U-kiの読書日記(01/8/4～01/8/16)

U-kiの読書日記(01/8/4～01/8/16)

欲しいと思ったけど書店で見つからないときは
eS!Booksで探して、コンビニで受け取ろう！
(ココをクリックして買うと俺にポイントがつきます)

『スーパー防空巡洋艦　綾瀬』（白石書店）米田淳一、読了。 - 01/08/17 00:00:00
本日の調子: 八枚の葉っぱでアソコを隠したアダムとイヴなみ。

コメント:
＃８月１６日
いやぁ、正直最初「えっ、マジでこれって米田さんが書いてるの！？」と思ってしまったッス。そもそも第二次世界大戦の戦記モノなんていうジャンル自体、小説で読んだことないからねぇ、小説の形態自体との出会いが新鮮だったかもしれない。（友人のＮの家はこんな小説とか時代小説で一杯なので、チラと見たことはあるのだが）太平洋戦争モノってマンガですらほとんど読んだことないもんね。俺の大好きな小林源文センセはドイツの戦車戦の話ばっかり描いてるし、高校生の頃創刊当初から数年間買い続けた＜コンバット・コミック＞も現代戦が多くて、しかも飛行機や戦車や潜水艦の話が多くて、艦船の話ってすごく少なかったように思うのよね。戦争映画でも潜水艦の映画ばかり見て駆逐艦側からの描写をしてるのって『眼下の敵』ぐらいな気がするし。小説では『世界の艦船』とかを定期購読してるメカフェチの先輩の薦めで『駆逐艦キーリング』を読んでるくらいで。両方とも潜水艦との戦いなので戦艦だの巡洋艦だのが戦う、しかも日本の戦艦だの空母だのが出てくる話ってほとんど読んだことがない。戦艦大和が撃沈するドキュメンタリータッチのものとか、ミッドウェー海戦の同じくドキュメンタリータッチのものを中学の頃読んだきりだからなぁ。架空戦記に至っては、そのブームの先鋒である荒巻鮭義雄先生の＜要塞シリーズ＞から読んで、志茂田影樹の＜激烈！＞シリーズ読んで振電がプロペラ方向に飛んでるの読んで、「だめだこりゃ！」と思って以来読んでいないのである。ってゆうか、架空戦記物って文字がスカスカで誰が何した、何がどうした、が箇条書きに近い形で並んでるダメーな感じの小説というイメージが今でもあるのだけど、米田さんの文章＝この『綾瀬』はなんか重厚な歴史小説風の重い文体でみっちり上下二段組で詰まっていてなんか俺の抱いていた架空戦記モノのイメージが払拭されてしまうようなモノだったのだ。
うーん、自分が無知なのでただ感心するばかりなのだけど、第一場・「予兆」という出航するまでの艦の建造の様子や当時の巡洋艦の艤装に関する描写がちょっと長めに描かれているんだけど、もし俺が作家だったらこんな緻密な描写は出来ないね、ってくらいの丁寧さで書かれている。『世界の艦船』読んでるメカフェチのＳＦ研の先輩や軍事・軍艦、戦記モノに詳しい人には当たり前のことの羅列なのかもしれないけど、なんかまるで自分の目で見ているような詳しい描写にただただ感嘆するばかりの俺であった。前作の『リサイクルビン』の時にもあったけど、知ってる人にはあたりまえのことをちゃんと緻密に正確に描写して書ける作家さんなんだと思う。ここはとても誉めたい箇所だ。
