U-kiの読書日記(02/1/4～02/2/10)

U-kiの読書日記(02/1/4～02/2/10)

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『ドールマスター１～２』（電撃コミックス）井原裕士、読む。 - 02/02/11 00:00:00
本日の調子: ワンフェスで買い逃したサイボーグライダーの夢を今も見るヨ、俺。

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＃２月１０日
いや～、「リアル妹が実在する者には『妹属性』は芽生えない」の法則があって、俺も「妹属性」の連中の考えてることは正直良くわからんのだが、世間では「シスター・プリンセス」などといって１２人も妹を出すモノがはやったりしてるわけで。そんなわけで、２巻の帯にある「マニアでモデラーな妹は好きですか？」というのを見て前から気にはなっていたんだが、どうにも１巻を見かけないので放置しておいたのだが、後輩がお見舞いに１巻をくれたので読んでみた。
そ、そうか、この表紙の二人が兄妹で妹がモデラーでマニア道まっしぐらになっちゃう話かと思ったんだけど違ったわけね。ははは……。
いや、笑い事じゃないよ！ウチも兄の影響のせいか妹が一時期マジメに「漫画家かアニメの仕事をする人になりたい」とか云って専門学校行くとか行かないとかで一家大騒ぎだったのだ。まぁ、周囲に一緒に居るだけでその毒に犯されていくという、恐ろしいオタク・オーラの持ち主である兄が大学に進学して離れたら、あっという間に普通の娘になっちゃって拍子抜けだったけどね。ってゆうか、マジで俺の影響かよ！＞妹。
大学生、辻本雛子はある日、手芸店でバイトしていると、粘土を探しに来た久具津巧と出会う。実は雛子は幼いとき人形には魂が籠もっていると信じており、ま、それとは関係なくなんとなく趣味で人形を作ったりしていたのである。そんな雛子の前で巧がなにげに「イベント！」「レジンキット！」とまくしたてる。そう、ワンフェスのことと思われる「古いおもちゃやプラモデル、フィギュアを売ったりする大きなイベント」Ｗフェスの話を聞いて雛子の胸は躍る。「まぁ、お人形の好きな人達が自分の作ったお人形を売り買いするなんてなんて素敵なイベントでしょう」（かなり著しく違ったイメージ）と感動してしまう。「どんなお人形ですか？」駅前の模型屋に飾ってあるから見に来ればいいと巧は云う。で、それがいわゆる「ドール系」じゃない「フィギュア系」なんだけど、雛子はたじろぎもせずかえって２次元のモノが良く立体に起こされていることに感動してしまう。で、作り方を聞きに巧の部屋に上がりこんでしまうのだが、巧には、というか久具津家には一子相伝の秘技があり、ある手法で作った人形は等身大に実体化し、いわゆる「式鬼（しき）」として動いてしまうのだ！で、それを雛子は目の当たりにするわけだが、驚いて逃げるどころか、お人形が魂を持って動くことに感動してしまうのだった。それで巧を師匠と呼び弟子入りしてフィギュア道をまっしぐらに突き進むことに。師匠と呼びつつも淡い恋心も実ってきて色気のない巧との間にはパーフェクト・ブラコンの妹・摩耶（彼女がマニアでモデラーな困った妹）が邪魔をしたりと何かと道は険しいのだった。恋にモデル造りに一生懸命生きる雛子の明日はどっちだ！？
以上が話のあらすじである。しかしねぇ、「作品を知らずしてなんとする！」「はい、私、開眼しました！」とか云ってアニメ「ドリーマー・レイ」１０時間耐久鑑賞とかしてしまうのはかなり人としての道を外れまくってると思うんですけど、雛子ちゃん。
その他に色男だけどフィギュアマニアの葵川光彦くんとか、巧の父方の従姉の欒（まどか）さんと高梨先輩のラヴ・コメとか。色々楽しめる。
いや、それにしても「サフを吹く」とか「シリコンで型取り」とか模型に携わった事のない人には何が何やらというマニアックな作品である。こぉーんなのどこの雑誌で連載してるんだよ！と思ったら電撃大王だった。納得。恐るべし、電撃大王。
ちなみに１巻の裏表紙の「ドリーマー・レイ」は作者の手による立体モノです。で、２巻の裏表紙は「ハヤテ丸」の立体で作者は安藤賢司氏。作者は泣いて喜んでいましたとさ。
ワンフェスに出入りしたり、ガレージ・キットなんかを造った事がある人にはたまらないマニア向けの作品である。そっち方面の人はウケると思うので手に取ることをオススメする。
【→bk1】

『僕にお月様を見せないで６─アヒル探して三千里─』（電撃文庫）阿智太郎、読了。 - 02/02/09 00:00:00
本日の調子: オオカミ男・アフリカンなみ。

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＃２月８日
前巻では過去の思い出話を披露してくれた銀之介くんですが、今回は俺の望み通り、唐子と楓という二人の女性が恋の鞘当てを演じてくれており大満足。やっぱラヴコメの王道はこうでなくっちゃね、ってくらい王道中の王道を行ってますよ。
しかもこーゆー手法はいわゆる「イラスト付き小説」でも初めて見たんだけど、「こうだ！」って云ってイラストページで図解して「とういわけである」で話が続いている。つまり、イラストが適当に挿入されているわけではなく、作者が文章のレイアウト（改ページの位置）を計算し、そこに挿入されるべきイラストの指示をイラストレーターに出して本が出来上がっているというわけで、正直ビックリしたよ。本書で２カ所使われている。
きょ、京極なみですね、阿智センセ！
三本の短編で構成されているけど、１話きっかり俺速度で３０分で読み終わるというのも絶妙ですな。（もっと文字量の多い本だともっと多く処理できるけど、ゆったり読んでこの時間、というのが良いのだ）あと演劇のようにセリフがちゃんと耳でイメージ出来るのが良いと思うな、阿智センセの作品は。

