宇宙世紀0097年初頭、月の裏側にあったコロニー群である "サイド３" はジオン公国を名乗り、地
球連邦に対して独立戦争を始めた。
ジオン軍はブリテッシュ作戦を発動し、わずか数週間の内にサイド１、２、４、５の４つのコロニ
ー群の住人はジオン軍が仕掛けた毒ガス攻撃によって全滅させられ、さらに地球連邦政府を脅して降
伏させるため、数基のコロニーが地球に落とされた。
反撃した連邦宇宙軍はルウム会戦でジオン軍が繰り出した新兵器モビルスーツの前に大敗し、総司
令官であるレビル将軍も乗艦を沈められ、捕虜となってしまった。
打ちのめされた地球連邦政府は降伏寸前の状況に追い込まれていたが、奇跡的に脱出して地球へと
帰還を果たしたレビル将軍が行った「ジオンに兵なし」宣言によって連邦政府は徹底抗戦を決定し、
戦いはジオンの恐れていた長期戦の様相を呈し始めた。
開戦から約１年が過ぎ、ジオン公国とは地球を挟んで正反対の位置にある建設途中のサイド７では、
地球連邦軍のモビルスーツ開発計画である "Ｖ作戦" が進行中だった。
それを察知したジオン軍は、"赤い彗星" の異名を持つシャア・アズナブル少佐を調査に派遣した。
シャアの隊は連邦のモビルスーツ『ガンダム』を発見し、破壊を試みるが、状況に流されるまま乗り
込んだアムロ・レイの操縦する『ガンダム』はすさまじい性能を発揮して逆にジオンのモビルスーツ
『ザク』２機を破壊した。
【コメント】
ダイターン３に続いて制作された本作は、スパ・ロボもの全盛のアニメ界に衝撃と一大革命をもた
らせました。
ガンダムにおけるロボットであるモビルスーツは、戦闘機や戦車と同じ量産兵器であり、従来のス
パ・ロボみたいに必殺技も持たなければ途方もない防御力もありません。
また、ガンダムの舞台は地球連邦とジオン公国との戦争であり、主人公アムロの乗る試作型モビル
スーツのガンダムは、他の量産型モビルスーツより優れた性能を持つものの、戦争の全体から見れば
１機のモビルスーツに過ぎず、戦争の気勢を左右する力はありません。
その点も孤軍奮闘するスパ・ロボものと違うところであり、ソロモン会戦において、何百機もの味
方モビルスーツと共に出撃するガンダムを見た時は、思わず震えが走りました。
ガンダム以後、富野氏のアニメからはスパ・ロボは姿を消し、他のアニメ制作会社もガンダム人気
にあやかるべく "非スパ・ロボ" ものの制作を始めましたが、個人的にガンダムと比肩し得ると思え
たものは、唯一、マクロスのみでした。
1980年に放映を終えた後も、ガンダムは、『Ｚガンダム』、『ＺＺガンダム』、『Ｇガンダム』、
『Ｖガンダム』、『ガンダムＷ』、『ガンダムＸ』などのテレビ・シリーズが現在まで作り続けられ
ており、他に劇場版として『逆襲のシャア』、ＯＶＡで『ガンダムＦ９１』、『ガンダム0080』、
『ガンダム0083』、『第０８ＭＳ小隊』などが制作されています。
数多く制作されているガンダムですが、１ｓｔから入った私としては、個人的に認めているのは
テレビの方は１ｓｔ、Ｚだけで、ＺＺは見続けるのに少々忍耐を必要としましたし、Ｇガンは１話
見ただけで見る気を無くし、Ｖガンに至っては見る気すら起きませんでした。
ガンダムＷで再びシリアス路線に戻りましたが、最新作の "Ｘ" にしても、私に言わせれば単にガ
ンダムと言うブランド名を持ち、地球対宇宙という同じテーマを延々と繰り返すだけのドンパチ・ア
ニメに過ぎず、たとえ現役のアニメ・フリークに人気があったとしても、もはやガンダムの王道から
はかけ離れた作品にしか見えませんでした。
これに対して、ガンダムの原点である１ｓｔの舞台となった１年戦争（と、その直後）を扱ったＯ
ＶＡの『0080』、『0083』、『０８小隊』は、私同様、１ｓｔからガンダムのファンになり、それぞ
れがそれぞれ１ｓｔガンダムに独自のこだわりを持つ人達が参加して制作されただけに、マニアック
かつ、非常に面白い作品に仕上がっていました。
私としましては、ＯＶＡはこれからも制作を続けるとして、テレビ・シリーズのガンダムの方は、
１ｓｔ→Ｚ→ＺＺ→逆シャアと続く王道だけで終わっておいて欲しかったと思っています。
劇場版『機動戦士ガンダム』４部作ＬＤボックス
（バンダイ：BELL-185：1988年）
劇場版『機動戦士ガンダム／逆襲のシャア』ＬＤ
（バンダイ：BELL-187：1988年）
『機動戦士ガンダム／００８０@』ＯＶＡ・ＬＤ
（バンダイ：BEAL-221：1989年）
『機動戦士ガンダム／００８３@』ＯＶＡ・ＬＤ
（バンダイ・ビジュアル：BEAL-421：1990年？）
『機動戦士ガンダム／第０８ＭＳ小隊@』ＯＶＡ・ＬＤ
（バンダイ・ビジュアル：BEAL-859：1993年？）
