■■■SUNの舞台評■■■



二月大歌舞伎−十五代目片岡仁佐衛門襲名披露

助六曲輪初花桜〜すけろくくるわのはつざくら

観劇日:1998年2月26日(木) 夜の部
劇場 :歌舞伎座
一幕観席にての立ち見

          助六:孝夫 改め/仁佐衛門
      三浦屋 揚巻:玉三郎
        同 白玉:時蔵
       福山かつぎ:八十助
        髭の意休:富十郎



  筋書き

江戸の廓、吉原の花魁の揚巻(=玉三郎)の間夫の助六(=仁佐衛門)は
廓でもてもてのいい男。
しかし、喧嘩っぱやい。
相手を怒らせて刀を抜かす。

実はこれは、敵打ちの為に助六(=実は曽我五郎)が、
刀検分の為にしていること。

そうとは知らない母、兄が心配のあまり扮装して吉原にやってくる。
そこに助六と恋仲の花魁揚巻に恋慕する髭の意休がからまって、
助六は最後に意休の刀を抜かす。
すると、探していた刀。
助六は揚巻の勧めに従い、意休の帰りを待ち伏せることにする。

幕。


いってきました、仁佐衛門襲名披露公演!!
しかも、行くつもりでなく、
偶然に観ることが出来たという幸せな巡り合わせ。
ってのは、本日2/26に追加公演があるとは知らなかったのさ。
で、たまたま銀座にたけしの「HANA=BI」観に行って、
そして歌舞伎そば食べて(かき揚げもりはうまいよ)いこうと
歌舞伎座まで行くと何故か人だかりが。
「なんだぁ?」と思いつつ、目当ての「かき揚げもり」を食した後、
人だかりの理由を調べると「追加公演」だったのさ。
で、一幕観に並んだのだ。

時間は17:30。既に、18:10〜の口上の分の幕観は売り切れ。
で、その列の隣に最終公演「助六」の列を作る。
それも18:00前には
「完売です。申し分けありません」と係の方はアナウンス。
納得出来ない方多数あり、食い下がるが、駄目。
「他の方もお断りしているので、申し分けありませんが・・・」
と繰り返す。
ご苦労様です。

かくゆう私も寒空の下、
17:30〜19:00まで立ちっぱなしで待ったのだ。
そして、歌舞伎座の中でも立ち見。
おかげで21:00すぎまでずっと立っていた。
それでも、あきらめていた襲名披露(チケ完売なもので)、
それも千秋楽も千秋楽。出会いに感謝。

さてと、肝心の芝居の感想だ。
上記の立ちっぱなしもなんのその、私は幸せであった。
でもやっぱり玉三郎にやられっぱなし。
玉三郎扮する花魁揚巻が、自分に横恋慕する意休へのたんか、
擦れ違い様の半振り返りの顎しゃくり、助六を袂に隠す強さの美しさ。
孝夫改め仁佐衛門がかっこよければよいほど、玉三郎はまた際立つのだ。
しかし、とにもかくにも、
仁佐衛門襲名をこの目に出来たことは生涯の喜びだ。
大阪の松竹座にも行っちゃうよ。
疎の頃は私は文学座の旅公演で大阪にいるのでね。
ってことで、関西の方は松竹座に走れ。

いや、まったく、これではどこが劇評なんだか・・・。
「舞台は語るものではない」などと、
ここ最近の私の心が言っているのです。
これは3ヵ月も更新のなかった、
自分のHP「Tokyo劇場」への言い訳だろうか?

世の中は、語るものではないけれど、語らねば他人には伝わらないのだ。
「私の何が君を不機嫌にさせるのさ」と問へれば、
問へればいいのだろうけれど。
そんな不確かな言葉でなく、存在で私を圧倒させる、
十五仁佐衛門と玉三郎に同時代で出会えたことに感謝を。
己もそういう存在でありたいとの野望を込めて。

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