・オオカミ発見大作戦…オオカミ男がタマゴを見て変身するというトコロまでオカルト好きの少女プチ三石ちゃんに見破られてそれとはまったく関係なく楓と唐子が弁当勝負をしてそれとはまったく関係なく銀之介が変身してしまって、元に戻るために楓とキスしてしまって唐子と気まずくなる話。おお、王道だ！しかし、一番感動したのは偽物の満月を見て変身しないのか？という唐子の問いに「そうなんだよ、写真でも映像でも全くピクリともしないんだよ」と答えているところを今まで登場したこともない担任の柏持先生に聞きつけられて「その若さで苦労してるんだね（涙）」と若年性ＥＤと勘違いされるところだったり。さ、最近俺も精神的にＥＤぎみだからさぁ（苦笑）。助けて、ファイザー！
・アヒル探して三千里…銀之介の従妹の銀花が凶暴なアヒル・プリズナーを相手にしていて脈絡もなく宝石強盗に襲われるという事件が発生。小学生女子にもてた銀之介はロリコン扱いされ「ローリー駒犬」という楽しくないあだ名を頂戴してしまう。泣けるね。
・あの人は何？…銀之介が風邪で倒れた。唐子と楓が看病合戦で火花を散らす。ここで脈絡もなく楓の特技が触れた相手を動物としてイメージできる能力であることが蒸し返され、それを知った唐子が手当たり次第に人に触れさせて行くと、連続放火犯人を見つけてしまって……。うーん、オチの「ピンクの小粒」で「下剤」を表してしまうのは手法としていかがかと思うのだが、最近の若年層読者にはＣＭなんかの表現をそのまま使う手の方がウケるのかもしれない…。

笑いのツボは個人的なモノだし、多分、読者層は中学生・高校生だろうと思うのでココを見に来てる人に本気で勧める気はしていないのだが。でも、阿智太郎は「電撃御三家と云えば？」と聞かれて上遠野浩平よりも外せない作家である。いつも近所のＹＡ文庫に強い店で一番高く積まれていて一番早く消化されているし、出している本の冊数も二十冊近い。間違いなく売れっ子作家さんである。そんな訳で、俺もすでに先生の虜である。うーん、感性が中学生なみなのか…。とにかく数ヶ月に一冊新作が出てくれないと禁断症状を起こす始末で今回も病床でこの作品が読めたので一時の幸福に浸れましたとさ。若い読者にはオススメ。今からでも遅くないよ。（売れてるはずなのにBook-offとかで見ないのでやっぱ、読者が離さないからだろうねぇ）
【→bk1】

