タイトル | レッド・オクトーバーを追え |
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出版社 | 文春文庫 |
定 価 | −−− |
個人的ハマリ度 | A(AA、A、B、Cの4ランクにて評価) |
ダイジェスト |
ソ連海軍は、ソナーによる探知が不可能な推進機関を備えた最新鋭の原子力 弾道ミサイル潜水艦『レッド・オクトーバー』を完成させた。先制核攻撃能 力を備えた本艦の建造目的に気づいた艦長のマルコ・ラミウスは、同志を募 り、『レッド・オクトーバー』を持って西側に逃亡する決意を固めた。同艦 の逃亡を知ったソ連海軍は、大西洋にある全艦艇と航空機を動員し、これを 追い始めた。ソ連軍の異常な動きに呼応してアメリカ軍も大西洋における戦 力を集結させ、北大西洋は、まさに一触即発の状態になりつつあった。 |
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レッド・ストームに続いて読んだ2番目のクランシー作品でしたが、潜水艦 対潜水艦の戦いとはこういうものだ! と、いうのと、先の読めないクランシ ーの巧みなストーリー構成に舌を巻いた作品でした。 |
タイトル | レッドストーム・ライジング |
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出版社 | 文春文庫 |
定 価 | 上、下巻各680円 |
個人的ハマリ度 | AA(AA、A、B、Cの4ランクにて評価) |
ダイジェスト |
死を決意したイスラム教徒のテロにより、ソ連最大のニジュネヴァルトフス ク精油コンビナートが爆破された。ソ連の石油製品製造能力は危険なまでに 低下し、経済基盤の破綻がもはや避けられない事態となった。冷戦が継続し ている中、代償なくして西側からの援助は望めないと判断したソ連邦幹部は、 武力による中東油田の奪取を決定。その前に、欧州のNATOの脅威を排除 せねばならぬとの判断が下された。 |
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私が読んだ初めてのクランシー作品。欧州大戦と言う巨大なテーマを扱いな がら、6人もの主役級の人物を作品中に登場させてしまうクランシーの創造 力に驚嘆させられる作品でした。人物の個性の描き方もさる事ながら、登場 する兵器ひとつひとつについての知識もハンパではなく、個人的には最高の 小説のひとつだと思っています。 |
タイトル | 愛国者のゲーム |
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出版社 | 文春文庫 |
定 価 | 上、下巻各560円 |
個人的ハマリ度 | AA(AA、A、B、Cの4ランクにて評価) |
ダイジェスト |
家族と共にイギリスを旅行中だったジャック・ライアンの目の前で、英国の 王族がアイルランド系テロリストに襲撃された。無我夢中で飛び出したライ アンは、負傷しつつもテロリスト2人を倒し、襲撃は失敗に終わった。感謝 した英国王室より "サー・ジョン" の称号を与えられ、英雄としてアメリカ に帰国したライアンだったが、テロリストたちはその借りを忘れてはいなか った。 |
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前2作からするとスケールは極端に小さくなりましたが、本作品は "人" に 重点を置いて書かれており、これほど個性的な人物を何人も登場させられる ものだと感心させられました。なにせ、あの自身家のジャック・ライアンが 手玉に取られたり相談を持ちかけるような人物が次々と登場するのですから 驚きです。私が本格的にクランシーにのめり込むキッカケとなった作品です。 |
タイトル | クレムリンの枢機卿 |
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出版社 | 文春文庫 |
定 価 | 上、下巻各600円 |