で、出航後は章立ての区切れも良く、トン、トン、トン、と話が進んで行き大変読みやすい。第二次世界大戦の日本海軍の海戦についての知識はほとんどゼロに近いので読んでいて新鮮だったが、他の人には普通の史実の羅列なのかもしれない。ここも詳しい人の感想を聞いてみないとわからないトコロではある。ただ、架空の「防空巡洋艦」という存在しなかった存在が非常にリアルに戦闘を行っているなぁ、というのは感じられる。そして作者のこの戦争に対する主観のようなものが織り込まれていてそこもなかなか面白い。繰り返し出てくる「同じネジ一本造れない」当時の日本の工業力・国力のなさを痛んでいるのが良く分かる。そんな状態で米との戦争状態に突入したことへの憤りも。で、ここら辺の作者の「主観」と時折現れる謎の「少女の亡霊？」がラストに来て結実してくるんだけどね。半分チョイまで読み進んでも少女の正体は謎だし、主人公の夢の意味深長さも読んでる方には？なままである。
そして時折織り込まれていたキーワードに「えっ、まさか？」と思いつつ主人公の夢の描写が長くなってきたなぁ、と思ってラスト５０ページ目位に来ると、ガガガーンでドギャギャーンな展開が待っているのである。もはや残り３５ページは作者一揆書き、もう思いのたけをここに全開でぶっつけてるとしか云いようがない勢いで物語は急転直下？なのか急上昇と表現すべきなのか、とにかく俺好みの話に転がってゆくんだけど……。
これ、難しいよ！！
色んな意味で難しい作品になってしまった。米田さんの意志はわかるけど、これをこの出版社の架空戦記物のレーベルで出しても読者の大半がついて来られないと思うし、逆に付いてこれる読者はこのレーベルじゃあ手に取らないと思うんだよね。ひじょーにもったいない。じゃあ『リサイクルビン』や『プリンセス・プラスティック』の時はどうなのよ、といわれると、うーん確かに過去の２冊も同じように講談社ノヴェルズで出すべき作品ではなかった気もするのでなんというか、不遇な作家さんだなぁ、としか云いようがないですな。
とにかく、俺はこれと同じラストの解釈の仕方をする作品をかつて書こうとしたことがあった。『量子力学』とかまだ知らなかった頃に考えたから一種の『夢をオチじゃないんだよ、パラレルワールド的解釈の別の現実への着地の可能性』なんだよ！というオチだったんだけどね。だからそれを自分の代わりにやってくれたわけで非常に面白く読めたのだけど、うむむ、他の読者がどう感じるかは俺にはなんとも云えない。客観的な評価すら難しい作品になってるんだよなー。
ただ、これだけは云える。戦争ＳＦ好きな人は探して読んでみなはれ！ってことですな。
あとありふれた架空戦記に飽きた人、こういった人には是非オススメしたい。
いやー、米田さん、頑張ったと思うよ、作品的には。もう少しメジャーになるための課題は出版の形態だけだと思うんだけどねー。
というわけで次回作はハヤカワＪＡから『プリプラ』の続編が出るらしいので今度こそ出版形態的にようやくピタッときてるんじゃないかな、と思って内容にも期待している俺であった。
【→bk1】