『イリヤの空、ＵＦＯの夏　その１、その２』（電撃文庫）秋山瑞人、読了。 - 02/02/08 00:00:00
本日の調子: 帰ってきたマンテル大尉なみ。

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＃２月６～７日
あー、本来なら一冊で一日ずつ書きたいのだがこれが既に「その２」まで２冊出ている以上、本作品は２冊まとめて読まねばいか～ん！と思う次第であるからだ！ってゆうか、感想も明日書こうかと思ったんだけど一晩寝かせたらこの感動が薄れちゃうかな、と思ってパンチしている。いや、本当はもう一晩、うま味をかみしめてから冷静に感想書いた方が良いのかもしれないけど、とりあえず我慢できないので（ホント、俺ってこらえ性ないよな）。
今日はこの本を一日中くすくす笑いながら読んでいたので同室の人には変に思われたかもなぁ。検診に来たお医者さんにも「あら、何か面白い本でも読んでるんですか」とか云われてしまったし。それがなぁ、陳腐な懐古趣味と中年が少年の恋をのぞき見してるニヤニヤ笑いだってんだから自分でも趣味悪いなぁ、と思う。この本は本来、中学生や高校生が読むモノであって俺のようなオッサンが読んではイカン！単なるノゾキではないか！田代まさしメンバーではないか！ああ、田代！（意味不明）まぁ、読んだ人にだけ云いますけどあれですな、登場人物の榎本と同じ視点でしか見られなかったって事ですわ。実際女性関係も俺と榎本大差なかったし。（今の榎本と俺とではだいぶ水をあけられた気がするけど）あー、ダサコン来て俺の一人語り聞いた人は大体わかるよねー、俺の過去と榎本の過去の共通点。田舎で恋愛すんのは大変なのよーっ！って特に自意識過剰で臆病だとね。
この本、随分評判イイし、作者も好きだったから発売直後に買っていたんだけど、どうにも読み進めなくてねぇ。ついには後輩に先を越される始末。で、感想聞いたら「なんか『戦わないボーイミーツガール』みたいで良かったですよ」だと！ふざけんな！フツーのボーイ・ミーツ・ガール小説は戦わないんだよ！北朝鮮もアフガンもメカも出てこないの！まったく＜フルメタル・パニック＞に毒されまくってからに！とか思った俺が悪かった、スマン。「北」も出てくるし「メカ」も出てくるし、『最終兵器彼女』って感じのシチュエーションだけど確かに戦ってはいなかった。謝る。でもさ、それを差し引いても無口系で髪蒼い系の「アヤナミ」タイプの少女よりは「アスカ」タイプにシンジ君がゲシゲシにされる話の方が好きなんでどうしても最初の電撃ｈｐ連載第一回、この小説で云うところの『その１』の冒頭の「第三種接近遭遇」を読んだ限りじゃ面白く感じられなくて、ずーっと止まってたのよ。で、たまたま脳がやる気になったので次の「ラブレター」読んでちょっとニヤニヤして、綴じ込みのカラーページでやってる映画の予告形式のイラスト見て次の「正しい原チャリの盗み方─前編─」は『その２』の冒頭の後編と続きだから、ってんでそれ飛ばして『その２』の「十八時四十七分三十二秒─前後編─」を読んじゃってまたニヤリとしてたんだけど、最後に「正しい原チャリの盗み方」を前後編通しで読んだときは、
──ッ！！やられた！これって順番に読まなきゃ全然駄目ジャン！ってゆうか、綴じ込みの映画風予告と話全部違いすぎってことにさっさと気付け、俺！
って感じ全開射撃。もうひくひくしすぎて数分ベッドの上でゴロゴロしてしまった。いやね、もうこれは自己の年少期をかぶせて読んじゃったら身もだえモンでしょう。嬉し恥ずかしというか、絶対デート尾行して出歯亀＆盗聴してる榎本＆椎名と同じ気持ちになるって！榎本＆椎名の立場＝読者である、という読み方も計算でやっている可能性はあるので作者の意図としては最初からターゲットは二十代後半より上のオッサンの可能性も無くはないな。だとしたら見事してやったりですよ、秋山センセ！
いや、実際俺完璧に「正しい原チャリの盗み方」の榎本とシンクロしたもン。主人公・浅羽くんと先輩の水前寺くんの秘密基地山籠もり合宿のことを回想して興奮した榎本の、
「おれも混ぜてほしいくらいだった。白状すると八月の頭くらいについに我慢出できなくなってな、本気で混ぜてもらいに行こうとしたんだが木村のアホに止められた」
に絶対俺も激しく同意して笑ってたが、次の椎名真由美のセリフは、
「──いいですもうわたし女で。そしてアホで」
である。やはり女には男のロマンは理解してもらえないのだろう。というわけで作者と同性のオッサン（もしくはお兄さん）向けなんじゃないかと邪推するのだ。榎本のファースト・キスは２６歳。それにいたるまでの女性遍歴を一人語りするわけだが、ここはあまりにも悲しいので割愛。俺の事知ってる人でこの作品読んだ事がある人は俺も榎本も五十歩百歩だったと思ってくらはい。２６の時点では俺が勝ってて今の女たらしの榎本に少し俺が負けてる程度でその前の語りはほとんど一緒だと（涙）。ちなみに俺が好きな女の子からもらったものは最初のプレゼントはメロンでした。俺、中学の頃鼻血男だったので、もてたんだけどバレンタイン・ノーサンキューでねぇ。で、もらったのがメロン、次はホワイトチョコ。冗談みたいだがパインもあったな。今思うと泣けてくるね。だからイリヤと浅羽のデートを見て拳を握りしめて「いけ！そこだ、ちゅーしろ、ちゅーを！」と云う榎本の気持ちにはシンクロしまくりである。（第一、今時キスじゃなくてちゅーなんて云ってんの俺くらいだろ…）俺は初めて「ラブレター」を出した時や初めて女子と二人で映画を見たときの緊張を忘れてないヨ！最近の子供は進んでるから俺が拳を握らなくても行くところまで行っちゃってるんだろうね。この作品ではそれをやってないから変にノスタルジックな気分になる。自分が幼かったころの影がよぎって「あの時、あーしておけばよかった」という気持ちにさせられる。おお、今考えると一種のぶちゃん映画チック（大林宣彦監督作品）に似た感触かもー、と思う。とにかくこの１＆２あわせて一番のキモを抜かして読んで、「イリヤの『あっ、あっ、入れて、入れて』でみんなも萌えてんのか？俺は全然駄目だな。中学生の時でもきっとそうだよな、朴念仁だったし。イマイチ世間（ネット上）が騒いでいるほど萌えんなぁ、俺もトシか、それとも精神までＥＤか？」と疑ったが、全部頭から通してみれば見事なまとまり具合じゃございませんか。というわけで今から購入する奴は『その１』と『その２』を同時に購入して一揆に読まねばならん！それが我がティターンズの死命だ！以上だ！
ってこれじゃあんまりにも意味不明だよね。なのでもう少し作品に付いて触れておく。
なんか主人公の居る田舎町は日米合同の大きな空軍基地があるだけで牧歌的な雰囲気。校舎は木造で、町の中心部が繁華街で周囲には高い建物もない。なんかちょいと道外れれば緑がいっぱいみたいな。だが、タイトルに「ＵＦＯ」という言葉がある。この町はロズウェル空軍基地の周辺にもし日本の町があったらこんなんだろう、という感じに描かれている。
そして「ＵＦＯ」といえば大槻教授と大槻ケンジ、じゃなくてオーケンも大好きな「ケネス・アーノルド事件」が起こった日、６月２４日が全世界的にＵＦＯの日とされている。この日付がプリズナーの「６」と同じようにつきまとう。どこへ行っても電話番号は「＃０６２４」である。
そんな町でささやかれるのはまことしやかな「ＵＦＯの目撃事件」とか心霊現象の目撃事件である。そして町は「北」からのスパイが出入りするとかいう噂もあって軍やら警察やらがサイレンをならしてウロウロし、ニュースは「３８度線問題」としていつ戦争が起こるかわからない、というニュースを流し、学校は「防空訓練」なるものを定期的に開催し、町の至る所には「避難所」（シェルター）がある。その雰囲気は『最終兵器彼女』の「なんか知らないけど国民が知らないだけで戦争状態にある平和な日本」を描いていて不気味だ。
そこで多分、最終兵器彼女な少女・伊里谷可奈と浅羽直之は出会うのである。という話。
しかし出会うのは中学二年最後の夏休み。『その２』のあとがきで「夏はまだまだ続きます」とあるけど、もう９月には秋の気配が漂ってるんじゃ……。思春期がいつ終わって、いつ大人になるのかわからないように、いつ夏が終わって秋が始まるのかわからないように、物語は「夏の終わり」まで続いてキチンと終わるんだろうか。ってゆうか、一夏じゃ短くてかわいそうな気もするなぁ。
それにしても秋山瑞人、軍事描写になると異様に詳しすぎます。まぁ、普通の読者は浅羽くんの視点で読んでればいいので「おおっ、言葉の意味は良くわからんが、とにかくスゴイ軍事マニア的だ！」と思ってれば良い程度にしか出現しないけどね。日本製の小銃のセレクターに「ア・タ・レ」があるのなんて自衛隊の公開祭に入った経験があるかＳＦ研に居なかったら知らなかったことをさりげにギャグにしてたりとか。飛行機の照準の付け方に異様に詳しかったりとか。ＨＵＤとかもフツー解説付くところだろ。（比較的メジャーな略語だが）
他の登場人物について触れておく。
水前寺先輩。惚れます。俺はこの人のように生まれてきてこの人の様に生きたかった。まぁ、大体今になって半分くらいは取り返してるけど、彼はまだ中学生。うーん、ゾクゾクするねぇ。大学生だったらダサコンスタッフに間違いなく召還。高校生だったらウチの大学に入れる。ってゆうか、俺が骨の髄まで洗脳する。あー、過去に一人いたな、コレに容姿以外ソックリなのが。そいつが俺のＳＦを後押しした後輩ね。
須藤晶穂ちゃん、単なる当て馬なんでしょうか？イラストではかわいげなのに。以前タニグチさんが泣きの感想書いていたような……。そう思うと「十八時四十七分三十二秒」は素直に感動できなかったのよ、幾らラストが美しくてもね。あー、アパッチ野球軍か、お前らは！と云わんばかりの体育会系丸出しの「旭日祭実行委員会」の「根性──ッ！」の連発には笑いましたが。
それゆえ、その後に読んだ「正しい原チャリの盗み方」は妹の夕子ちゃんが居る時点で俺には泣けたね。毛の話も泣けたね。俺にも一つか二つエピソードがあるのだが恥ずかしいので内緒だ。今では妹とまた仲良くなっているが俺と妹が高校生の頃はやはり断絶があったかな。年子じゃないし部屋も最初から別だったけどね。あの「距離感」があったからずっと今まで妹とはうまくやってる気がするので、こーゆー男・女の兄妹にあるギャップを埋める作業って何気なく済ませてたかもね。病院に入ってふと、姫野さンの「一人っ子」連発を思い出して「自分には犬だけじゃなくて妹がいたから人間的な痛み、みたいなものを理解しながら育ったかも」などと思うのである。俺のせいで妹は乳歯の前歯が無い時期が続いた。妹のせいで俺は失明しかかった。まぁ、イタズラでそんなこともしたわな、と。それにしても浅羽くんのご両親は素敵だね！理髪店を営むお父さんだけあって実に利発で含蓄のあるお父さんだ！お母さんも息子が爆弾で吹き飛ばされても「あらあら」とKikuko Inoue声で笑ってすませそうな「日本の漫画のお母さん」みたいだ！これなら浅羽くんも俺のように曲がることなくすくすくと育っていつかイリヤよりもずーっと大きい水前寺先輩みたいな男になれるかもね。そしてイリヤを死ぬまで支えてあげられる、そんな男に育って欲しい、そう思ったね。
いやー、ボーイ・ミーツ・ガール、最高！おセンチレベル・マキシマム・オーバー・キル！以上だ。
『その１』【→bk1】 『その２』【→bk1】

