ジョン・アレン・プライス


◆『レッド・デルタ浮上す』(光文社・660円)

  個人的ハマリ度:AA(AA、A、B、Cの4ランク評価)

  大西洋を哨戒中だったソ連海軍のデルタ級原子力弾道ミサイル潜水艦 "クイーンズ・ポーン12"
  で反乱が起こり、艦を制圧した反乱者たちは西側への亡命を計った。幸運にもNATOの統合南
  大西洋機動部隊と会合したレッド・デルタだったが、艦の奪取をソ連側に知られずに運び込める
  唯一の港であるアメリカ西海岸へ向かって、英空母『イラストリアス』、米巡洋艦『アーカンソ
  ー』の2隻の護衛の元に地球半周の旅に出発する事になった。一方、 "クイーンズ・ポーン12"
  からの定時連絡が途絶え、それに続く不可解な出来事から同潜水艦が亡命した可能性に気づいた
  ソ連政府は、艦隊と航空機を動員し、さらにアルゼンチン海軍にも協力を依頼してこれを探し始
  めた。大西洋を舞台に両軍の壮絶なかくれんぼが始まった。

  【コメント】
   かの有名なクランシーの『レッド・オクトーバーを追え』の後に出版されたほとんど同テーマ
   の作品ですが、読んでみるとレッド・オクトーバーの二番煎じなどではなく、潜水艦が物語主
   役だったレッド・オクトーバーに対し、本作品ではレッド・デルタの護衛に就く2隻の水上戦
   闘艦と艦載戦闘機が主役となっています。本作品では特にレッド・デルタ護衛部隊とソ連の索
   敵部隊との駆け引きがすごく、個人的にはレッド・オクトーバーよりこちらの方が気に入って
   います。