■■■AYAの宝塚歌劇 観劇記■■■


星 組

バウ・ミュージカル
それでも船は行く





2005年2月27日(日)〜3月14日(月)出演者:涼 紫央、ほか
2005年3月18日(金)〜3月27日(日)出演者:柚希礼音、ほか



金子亜矢さん=観劇

柚希礼音:出演バージョン

3月20日→は列27

劇場:宝塚バウホール



HP主人 森(=SUN)筆。

今回も、金子さん メール投稿劇評 ありがとうございます。

金子さんはちゃんと3月21日(観劇の翌日)に送信してくださっているのに、
実際こうして私が更新しているのは、3月26日。

陳謝。

謝ってるの本日三つ目。

といっても、この数日の遅れなら許されるだろう!

いやいやいやいや、
せっかくメールですぐに送ってくださるものを、
間空いても、三日以内で更新するのが礼儀ってもんだ。

しかし!
これで年始から溜め込み滞っていた「メール送信観劇評」が、統べて更新終わった!

やった!

さてさて。

このバウシリーズ、最後まで行きますから。

上記、金子さんの今回観劇感想の締め言葉。

このバウシリーズ。
この一年、こうして同じ演目をふた組でやるってことらしい。
舞台公演の形式としては珍しくないが、宝塚では新しいですね。

本公演と新人公演、という「ふた組」というのは、ずっとあるけれど。

しかし、この「新人公演」というシステムは素晴らしい。
演じ手にとっても、演出家にとっても。

ってなことで、金子さんの劇評いってみよう。




バウ・ミュージカル
それでも船は行く



作・演出/太田哲則


<解説>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 大西洋航路の客船を舞台として、
二組の男女の恋物語を中心に、乗り合わせた乗客達の不思議な出会いと、
それぞれの人生哲学を描いた軽妙なタッチのミュージカル作品。

 1920年代、大西洋航路の豪華客船コンコード号に乗り込む乗客達。
一等船室には、米財閥の御曹司であるジョニー・ケイス、
米社交界の名花スーザン・トレイシー、
その婚約者で貧しい炭坑夫から這い上がった青年実業家ヘンリー・ファーリントン、
そして三等船室には新聞記者のマイク・コナー、
ピアノ教師のジュリア・ガーネットが乗船していた。

 ジョニーとスーザンはかつては恋仲で婚約までした仲だったが、
スーザンの完璧主義にジョニーは疲れ酒に溺れ、
スーザンもジョニーの大まかな性格に嫌気がさして、婚約を解消。
スーザンはヘンリーの成功への飽くなき努力に心酔し、
周囲の反対を押し切って婚約した。

 かつては小説家を目指していた文学青年のマイクは、
港で、学生時代の友人ジョニーと再会し、
かつてはピアノ演奏家としての夢を持っていたジュリアも、
港で学生時代の友人スーザンと再会する。

 ジョニーは嫉妬心も手伝ってかつての恋人・スーザンの婚約を
ブッ潰す計画をするが・・・。

 さまざまな人生模様を乗せて航海する豪華客船。
やがて船は港に着く。
さて、下船する人々の運命は・・・・。

(ちらしより)


<主な登場人物>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


ジョニー・ケイス(米財閥の御曹司。スーザンと婚約までしたが・・・)
:柚希礼音

ハロルド・ハロウェイ(男爵・・・・)
:立ともみ

リンダ・ボーモン(伯爵夫人・・・)
:朝峰ひかり

ヘンリー・ファーリントン(スーザンの婚約者。野望に燃える青年実業家)
:大河睦

ジュリア・ガーネット(船上ピアニスト。スーザンの学友)
:真白ふあり

マイク・コナー(新聞記者。ジョニーの親友)
:一輝慎

スーザン・トレイシー(米社交界の名花、ただし氷の花)
:蒼乃夕妃

他 星組「それでも船は行く」組


<感想>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「なんとか『公演』にこぎつけたね」

 この作品については、涼主演(「A班」と内部で言っている、以下同様に)
のときに書いたので、演出が変ったわけでもないので書かない。

 さて、この柚希主演(よって「B班」)であるが、
プログラム(500円だが)を買うのも渋られる方にとっては、
一幕が終わって「柚希礼音しかわかれへんわ」
となるような下級生主体の公演である。
金子もなんだか、
ずっと「演習」というか「練習」を観ていたような感じで終幕した。
すると、アナウンスが聞こえてくるのである。