『動物化するポストモダン』（講談社現代新書）東浩紀、読了。 - 02/02/03 00:00:00
本日の調子: 欲望のレベルを上げて奈良スクリュー発動済みって感じ。

コメント:
＃２月２日
いや、おもしろいわ、この本！
スゲー良かった。なんでみんな読んでるのかさっぱりわからなくて手にとってみたら「オタクからみた日本社会」という副題が付いていて、要するに現代を生きる日本のオタクの分析の本だったわけで、こりゃー今までに読んだどんなオタク分析本より正鵠を得てる感じがするし、何よりも難しいなんとか主義だの哲学だのカタカナ用語だのをならべて「あー、ここ良くわかんないのでパス」というところが無く、ひじょーに分かり易いのが良かった。ちゃんとそういう言葉には分かり易い代替表記があるからね。自分をオタクとして客観視とか俯瞰できる人には超オススメである。
とにかく、読めば面白いんだけど、タイトルがとっつきにくくて損してる様な気がするなぁ。ネットであれだけ目にしなかったら絶対手にとってないもの。まぁ、読んでみれば「動物」とは何か、「ポストモダン」とは何か、で結局今オタクはどうなってんのか、全部わかるんだけどね。＜欲求＞と＜欲望＞の違い、「アメリカ的動物への回帰と日本的スノビズム」、なんてーのは読んでいてうなずくコトしきり。けして難しくないので是非本書で読んで確かめて欲しい。故にあえて俺がここでかみ砕いて内容を説明することはしない、と思ったんだけどダメだ！我慢できん！ポストモダン、とは簡単に云うと近代の次に来るモノ、時代的には７０年代より後、本書で具体的に扱われるのは９０年代である。「動物」とは「人間」と対比される考え方で自然に則して「欠乏─満足」という回路、つまり欲求を満たすことである。より複雑で人間的な「欲望」を今の若い世代は持たないのだ、という。それはオタクもコギャルも同じだという。腹が空いたら食べるように、モノを消費していくことを「動物化」と云っているのだ。
基本的には岡田斗司夫の『オタク学入門』や斎藤環の『戦闘美少女の精神分析』と同じ様にオタクの現状とオタクが担う現代の文化について語っているんだけど、こういう文体でこういう切り口でやられるとこんなに面白くなるとは思ってなかったわ。
しかし『ガンダム』と『エヴァンゲリオン』の比較から始まって、「キャラ萌え」とか「萌え要素」とか、「ギャルゲー」「ノベルゲー」、ひいては「マッドテープ」や「マッドムービー」なんてー言葉が出てくる本は初めて見たよ。今までＷｅｂ上のテクストでしかみなかったし、人々が口にはしても硬い本で活字で語られる用語じゃなかった。Ｗｅｂ時代─俺用語でサイバー・エイジ─にオタクを活字で語ると避けて通れない問題だけど、実際ゴチック強調されてそれらがマジメに語られるとこんなに面白いもんなのか、と驚く。
「物語とマグカップが同列の商品」ということを言い切ってるところはスゲー！と思ったね。そうだよ、みんなエヴァやでじこにたいそうな物語なんて求めてなかったんだよ！欲しいのはキャラクターグッズと同レベルの陳腐な設定の寄せ集めで良かったんだよ！本書では語られてないけど、『ファイブ・スター・ストーリーズ』に早くから入れ込んでた連中というのは基本的にエヴァに入れ込むのと同じ要領で入れ込んでたわけで、本書で語られる動物化したポストモダンなオタクの先駆けであり、典型的な例であると思う。第一巻の巻末で提示される歴史年表で示される壮大な「物語」とモーター・ヘッド（ロボット）の一次装甲（デザイン）がまったく同レベルだったことがＦＳＳの＜世界＞に耽溺する大きな要因だったと俺は思うのだ。俺的には『ガンダム』の＜世界＞と『エヴァ』の＜世界＞の中間に存在する存在として『ＦＳＳ』の＜世界＞は重要だと思うね。（個人的にＳＦ研の連中が過度に入れ込んでるのを見てきたせいもあるけど）
あと最近なんで商業誌ベースでギャルゲーに限らずカルト的に人気のある作品についてのコミック・アンソロジーがこんなに出回っているのか謎だったのだが、その解答も解説されている。「二次創作物」の名のもとに、コミケの同人誌だけにとどまらず、Ｗｅｂ上で垂れ流される引っこ抜いた画像を加工したほとんどそのまんまのＭＡＤムービーや商業ベースで作られる様々なグッズなどがどの様な仕組みで発生するのかがわかってとてもスッキリした。
で、この著者、「私と同世代のオタク」っていうからてっきり第一世代の人（岡田などと一緒）の人かと思ったら俺より年下だから第二世代、ということになるんだろう。二つ年下だとわかったときには「この若造が！」とか一瞬思ったが、もうそういう連中が第一線で活躍するような歳になったんだよね。俺も自分を差し置いて何云ってんだ！って感じだけど。でもな、きっと俺よりずっと年下の第三世代のオタク─９０年代に目覚めた人達─は本書すら「興味の対象外」なんだろうなぁ、と思う。それだけ「動物化」が進んでるってことになるんだろうけどさ。俺がギャルゲーをやるのは「擬似恋愛」という「欲望」を求めている部分が大半でそういう意味ではグッズやムービー収集にほとんど興味がないのであまり「動物化」はしてないんだろうね。そこが第二世代の古い方たる所以か。
というわけで、第二世代─今、三十代前半から二十代後半の人─には是非是非読んで欲しいね。丁度ダサコン参加者の世代ってコレにかぶってんのよね。第三世代とはやはり何か隔たりがあるんだろうか、と思いつつも彼らを知るためにもっと触れあってみたいと思う俺であった。そういえば、ウチのＳＦ研ですらそこで世代の「断絶」が自然と起こって交流がたたれているもんね。二十代前半の部員との交流が全くないのは何故なんだろう？
これで６６０円はお得だよ～ん。特にイイ歳してギャルゲーやってるヤツは読め！
【→bk1】

