ゆうきの読書日記ダイジェスト(98/4/7〜98/5/24)



ほぼSF文庫の本棚に関しては一部例外の新刊を除いて凍結状態だった。
ハードカヴァについても非SFで『敵対水域』が大当たりだったぐらいで、『ブレードランナー3』『あいどる』も淡々と読んでいた。
とりあえず、SFオンラインの大学SF研の特集のアップデートを見た4月1日以降からのSF読書に関する情報をNIFTYのSF研パティオからピックアップして補完してみた。
このページのみ日付降順で記述してます。


#4月7日
『ロボットシティを捜せ!』(角川文庫)

SFオンラインでエフィンジャーの本を読んでみたくなって古本屋に行き、なぜか角川の<電脳惑星>シリーズが2冊づつそろっていたので試しに1冊買って読んでみた。
シリーズもの&アジモフのロボットものは読まないというポリシーだったが、よくよく見れば書いてるのはアジモフではなく、キュービー・マクダウェルではないか。しかも、訳は黒丸尚だし、バロック調だし、宇宙人でてくるし、アジモフ・コードも今読むとおもしれーし、でずいぶん食わず嫌いで損してきた気がした。
これを機に、SFを見直そうという自己内部ムーブメント(いわゆるマイブームか?)が発生。月1、2冊位の小説以外は全部パソコン・ゲーム雑誌+SFMだったのことに気が付いて自己改革を計る。なんとも、アジモフ爺ィのおかげでSF者復帰とは…妙なもんである。
後日、あわてて買い揃えてみたところ、なんと4冊全員違う作家の連作長編だったのだ。知らなかった。しかも、すげー面白い展開のところで未完!ひ、ひどすぎる。先輩に聞いたところ、<電脳惑星>はこの2倍くらいの量があるが、売れなかったので販売計画が中止になったとのこと。やっぱりSFって売るの難しいんですかね。(って俺も買わなかった方の人間なのでなんともいえない)


#4月9日
我が家のSF本棚は2層構造になっている。好きな本は前面に、そうでない本はその後ろに並べられている。好きな本はわかっているが、「あまり好きでない」本に関しては蔵書のリストを把握しきれていない事に気が付き、本棚をひっくりかえす。
あると思っていたのにない本が意外と多くて唖然とする。銀背で買ったので文庫は買わなかったり売ったりしたものも多数あるようだった。日本人作家・非SFに関しては全滅状態と知って唖然となる。だいたい光瀬龍が『百億の昼と千億の夜』だけ、矢野徹、川又千秋が一冊もないというのは俺的にも信じられない事態だった。確かに読み返そうという気もなかったけどねぇ。
で、『地球の長い午後』読み直し。
今読むとグロいだけだよ、オールディス!とかいいつつ、読むのを中断できなかったのも事実で、今の作家にこういう「牽引力」って少ないんじゃないかな?とか思った。引間徹の『19分25秒』は「牽引力」の固まりで、ストーリーもガジェットもなかったがとにかく読ませるタイプの小説だったことを思い出す。まぁいいや。アホのポンポンがいじめられるところを堪能しよう。キノコパワーで人類が進化した所にかなり感動があったのだが、今読むと全然他のガジェット(植物)の描写の方が面白いな。進化の果ての「退化」を明確に描いているSFって実は意外と少ないんじゃなかろうか?
ついでに『人類皆殺し』読み直し。
こちらは完全に飛ばし読。好きな方の作品は人物名やプロットを追うだけでいい。
しかし、なぜやっぱり最後、ロリータに走るかな?そこに純粋さを求めちゃう時点ですでにSFか?
『夏への扉』もずいぶん読み返していないから今読むとまた違った感覚が味わえるかもしれんな。


#4月11日
『重力が衰えるとき』(早川SF文庫)