『ときめきメモリアル２　２─あなたを信じてる─』（電撃Ｇ's文庫）今田隆文、読了。 - 01/08/12 00:00:00
本日の調子: 校庭の隅の八重桜なみ。

コメント:
＃８月１１日
「げぇっ！」
表紙を見たとたん、俺の体からは＜ザ・ワールド＞が飛び出し世界の時を止め、その本を手に素早く握るとレジへ体を走らせ、会計を済ませていた。お、おそるべし八重さん…。
ってゆうか、ときメモのノヴェライズだけには手を出すまい、と誓っていたのを＜２＞だからという安易な理由で前回読んでしまってメインヒロイン・陽ノ下光チャンがクリアしたあげくに結構お気に入りだっただけに小説の出来のしょぼさにうなだれた経験があるにもかかわらず、俺はその第二弾を迷わず買って読んでしまったのだった。だってだって、八重さんだったんだもン。まぁ、俺の八重さんへの入れ込み様はココを見てもらうとしてだね、つまりクリアした数少ないキャラの中でも彼女にはマキシマムに入れ込んでいるのでやむを得ない行為だったというわけだよ、諸君。
んで肝心の内容の方。いや、良いんじゃないでしょうか。ゲームではまさに八重桜、遅咲きの桜のように３年生になってから明るくなりバレーを再び始める決意をする八重さん、表情が明るく、笑うようになる八重さん、そしてとどめくらえ！エプロンドレスでコスプレしてしまう八重さんにそれまでの２年間のつらく悲しい日々がどどっと押し流されるカタルシスに俺はイチコロになったわけだけれども、今回のノヴェライズではプレイヤー＝オトコノコのキャラとその幼なじみの女子というオリジナルのキャラ立てがしっかりしていて物語としてかなり読める出来になっている。思わず前回と同じ作者かどうか確かめてしまったほどの変わりようだ。どうも、作者はこーゆーゲームのノヴェライズにあたって、あまりに自分が創造したオリジナルのキャラを強く出しすぎると物語の世界観を壊すのではないか、という怖れを抱いていたようで、うーん、好みの問題なんだろうけど、ゲームとまったく同じ内容を読まされてもうれしい部分とつまらない部分とがあるわけで、たとえばお気に入りのイベントシーンなんかが登場した場合はニヤリとするわけだけれども、小説全体として評価した場合には俺は今回のようにゲームにない部分でほとんど構成されている方が出来は良くなる、と思っているんだけどね。同じモンに金払っちまった、っていうケチな心も生まれないしね。
というわけで、八重さんファンの俺としては超合格。八重さんファンがどのくらい居るのかしらんけど、八重さんファンは買って損がないでしょう。うむ、予は満足じゃ。
ちなみに俺のときメモ２の感想はこちら。
【→bk1】

『Piaキャロットへようこそ!!2.3─告白の季節─』（ファミ通文庫）伊豆平成、読了。 - 01/08/05 00:00:00
本日の調子: 今は亡き「ブロンズ・パロット」の店長なみ。

コメント:
＃８月４日
うっかりPiaキャロのノヴェライズを見つけてしまった日にゃ、そりゃもう買うしかないでしょ。表紙の絵柄が気に入らなくても、＜2.3＞という怪しい中途半端なナンバーが付いていようとも。
で、読んでみました。
べたです。いや、もう、ハエ取り紙並みにベタベタな展開に悶絶しそうdeath。
うーん、この小説はなぜ2.3なんていう変なヴァージョン番号がついているのかな？ゲームはパソコン版を１、２とやり込んだし１についてはサターン版もやってみたし、２についてはビデオも全部見ている。けど、その後に出た２の１８禁じゃないヴァージョンについてビデオもチェックしていないし、ＤＣ版のヴァージョン2.5もやってないんだよね。それ見ないとわからないのかな？それとも単に２よりも少し先の時期を描いているからなのかな？まぁ、どうでもいいのだが。
俺のPiaキャロ２のプレイ記録を見てもらえばわかるのだけれど、俺の最高のお気に入りはコスプレ娘のつかさちゃんで、声ではマネージャーの涼子さんにメロメロって感じでとにかくこのゲームの唯一にして最大の欠点はヒロイン・日野森あずさのシナリオがプレイしていて全然楽しくない、ということに尽きるのだったが、ビデオでは結構良い仲になってたんやでー、堪忍したってやー、という感じだったので半分あずさシナリオのまずさを忘れていたのだが。今回は２で誰ともくっつかずに主人公は大学進学も親に勧められた就職先にも行かずにPiaキャロで過ごした楽しい日々に未練たらたらで、自分を見直すために、世間の学生でいう春休みの時期に再びバイトをしにやってきたという設定。で、始めっからあずさとくっつくのが見え見えな展開でスタートする。なにしろパソコンゲーム版での遺恨は既に解消されていて、あずさの主人公へのパラメータはマキシマムな設定で描写されているんだからしかたがない。
んで、話として盛り上げるためにつかさちゃんあたりがからんでくる、という内容になっている。正直、この盛り上げ方は悪くないし、ラストのコスプレ大会会場でなりゆきで告白大会になってしまうというのもなかなか悪くないアイディアだ。まぁ、ただ最初に書いた通り、お約束というかべたなのよねー。それだけ。
Piaキャロ２ファンなら読んでも悪くない１冊だと俺は思うね。以上だ。
【→bk1】

過去の日記(01/7/3～01/7/27)を見る

私のホームページへ