『シリウスの痕全４巻』（Kadokawa Comics A）高田慎一郎、読む。 - 02/02/02 00:00:00
本日の調子: イマジノシス・ボディを手に入れたガリィなみ。

コメント:
＃２月１日
うーむ、最後まで通して読んでみると『銃夢』と『ＡＲＭＳ』を足して２で割ったような話だったな、ということになる。最初はとてもそんな話になるとは思ってなかったんだけどね。機械の体に移植された脳が自我に目覚めて「七日間、普通の少女として生きたい」ってだけの話だったのにねぇ。戦う女サイボーグってだけなら良かったんだが、小夜子の体が段々ロボロボしいものから生身に近くなって行くところとか『銃夢』っぽいな、とか。「ハイドロフォビア」がらみの戦闘妖精大戦争になってからはオリジナルとかコピーとか妖精＝「欠片」（フラグメント）の自由意志とかが出てきて『ＡＲＭＳ』っぽいよな、という。いや、創作した側にとって何に似てるって云われることほど嫌なモノはないと思うけど実際そうなんだからなぁ、しょうがないよね。
アルビオンという巨大多国籍企業を巻き込んだ南進連合とシュワル国の国家間の戦争の中の兵士達の描写とかも結構好きだったんだけど。もう少し、失われたテクノロジーを再現して武器を作ってるとか描写が欲しかったかも。あ、でもそれじゃ銃夢のバージャックと一緒になっちゃうか。ラストのすべての元凶であるマルセイユ狂気ともいえる小夜子への執着すらガリィにふられて暴れるケイオスの姿に重なっちゃったもんなぁ。ラストも丸く収まって、総じて面白かったといえば面白かったのだし、評価は高いんだけどね、なんか前述の２つを足して半分にした、という感じは否めないなぁ。
多分、オチは決まっていたのでワルキューレ軍団との戦いとかローズの過去とかがもう少し長く連載されれば詳しく描写されてたのかな、なんて思う。すべては小夜子とマルセイユから始まってその決裂で幕を閉じるという。あと、ローズの「補助記憶装置無しには新しい記憶を維持できない」設定もなんかもっと活かせなかっただろうかね？映画『メメント』や最近のＪＯＪＯはそれだけで話作っちゃってるわけだし。
意外だったのはあまり重要でないと思っていた１巻で登場する「飛行機乗り」蒼と小夜子がくっつくところ、ぐらいかな。あとは小夜子をつけ狙ってた隊長さん、カニンガム少尉の使われ方とか。
最後の数ページの「その後の人々」は連載時にはなかったので連載を追ってた人もコミックスは読んでみると良いかもね。絵も整理されていて稚拙といえば稚拙かもしれないが、良く言えば綺麗なアニメ絵なので気に入ったら４冊まとめて読むことをオススメする。
P.S.飛行機乗りとの交信周波数９５４kHzなんだけど、作者はＴＢＳラジオのファンなのかな？（笑）
【→bk1】

『ＨＡＬ全２巻』（ＧＵＭコミックス）あさりよしとお、読む。 - 02/01/29 00:00:00
本日の調子: 体で実験を体験しないと真偽のわからないリカちゃんなみ。

コメント:
＃１月２８日
あら、これって２巻で終わっちゃったのね。
１巻ではまんまと騙されて、「えーっ、ちょっとぉ、これどっからどこまでが本当なんだかキチンと書いてくれないと困るよーっ！ねぇーっ！！」って感じがしてソコが似非科学信望者の俺のイヤなところでもあり、この漫画のアジでもあったんだけど、なんだか２巻目はほとんど正直と嘘が書き分けられちゃってませんかー？それじゃこの漫画のうま味が抜けちゃってませんかーっ？あさり先生どうしたんすかーっ？って感じである。
いやマジで役に立っちゃってるよ！俺、ブロントサウルスが偽物で存在しないって知らなかったもの。（＞コレ、ホントの話だよね？嘘だったら俺を笑ってくれ！）確かに作者の云うとおり、じゃあ『恐竜探検隊ボンフリー』の主題歌はどうなちゃうんだって感じよね。（近所のビデオレンタル屋にあるゾ（笑））そのあとウルトラなんたらサウルスとか、もっとでかい恐竜が発掘された気がするけど、ブロントサウルスほどメジャーじゃなかったもんなぁ。ショック大。中学時代は科学部に属していたせいもあって日々更新される新しい科学的事実を知るために雑誌『ニュートン』買ってたのよね。一応２セットも百科事典あったんだけど。でも所詮考古学とか歴史って人間が想像して作ってるんだよね。あさり先生も大好きなアノマロカリスとかだって最初は別の生物だと思われてたんでしょ？恐竜だって首と尻尾を水平に延ばした姿勢で歩行してたんじゃないかとか、いまだに滅びた原因はわからないわけだし。
で、恐竜ショックはここまで。次は「燃えるバン・アレン帯」。こ、これは良くわからんぞ！燃えるんじゃないのか！？シービュー号の話だけじゃなくてガッチャマンでもギャラクターがバン・アレン帯を燃やしていた気がするが……（消失させようとしていただけで「燃やす」とは云ってなかったかもしれんが）。とにかく、二つも「燃やす」作品を見せられてどっちも好きなんだからここは「燃えて」もらわないと困る！っつーかやだ！（笑）粉塵爆発はしないと思うんだけど……。とにかく燃えろ！バン・アレン・筋肉少女帯！
あとマジで読んで切なくなってくるのが「宇宙開発」ネタ。宇宙のゴミ＝スペース・デブリの話やスペース・プレーンの話、とくれば漫画『プラネテス』の世界じゃん！どうなの、どうなの、正直あとどのくらいでハチマキの世界になるの？と思ったら正直、最大の問題は「金」っていきなりスゲー核心をもろに云っちゃってるし（シャレになっておらん！）、マジメに一段式完全回収型ロケットって全然駄目ジャン！無意味！使えない！できそうにない！ってこれだけシャレじゃなく並べられちゃうと、１巻目の嘘と本当の混じった茶目っ気はどこへやら、単なる現実悲嘆漫画じゃん、と思ってしまった。まぁ、宇宙開発については悲嘆すべき現実しかないのかもしれないが。（＞否定的な人の正直な意見）
というわけで２巻目はパワーダウンして楽しくなかったッス。でも買うんだったら２冊で終わるんだから２冊とも買いましょうね、という感じdeathな！
【→bk1】

