつもきれい。紙が茶色くなってる本も少ない。
『パヴァーヌ』は読めないくせに書評などで必ず引き合いに出される悔しい本であり、作品世界の設定が個人的に萌え萌え＆ＳＦＭで読んだ第二章「信号手」がけっこう面白かったので、１冊の物語として是非読みたかった本。レジの奥に見えたので、売ってもらえるか聞いたところ、「申し訳ないんですが高いんですよ、コレ」とほんとうに申し訳なさそうにいわれる。売り物であることを確認し購入。これは「いくら払っても良い」という覚悟があった本なので、カスミ値段よりやや安めで入手できたことを幸いとする。（すんげー良い状態）
しかも「お探しの本などありますか」といわれてうれしくなる。なるほど、探求書も受け付けてくれるとありますな。書名を告げると「他にも頼まれてますねー（笑）」とのこと。お兄さんの心意気だけで満足だったので意気揚々と立ち去った。
これで、「あれば買う、ではなく探している本」（未読よりは既読で未購入の文庫）はとりあえず両手の指で収まる数になった。ミッション・サクセスフル！

＃＃ザ・少女漫画・ワールド（時よ止まれ！)
柊あおい『耳をすませば』と『星の瞳のシルエット』の番外編を探すうちに
『ペパーミント・グラフティ』なる未読作品を発見。即購入。
作品解説「現在では、８ミリもすっかり過去の物となってしまいました。ですがかろうじてまだ、こんなふうに残っていたりするだろうか、と思って書いてみました」という柊あおい先生。女子校４人が男子校の自主制作映画作りに参加しながらくっついていく（笑）ホットな青春ラヴ・ストーリー（炸裂系）。
家に着いて読もうとするが・・・は、恥ずかしい！
なんということだ、インターネットでここまで自分の恥ずかしい部分をさらけだし、あげくに今リアルタイムで見ているアニメが「センチメンタル・ジャーニー」だけ、というオウムの荒行を乗り越えてきたのに匹敵する俺の精神力が、この漫画には「ま、まるで通じない！」。
落ち着け！おまえは『耳をすませば・番外編』掲載の「りぼん」を二十歳過ぎて堂々と書店で購入した男！いまさら何を臆することがある？
だ、だめだ、第一話を読んだだけで心拍数が通常の３．５倍に跳ね上がっている～。
苦戦、悶絶、ようやく読破。感想。
はーとうぉーみんぐ炸裂！（王大竜、死亡確認！）
まだまだ修行がたりねーな。俺も。
柊あおいさんは同郷の漫画家さんで、『星の瞳のシルエット』連載時には地元、栃木放送の某番組で熱く内容を支援されてたりしていたものだ。俺は同人やっていて、栃木市の即売会とかで「あおい先生と会っていたかも」とかどきどきしながら妹のりぼんを読んでいたのだった。学校（高校）の設定がもろ栃木な作品が単発ものには多く（『乙女ごころ・夢ごころ』では全開！！）この作品もいきなり「女子校ってはりがないよねぇ」「東高って男子校よ！」とか必殺のセリフが炸裂！（俺の学校だよ、）上石川くんとか鹿沼さんとかが出てこないだけましだが、FreeTalkで、「自分も女子校でした」（どこか知ってるけド）とか、「８mm映画自主制作してました」（アレか？）とかかなり反則な内容が語られており、別な意味で色々熱くなった。昨日のoff会でも８mmの話とか出ちゃったもんなぁ。
若者よ！青春は二度と返ってこない。悔いなく生きよ！
（とはいえ、若者のときはこういうセリフを吐くオヤジを馬鹿にしてたんだよねー）

「バンザイ！」「アリガトウ！」(宇宙の戦士84p)の一日- 98/06/28 03:00:00
本日の調子:脱出に成功したNo.6なみ！

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＃６月２７日
book-MLのoff会に参加してきた。
昼の部では「ヴァーチャル・読書会」という企画があった。架空の作品設定から架空の作品についての読書会をやる、というもので（ＳＦセミナーで行われた企画だとか）参加者が架空の感想（要するにホラ）を語ることで次第に架空の作品が形作られて行くという、うーん、なんかレムの『完璧な真空』的な世界じゃん。何か奇妙な実験に参加しているようなわくわくがあり、だんだん作品像がくっきりしてゆくプロセスが見えてとても面白かった。
今回のお題は「ミステリ」だったので、「ああ、ＳＦならもっとむちゃくちゃにできたのに」と思ったけど、ミステリの勉強にもなって、「ううむ、学ぶべきところは常に隣に転がっているものだ」と思い、中学生以来読んでいないその分野にチャレンジしたいなぁ、と思いつつも、未読のＳＦをやっつけるのが先かな？という自己ツッコミをしておく。
その後もいろいろな出版・翻訳に関する興味深い最新情報が得られて非常に実りの多い会合になった。

