■■■SUNの舞台評■■■



夏の夜の夢

シアターコクーン

観劇日:1999年1月21日(木)
    19:00〜(G列 14番)

劇場 :BUNKAMURA シアターコクーン

      原作:W・シェイクスピア
      翻訳:松岡和子
      演出:ルドルフ・ジョーウォ

   美術・衣装:アンジェイ・ヴィトコフスキイ
      照明:斎藤茂男
      音響:山岸和朗
    演出助手:宮崎真子
    舞台監督:有馬則純


    オーベロン/シーシアス:若松武史
    ティターニア/ヒポリタ:范 文雀

            ヘレナ:寺島しのぶ
         ライサンダー:松岡俊介
           ハーミア:小島 聖
       ディミートリアス:佐々木蔵之介

          クウィンス:花王おさむ
            ボトム:赤星昇一郎

            パック:ヤン・ペシェク

                その他



途中で帰ろうかと思った。
あの陽気でお祭り騒ぎな楽しい物語が、
なぜこんなにも
悪意に満ちたものにならなければいけないのか?

妖精たちが乱交パーティーにふけっていてもいいさ。
シーシアスとヒポリタに
互いに愛情が全くなくったっていいとしよう。
いいとしたって、
4人の若者たちの恋の戯れが、
陰惨なののしりあいになってしまっているのは、
まかりならん。

なぜ「夏の夜の夢」という夢を演じる舞台で、
役者たちが「楽しくないのよ私達」
なんて空気を発散していなければいけないの? なぜ?

演出家がシェイクスピアものを「演出したいっっ」というエゴだ。

退廃的で悪意に満ちた舞台が悪いと言っているわけではない。
それはそれで素敵な作品はあるよ。
そういう世界だって私は好きさ。
しかし、それをなぜ「夏の夜の夢」でしなければいけないんだ?

寺島しのぶさんのヘレナで、そしてあの素敵なチラシで
(チラシがね、すごく素敵なのさ)
それで「これは行かなくちゃ」と来てみたら、
「これかい・・・」

しかし、寺島さんは「いい役者だ、やっぱり」

幕切れパック
「この舞台、お気に召さないのであれば、
 うたた寝にみた夢にすぎない・・・・
 お咎めなさいますな・・・お許しいただけるなら、
 今後ますます見事な舞台をつくりましょう」
というような台詞がある。

「許さん!」
悲しい夜であった。


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