個人的ハマリ度 | A(AA、A、B、Cの4ランクにて評価) |
ダイジェスト |
宇宙を舞台とした戦いに備え、米ソ両国は対衛星攻撃用レーザー兵器の開発 を急ピッチで進めていたが、それと同時に、CIAとKGBもお互いのレー ザー兵器の情報を探るべく凌ぎを削っていた。そんな折り、アメリカの偵察 機が、ソ連のタジク共和国上空で、すでに機能を停止していたソ連の衛星が 爆発したように消滅するのを偶然捉えた。それがソ連の対衛星兵器のテスト 発射であった事に愕然としたアメリカ政府首脳部は、直ちにクレムリンの中 枢部にいるCIAのスパイである "カーディナル" に調査を命じた。 |
コメント |
前作に至るまで、だいたいがCIAを中心として書かれていたため、元々ス パイや機密などと言った用語が飛び交うのがクランシー作品の特徴でしたが、 本作品ではスパイと言うカテゴリーが特にクローズ・アップされていました。 クランシーが自分で考えたのか何処かでネタを仕入れて来たのかは不明です が、スパイの諜報網と言うものが、まるで見てきたような描写で描かれてい ました。 |
タイトル | いま、そこにある危機 |
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出版社 | 文春文庫 |
定 価 | 上、下巻各680円 |
個人的ハマリ度 | A(AA、A、B、Cの4ランクにて評価) |
ダイジェスト |
麻薬問題が深刻化しつつあったアメリカで、一大作戦を展開したFBIは、 アメリカ国内における南米麻薬カルテルの資産差し押さえに成功し、カルテ ルに大打撃を与えた。激怒したカルテルのボスは、南米を訪問していたFB I長官を殺害する事によりこれに復讐した。アメリカ大統領は、これをカル テルの宣戦布告と見なし、自らの名声を高めようともくんでいた国家安全保 障問題担当大統領補佐官やCIA作戦担当副長官と共謀し、議会の承認を得 ないまま麻薬カルテルを壊滅する作戦を密かに発動し、特別に訓練を受けた 攻撃チームを南米に送り込んだ。CIA情報担当副長官代行となっていたジ ャック・ライアンは、大統領やCIA作戦担当副長官の不穏な動きに気づき、 FBIの友人たちと共にこれを調べ始めた。 |
コメント |
実際にあり得そうなストーリーでした。例えアメリカとしての道義に叶って いても、合衆国憲法を尊守しない行為は間違いであると言うライアンの毅然 とした態度が印象的でした。 |
タイトル | 恐怖の総和 |
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出版社 | 文春文庫 |
定 価 | 上、下巻各900円 |
個人的ハマリ度 | A(AA、A、B、Cの4ランクにて評価) |
ダイジェスト |
CIA情報担当副長官となっていたジャック・ライアンの提案により、長年 に渡り続いていた中東の宗教紛争に終止符を打ち、和平が実現した。その頃、 中東のとある畑の土の中で、20年前の中東戦争の混乱のさ中、搭載していた 戦闘機が撃墜された事により行方不明となっていたイスラエル軍の水爆が発 見された。これを手に入れたアラブ・テロリストたちは、中東和平は信義へ の裏切りと見なし、それを提起したアメリカに天誅を加えるべく水爆を活性 化し、米本土へ向けて出発した。 |
コメント |
テロリストが水爆を入手出来たのは少々ご都合主義だとしても、ストーリー 構成は秀逸で最後のどんでん返しは予想だにしませんでした。特にテロリス トが水爆を活性化させる課程の描写は実に緻密で、まるで "水爆製造マニュ アル" を読んでいるようでした。それでいて解説がくどくなり過ぎたりせず、 すらすら読めてしまうんですから驚きです。 |
タイトル | 日米開戦 |
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出版社 | 新潮文庫 |
定 価 | 上、下巻各800円 |
個人的ハマリ度 | C(AA、A、B、Cの4ランクにて評価) |
ダイジェスト |
