DROID WORKS
ソフト概略

 ルーカス・カンパニーズの1社であるルーカス・ラーニング社(ラーニングとは学習を意味します)
から発売されている10歳以上を対象としたゲーム形式の教育ソフトです。

 企画/原案はルーカス・ラーニング社が行っていますが、プログラミングはルーカス・アーツ社が
担当しており、ゲーム部分は『JEDI KNIGHT』と同じCGエンジンを使用して作られているため、教
育ソフトとは言え、ゲーム部分の完成度は決して侮れません。

 本ソフトでは、自分で作ったドロイドで全部で8つあるステージのゴールを目指しながら、後述の
「本ソフトで学べる事」の項で述べる事柄ついての勉強をしていきます。

 尚、本ソフトのゲーム部分では、『JEDI KNIGHT』みたいなドンパチやチャンバラはありません。

 ちなみに、'98年11月現在、本ソフトの邦訳版/日本語マニュアル添付版は発売されておらず、私
が入手した物も直輸入の原版です。


■本ソフトで学べる事

 本ソフトでは、下記のような事柄を学ぶ事が出来ます。

◆力について
 力、重力、摩擦、慣性、磁石、磁極、電磁石、質量、仕事量、抗力、重量

◆光について
 可視光線波、鏡、反射、反射角、水晶、プリズム、レーザー

◆機械について
 カタパルト、カウンター・ウェイト、支点、歯車、斜面、レバー、荷重、機械、滑車、ねじ、弾道、
くさび、仕事

◆エネルギーについて
 速度、加速度、減速、動作、熱伝導、運動エネルギー、エネルギー保存の法則、機械エネルギー、
潜在的エネルギー

◆原料(?)について
 アルミニウム、ベリリウム、黄銅、青銅、銅、鉄、マグネシウム、モリブデン、ニッケル、プラス
ティックHostalloy、シリコン、銀、鋼鉄、チタニウム、タングステン・カーバイト、グラファイト、
HastelloyX、などの比重、張力についての対比チャート。

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 上記の内、「力」、「機械」、「エネルギー」については、その応用がゲーム部分に盛り込まれて
いますが、本ソフトには、「インフォメーション&データ・エキスパート」画面と言うものがあり、
そこでは上記の各項目について動く絵を交えて分かり易く解説しています。


■先生

 本ソフトでは、何とあのジャワ人が先生を務めており、ドロイドの組み立て方の説明やミッション
・ブリーフィングなどをしてくれます。

 私も数々のSWメディアを見てきましたが、"ベーシック"(つまり英語(^^;)を話すジャワ人は初
めてお目にかかりました。(^^;

 ちなみに、3POも登場しますが、本ソフトでは、主にヘルプの説明を担当しています。


■ドロイド

 プレイヤーは、まずジャワたちのサンドクローラー内にあるドロイド工房で、用意されている様々
なパーツを組み合わせて自分のドロイドを作ります。(驚いた事に、ジャワたちから "代金" は請求
されません(^^;)

 作れるドロイドは、大きく分けてC-3POのような二足歩行タイプとR2-D2のようなキャタピラ/車輪
装備タイプの2種類あり、そのどちらかを選択します。

 二足歩行タイプは、「頭」、「胴体」、「脚」、「右腕」、「左腕」、「右手」、「左手」、「バ
ッテリー・ユニット」の8パーツから構成されており、それぞれのパーツごとに様々な種類が用意さ
れており、右腕と左腕は異なる種類を付ける事も可能です。

 キャタピラ/車輪装備タイプは、「頭」、「胴体」、「キャタピラ/車輪装備の台車」、「アーム
(1本のみ)」、「手」、「バッテリー・ユニット」の6パーツから構成されており、やはり各パー
ツには様々な種類が用意されています。

 二足歩行タイプとキャタピラ/車輪装備タイプの機能的な違いは、だいたい下記の通りです。

◆二足歩行タイプ
 ◇長所
  1.ジャンプが出来るので、登りの段差やギャップを飛び越えたり箱の上などにあるアイテムを
    取る事が出来る。
 ◇短所
  1.キャタピラ/車輪装備タイプより移動速度が遅い。
  2.角度のあるスロープを登れない。

◆キャタピラ/車輪装備タイプ
 ◇長所
  1.二足歩行タイプより移動速度が速い。
  2.角度のあるスロープでも登る事が出来る。
 ◇短所
  1.ジャンプが出来ないので、登りの段差やギャップを飛び越えたり箱の上などにあるアイテム
    を取る事が出来ない。

 ドロイドは自由にパーツを選んで組み立てられますが、ミッションによっては特定の機能を要求し
ている場合(たとえば「二足歩行タイプのみ」とか「ヘッド・ライトが必要」など)があり、その場
合はそれに沿った種類のパーツを選ばざるを得なくなっていまいます。

