■■■AYAの宝塚歌劇 観劇記■■■


雪 組

ミュージカル・ロマン
あの日みた夢に
−シカゴ・アンダーワールド・ブルース−




2004年9月4日(土)〜9月16日(月) シアター・ドラマシティ公演



観劇日:金子亜矢さん=観劇

9月13日 3列25→ビデオ収録日
9月14日 3列25

劇場:
シアター・ドラマシティ



HP主人 森(=SUN)筆。

今回も、金子さん メール投稿劇評 ありがとうございます。

「シンプル」と、「単純」や「安易」は同じ意味ではありません。
と、またも金子さんの投稿劇評を読んでのツッコミです。

「シンプル」なのは、奥が深いこそ。

難しいことや、ややこしいことを、そのまま伝えたり、
反対にもっと、難しく、ややこしくするのは簡単です。

難しいことや、ややこしいことを、
シンプルに分かりやすく伝えるには、
ものすごく、その事柄について分かっていなければ出来ないことです。
分かっていて、プラス、他人に伝えるという負荷を負う。

シンプルに力強く。
その「強く」というのは、「大きな声」とか「大きく動く」ということと違います。
「強さ」とは、マッチョなことではないのです。
「強さ」とは、渦中にいて、且つ、
静かに見晴らしているような そんなもののような気がします。

シンプルに力強く。
そして、伸びやかに。

只今はタイ・バージョンが公演中の「赤鬼」
シアター・コクーンで公演中です。
ロンドン・バージョンを観ました。

シンプルで力強く。
そして、伸びやか。

素晴らしい舞台でした。

と、まあ、
私が金子さんにツッコミを入れているのでお分かりの通り、
この「投稿劇評」は、
私が「この意見は分かる!」と思っているから掲載しているのではありません。
私が実際観ていないものに、私は感想を言えません。
ですから、舞台そのものでなく、「投稿劇評」にツッコミを入れているのです。
すんません、金子さん。

このHPマスター(管理人)私よりも
「観劇感想更新」が、ちゃんとしている金子さんにさえツッコミ入れる私です。

「投稿劇評」募集。

金子さんも、もちろん、継続願う!

人は様々色々思う。
だから、よいのだよ。

無礼なHPマスター(管理人)SUN=森 で、ありました。

ってなことで、金子さんの劇評いってみよう。




ミュージカル・ロマン
あの日みた夢に

−シカゴ・アンダーワールド・ブルース−



作・演出/中村暁


<解説>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 1920年代後半頃の禁酒法時代のアメリカ。
二人の若者の友情を軸に、
滅びに向かって突き進む若者の情熱、
自らの信じた道を突き進む若者の情熱、
自らの信じた道を突き進む悲しいエネルギーを描き出す。

 シカゴの裏町で幼なじみとして育った二人の少年、マイケルとスティーブ。
ある日マイケルは、スティーブを彼の叔母のもとに送るため、
二人の盗みの罪を一人でかぶってしまう。
そして、その事件が二人の別れとなった。

 十数年後、暗黒街のギャングとしてのし上がったマイケルは、
シカゴの街でスティーブと再会する。
スティーブはシカゴの診療所に医師として赴任してきた。
異なるお互いの境遇を知っても二人の友情は変ることはなかった。

 ある日マイケルは、ギャングのボス、
ロッキーに愛人になるように迫られている娘、エリーと出会う。
マイケルは、エリーを診療所で匿うようにスティーブに頼む。
マイケルはひそかにエリーに恋心を抱くようになるが、
彼女に惹かれていたのは彼だけではなかった・・・。

(ちらしより)



<メインキャスト>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

宝塚歌劇団 雪組

         マイケル(ギャング):朝海ひかる
       エリー(歌手を目指す娘):舞風りら
スティーブ(医師。マイケルの幼馴染み):壮一帆
      スージー(マイケルの弟分):天勢いづる
   ロッキー(ギャング。ボスの息子):凰稀かなめ
      ハンキー(マイケルの弟分):緒月遠麻