しまった!俺がSF研から離れる92年頃、エフィンジャーはひろき真冬氏の表紙をまとっていっぱい平積みになっており、「ああ、なんでこんなんばっかなの」とかぼやいていたのだが、それは完全に食わず嫌いだった。「ハードボイルド」なんて言うから読まんのだよ。キタカタケンゾウ先生の「いいか、ボウズ」しか思い浮かばないんだから(苦笑)『ゴールデン・フリース』『レッドシフトランデヴー』も同期だな、確か。創元の復刻SFにしか目がいってなくて「早川ダメですな」とかいってたんだもんな。
エフィンジャー、サイバーパンクじゃん。「モディー」と同じガジェットを先輩のSFで読んだことを思い出し、それは『コンパイラ』の「コーム」と同じで人間に使ってるだけじゃんという気がしていたが、エフィンジャーもやっていたとは。しかもこのおっさん、アラブ人のコスプレしてるしー(笑)。続きが読みたいのにもう売っていないとは!
溝口@書物の帝国さんの復刊希望募集企画「審判の日」にけっこうこのシリーズの復活を希望する投書が多いのもなっとく。ああ、先入観は捨てないといかんと大反省。


#4月16日
『海魔の深淵』(創元SF文庫)デヴィッド・メイス、購入&読了。

前々から買うか買うまいか悩んでいたのだが、
暴走野郎さんの感想を読んで「これは!」と思い立ち、嗅覚を働かせて赤坂にて即GET。読んでみたところ超アタリ。
くっそー、なんか創元ノヴェルズで出してる嘘臭い架空戦闘兵器サスペンスが間違ってSFで出たのか、それとも『21世紀潜水艦』みたいに古くさい近未来戦記か、とたかをくくっていたんですが・・・どっちでもなかった。
84年に書かれたモンですが、東西最終戦争終結後、自動防衛状態に入った完全自動海底要塞の機能解除作戦です。
で、これがなんでSFなのか、ようやくわかった。話の主軸が作戦に使われる「サイボーグ巡航潜水艇」なのだ。もう、4ページあたり6回は「ロボット戦闘体」とか「サイボーグ体」とかいう文字が出てきてもう最高にアドレナリン出っぱなし。
兵器類のコードネームはヨーロッパの神話や伝説の怪物たちのもじりだしー。
かつて読んだメデューサの比ではない兵器の活躍ぶりだ!ガンヘッドの百倍だ!
ストーリーや人物は陳腐だし、どこかで見た設定のオンパレードだが(復活の日+星の墓標+ガンヘッド+ロボコップ+2001年+どっかの深海SF)それでいいのだ。書かれたのは84年だし、戦闘サイボーグが能力全開の話なんてそうめったにあるもんじゃないし。俺、人間の描写なんてどうでもいい人だしー。くっそー、カッコイイぞ、「デーモン4」!
&『SF大将』(早川書房)とり・みき
単行本ようやく買いました。SF者にはやっぱこたえられませんなー。
ファミレスで大爆笑してとなりのカップルに怪しまれました。
本当はこういうスタイルで「漫画で読むSF」っての自分で書きたかったんですが。
SF大将はSFのパロなんで元ネタ知ってないと楽しめないのが弱点ですねー。
元ネタのセレクトがマイベストに近い気が・・・


#4月19日
77年前後のSFM、4冊購入。

「翼のジェニー」
うーむ、SF大将のネタもきついよなー。半分以上もう読めないSFじゃん。
これは漫画通りの話だった(笑)ハートウォーミング。『耳をすませば』でもまた読むか。
「信号手」
サンリオ文庫で必読と叫ばれながら絶対に入手不可能で名高き『パヴァーヌ』の中の一遍。イギリスSF特集に収録。なるほど、確かに面白い。連作で作品世界が構築されていけばもっと面白いのだろう。エリザベス1世暗殺で歴史改変という設定だけでもうイキそう。
「サンディエゴ・ライトフット・スー」
これも『パヴァーヌ』と同様。読めないが人気があるサンリオの同名短編集に収録された作品。確かに「美しい物語」ではあるが果たしてSFなのかという疑問が(苦笑)
でもそれいったらシャーリィ・ジャクスン「ある晴れた日」なんて全然SFじゃねーよな。あれを『SFベストオブベスト』に入れたジュディス・メリルはえらい!おれはこーゆー境界線文学ならもっとグロい話の方が好きだけどね。他の短編も読みたくなったのは事実。あれ、この号「ハングマンの帰還」も入ってるよ。超お買い徳!