そして夜の部はタコス屋であった。うーむ、医者に「酒禁止」をくらってノン・アルコールだったのだが、脳内麻薬ドバドバ状態だったので終始ハイテンションでいられてかなり楽しい・幸せな時間がすごせた。
ＳＦやその関連ネタを全開でしゃべることができるという環境がこんなに楽チン＆楽しいとは。ディストピアＳＦの主人公が反体制派の集会で味わうのはこんな感じか？とか思ってしまった。（参加者の人たちが「反体制派」だといってるわけではありません（笑）念のため）
平均年齢が思ったよりずっと若くて「若人よ、君らに未来を託そう」とか思った（嘘）。ってゆうか学生時代に戻ったような気分になれた。（自分より年長の方のお話もいろいろ興味深く拝聴しました）
ＭＬ自体は参加して日が浅いので、今日始めて知った方はここでの出会いがファースト・インプレッションになり、それで固定されたわけだが、溝口さん、ヒラノさん、【RIKI】さん、かつきさんについてはｗｅｂページを見ているので「なるほど」という照合結果が得られました（笑）。逆に私のページを知ってる人には「んー、ページ通りのナイスガイ！（ベストガイでも可）」という印象を与えることができたようで、ミッション・サクセスフル！な感じだったように思う（笑）。

ま、とにかく楽しかったので自分のために、もっとＳＦ以外の本を読み、ＳＦはさらに磨きをかけるのだ、と思ったマル

＃その後

で、０時頃帰宅。
ヒラノさんに借りた「８００」のビデオを見る。うーむ、まごうことなきアルゴ・プロジェクトのテイストだった。原作を知らずに「アルゴの映画」として見たらどうだったろう？と思うがすでに原作を読んでしまっている以上、映画の不出来を認めざるを得ない。悪くない部分もあるが、悪い部分の方が目立ちすぎるなぁ、この手の映画は。
で、おまけで入っている「敵は海賊」のアニメを見る。
おお、面白いじゃん、これ、どこで見たんだろう？自分で借りて見た覚えはないが、キャスティングに覚えはあるし「あぁ、ピアポッポが飛んでいる～」の第１話があまりに原作そのまんまなんで感心した覚えがある。（２話以降は絶対に見ていない）制作年代とかちょっと探ってみようかな。（ＳＦ大会かしら？「ビッグウォーズ」のアニメとかもＳＦ大会で見た記憶が…）
いやー、ホントに面白かった。ラジェンドラ最高！（ごく最近、この話題をどこかで語った記憶もあるが…）確か高校生の時、図書館で（初めて？）読んだＳＦＭにこれ（「猫たちの饗宴」）が載っていたと記憶するが、こちらもちょっと掲載号などを調べてみよう。夏にクーラーが効いているところで読んだ気がするんだよね。
というわけで、『戦闘妖精・雪風』と『完璧な涙』以外神林作品が家にないことに気づいたので『敵は海賊』を２冊買ってきた。こーゆーノリならお笑い系スペオペでも平気なんだけどなぁ。
結局あまりのおもしろさに中断できず４時近くなる。どーもごっつぁんです、幸せでした、な一日でした、っと。

ロシアよりのハラキリ小説！ほか- 98/06/27 00:00:00
本日の調子:大統領になったときのエリ公なみ

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＃６月２６日
ＳＦマガジン９８年８月号（特集・ロシアＳＦの現在）収録の『未調理のフグ』をゲラゲラ笑いこけながら読む。は、反則だよ、今度はクジラじゃなくてフグだよ、不具！
ソ連が北方領土だけではなく、「ロシアの統治権」も日本にくれてしまった話！（嘘じゃないぞ、ホントだぞ！）
芭蕉の句を読んだ挙げ句に切腹！！！
死んでくれロスケ！短編ではソムトウを超えたか…。

漫画『ＲＩＮＧＯ』（恋緒みなと）が完結していたので購入＆読む。おお、そういえば「バーチャル・アイドル創造」なんか、「アンドロメディア」ではないか。しかし、「バーチャル・アイドル」とかいう言葉もいたずらに使われすぎだよな。
「タカハシくんはもう、バーチャルアイドルとかやってるのかな？」とはうちの課長のセリフ。まさに石丸電気で「マルチメディアください」といっていたオヤジに匹敵するな。（最近のヒットは「windowsのケーブルをください」かな？）そこで俺はオヤジが喜ぶように「ええ、とっくにやってますよ、バーチャルアイドルで」と答えておいた。うーむ、「バーチャルアイドルと」だとアブナイ奴になっちゃうよな。日本語って難しいネ。
基本的には『オレ通ＡtoＺ』を越えられていないし、というか、テーマも違うのに、回数が増えただけで同じテイストしか得られなかったことにちょっとガッカリ。作者の限界が見えてしまったような気がする。むしろ、おまけというか、「ＲＩＮＧＯ」の前に描かれた「ＡＩＤ・Ａ」のほうが、『俺通ＡtoＺ』のインターネット版としてよくまとまっていると思うのだが。「俺通」の感想がどこにもアップされていないのでこれ以上は書かないが、「俺通」を高く評価していただけにかなりガッカリな内容だった。ギャルゲー社長をめざしたい俺としてはそーゆー展開に的を据えてくれればよかったのに、と思うのだった。

