神秘のワイン「ロマネ・コンティ」



 「ワイン造りは、土がクォリティーを決める。土がブドウの木を通じて自らを表現したものがワインです。」
ワインの究極、ロマネ・コンティを醸造するドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ社のオーナー、オベール・ド・ヴィレーヌさんの言葉です。
現場に出て、常に土の上に立っているという彼は、「ロマネ・コンティの畑にはすべての長所が揃っています。秘密は、畑の位置にあるのです。」
ロマネ・コンティのあるヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑は、東面する穏やかな傾斜地で、標高230メートルから350メートルのところに横一列の帯状に連なっています。
特級畑は、だいたい250メートルから300メートルあたりに並び、ロマネ・コンティの畑は260メートルから275メートルの位置にあり、ヴォーヌ・ロマネのちょうど中心に位置します。
ブドウの樹は、栄養の乏しい土地では水や必要な養分を吸収しようと地中深く根を伸ばし、貫通するいくつもの地層から味や香りに結実する多くのニュアンスを取り出します。
土地の傾斜は、土中の栄養を上から下へと流すため栄養の行き渡る下の畑は根が短いままブドウは安逸に太ってしまいます。
標高が高いほどいいようなものですが、ブドウが熟すのに必要な温度が不足するという問題が出てきます。
 ロマネ・コンティと同じ高度にあるのに1級畑に格付けされていないところは、土地全体が窪んでいるなど、なんらかの芳しくない要素を抱えていると考えられます。オーナーがすべての長所を持つと言う通り、ロマネ・コンティの畑は、畑全体がいくぶん南に傾いているため、朝から晩まで最大限の日照を浴びることができるのです。畑の地層がまた、天恵を絵に描いたようなのです。
 ロマネ・コンティのブドウは、2、3、4の3つの地層に根を伸ばす。このことだけで、ロマネ・コンティが多くのニュアンスを地中から得ていることが分かるが、特に3の牡蠣の殻を多量に含んだ石灰岩と粘土の混じる多孔質の泥灰地層が重要で、この土こそがワインの品質に決定的な影響を与えているだろうとは多くの学者の指摘するところだ。
この地層はなかなか無いらしい。この土を掘り出して畑に撒くと、土壌が大幅に改良されるともいう。ロマネ・コンティの畑には、植物の生長に必要な養分は少ないが、ワインを複雑に高める土壌の組成には恵まれているということなのである。今を去る2000年の昔から、この畑はブドウを栽培していた。畑の表土をめくると、基盤は硬い石灰岩層だ。人間が耕せるのはせいぜい50〜60センチの深さまでだが、ブドウの根は硬い岩を割って伸び10メートルを超える長さに達する。





back.gif