「本日の公演はこれで終了しました。またのお越しを・・・」

 正直、「『公演』だったのだよね?」と自問自答してしまった。
ハード(劇場)・ソフト(脚本・衣装など)は
ちゃんと「公演」できるものが用意されているが、
ソフトを操る側がどうも用意されたものを十分に扱えないメンバーだった、
という感じだ。
家に帰っても、「公演」といえるにはすれすれ、
まだ「新人公演」、いや「○○祭」
(丸の中を書いたら大劇場にいけなくなりそうなので・・・)
のほうが良かったのではないか、と感じた。
「若手育成」とはいえ、4500円とるからには、
それなりの程度というものがあると思う。
例えば、B班は4000円にして、A班は公演期間が長いし5000円取る、
でもよかったのでは。
あと、A・B班それぞれ、主役は決まってしまっているからそのままで、
そのほかのメンバーの学年の平均を同じにするとか、
花組の5パターンでやってみるとか、
A・B班の均衡が取れないと同じ4500円というのは難しいと思う。
今回は、現在の「星組大劇場新人公演」の中堅がほとんどいない感じで、
上と下級生の陣容だったので余計そう感じたのかもしれない。
以上暴言お許しを。

 でも、メンバーとしては、大人向きの内容に正攻法で取り組んで、
「これから」につながるよい機会を与えられたと思う。
あまりに一生懸命やっているので、観ているこちらが
「うん、うん」といいたくなるとか、計算がみえみえのところも
「ああ、そう考えてやっている?」と思ったが、
そこは「若手育成」で今後に期待したいと思う。
後はA班のときに書いた立ともみさん以外の個人別に。


 柚希礼音
星組下級生において押し出しNO1、といってもいい彼女だが、
新人公演の主役も経ているし、専科を除けば上から2番目ということもあり、
主役の風格があった。
また、ものすごく頼もしくみえた。
演技は売り出したころの少し間違うと一本調子、
というところは完全に克服していると思うし、ダンスは素晴らしい。
歌は下の音域が少し弱いかな、と思う。
涼のジョニーは大学を出て、別に働く必要もなく、
プレイボーイのお坊ちゃんを満喫している感じだったが、
柚希のジョニーは大学を出たものの、別に働けとも言われないし、
まあプレイボーイをやってみるか、という感じがした。
押し出しがいいので、今後は悪役など観てみたい気がした。
ただ、押し出しだけで勝負できる役ばかりではないので、
繊細な役などもこの学年の時期にやってみる必要もあるか、とも思う。


 大河睦
もう少し、成金趣味のところ、ビジネスにおいて成功したタフさ、
など表現する必要があるのではないか。
ただ、弱腰のところはA班とちがう攻め方であったが、
もう少し自信満々の鼻持ちならないイヤなヤツ、
という感じがあればいいと思った。


 真白ふあり
娘役では星組NO1の歌唱力を誇る、A班の仙堂花歩と比較するほうが
酷なのだろうが、とにかく歌唱力の上達を。
4人の中では一番堅実なジュリア、という役づくりは出来ていたが、
もう少し表情が明るいほうがいい。


 華美ゆうか
伯爵夫人の振りをするところは、髪型も工夫してあってなかなか優雅に見えた。
ただ、正体がばれたときは、それまでとの落差を
もっと激しくするとよかったと思う。
でも、「美貌を利用した、新手の女ペテン師」というように見えたので、
このドラマにおける役割は果たせていたと思う。


 一輝慎
ジョニーとは生活もぜんぜん違うのに「いい友達」で、
ジュリアに対してもちゃんと反省する、地に足が着いた人間は
表現できていたと思う。
歌はもう少し。


 蒼乃夕妃
研1での抜擢であり、今回の目玉、とも言えるだろう。
外面から言うと、鬘の工夫などはまだまだだ。
ダンスは上手のようだが、歌は真白と同じぐらいがんばって欲しい。
演技については、このスーザンという役は、
最後の最後までいかないとかわいく思えないので難しいと思うが、
「世間知らずのわがままなお嬢様」というところで乗り切った感じだ。
この1作で評価するのは土台無理なので、
「未知数」ということで今後に期待する。

 あまり、いいことが書けなかったが、勘弁していただきたい。
このバウシリーズ、最後まで行きますから。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□劇評■筆者□□□□
金子亜矢
bacew609@jttk.zaq.ne.jp
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