#4月23日
『さよならダイノサウルス』(早川SF文庫)購入&読了。

やはりネット上の書評で人気もあったので謎だったソウヤーを読んでみる。やばい!やばすぎる面白さだ!書く気になればこーゆーSF、90年代になっても書けるじゃん!
昔自分が似たような短編書いて、主人公が軽蔑する「ガッツン説」の方を採用した挙げ句、「恐竜は隕石で滅びたんだろ?あんたは何を調べてるんだ」というまったく世論に躍らされた側に立っていたことを知らされて大ショック。
時間モノ、恐竜モノ、宇宙人モノ、運命論、どれも大好きなネタでちょびっと「プリズナーNo.6」とかゆー記述も出てきて満足。支離滅裂になってない大風呂敷の広げ方に脱帽。
最近チェイネシア口調なのは恐竜が「シャチョさん、それ違うね」だからだよ!他も読まないとダメか?>>ソウヤー
カナダかイギリスの作家かと思ったが、主人公がイギリス人なのでイギリス的な描写が多いと気が付く。ソウヤーは間違いなくアメリカのSF作家だ。


#4月24日
SFM98年1月号(500号記念号第1弾)読む。

98年2月号買っていないことに気が付く。
SFM98年1月号『500号記念特集号』に収録されている短編は今読んでも涙がでるほどSF味の強いものばかりです。
もし未購入で、もし余裕があるんでしたら、そしてまだ三省堂に置いてあるなら、買って下さい。いや買うべきです。この文章を見た人は!
「フェッセンデンの宇宙」ハミルトン
「バケツ一杯の空気」フリッツ・ライバー
「孤独の円盤」スタージョン
「ドリフトグラス」ディレーニィ
「去りにし日々の光」ボブ・ショウ

上の3つは初めて読んだ。か、感涙だ。これがもう読めないなんて犯罪だ。
下の二つは既にお気に入りで、ドリフトグラス(サンリオ版は「流れガラス」)は無論オレの短編のベスト。顔から胸毛はやした不具者の水棲サイボーグに、若く美しい水棲少女が聞く。
「おじさん、そこでなにしているの?」
「『流れガラス』をさがしているのさ」
詩だよ!間違いなく一枚の絵画だよ!
「きょうもまた満ち足りた日々を」ヴァーリィ
はマイベストの頂点「しばし天の祝福より遠ざかり」スチャリトクルの対極ネタ。
感動だよ。並べて読ませろよ!
「三人、約束の星へ」コードウェイナー・スミス
は同人誌で買ってすげー奧にしまったまんまだったはず。未訳はあとわずかか?
そして、10年ぶりのオールタイムベストの座談会、
「素直でナイーヴ、あまりに日本的な・・・」
アメリカのSF雑誌の遍歴を追った、
「SF雑誌たちの夢のあとさき」
そして「海外長編・短編・ベスト50ガイド」をくわえれば、『SFハンドブック』の90年代補強版になること間違いなし!
オレがもう一冊買って部室に置いておくか・・・・


#4月27日
『ソングマスター』(早川SF文庫)オースン・スコット・カード

そうだよ、カードのストーリーテリングというか、お涙頂戴炸裂文体というか、まったく典型ですな。きっとノーマルな人はこれが面白いんだよきっと。
いや、確かにまったく興味のないテーマや語り口なのにぐいぐい読ませてるんだからオレもおもしろいと思いましたよ。ただ、これだけ厚みがあって、宇宙人もガジェットもヘンなディティールも0なら、オレはジェフリーアーチャーやキングを読めばいいのであって、せっかくSFならなぁ、とか思ってしまう。
スタージョンとかが「人間の描写」をするのになさけ容赦がないのに比べて、カードは極めて良心的。アジモフやアンダースンほど退屈じゃないところも秀逸。しかし、自分の歌歌ってもらうために79年も待たされちゃう銀河帝国皇帝って、そこの部分だけは涙なしには読めないかもしれない。
いや、ほんと良い話なんですけどねー。アレもゲームセンターあらしってるところまでは。>>『エンダーのゲーム』
エンダーも少年のお話なので、図らずも似た作品を読んでしまったのかも知れない。後日先輩から猛烈に『死者の代弁者』『ゼノサイド』を読むように薦められる。うむむ。
カードについては
司書の駄弁者さんのページに詳しいのでそちらを参照されたい。


#4月28日
『時間旅行者は緑の海を漂う』(早川SF文庫)パトリック・オリアリー読書開始。

おお、ディック的かつ矢追純一的で俺の好みにぴったりマッチ!後ろの「ハリウッドでタイムマシンを燃やした」がやっぱり本物のタイムマシンを燃やしていると知ったときは衝撃がでかかった。半分食らい読んだところで、『レギオン』で中断してしまった。