『楽園　戦略拠点32098』（スニーカー文庫）長谷敏司、読了。 - 02/01/26 00:00:00
本日の調子: グッド・ライフ大好きなバーサーカーなみ。

コメント:
＃１月２５日
敵の最重要戦略拠点であるこの惑星にサイボーグ降下兵、ヴァロワは降りてきた。部隊でただ一人の生き残りだ。彼の降下時のダメージから云って戦闘力は無いに等しい。
「ねぇ、流れ星が降ってきたよ」
少女マリアはサイボーグ管理官、今では唯一この惑星で機能している管理官ガダルバにそう云って降下カプセルに向かって走り出す。
無数の戦闘不能艦が搭乗員の遺体と共にこの星に曳航され、遺体は土に帰って花となり、艦は墓標のようにこの惑星に突き立っている。そう、ここはガダルバの陣営にとって死後にやってくるべき「楽園」なのだった。
草花以外、虫一匹おらず、少女と機械兵がゆったりと四季の中を雨風をしのいで暮らしているだけの非常に牧歌的で平和なこの「楽園」に隠されたおぞましい秘密とは！？はたして敵兵士ヴァロワは何を見、何を知るのか！？
ってゆうほどの「秘密」じゃなかったので少々がっかりでゴザイマシタ。読んでれば伏線がしっかり張ってあるのでわかるんだけど、それを「秘密」と云われましてもねぇ。
むしろそんな部分は重要じゃないのかもしれない。この「楽園」の存在、雰囲気そのものが大切なのかもしれない。何百年も続く星間戦闘、宇宙全土に広がりながらも人類は自然や平和を忘れ、戦争に明け暮れ、あげくには相手を殺すトリガーを「人間の意志」で引かせるためにのみ、人間の脳の一部を残しそれ以外を機械化してしまうような、そんな人間達が何億と広大な宇宙にひしめいてやっていることは互いに相容れないというくだらない、理由があるともないとも云えないことでのにらみ合い・殺し合い＝戦争である。そんな人類だからこそ、この「楽園」が必要だったわけで……。そしてその「楽園」のために一方は喜んで戦争に身を捧げ、一方はそこを最重要戦略拠点と見なして攻撃をしている。なんとも皮肉な話である。その非人間的な世界で人間臭さを浮き彫りにしたところをこの作品は評価されたのかも知れない。スニーカー大賞で金賞を受賞した本作品、正直、俺的にはそんなに評価できないのでこんなことを書いているのだ。
うーん、あらを探すと、「楽園」の「墓守」として少女では色々と役不足なのでは、と思ってしまってそこに違和感を感じた。脳の一部を除く全身の９９％が機械の要塞艦管理官である鋼鉄の巨体を持つガダルバとマリアがコンビで初めて「墓守」としての役目を勤めていて、ガダルバの存在は必要不可欠に思えてならない。現に病気の時とか、家を造る時とか、遺体を運び出して埋める作業とかはヴァロワが滞在していた短い期間にもガダルバがやってるわけだし。ま、そこに目をつむって物語で描かれてる現状だけ見れば文句なしなんだけどね。ガダルバがやってくるまではなんとか「楽園」はうまく機能していました、でも良いのだが。
ただ、敵のただ中に戦意高揚ムービーを見て憧れたヒーローの姿に自分を造り替えてまで降下してきたヴァロワが「真実」に気が付いたとき、ガダルバとマリアを敵としてみなさずにかえって「守りたい」と思うようになって、守るために皮肉にも「帰還」という手段をとらざるを得なかったところがちょっとおセンチ入って悲しいかもしれない。いや、自軍の上層部の考えまで読めてしまってる彼にとっての帰還は悲しみ以外の何者でもないかもしれない。帰るのに使うのが特攻兵器ってのも皮肉でイイ。
良く考えると短いわりには牧歌的でおセンチで良い話なのかも知れない。そう思う俺であった。
【→bk1】

『ラブひな全１４巻』（マガジンＫＣ）赤松健、読む。 - 02/01/18 00:00:00
本日の調子: 親になった温泉亀のタマゴくんなみ。

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＃１月１７日
最終回は少年マガジンで読んじゃってたんだけど、最終巻を読んだ感想は……。や、やっぱり悲しい！読書日記を更新したくなるほどに悲しい！三年しか経ってないのか。もっと長くやっていた気もするが。はじめて見たときは設定のあざとさに「絶対おたくウケするゾ」とほくそ笑んでいたのだが、自らも術中にハマってしまうとは（笑）。
俺の中で何か一つの「萌え」が今、確実に終わりを告げた。
いや、ラスト付近でブラコンの妹・可奈子まで投入してきたときは「これ以上萌えキャラ増やしてどないすんねん！なるとくっつく以外選択肢無いところまで来てるじゃん！」と怒ったものです、ハイ。しかし、それも今にして思えば断末魔のあがき。寂しいものですな。
それにしても一番ヤヴァイと思ったのは素子が開き直った時です。（恋）敵にしたらこれほど恐ろしいキャラはいませんからな。しのぶは年下でなるは尊敬できるお姉さま、すでに負け犬ムード。カオラは満月で変身しないとただの引っかき回し役だし、きつねは既に玉の輿を狙うと云いつつ司会進行役に徹してる感じ。可奈子といえど義理とはいえ妹なので論外。サラはロリータなので論外。ニャモはチョイ役なので論外。となると、むつみ以外で使えるのは素子しかおらんのですよ！それを使ってきたんですよ作者は！まさに土壇場の大一番でありました。か、髪まで切っちゃった時にはちょっと素子ファンとしてはショック大でした。が、ラストには元に戻ったので良し。いや、もう素子ちゃんの斬空剣（あのフェイ・イェンのボゥガンビームの様なところがツボ）が見られないなんてー！シクシク。
景太郎のラストへ向かっての瀬田さん化もなかなか激しいモノがありましたな。まぁ、もともと素子の斬岩剣を喰らって死ななかったどころか刃を真剣白刃取りで受け止めたりしてたので素質はあったんだろうけどねん。東大にも入って強くて賢い男になったものよのう。彼の成長譚としては描かれていないんだけどさりげなく成長しちゃってるところがスゴイかも。
あと終盤では瀬田とはるかのラブラブ＆結婚とかに煽られて、景太郎となるがラブラブするところとかも結構スリルがありましたな。少年誌では禁じ手かという女の方からＨ誘うとか、ホテル入るの誘うとか。まぁ、ここはコメディらしく滑りましたがね（笑）。
ってゆうか、『ラブひな』って普通のラブ・コメディで使われる「コメディ」の領域から完全にはじけた「ドタバタ・ギャグ」が使われてそれで笑ってたんだもんね。本当に妙なメカが出てきてミサイルが飛び交って真剣が振り回されてるのに、出てきているのはロボットでも宇宙人でもなく一応フツーの少女たちってことろが凄かったんだと思うな。少なくとも俺の笑いのツボはソコにあった。『ＡＩが止まらない』では、同じドタバタでもキャラが人間じゃなかったんだから、それを多少普通から逸脱しているとはいえ、人間の少女たちにやらせて納得させてしまったところがこの作品の偉大なところだ。だからむつみが出てきて景太郎の「約束の女の子」問題がかなり真剣に盛り上がっていた中盤やや後編の物語中一番ラヴ・コメしていたパートが一番しっくりこなかった気がするのよね。あー、もともと温泉があってもパンツがモロに見えてもいやらしく感じさせない赤松センセの画風があったのも確かでそれでホントなら露出過剰なＨな少年漫画になるのを誤魔化していたってーのはあるわな。
最初はなると景太郎、どっちかが合格しちゃったら話は終わっちゃうと思ったので、浪人して（景太郎は三浪）一緒に東大合格！ってところまでは読めた。むつみがレギュラー化したときは単なる人気キャラの再登場だと思ったら「約束の女の子」のブラフをかますためのキー・キャラクタだった（になった、のかな？）のは読めなかった。そして色々センチメンタル・ジャーニーして東大合格して約束の女の子がなるで「おお、見事に１０巻前で終わった！」と思ったらそこから引っ張る引っ張る。でも不思議と元のドタバタ・ギャグ風のラブコメに戻っていて不思議と「さっさと終われッ！」ってイラつくことはなかったんだよね。なんつーか、映画『ビューティフル・ドリーマー』の「永遠に終わらない文化祭前日」みたいな楽しさがあって永遠に終わらない東大受験漫画として続いていいよ、みたいな感情が次第に生まれてきた。だが、やはり赤松センセはそれほどバカな漫画家ではなかったし、雑誌側もドラゴンボールみたいなマネを彼に強いなかった。漫画『ラブひな』は終わるべくして終わったのだった。とても寂しいが、とてもスバラシイ幕引きであったと思う。
全員が東大生という伝説の女子寮になってしまった「ひなた荘」だが（きつねは一応、外に出てるから東大生じゃなくて良いのだ）、新たな仲間も入ってきたところで景太郎となるの結婚式で綺麗に終了。赤松健先生、本当にご苦労様。長いことよう楽しませてもらいました。本当にありがとうございました。ってことでお終い。
あー、そうそう、アニメ版は１、２回しか見てないから判定外ね。なるのキャラデを一目見て見るのやめちゃった。それだけ漫画版を愛してたってことで。
【→bk1】

