■■■SUNの舞台評■■■



フェードル

銀座セゾン劇場

観劇日:1999年1月23日(土)
    19:00〜(10列 15番)

         作:ラシーヌ
        演出:リュック・ボンディ

        美術:エーリッヒ・ヴォンダー
        衣装:ルディ・サブンギ
        照明:アンドレ・ディオ
        音響:フィリップ・キャキア


フランス語上演だ。イヤホン同時通訳だ。
いかん。いかんよ。
「声」が「音」が聞けないー。
セゾン劇場、字幕にしてよ。
同時通訳に阻まれて、この素晴しい舞台の半分も、
本当は感じれなかったんじゃないかという気がする。
だったらフランス語勉強しろよ森さゆ里=自分でつっこみ。

1677年初演。
アテネの王妃フェードルが、
王の先妻の息子イポリートに不倫の恋心を抱き、そして破滅していく。

なんて、シンプルでエレガントでセクシーな衣装なんだろう。
舞台装置は、伸びやかで解放感あふれ、そして空虚。
白い砂浜
(その上を歩くと、
 ふうわりと砂が舞い散るほどのそれは、
 浸食してくるもののようにも見える)
と、そこに建つ建造物
(廃虚の壁のようにも見える)は、
照明によって幾度も饒舌に表情を変える。

光と陰。

照明と装置の、理想の至福の出会いを観た。
キャストは、いつどの瞬間を切り取っても、
隙も無駄もない美しい居ずまいでそこにいる。
生きている人間として、情熱的に。

古典とされるそのドラマは、
現代の私に、同じ人間のドラマとして、迫ってきます。

演出とは、こうされるべきだ。
「声」が「音」が聞けていたらっっ・・・。

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