#4月29日
『戦闘機甲兵団レギオン』(早川SF文庫)ウイリアム・ディーンツ購入&読了。

ついにハヤカワSF文庫4月の新刊、『戦闘機甲兵団レギオン』が出た!
か、かっちょよすぎ!ハードワイヤード以来の本格カッチョイイメカSFか?
期待に胸を膨らませ一気に読み進む。
「軍曹は神に継ぐ階級なので」とかゆー、トゥルーパーなセリフが早くも炸裂!
読後、なーんか良くある話だって感じ。くそ、なんか似た話を読んだぞ、しかも印象に残らないやつ…あったあった、『運命の星フェンリル』。その場で読み直し。
『運命の星フェンリル』の逆パターンか?雰囲気の安っぽさが『スターファイター』していていやでした。が、ヴィヴ・ラ・レギオン!なので萌え萌え。広井王子プロデュースでゲーム化希望(笑)。その名も「帝国レギオン団」。駄目か。
こーゆー勢いだけで読める中身のない話もいいよなー。確かに陳腐な話だけど、ウインドスゥイートがかわいいし、ガンナーおじさんがカッコイイので許すのです。


#4月30日
「オススメSF第3弾」を書くため、&解説ページも見つけたので『キャッチワールド』読み直し。(あうー、あとがつかえてるのに)
ダメです。良すぎ!
法華教団殺人僧侶にして侍、そして<憂国>号艦長、田村邦夫。
MI(マシンインテリジェンス)ってオレの造語かと思ってたらコイツじゃん!
確かに恒星間宇宙船の戦闘描写とか解説付きで読むと凄いよ。
オープニングの田村艦長の「忍法、カラタケ割り!」とかのイメージしか残ってなかったけど、一冊で「ワイルドカード」の内容がつまってると思うと濃縮小説といえなくもないよな。


#5月2日
銀座で「スターシップ・トゥルーパーズ」を見る。

初日だったのねー。不思議なおじさんに前売り売ってもらってラッキーだったね。
しかし、あんな映画に人が並ぶとは・・・意外ッ!!
驚くべき事に見事なまでにハインライン先生の右側のみ抽出して作られた映画でした。
あれならきっとあの世で満足なさってるでしょう。サンライズアニメの時は「死んだからって好き勝手やりやがって!」って感じでしたが。パワードスーツなし&カルメン禿げてない以外はほとんど原作に忠実でしびれまくり。家に帰って読み直してみたら、単語単位で同じだったのでびっくりしました。
1本の映画にするために統合させらたパート、省略されたパートもありますが、わかりやすくていいと思います。(たとえばクモ宇宙人の攻撃はリコの母親の旅行先にあるが、映画では故郷の街という設定で、両親とも通話中に死亡、ヘンドリックの鞭打ちはリコ自身が受けるなど)
ベトナム戦争映画のような戦争の悲惨さ、死体の生々しさを出すためには、たとえ相手がクモ宇宙人でもPSではなく、兵士は生身の方がよかったと思います。
一部(オレ含め)パワードスーツ始祖作品として見て、ロボコップ&エイリアン2のバーホーヴェンによる、その映像化に期待していて裏切られたと騒いでいる人もいるようですが、右翼SF「宇宙の戦士」の映画としてはあれで大正解でしょう。
ようするに「艦隊最高の軍曹」がズイムであり、「フリーズといったらフリーズ」、そして退役軍人にのみ市民権が与えられる。それであとは降下のみ。
なかなか大満足な内容でした。オレもあれなら志願するよ。
『宇宙の戦士』読み直し。
連鎖して『終わりなき戦い』『星からの帰還』飛ばし読。