『トリツカレ男』（ビリケン出版）いしいしんじ、読了。 - 02/01/08 00:00:00
本日の調子: 舞台で踊ってる野田秀樹なみ。

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＃１月７日
なんかこう、オペラというか、ミュージカルの様に歌って踊りながら演じて欲しい作品だ。じっとしてる話じゃない。登場人物もみんな大きな声でセリフをしゃべって演じて欲しい、そんな作品だ。
とても日本人が書いたとは思えないとてもとてもハッピーな話。世界中のどんなおとぎ話よりも幸福で毒気のないお話。それが本書である。
何か一つの事に一心不乱に夢中になれるという事が、如何に素敵な事か！！
それがこの作品のテーマだと思うし、実際俺もそう思う。何かにトリツカレたように夢中になってる瞬間って、実は幸福だもんね。それがくだらないゲイツＯＳがクラッシュして最初からパソコンの環境を作り直している、という端から見るととても馬鹿げて無駄な悲しい作業中であっても夢中になってやってる最中というのは他の一切を忘れて、一種幸福な状態に陥ってると俺は思う（まぁ、俺の場合ね）。もしこの世に年中何かにトリツカレている男が居たとしたらその男はとても幸福なはずだ。これはそういう男の物語である。
ところがドッコイ、この町でも評判の有名人、年中何でもトリツカレ男のジュゼッペが今度トリツカレたものはなんと、かわいらしい女の子だった！ちょいと待て、それは恋っていわねぇか？しかも趣味とか娯楽じゃねぇんだから取り憑かれるったって……ひょっとしてストーカーになっちゃわねぇか？恋愛って相手の気持ちもあって成り立つものだろう？
そんな心配は無用だった。見事に我らがトリツカレ男、ジュゼッペはペチカという無口な女の子に取り憑かれて行くのだった。
寂しそうな風船売りの女の子、彼女に取り憑かれたジュゼッペは「僕と友達になってくれませんか？」と声をかけるところから始まった。そして、家に帰って寝ても覚めても彼女の笑顔ばかりを考える。彼女の顔がわずかにでも曇るとき、ジュゼッペは親友のハツカネズミにお願いしてペチカの笑顔がなぜ曇るのかの原因を探ってもらう。そしてその原因をありとあらゆる手段を使って取り払うのだ。そう、大抵はいままで取り憑かれてきたモノの経験を生かしてね。
そのジュゼッペの全身をなげうっての献身が心に響く。単純にそういう話だ。ペチカの最後の心の曇りが遠くに離れた恋人にあると知ったときのジュゼッペの気持ち、そしてその男が教え子の命を救うために自らの命をなげうって死んだということを知ったときのジュゼッペの気持ち、どんなだったろう。なるほど、彼女が思うにふさわしい男は死んでしまったのか、それなのに彼女は彼を思って寂しそうな顔をしているのか。自分はどうすべきだ？ジュゼッペはハツカネズミに「馬鹿げてる！」と叱責されながらもペチカの前に毎夜毎夜、彼女の恋する人の姿に扮して現れる。声も姿もさすがトリツカレ男、パーフェクトだ。そして「自分は病気で窓の外からしか会えないけど、君を思っているよ」とつぶやいて去ってゆく。あまりに真剣に彼のマネばかりしていたので自分と彼との区別が曖昧になってゆく。寒さと毎夜の苦労は彼の命を本当に削ってゆく。ああ、このままじゃ本当にトリツカれてジュゼッペが死んじゃうよ！ひっく、えぐえぐ～っ！！
しかし、作者はすんでの所で大どんでん返し！を用意していたのでした。やべぇ、マジで泣きそうになるところだよ！きたねぇよ！最初からそうだって云えよ！あ、云ったら話にならんか。
そういうわけで、詳しいことは読んでみてくれれたまえ。物語は世界一幸せにカタがついているはずだ。
そして一つのモノにトリツカれて夢中になること、とりわけ人に夢中になることがいかにスバラシイことか、この本は教えてくれるはずだよ。それじゃね、バハハーイ！
【→bk1】