(プログラムより抜粋)

雪組「あの日みた夢に」組


<感想>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「あまりにもありきたりの話では?」

 ドラマシティの公演は開場されたころより
上演時間が短くなっているような気がするのは金子だけだろうか。
初めのころはショーが多かったからだろうか。
とにかくフィナーレもいれて、1時間55分で収めなくてはならないのだから、
そうこったテーマの芝居をするのは得策ではないと思う。
今回のように「裏街道を生きる哀しさ」といったシンプルなテーマにして、
雪組の「売り」のダンスシーンを多用するのは間違いではないと思う。

 ここで、あまり比較はしたくないのだが、
同時期に大劇場で上演中の花組『La Esperanza』とこの
『あの日みた夢に』は共通点がある。
テーマがシンプルなことだ。
場面も全員の合唱シーンなど似ているところが多い。
しかし、前者は観終わったあと、
「ああよく出来た話だ」と肩透かしをくらった感じがするが
(詳しくは拙稿の花組のほうをお読みください)、
後者は観終わったあと「ああ、裏街道を生きる哀しさだね」と
納得してしまうのが違いだ。
そういう意味でこの9月は観劇してあまり頭を使う必要がないものばかり観たな、
という感じがする。
最近のミュージカルでは『エリザベート』『ファントム』といった
深遠なテーマの作品が人気なのに、このごろの一般の「純愛」路線ではないが、
宝塚もシンプルな路線に流れているのかな、とすら感じた。

 しかし、ここからはこの作品のファンの贅沢な要望、と書きたいが、
3列目・後段の空席・隣の人の言葉からここははっきりいってしまおう。
こんな筋は月並みすぎる。
観劇しなくとも上に記載したチラシにあるプロットを読めば、
最終シーンを連想できる人はかなりいるのではなかろうか。
その上、その最終シーンがプログラムには写真で載っていて・・・。
正直この文章も1回観ただけで書ける気がしたのだが、
もう少し捻りを利かせられないものか。
同じ先生の『大海賊』もテーマは「勧善懲悪」と水戸黄門状態であったが、
柴田先生の監修もあったせいか、脇の人物が1くせもあったし、
ヒロインと主人公の間には壁があったし、
上演時間が短いのでそれなりに観られたが、今回はあまりにもありきたりすぎる。
隣の人は「つまらない」と切り捨てていた。
TVの2時間ドラマのほうがいろいろ捻ってあるぞ、
いや、こんな簡単な話を観るのに7000円も払って正解だったのだろうか、
とすら思ってしまった。
同じ国・時代でやるのなら、
手近なところならロッキーの手下をもう少し色をつけるとか、
「純愛」路線で主人公とヒロインの間にもっと高い壁を立てるとか、
スティーブの医者のステレオタイプはやめて嫉妬させるとか
なんとかならないものか、と2回目は観ながらそんなことを思っていた。

 1人のヒロインをめぐって2人の水と油のような男がいて
2人ともヒロインを愛する。
しかし一方はしがらみから抜けられなくて悲運の死をとげる。
書いてしまえばこれだけの話だ。
シンプルも結構だが
2回観以上観たいとおもう人はスター目当ての人だけではないか。
それこそ花組で書いたが余韻が残るような舞台をお願いしたかった。
前作『永遠の祈り』が良かっただけに残念の一言である。
甘く見ても60点。
後は人別に。 


 マイケルの朝海ひかる(コム)。
スーツがばしっと決まってクールでタフなギャングが、
偶然であったヒロインに光明を見出して、ボスの跡目争いから逃げ出して、
2人で町を出ようとするが逃れられず・・・。
とまあこんな話には典型的な主人公だ。
組の主演男役がやるのには簡単すぎるか、と思ったが、
格好よくて頼りがいがあるところはもちろん、母と妹との日々を回想するところ、
エリーに対しては1人の男として普通に振舞うところ、
エリーを巡ってスティーブと感情をぶつけ合うところなど
場面ごとの色をきちんと演じ分けていたのは主演男役ならではではある。
スーツで踊るところはひらすら格好いい。
今回は2回とも席がすばらしく良かったのでよく見えたこともあって、
コムさんを堪能させてもらった。