#5月3日
『大雑貨辞典』(双葉文庫)とり・みき

最初に出版されたのが93年か。今文庫になったので手に取ったけど、内容は俺が最後に参加した金沢での第23回SF大会「アイコン」(1993)での楽しい体験とオーバーラップしており、なかなか感動があった。もう5年近く経つんだー。
SF大将の「ソングマスター」にもでてくる「あかね雲ちゃん」というとりみきとSFM編集者のユニットのコンサートやとりみきの秘蔵ビデオショーなど、実際にこの本に登場するネタを体で感じていることにかすかな幸せを見た。
さらにそのなかで「にこぷん」にはまる話がある。彼の分析によると・・・
>・3匹は島で生まれ育ったわけではない。ときどき母親から手紙が届く。
  中略
>・3匹は島に湧き出るおいしい水を売りに行く計画を立てるがどうしても島から出ることができない・・・
>強調したいのはこれらのある意味で深刻な事態がけっして話のメインではなく
>3匹の会話の端端から推測する以外ない。これは説明過剰な大人向けドラマより
>よほど高級とはいえまいか。
>そう!『にこぷん』は『プリズナーNo6』であり『ツインピークス』なのだ!
さすがです。感涙流しました。
ちなみに『さよならダイノサウルス』(ハヤカワSF文庫)P143にも「わたしは<プリズナーNo6>のパトリック・マクグーハンになったような気分で」という文章がある。おい、アメリカ人!難しすぎるんだよ、この例え(笑)
それともどうせ読んでるのはSFモノだ、っていうことでOKなのか??


#5月4日
『SFスナイパー』(ミリオン出版)

近所の本屋には恥ずかしくて注文できないので神田の書泉で平積みになっているのを買った。
けっこう面白かった。って実はプロ、セミプロクラスの作品じゃん。
(そうでなきゃ売らないか。でも、ネオヌルやパスカルはトウシロっぽかったよ)
「ロボットは泣かない」は特にいいできだった。昔買った大学SF研の会誌の小説はこんな感じだった。なんか、時代なんでしょうかねぇ。
(今でも初めて買った宇都宮大の会誌読み返しても面白いもんな)
あ、あとSMスナイパーがもうミリオン出版ではない出版社だと知ってビックリ。山川健一を初めて読んだのがこの雑誌だったのになー。
『世界SF大賞傑作選』1・5・6・7(講談社文庫)
ハーラン・エリスンとアイザック・アジモフの掛け合い漫才を再読。
うーむ、こーゆーノリが文章として残っていることは貴重だよな。若い人にも知ってもらいたい。
アジモフは完全に自分を切り売りしている。尊敬してるぜ!(三原則以外)


#5月5日
『人間以上』『スラン』飛ばし読。

人間の記憶は劣化&フュージョンしてあいまいになってゆくものよのぉ。


#5月6日
『テレパシスト』(創元SF文庫)ジョン・ブラナー

ひっつかんで一気読みしてしまった。
超能力とかミュータントとかって嘘臭い話になりがちだが、わかりやすく、平易ですらすら読めてしまった。一気に読めたのはやっぱ面白かったのか?ソングマスターの時もそうだったなー。「良い話=好み」ではないんだよな、きっと。これは良い話だ。好みの話でなくとも良い作品を楽しむことができる自分の感性を信じよう。うむ。
『人間以上』と『キャッチワールド』のオチがふにおちない分、すっきり爽快だったのもよい。この2冊は地球人類の救済と個人(主人公??)の救済が曖昧で『幼年期の終わり』のようにわかりやすく傍観者を起てていないのですっきりしないのだ。
ジョン・ブラナーってイギリス人なのね。なんかイギリスSF好みなのかな??


#5月8日
『天使墜落』(創元SF文庫)

ニーヴン&パーネル&フリン>>いいかげんにしろお前ら!
解説は
「オススメSF第3弾」にある通り。
しかし、SF大会だのファンジンだのから遠ざかって5年か。いまだに参加してるOBもいることだし、俺も復帰するかな。
読み出しのきっかけは溝口@書物の帝国さんの「SFセミナー」のレポートを読んででした。


#5月10日
『5分後の世界』(幻冬社文庫)村上龍。購入。

ざっと目を通す。なるほど、『愛と幻想のファシズム』の村上龍は健在というわけか。
そーいや『愛と…』もハードカヴァで読んで、文庫が出たとき引越しもあったので売り払ってそのまんまやな。買っておこう。