『シックス・ボルト』（電撃文庫）神野オキナ、読了。 - 02/01/05 00:00:00
本日の調子: 初めてカプセル降下する前のジョニイなみ。

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＃１月４日
この本がフィフス・ボルトでもセブンス・ボルトでも俺は手にしなかったろう。シックス・ボルトであったから手にして、あらすじに装甲強化服にそのルビがふられていたので購入したのである。で、正月の帰省時に読む本に。
地球人類より高度な異星人文明に一方的な条件のもと、戦いを強いられる高校生達の話。で、その宇宙人の設定した条件というのが、今から３年後に生まれてくる人間を１７年間教育し、与えられた戦闘装甲強化服を用いて用意された「敵」と戦って勝利すること。戦いの場所であるとか、フェーズであるとかはもっと複雑であるのだが、要するにある年齢の高校生は宇宙人と戦うことを生まれたときから運命付けられて育てられ、そこから逃げられない。またある地域にバトルフィールドが設定された場合、学園の特定年齢の全員が兵団となって「敵」に挑むことになる、という設定である。
肥満児を生み出さず、均一の体型と筋力をもって、あと万一のためにクローンを作る準備がなされている、自分たちの「運命」を知っている、という以外は彼ら「戦士」は普通の高校生活を送っている。徴兵制度がある国（例えば韓国とか）で「あー、もう１９だよ、徴兵されちゃうよな。その前にパーッとやることやっておくか」みたいな感じである。そして「兵役が終わったら」の事とかを考えているのである。従って、生まれた時から銃持って「エイリアン・イズ・サノバビッチ！」とか歌いながら行進とか、「ハイ、罰として鞭打ち百回！」とか「ハイ、腕立て伏せ百回！声が小さいヨ！」とか、そーゆー軍事教練描写はナッシング。個人的にはそんなの無しで戦場に送り込むのはどうか、と思うんですけどねぇ。作者は沖縄の人なので軍隊嫌いなのかもー、とか邪推する。
で、「シックス・ボルト」というのは予想通りその機体に６本のボルト状の物体が埋め込まれていることから装甲服をそう呼称しているのだった。ただし、日本以外の既に「戦闘」が開始されている国では４本ボルトや５本ボルトが確認されており、そのボルト本数が呼称に使われているのはそれなりにそのパーツが重要だからであった。実質、そのボルトと数点の部品以外は地球人類テクノロジーで複製可能なモノだったが、そのボルトが脱落する時、その装甲服の戦士は「聖痕者」（スティグマズ）と呼ばれる特殊な超戦士になる、という事例が報告されており、よってボルトには特殊な敬意が込められていたのである。ってゆうか、そんなのどうでもいいよぉ～！俺も、俺も戦士として生まれて装甲服番号６－６、とか振られて「ロク・ロク！応答せよ！攻撃せよ！」とか菅原文太声の下士官（もしくは教官）に散々しごかれて「さぁ、いくぞ～６番！」とか云われてみてぇ！という妄想が膨らむばかりの設定である。まぁ、俺の勝手な番号＆軍隊萌えはここまで。
まぁ、表紙の折り返しのあらすじでそんな感じの「設定」なんだろうなぁ、というのはわかったし、カラー折り込みページに登場人物が６人ぐらい並べられて、性格と装甲服ナンバーが紹介されていることから、うわ、番号で呼ばれる装甲服を着たトゥルーパーな高校生がわんさか出て来ちゃうんだ、ウキウキ！でも話はどうするんだ？『バトル・ロワイアル』みたくいろんな学生のいろんな生き様＆死に様が描かれる散漫な話になっちゃうんだろうか？はたまた『ガンパレード・マーチ』風に人型戦車学校の日常みたいにパワードスーツ訓練の日々と実戦が描かれるんだろうか？と色々想像したのだが、読んでみれば、なんだ主人公として真永見由宇、という一人の子犬のように元気なチビの少年が設定されていて一応彼をとりまく人間を描く、という方法を取っており、まぁ小説の体裁としては一応普通のスタイルになっていて読み進むに従って逆になんとなく安心することが出来た。この厚さで１クラスから１学年の生徒の描写があったらどうしよう、と思ったのだが基本的には指揮する大人の軍人も含めて固有名詞で登場するのは１０人程度、メインはカラーの折り込みにあった６人程度なのであった。
でも問題はヒロイン（苦笑）。いや、表紙の綾波モドキで主人公がいきなりオープニングで告白する娘（性格もアヤナミみたいで、付いたあだ名がアイス・ドール）久遠院氷香が相手役だと思うじゃない、ところがそれが一筋縄ではいかなくて、主人公に思いを寄せる重砲支援係の女の子とか、なりゆきで主人公とやっちゃって感情移入しちゃう女の子とか居て、全然主人公は戦闘前も戦闘後もラブラブできません！そこは「ガンパレでもラブがあって人死にがでるから悲しいんだろうが！」と思うのですが、作者には逆に主人公周辺にキャラをフラフラさせてそれを描写するのを良しとしたようで。ラブ萌えの人にはがっかりかも、ですわ。
しかも、この時の地球人類には完璧なクローン・テクノロジーがあって、血液一滴から記憶や魂までもった完璧な複製が作れるので戦闘後、死んだ１７歳の人間は戦闘時の記憶以外完璧に復元されてなにげなく生きることができるようになっている。登場人物達はそれをありがたがるどころか、「それは自分じゃない」と強く否定しており、それが物語の終盤で死んでなにげなく復活した者とそうでない戦闘を生き延びた者との間にギャップを生み出しており、この「戦闘」の虚しさをうまく醸し出している。それを含め、実は良く出来た小説だなぁ、と思ってしまった。ネタバレなので色を変えるが、正直なところ、主人公が恋する相手を殺されその復讐行動に出て超戦士として覚醒して敵の核を殲滅するというシチュエーションで、生き残りが「奴を支援しろ！」と一丸になって戦う姿には涙が出そうになっちゃったよ。
米軍基地問題や本土決戦問題で色々戦争に関しては思うところのある作者が描いた高校生の戦争する話─作者はあとがきで学徒動員について少し触れている─がこの作品なわけで、そういう意味では結構成功した作品じゃないかなぁ、と思う。でも、あとがきで『高機動幻想ガンパレード・マーチ』と『スターシップ・トルーパーズ』（『宇宙の戦士』？）の名を堂々と出してくるとは良い度胸だぜ、沖縄人！とも思った（苦笑）。
あと表紙を描いた緒方はン、いくらなんでも綾波レイそのまんまの少女にそのまんまのプラグ・スーツってのはどうよ？（色合いと手首が太いトコロまでそのまんまなのはどうか、と）パワードスーツの絵は格好いいんだし、話だってちゃんとしてるんだからさぁ、なんとかならなかったんかい！とツッコミを入れてお終い。
電撃文庫としては読んで損はない作品だ。
【→bk1】

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