"ＤＡＩＣＯＮ"

　"ＤＡＩＣＯＮ" とは、大阪ＳＦコンベションの略称で、（たぶん1980年代中頃の）第３回大会で
プライベート制作のアニメが上映されました。

　このアニメ作品の名称を私は知らないのですが、仲間内でこのアニメの話をする時は、便宜上、
"DAICON-III" と呼んでいました。

　同作品はＢＧＭだけでアフレコは無く、画質もテレビ・アニメには及びませんでしたが、後にエヴ
ァンゲリオンを制作した庵野氏を含め、後のアニメ業界で第一線を張る人達が集まって作り上げた力
作でした。

　ストーリーは非常にシンプルで、まず、ランドセルを背負った小さな女の子が、空から降りて来た
ジェット・ビートルに乗った男から水の入ったコップを渡され "ＤＡＩＣＯＮ" まで届けるように頼
まれます。

　コップを受け取った女の子がてくてくと歩いていると、機動歩兵（ハインラインの小説『宇宙の戦
士』に登場）が現れ、コップを奪おうとします。

　女の子が渡すのを拒否すると、機動歩兵はいきなりロケット弾攻撃！ これをかわした女の子のラン
ドセルの下側からスラスター・ノズルが現れ、女の子はガンダムばりのロケット・ジャンプ！

　後を追ってジャンプした機動歩兵がミサイルを乱射し、直撃を受けた女の子は半ば気を失い墜落し
始めるが、途中で気がつき、地上に着地した後、機動歩兵が撃ってきたロケット弾を素手で掴んで投
げ返し歩兵を撃破します。

　女の子がホッとしたのも束の間、機動歩兵の残骸から信号弾が発射され、空に "イデ" のマークが
描かれると、バルタン星人、ガメラ、キングギドラ、ギガント、轟天、ヤマト、エンタープライズ号
などが一斉に現れ、女の子を攻撃して来ます。

　女の子がジャンプ一閃、ランドセルに差してあった30センチの竹サシを引き抜くと、ビーム・サー
ベルのブレードが竹サシから伸び、一撃でバルタン星人を両断。

　さらに女の子が両腕を顔の前でクロスさせると、ランドセルの上蓋が開いてミサイル・ランチャー
が現れ、イデオンばりにミサイルを乱射。（イデオンを見た者のみが分かる、"カミューラ・ランバ
ン・アタック" です、これは笑えた！）

　一気に敵を掃討した女の子が地上に降り、土に半分埋もれているしなびた大根にコップの水をかけ
ると、その大根が巨大な宇宙船に変貌して物語は終わりです。

　まさにハチャメチャでストーリーもへったくれもありませんが、当時のアニメ・フリークたちにと
っては拍手喝采もののパロディであり、伝説となった作品でした。

　後年、第４回大会用に第２弾が制作されましたが、これはもうプロなみの画質と動きをしており、
内容もさらにパワー・アップしていました。