ロバート・A・ハインライン


◆『宇宙の戦士』(早川文庫)

  個人的ハマリ度:AA(AA、A、B、Cの4ランク評価)

  時代は未来。高校卒業間近だったジュリアン・リコ(ジョニー)は、特に切望する進路を持って
  いなかったが、高校でいつもツルんでいた友人のカールが地球連邦軍に入隊すると言い出し、成
  り行きからいっしょに軍に入隊する事になった。宇宙海軍勤務を希望したジョニーだったが、軍
  の人事士官が決めた彼の配属先は、地球連邦軍においてもっとも荒っぽい部隊である機動歩兵だ
  った。連日、脱落者の出る厳しい新兵訓練生活を送る中で、ジョニーも除隊寸前までの心理状態
  に追い込まれて行ったが、高校の恩師から来た一通の手紙が彼に悟りを開かせ、訓練をやり遂げ
  るきっかけを与えた。正規の兵隊として実戦部隊に配属されたジョニーだったが、彼が訓練を受
  けていた数年間の間に地球連邦はクモ型異性人との戦争状態に入っており、ジョニーはカプセル
  降下兵として戦場に赴く事になる。

  【コメント】
   機動戦士『ガンダム』の原作者である富野由悠季さんが本作品に登場する強化防護服を着た機
   動歩兵をモビルスーツのモデルにしたのは有名な話しです。ハインラインは自身が軍隊経験が
   あるだけあって本作品では厳格な軍隊たるものが実に良く描かれており、ごく平凡な一人の青
   年が一人前の兵隊へと成長していく課程がよく描写されています。思想的な面が少々濃く、賛
   否両論の大きく分かれている作品ではありますが、個人的には最高の小説のひとつです。