タイトル | 真夜中のデッド・リミット |
---|---|
出版社 | 新潮文庫 |
定 価 | 上、下巻各480円 |
個人的ハマリ度 | A(AA、A、B、Cの4ランクにて評価) |
ダイジェスト |
アメリカ、メリーランド州にあるサウス・マウンテンICBM発射基地が "アメリカ合衆国暫定陸軍" を名乗る集団によって奪取された。"将軍" と呼 ばれるこの集団の指揮官が目的とするのはソ連へ向けてミサイルを発射して 世界に終末をもたらす事であり、交渉の余地はまったく無かった。アメリカ 政府は直ちに実力行使による基地の奪還を決定し、デルタ・フォースとレン ジャー部隊それに近隣の州軍部隊を投入すると共に、過去の経緯により軍を 退役していた歴戦の勇士であるディック・プラー大佐を呼び戻し、奪還部隊 の指揮官に据えた。冷徹かつ完璧主義のプラー大佐は、精鋭部隊であるデル タ・フォースを温存したまま敵の出方を探るため、非情にも州軍部隊に第1 波攻撃を命じた。州軍部隊はしぶしぶながら攻撃を開始したが、デルタ・フ ォースに匹敵する精鋭部隊である敵の正確な銃撃によりズタズタにされてし まう。プラー大佐と "将軍" の駆け引きが始まった。
|
コメント |
敵方ばかりでなく、正義を執行する側の指揮官までが冷酷な悪党と言う珍し い作品です。この手のジャンルの作品はよくありますが、両指揮官が共に冷 酷と言う要素が本作品を特異なものにしています。
|
タイトル | 極大射程 |
---|---|
出版社 | 新潮文庫 |
定 価 | 上、下巻各667円 |
個人的ハマリ度 | A(AA、A、B、Cの4ランクにて評価) |
ダイジェスト |
アメリカ海兵隊一等軍曹として従軍し、ベトナム戦争で87人を狙撃して伝説 の超長距離狙撃手のひとりとして軍部内で名を馳せていたボブ・リー・スワ ガーであったが、従事した任務の秘匿性の高さが故に彼の功績が政府に認め られる事は無かった。ベトナム従軍中に狙撃で受けた負傷から回復したボブ は軍を除隊し、アーカンソー州ウォシタ山脈に移り住み、隠遁生活を送って いた。ある日、そんな彼の元に、超高精度の狙撃用実弾の試射依頼が舞い込 んだ。これを引き受けたボブだったが、それは、政府、CIA、FBIを巻 き込んでの巧妙で大がかりな罠の始まりだった。
|
コメント |
超長距離狙撃を扱ったサスペンス小説です。主人公のボブ・リー・スワガー は、CIA配下の非合法作戦実行組織である "ラムダイン・セキュリティ" によって、国家レベルの大がかりな罠にハメられてしまいます。その罠の巧 妙さもさる事ながら、事件解決後の大ラスまでどんでん返しが仕組まれてお り、最後の最後まで結果が見えない作品でした。この作品の前に読んだ『真 夜中のデッド・リミット』といい、ハンターの作品は、本当にラストが見え ないものばかりです。
|
タイトル | ブラック・ライト |
---|---|
出版社 | 新潮文庫 |
定 価 | 上、下巻各667円 |
個人的ハマリ度 | A(AA、A、B、Cの4ランクにて評価) |
ダイジェスト |
ボブ・リー・スワガーは、ラムダイン事件の後、ジュリィ・フェンと結婚し、 殺到するマスコミを避けるようにしてアリゾナ州の片田舎の街でひっそりと 暮らしていた。そんな彼の元を、作家志望の若者ラス・ピューティが訪れた。 武勇伝の出版申し出にうんざりしていたボブは、ラスを門前払いしようとし たが、ラスが書こうとしていたのは、ボブの本ではなく、40年以上も前に凶 悪脱獄犯との撃ち合いで殉職したボブの父、アール・リー・スワガーの物語 だった。父の死にいくばくかの疑問を抱いていたボブは、ラスに協力し、父 の死の真相を調べる旅に出かけた。40年の歳月は、当時の記録のほとんどを 風化させ、彼らの調査は難航したが、そんな彼らの行動を監視し始めた者が いた。40年前に画策された陰謀の亡霊が再び動き始めようとしていた。
|
コメント |
物語の導入部のストーリー展開には、いささか違和感を感じざるを得ません でしたが、上巻も中程に差し掛かる頃には、すっかり "ハンター節" の世界 に引き込まれていました。本作品は、ボブの父アール・リー・スワガーの40 年前のストーリーと、その当時の記録を探ろうとして陰謀に巻き込まれてし まうボブとラスのストーリーの二本立てになっています。
|
タイトル | ダーティ・ホワイト・ボーイズ |
---|---|
出版社 | 扶桑社 |
定 価 | 874円 |
個人的ハマリ度 | A(AA、A、B、Cの4ランクにて評価) |
ダイジェスト |
終身刑を宣告された凶悪犯罪者ラマー・ジェームズ・パイは、弟のオーデル と共にオクラホマ州立マカレスター重犯罪刑務所に収監されていた。アメリ カの刑務所ではどこでもあるように、マカレスターにおいても、白人と黒人 はそれぞれグループを作って対立していた。その最中、オーデルが同じ白人 グループのボスを怒らせるヘマをしでかし、ラマー共々、黒人グループへの 性的奴隷として差し出されるハメになった。ラマーは、自分を襲いに来た黒 人受刑者を殴り殺してしまい、黒人グループの報復から逃れるべく、弟と新 入服役囚リチャードの二人を連れてマカレスターから脱獄した。抜け目のな いラマーは、途中で武器を手に入れ、警察の追跡を次々とかわしながら邪魔 する者は迷わず殺し、店を襲った。これに対し当局は、オクラホマおよびテ キサスの全警察機構、FBIから軍警察までをも動員した大捜索が開始した。 |
コメント |
本作品は、年代序列としては『ブラック・ライト』の過去に当たりますが、 "ボブ・リー・スワガー・シリーズ" ではありません。本作の主人公は、二人 いると言っても良いでしょう。ひとりは、犯罪者ラマー・パイ、そしてもう ひとりはオクラホマ州警察ハイウェイ・パトロール巡査部長であるバド・ピ ューティです。バド・ピューティは、『ブラック・ライト』で登場したラス ・ピューティの父親です。物語の冒頭の刑務所のシーンは、この手のバイオ レンス小説ではありふれた描写でしたが、ラマーが脱獄してからのバドとの 追跡劇は読み応えがありました。『ブラック・ライト』では、最後の数ペー ジにちょろっとした登場しなかったバド・ピューティでしたが、その彼には、 実は厚さ3センチにも及ぶ小説1冊分の過去があったと言う分けです。本作 を読んでみて、バドがボブ・リー・スワガーの父であるアールに匹敵するタ フな警官であった事がよく分かりました。 |