日本財界の大物となった矢俣頼造は、太平洋戦争中のサイパンで米軍によっ て両親の命を奪われた積年の恨みを晴らすべく、自分の傀儡とも言える政治 家を首相に据えて事実上日本政府を手中に収め、自衛隊の中でもアメリカ支 配を快く思わない同志を集めていた。そのころ、日米間の貿易摩擦が深刻化 しているさなか、アメリカで、製造工程に起因する欠陥により日本車が炎上 し、1家族全員が焼死すると言う事故が発生した。アメリカ世論は一斉に日 本バッシングに走り、政府も貿易改革法を打ち出して日本からの輸入製品に 圧力をかけ始め、ほどなく、日米関係は断絶に近い状態に陥った。そんな情 勢の中、太平洋で行われていた日米合同演習で、海上自衛隊の潜水艦『くろ しお』は密かに米攻撃型原潜2隻を撃沈し、護衛艦『むつ』は誤射と偽って 魚雷を発射して米空母2隻に航行不能となる損害を与えた。大規模な軍縮に より大幅に戦力が低下していた米海軍は、太平洋海域で作戦可能な有力艦艇 のほとんどを失う事態となった。それに追い打ちをかけるかのように、自衛 隊部隊がサイパンに上陸し、島を占拠した。日本の無謀とも言える暴挙にと まどうアメリカ政府だったが、矢俣にはアメリカの反撃を封じる秘策が用意 してあった。 |
コメント |
まったくないとは言い切れませんが、クランシーにしては舞台設定に少々無 理があったと感じた作品でした。本作品でクランシーは、経済の分野にもに も足を踏み入れており、これはなかなか読まされるものがありましたが、個 人的には余り好きになれませんでした。 |
タイトル | 容赦なく |
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出版社 | 新潮文庫 |
定 価 | 上、下巻各760円 |
個人的ハマリ度 | B(AA、A、B、Cの4ランクにて評価) |
ダイジェスト |
時代は1960年代、ベトナムではまだ戦争が継続していた。元SEAL隊員の ジョン・ケリーは、軍を退役後、民間の水中爆破作業員として働き、間もな く出産を控えた妻のパトリシアと共に幸せに暮らしていたが、不慮の交通事 故で妻を失ってしまう。妻を失ったショックから生きる意義を失ったケリー は世捨て人のような暮らしを送るようになっていたが、麻薬組織から逃亡し て来た麻薬中毒者のパメラ・マドゥンを偶然助ける事になり、やがて彼女に 協力して麻薬組織を壊滅させるべく警察に接触をとろうとしていた。その頃、 ベトナムでは、アメリカの無人偵察機が、とある秘密捕虜収容所にベトナム 側が死亡したと発表した米兵が捕われている事を確認した。ベトナム側には 彼らを返還する意志が無いと見たアメリカ政府は奪還作戦を計画し、かつて その収容所付近に潜入した事のあるケリーに助言を求めるべく接触しようと していた。 |
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ジャック・ライアン・シリーズを離れていよいよ新作かと思えば、ライアン ・シリーズの過去を描いた作品でありました。本作には海兵隊入隊前の大学 生のジャックがチラっと登場するだけですが、その代わりに父親のエメット ・ライアン警部補が主要人物として活躍します。なじみの顔ぶれとしては、 CIAに入りたてのジェイムズ・グリーア少将、『いまそこにある危機』、 『日米開戦』で活躍した合衆国沿岸警備隊のマヌエル・"ポータギー"・オレ サなどが登場します。読んだ感想としては、クランシー作の特徴がよく出て いて悪くはなかったのですが、なんとなくストーリーの進捗が遅く、今まで の作品のように快調には読めませんでした。 |
タイトル | 合衆国崩壊 |
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出版社 | 新潮文庫 |
定 価 | 1〜4巻各743円 |
個人的ハマリ度 | A(AA、A、B、Cの4ランクにて評価) |
ダイジェスト |
