■■■SUNの舞台評■■■



ライフ・イン・ザ・シアター

観劇日:1997年5月10日(土) 18:00〜
劇場 :シアタートラム

    作:デイヴィット・マメット
   翻訳:小田島恒志
演出/美術:佐藤 信
   照明:斎藤茂男
   作曲:荻野清子
   音響:市来那比古
   衣装:小峰リリー
 舞台監督:北村雅則

   出演:ロバート =石橋蓮司
      ジョン  =堤 真一

      裏方   =村松克己
      ピアニスト=荻野清子



さて、三軒茶屋の世田谷パブリックシターのシアタートラム
(キャロットタワー1F)の柿落し公演に言って参りました。
バックステージものです。

年配のベテラン俳優ロバート(=石橋蓮司)と
野心的な若手俳優ジョン(=堤 真一)。

彼等は楽屋で並んで化粧をし、稽古をし、舞台にあがる。
6つの劇中劇を織り混ぜ、
彼等のA Life In The Theaterが描かれる。

出演者もインタビューで答えていたけど、
これって本当に「日常」なんです。舞台関係者にとっては。
だから、演じる、つくる側としては難しかっただろうと、思うのです。

周りのお客さんが笑っているのに、私は笑えない。
そういうのが幾つもあった。

喜劇ってのは、その当人にとっては悲劇なんだ、とは周知のことです。
もちろん、これは、舞台ですから、
「日常」をそのまま乗せているわけではない。
だけれど、舞台ですから、その「断片」は、真実を語っている。

しかし、そんな打ち明け話しに終わらない、
質の高さが、この作品にはある。
ロバートとジョンのズレは、現在の演劇界のそれと同時に、
社会そのものだと言える広がりを持っている。
それを、説教くさくなく、軽やかに演ずる二人と、
軽快な転換が素晴しい。

この舞台で4000円はお得です。行くべし。
完売らしいので、当日並ぶべし。
ああ、しかし、役者のバックステージものはあっても、
その裏ものはない。
(バックバックステージものということになるのか?) 
あったとしたら、これぞ、喜劇悲劇ものになるはずである。

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