『キャンプ・コンセントレーション』（サンリオＳＦ文庫）トマス・Ｍ・ディッシュ、読了。- 98/06/26 00:00:00
本日の調子:おめでとう、のシンジくんなみ

コメント:
＃６月２５日
『キャンプ・コンセントレーション』である。ネタバレだが気にしないで書く。
スピロヘータ（あるいは「パリダちゃん」）使って、「脳梅毒」で天才になろう！小説である。（なんで知ってたんだろ？）
とにかく最高だ！俺の人生の中で最高幕僚会議状態だ。
今小説書いている連中よ、貴様ら全員に猛省を要求する！ってゆうか
腹切って侘びろ！
それと現代の出版社に告ぐ。
死ね！死んで侘びろ！この作品を万人が読めないという事態を恥じろ！
それと文部省（でいいのか？）新井素子を教科書に載せるヒマがあるならこれを載せろ！
０歳児からのトム・ディッシュとか地球人類には必須だ！！！
ＨＥＲ、ＨＥＲ、・・・
少し興奮しすぎて支離滅裂・無知蒙昧・五里霧中・天上天下唯我独尊状態ですな。反省＞オレ。
というわけで、「うわーい、下品でリスの檻でプリズナーなお話だー」とか脳天気（おお、今となってはなんという詩的表現！）な気持ちで読んでいたんですが、だんだん事の重要さに気がついてきて、ラスト３ページの大逆転に超驚愕！なめていたよ、『逆転世界』の逆転の６万倍の衝撃だよ。映画「裸のランチ」のロイ・シャイダーだよ。詩の技法、あるいは死の技巧、あるいは知の技法、恥の技巧。とにかく、きらめく脳内のオーロラ・プラズマ返しをとくと見よ！ビホールド・ザ・脳！って感じですな。
『コンピュータ・コネクション』超えちゃったな。どうしよう、俺ベストＳＦ。百年ぶりに１位更新か？
訳は同じ野口幸夫さん。ベスターのときはちょこっと文句たれましたが、これの翻訳をやったというのは歴史に残る大事業でしょう。私は両手放しの大賛辞を送りたい気分です。
しかし、今回、久々に読めない漢字満載だったなー（笑）。動植物、病気・人体系はけっこう読めるんだけどね。『Ｘという漢字が読めますか』という本を手にとって、「くぅ、修行が足りん」とか思ったんだけど、今回は話が面白い故、読めない漢字に出くわすとなお悔しい。中学・高校生の頃の読書のように、漢和辞典と国語辞典、あとカタカナ外来語辞典を側に置いて読んでいた。あの頃、難しい引用や知らない固有名詞（人名・地名・劇・歴史的事件）は部屋にあった学研のグランド現代百科事典を開きまくった。（残念ながらこれに勝る知識エキスパートシステムが現存しないのでいまだに俺の部屋にはのこ百科事典が存在しする）大学生のときはｉｍｉｄａｓを読むのが趣味だったしなぁ。（科学・地理・風俗ぐらいだったけど）
この本は結構厚みがあって、サンリオ配列なので結構文字数が多い。ところが、実は本編は３５０ｐ中２６０ｐまでである。残りはなんと広大な訳注なのである！
いやーもう、最初は知らないからさ、また昔みたいに辞典広げるところだったよ（笑）。
常々思っていたのだが、「活字離れ」とか云われて世間一般民間人が本を読まなくなっているのはなぜかと考えるに、それは読書というのはスポーツと同じで能動的な行為だからなのではないかと思う。「読もう」と思わない限りそれははかどらず、脳内のニューロンを腕立て伏せのように運動させるわけだから、ま、好き好んでやる気をみせないとできないことだと思うのだ。読書を能動的行為だとするなら、本は「アクティヴ」な能力を必要とするメディアであり、ＴＶやヴィデオはさしずめ「パッシヴ」な能力で楽しめるメディアである。ならば映画は？そう、劇場に足を運ぶから「セミ・アクティヴ・ホーミング」メディアであろう。（これは嘘（笑））ああ、なんか話がチャフの中のミサイルのようにそれまくりだが、本題に戻ろう。読書とは、それなりの意志を必要とする。よって、受け身な環境に慣れきった輩にはなかなかにしんどい作業なのだ。しかも、「知らないこと」が列挙され始めると多くの人はそれに立ち向かおうとせず、無視するか、拒絶するかである。子供の頃、妹と俺は各々本を読んでいた。知らないことを知ることも読書の大きな意味なのに、妹は分からない個所をことごとく俺に聞く。当然、俺のほうが長く生きているわけで妹より多くのことを知っている。でも、俺が知っている以上のことは知らない。