 また、各パーツにはちゃんと重量が表記してあり、当然ながら組み上がったドロイドの重量はパー
ツ重量の合計となります。

 ミッション中においてこのドロイドの重量はちゃんと反映されるようになっており、二足歩行タイ
プの場合は重量が軽いほど高くジャンプが出来たり角度のキツい傾斜を登れますが、重いドロイドは
高いジャンプが出来ないため、ギャップを飛び越えられなかったり、角度がそれほどキツくない傾斜
すら登れなかったりします。

 また、ミッションによっては、例えば「100kgの重量がある木箱」を動かしたりしなければならな
い時があり、その場合、自重が100kg以下のドロイドでは、その木箱を動かす事が出来ないと言った
具合です。

 ドロイドの組み立てやパーツ交換は、ドロイド工房画面に戻ればいつでも出来るので、例えばミッ
ションにおいてドロイドの機能上の問題で行き詰まってしまった場合は、プレイを中断していったん
工房に戻り、パーツを交換したり最初から作り直したりして、再度、ミッションへ挑戦する事が出来
ます。(ただし、そのミッションに関しては始めからやり直す事になります)

 ミッション中におけるドロイドに関する情報表示としては、バッテリー・インディケータとダメー
ジ・インディケータのふたつがあります。

 本ソフトのドロイドはバッテリーによって駆動されているため、動いた分だけバッテリーを消耗し
ていく事になり、バッテリーが尽きてしまうと、そのミッションはゲーム・オーバーになってしまい
ます。

 バッテリーは、ミッション中の各所にアイテムとして十分な数を置いてくれているため、それを取
る事によって補充する事が出来ます。

 また、ドロイドは高い所から飛び降りたり落下したりするとダメージを受けるようになっていて、
ダメージ・インディケータの表示が100%に達すると、そのミッションはゲーム・オーバーになってし
まいます。

 ただし、ダメージの度合いによって移動速度が低下したり、片手が動かなくなくなったりと言った
機能低下は起こらないようになっています。

 ダメージは、ミッション中の所々にアイテムとして置かれているオイル缶を取る事により、ある程
度は回復させる事が出来ますが、このオイル缶は少数しか置かれていません。


■ミッション

 本ソフトでは、ゲーム画面でプレイするステージの事を "ミッション" と呼んでいます。ミッショ
ンは全部で8つありますが、各ミッションの違いは難易度ではなく学習する内容が異なるだけなので
順番にプレイする必要はなく、どれでも好きなミッションを選ぶ事が出来ます。

 先の概略で述べた通り、本ソフトのミッションでは、プレイヤーはゴールを目指すのですが、その
途中に、そのミッションで学習すべき内容を反映した障害物が設置されいます。

 障害物の近くに着くと、プレイ画面下にある「インフォメーション&データ・エキスパート」画面
へ行くポタンが点滅し、それを押すと、目前の障害物を処理するのに必要な知識を表示してくれるよ
うになっています。

 また、各ミッションには、そのミッションをプレイする上で必要とする「ドロイドの条件」と「ミ
ッション・クリア条件」が設定されており、「ドロイドの条件」で要求される機能を満足するドロイ
ドを組み立ててミッションに臨みます。

 各ミッションは計3回までプレイする事が出来、3回ともクリアすると完全クリアとなりますが、
当然の事ながら2回目以降はクリア条件が厳しくなっていきます。

 こんな説明だけだと、いまいちピンとこないと思うので、例として実際のミッションをひとつ紹介
して見ます。

 そのミッションでは、「天秤の原理」について学びます。同ミッションには3階まである巨大なカ
ウンター・ウェイト調整式エレベータが設置されており、通常、エレベータは2階に止まっています。

 スタート地点、およびゴールのある部屋は同じ2階の高さにあり、ゴールのある部屋は、ロックが
ふたつ付いた扉によって閉鎖されていて、そのロックを解除するスイッチは1階と3階にあり、両方
のスイッチを入れると扉が開いてゴールする事が出来ます。

 上記ミッションの "1回目" の条件は下記の通りです。

 ◇ドロイドの条件
  1:二足歩行タイプのみ
 ◇クリア条件
  1:ゴールする事

 ミッションがスタートすると、プレーヤーはまず、スタート地点からエレベータ施設へと通じる通
路の途中にある2個所の深いギャップ(落ちれば1発でアウト)を飛び越えて施設の2階にあるエレ
ベータのカウンター・ウェイト調整室へ行きます。

 途中の2個所のギャップは、一見、何の意味もないように思えますが、ドロイドの自重が重すぎた
り、ジャンプ力のある「脚」を付けていなければ飛び越える事が出来ません。

 カウンター・ウェイト調整室に到着したら、例えばまず3階に上がりたい時は、始めにカウンター
・ウェイトの重量を "ドロイドの自重より重く" 設定します。

 そしてエレベータに乗り、エレベータのブレーキ・ロックを解除すると、エレベータはカウンター
・ウェイトの重量で登り始めると言った具合です。

 この時、ドロイドの自重とカウンター・ウェイトの設定値の重量差は、エレベータの昇降速度に反
映されるため、例えばドロイドの自重が100kgであるのに対して、カウンター・ウェイトを200kgなど
と極端に重く設定していたりすると、エレベータは凄まじい勢いで上昇し、3階に着いた際に衝撃で
ドロイドがダメージを受けたりするので、ドロイドの自重とカウンター・ウェイトの重量差のサジ加
減を考えてやる必要があります。