#5月13日
『コンピュータ・コネクション』(サンリオ文庫)アルフレッド・ベスター

ぐえー、9日から読みはじめて土日含めで5日もかかってしまった。疲れた。
解説は
「オススメSF第3弾」にある通り。
しかし、こーゆー俺的評価が高い作品で、サンリオで未読の本、いっぱいあるんだろうなーと思うとめまいがする。
補足の説明をすると、この作品は発表が20年早かった気がする。登場人物の使うスパングリッシュの極端に省略された口語表現は現代を生きる女子高生とかコギャルだかの「チョベリバ」だの「超MM」などに置換すればわかりやすい。ベスターは言語が未来においてどのように進化するかを的確に(すくなくとも俺の見る限りでは)予言していたことになる。コンピュータのオンライン掲示板のような記述もあって(マイナー雑誌の編集者とその読者の応酬シーンだが)やはりなんという先見性だ、と思うのだ。
また滅び行くネイティブアメリカンと脳内電波の盗聴(『継ぐのは誰か』)不死の歴史上の重要人物の登場(『総門谷』)など個人的に好きな国内SFとだぶる設定もうれしい。まさに一粒で300mって感じである。
しかも女性とのあまったるいシーンを書かないというベスターの作品ポリシーに変化が見られる。まさにバラードが『夢幻会社』で死から生へと転じたように、ベスターのターニングポイントとなる作品なのかもしれない。ま、訳本の数が絶対的に少ないのであまり断言はできないけどね。


#5月17日
『怒りの神』(サンリオ文庫)ディック&ゼラズニィ

結果。「わかんねーよ!」とスターシップと俳句を読んだある先輩が云ったけど、俺もそーゆー感じ。なんか、良く考えるとディック読んだの久々だもんな。学生の後半に良く読んで後輩に薦めてお株奪われたんだけど、なんかもともとディックの短編で有名でない奴はこんなテイストだったかも。(「偉大なる神」ちくま文庫『ウオーゲーム』収録に一部元ネタを発見!)
荒廃した世界のキチガイ機械ってゼラズニイもよく短編で書いてたけど、そこが共作部分らしい(笑)。>自転車をホッピーにされちゃうくだり。
神について、現実と思考モデルが融合して話が進んでいく、と解釈するとわかりやすいのかも。『ヴァリス』以降の壊れちゃったディックの作品群と近いのだろうか…。
コンピュータコネクションの後だとなんでも物足りない気がする。


#5月19日
『タウゼロ』(創元SF文庫)ポール・アンダースン

なぜスゥェーデン?この宇宙船は「サーブ」の同類なのか?!
しかも表紙イラストと形がちがーう、、ってあれ?宇宙船なんて書いてねーよ??あ、あれは『マッカンドルー航宙記』か!
ったく、宇宙船の話なのに浮気がどーとかいって『マン・プラス』の時と同じじゃねーかって、、あれ?書いてる人が違うよ!
まさにフレデリック・ポール・アンダースン!これがオールドウェーブの力なのか?
キャッチ・ワールドでバサード・ラム・ジェットについて勉強したあとだったのでメカハードSFでも怖くなかった。ってゆうか、もと機械科なんだから宇宙船のしくみぐらい知っておけって感じ>>俺
でもロボット以外のメカはてんでだめなんだよなー。
では一句。「おもしろい、だけど大味、アンダースン」お粗末。


#5月21日
『蒼いくちづけ』(光文文庫)神林長平

「パイラー、パイラー!パイラースティック手に持って〜!」とファイヤーマンの替え歌を口ずさんでしまう俺。
まさに「殺される為だけにでてきた」薄幸の美少女スタンド使い!開始5pで死亡!
で、パラサイトイブ状態になるのが180pあたりというのはまさにGIOGIOの完全自動追尾型のスタンドの話!でもサイディックOZがかっこいいので許す。
『太陽の汗』はハヤカワが拾ってくれたけどこれは無理っぽいなー。
神林センセのカッコイイ系の話半分、おどろおどろ半分の作品。
新書だの文庫だの書き下ろしだとこーゆーやっつけ仕事的な作品もありえるのだろう。
巻末の風見潤先生の解説が笑える。
ベスター読んだ後なので、読書速度がバサードラムジェット全開状態!
日本人だったら1、2日で読めるぞー。


#5月24日
webページコンテンツ作る作業のため、読書はお休み。
とかいいつつ、『キャメロット最後の守護者』収録「復讐の女神」やカイエ78年12月号の
「ウェーク島へ飛ぶ我が夢」などを読んでしまう。
ついでに「たんぽぽ娘」も読み、なだれ込んで『耳をすませば』を読んでオセンチな気分になる。
(ダメじゃん>>俺)

以下、続く・・・

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