わからない言葉は辞書で引けばいいというと、「意地悪」だの「それならいい」だのといってけして探検しない（自分の知識にしようとしない）のだった。そして、彼女にとってわからないことが多すぎる本は投げ出してしまっていた。（橋本治の本だったりして俺にはたいそう面白かったりした）これは俺の妹が不出来という話ではなく、もっとも身近にいた、「イキのいい一般民間人サンプル」だったというだけのことだ。本を読み、知識を得るのは運動と同じだ。やる気なきものは去れ、なのである。で、やる気を出して果たして何が得られるだろう？感情の高揚か？脳内のインパルスか？いや、紛れもなく知識と経験だ。まぁ、本から得られた「仮想の」知識と経験だけで生きてもらっても困るんだけどね。で、『キャンプ・コンセントレーション』はタイトルからしても比喩、隠喩、マルチプレックス、意味論、哲学、詩、この世界の縮図そのものだった。俺の「電脳独房」のトップページの一言、「人間は自分という名の独房に閉じ込められている」そう、その世界だったのだ。俺の心にぴったりマッチ、というかヂャストフィット（おじいちゃんでも漏れない！）感じだ！！知的探求という名の読書運動を堪能させてもらいましたよ。いやはや、標高３７７６ｍの登山、あるいは暗黒大陸一番乗り野郎の冒険のような読書を堪能できたのだった。
驚くべき詩的引用、知的参照、散文的歪曲。『コンピュータコネクション』は半分くらいはネタがわかったけど、今回は全滅に近い。しかし、半分読み終わったところで野口さんの訳注の存在がわかり、それを参照しながら読み返す。読み進む。ＡＶＧをやっているような気分になる。『コンピュータコネクション』とは別の理由で読むのに時間がかかる。一気に読んでしまうのが惜しくなるが、じっくり読むことも俺の性格がゆるさない。面白いコンピュータゲームにはまったときとまるでいっしょだった。
ただ、難解。然り、意味不明。よまいごと。迷い言。普通の人にはそうかもしれない。万人に勧められないかもしれない。だがしかし、詩や文学とはいったいそういう種類のものではないのか？俺は誰かに誉めてもらいたくて難しい本を読んでその感想を書いているわけじゃない。単純にそれが俺にとって至上の喜びだからに他ならない。我は異形の文体を訳注ページにまたがって進む冒険者なり。そしてただ、これが、この言葉が作品が、世界に埋没していることが我慢ならない。ただそれだけの思いでこの文章を書き、アップしているのだ。
『ロードマークス』もかなり作品構成としては好き放題やっている。散文詩と同じだ、と思ったが、この『キャンプ・コンセントレーション』の濃縮・凝縮・圧搾された意味と知識の渦にはとうていかなわないのではないかと思う。単語一つ、文章一つの意味の重さ。ディレーニィ、バラードに匹敵する。そしてその手法は俺も大好き。俺の書く文章も、俺にとってはほとんど意味のある言い回しであり、名詞は数字にすら意味があるのだ。たとえば、わかりやすいところで「６６６」、「２５６」、「６」、「４９」、「１１３８」、「３３４」等。学生の頃書いた小説なんかだと、「コモン」なセンテンスを探すほうが難しかったりするほどだ。ただ、俺の昔の小説やここにアップされる文章は商業用ではない。コアでマニアックで、わかるやつにわかればいい的な同人レベルのそれである。ディッシュは危ういところで「わかるやつにわかればいい」と商業的に成功しなければならない境界線を保ってこの作品を書き上げている。そこがすばらしい。
そして、ラストのささやかなエンターテイメント。ぐわー、俺は「ディッシュの作品は好きだがディッシュ自身については」などと言葉を濁してきたが、もうこれからは声を大にして「ディッシュ、汝を愛す」といわざるをえまい。
というわけで、また人には薦められない俺の至高のお気に入りがまた一つ。である。

p.s.うーむ、やはり村上春樹を読んだとき、トーマス・マン『魔の山』は読んでおくべきだったのだ。あの分厚さにおののいて、「トニオ・クレーゲル」でごまかしてはいけなかったのだ（笑）。福武版『マルドロールの歌』が手元にあっただけ善しとするか。

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