日本との戦争終結直後、ロジャー・ダーリング合衆国大統領の強い要望によ って副大統領職を引き受けたジャック・ライアンだったが、宣誓式終了直後、 式のため大統領本人と大部分の政府閣僚、議員が集まっていた国会議事堂に、 敗戦に対する個人的な復讐を決意した日本の旅客機が突入し、議事堂は全壊、 合衆国政府は全滅に近い状態に陥った。就任のインタビューのためCNNワ シントン支局のビルに移動していて難を逃れたライアンは、即座に大統領職 を引き継ぐ結果となったが、事実上、合衆国政府は機能を停止した。一時的 にせよ合衆国の弱体化が免れ得ない状況の勃発を知ったイランの指導者ダリ アイは、合衆国に対して反感を抱く中国、インドと密約を結び、長年の己が 野望を実現すべく計画の実行を命じた。今や合衆国は、内外の敵から包囲さ れようとしていた。 |
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ジャック・ライアン・シリーズの1作品です。『日米開戦』のまさに終了直 後からを描いた作品であり、『日米開戦』と本作の6巻構成と呼んでも良い ほどです。クランシーにしては珍しく4巻構成の長編作品でしたが、第1巻 から第2巻の前半までのライアンは政治のゴタゴタや混乱に翻弄されるばか りでストーリーの進捗が余りにも遅く、思わず途中で読むのをやめてしまお うかとも思ったのですが、第2巻の後半からは得意の "クランシー節" が生 きてきて、後は一気に読めました。やはりこの手の作品は、ストーリーの "下ごしらえ" に手を抜いてはいけないと言う事なんでしょうね。その辺に クランシーの妥協しない姿勢を垣間見た作品でした。 |
タイトル | レインボー・シックス |
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出版社 | 新潮文庫 |
定 価 | 1〜4巻各629円 |
個人的ハマリ度 | A(AA、A、B、Cの4ランクにて評価) |
ダイジェスト |
元CIA工作員のジョン・クラークは、国際的なテロリストの跳梁に対抗す べく、国境を越えて即応出動が可能な対テロリスト部隊の必要性を合衆国大 統領に進言し認められた。合衆国大統領の呼びかけによる各国の支援の元、 アメリカのデルタ・フォースおよびFBI、イギリスのSAS、フランスの DGSE、ドイツのGSG9などから精鋭中の精鋭を集めて多国籍対テロリ スト部隊『レインボー』が創設された。イギリスのヘリフォードに本拠を構 えたレインボー部隊が日々、激しい訓練を重ねている中、アメリカに渡って いた元KGBのテロ担当エージェントであるドミトリ・ポポフは、偶然知り 合った実業家の男より、テロの依頼を受けた。KGB時代に築いていた連絡 網を利用してテロ組織と渡りを付けたポポフだったが、成功の見込みが薄い テロをあえて依頼した実業家の真意を図りかねていた。その裏には、かつて 合衆国そのものへの攻撃を図ったイランのダリアイの計画を遙かに凌ぐ巨大 な陰謀が隠されていた。 |
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ジャック・ライアン・シリーズかと思えば、ジョン・クラークが主人公の作 品でした。ただし、本作におけるクラークは、レインボー部隊の司令官と言 う立場であるため、かつての作品にあるように自らが現場に出向くような事 は少なく、作中における存在感も過去の作品ほどではないため、本作を "ジ ョン・クラーク・シリーズ" とは呼べないような気がします。作品の時代設 定は『合衆国崩壊』の後になっており、ライアンは引き続き大統領職にあり ますが、本作では作中に登場する事は1度も無く、それどころか名前すら呼 ばれません。僅かに登場人物間の会話の中で1度だけ「ジャック」と呼ばれ ただけで、その他の会話の中では、単に「大統領」としか呼ばれていません。 それ以外の馴染みのキャラクターとしては、クラークの相棒のドミンゴ・シ ャベスを始め、CIAのフォーリー夫妻、FBIのダン・マリーなどが登場 し、クラークと共に事に当たります。本作における "悪玉" の陰謀は、想像 を絶する規模のものですが、あながち "悪玉" とは言い切れない一面もあっ たような気もします。前作と同様、4巻構成の長編ですが、本作は比較的す らすらと読む事が出来ました。 |