 そして3階のドア・ロック解除スイッチを入れてからスロープを滑り降りて2階に戻ると(エレベ
ータでは降りられない)、今度は1階に降りるためカウンター・ウェイトの重量をドロイドの自重よ
り軽く設定し、エレベータに乗って1階へと降りて行きます。

 1階のドア・ロック解除スイッチを入れ、2階にあるゴールへと通じるドアが開いたら、1階から
2階へ向かって吹き上げるブロアーの風に乗って2階へと戻り、後はゴール・インすればミッション
はクリアとなります。ミッションをクリアすると、御褒美として新しいドロイドのパーツがドロイド
工房のリストに追加されます。

 このような調子でステージをクリアする事により、「天秤(カウンター・ウェイト)の原理」につ
いて理解する事が出来る分けです。

 冒頭で各ミッションは計3回までプレイする事が出来ると述べましたが、上記のミッションの2回
目のプレイでは、条件は下記のようになります。

 ◇ドロイドの条件
  1:二足歩行タイプのみ
  2:自重50kg以下
 ◇クリア条件
  1:ゴールする事

 ドロイドの条件として「自重50kg以下」が加わったので、まずドロイド工房へ戻り、条件に見合っ
たドロイドを組み立て、ミッションに戻ります。

 1回目のプレイとはドロイドの自重が変わっただけなので、単にカウンター・ウェイトの設定値を
変えれば良いだけだと思いますが、事はそう簡単にはいきません。

 カウンター・ウェイトを「自重50kg以下」に合う数値に合わせて、いざエレベータのところに行っ
て見ると、何と「重量100kg」と側面に書いてある大きな木箱がエレベータに載せてあるではないか!

 そこでカウンター・ウェイト調整室に戻り、「ドロイドの自重」+「100kgの木箱」を計算し、カ
ウンター・ウェイトの設定値を変えなければならなくなると言った具合です。

 3回目のプレイでは、下記のように条件がさらにキツくなります。

 ◇ドロイドの条件
  1:二足歩行タイプのみ
  2:自重150〜200kgの間
 ◇クリア条件
  1:ゴールする事
  2:制限時間5分

 ドロイドの自重が変わった他、「制限時間5分」がさらに加わりましたが、これがなかなか厳しい
時間です。

 ドロイドの自重が重くなった分、2個所あるギャップを飛び越える際に "勢い" をつける必要があ
り、その分、貴重な時間がロスされてしまいます。

 さらに、今度は重量がちゃんと書いてある木箱ではなく、自重の分からない『ゴンク(パワー・ド
ロイド)』がエレベータに乗っている有様で、最初にカウンター・ウェイトの数値を設定する時は、
このドロイドの重量は推測するしかありません。

 また、制限時間のせいでエレベータの昇降時間も馬鹿には出来なくなってしまい、カウンター・ウ
ェイトの設定値を決める時も、ドロイドが破損してしまわない程度に重量差を大きくして "急ぐ" 必
要があります。

 そしてこの3回目のプレイをクリアすると、そのミッションは完全クリアとなり、そのミッション
に関しては "MASTER" のランクが貰えます。

 本ソフトのゲーム部分の "雰囲気" は、だいたい上記のような感じです。


■本ソフトに関する個人的な感想

 非常に良く出来ていると思いました。私は市販の教育ソフトなる物を見た事がないため、それと比
べてどうかと言う評価はしようがありませんが、ゲーム形式で楽しく学べる本ソフトは解説も至れり
尽くせりであり、SWモノと言う事を抜きにして単に教育ソフトとして見ても高い完成度を持ってい
ると勝手に納得している次第です。(^^;

 それに、何と言っても、『JEDI KNIGHT』を手がけたあのルーカス・アーツがプログラミングを担
当している分けですから、ゲーム部分の完成度は折紙付きな分けです。

 直輸入版と言う事で、当然、日本語マニュアルは添付されていないため、英語が苦手な私はシステ
ムを理解するだけでも四苦八苦するハメとなり、ゲーム部分のプレイについても、英語が分かる人な
らば小学生高学年レベルの知識があればクリア出来るような簡単なミッションも、私の場合、『DARK
FORCES』から『MYSTERIES OF THE SITH』に到るまでの経験を総動員する必要がありました。(^^;
(クリアして見れば、何てこたぁないのですが・・・(^^;)

 ともあれ、ぜひ日本語訳版を発売して欲しいと思ったソフトでした。本ソフトの日本語版があれば、
SWファンでお子さんを持つ方々が家庭でのお勉強のために使うには、まさにうってつけの1本だと
思われます。

 本ソフトには、学習の他にも効能がひとつあると思いました。それは、お子さんが学習出来ると同
時に『JEDI KNIGHT』の予備トレーニングも積めると言う事です。(^^;;(←馬鹿)