 エリーの舞風りら
素直で清楚で誰からも愛される、という
これまたこういう話の典型的ヒロイン像だが、
こちらも楽々こなしている、という感じがした。
『スサノオ』のときも書いたのだが、
歌の声がしっかり安定して出るようになると、あのダンスがあれば鬼に金棒なのに。
ただ、髪型はご一考願いたい。


 スティーブの壮一帆
医師のよくあるすっきりとした知的二枚目、というこれまたステレオタイプだが、
すっきりとしたところはこの人も持ち味であるのですんなり観られた。
バウの主演経験が大きかったのだろう、
押し出し・安定感が1年ほど前よりはずっと出てきて、
特に朝海とエリーのことで感情をぶつけあう場面は
朝海と互角にやっていてよくなったな、と思った。


 スージーの天勢いづる
『送られなかった手紙』のときに「娘役に転向したほうがいい」と書いたら、
本当に転向してしまったのは書いた金子本人がびっくりしたが、
今回は「女だか男だか」というズボンをはいた役で、
」転向過程(?)としては考慮された役だと思う。
マダムに言われてマイケルが好きだ、と女心を漏らす場面と
それ以外のいきがったところとの対比が効いていた。
娘役の台詞の声はどうか分からないが、フィナーレでは歌で裏声が出ていたので、
これからだがあせらずに大成して欲しい。
しかし、体、細いなー。


 ロッキーの凰稀かなめ
ボスの「度胸だけはあるが評判のバカ息子」で、マイケルを目の敵にしている、
という敵役だ。
CSから出てきた彼女だが、なかなかの売り出しぶりである。
組長さん・主役と絡む三番手扱いの大きな役だ。
力演だが、まだ、若さと勢いでやっているようなところが見受けられるが、
これから計算して役作りをできるようになったらもっと伸びるだろう。
それだけの容姿とロッキーではないが舞台度胸はある。
今後注目しなくても出てくるだろうな。


 ハンキーの緒月遠麻
ちょっとおっちょこちょいで単細胞のところがあるマイケルの弟分だ。
この芝居の緩衝材となっており、エルザとの絡みや、
最後に「自分はくずだ」というところはロッキーより実は頭がいい、
という人物像を作っており、アクセントとなって好感が持てた。


 あと、歌も聞かせ、ロッキーに取り入って店のマダムにのし上がろうとする
したたかな女を演じたフラニーの舞咲りん
超楽天的だがいじらしいハンキーのガールフレンドを演じたエルザの涼花リサ
印象に残った。


<金子のよしなしごと>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 前回に引き続き

「金子こてこての大阪人に進化中 その2」

 東京にいるとテレビで見られない大阪のものがある。
それは「吉本新喜劇」だ。
漫才はかなりみられるが、これはない。
深夜にでも放送したら大阪出身者は見ると思うのだが。 

 ある日、夕刊を見ていたら
「日曜昼間番組の公開録画の無料観覧者募集、場所なんばグランド花月」
というのがあった。
なんばグランド花月、といえばNGKといって吉本の大本山だ。
もれなくあたるのかどうかわからなかったが、はがきを出してみた。
すると電話がかかってきて「観覧券を送りますね」と。

こちらは父と行った。
母がタイガースでばてていたので。

入るまで整列させられて45分、
蒸し暑い中人気で父などは散々文句を言っていたのだが、
劇場は思ったよりきれいで、舞台はバウホールぐらい、テレビで見るより狭かった。

整理番号が早かったので、割と前の席にいけて、
出演者もお盆(8月15日放送分)用なのか、
前説のコンビがいうように豪華でラッキーだった。
こちらで大変なのは、盛り上がりを強制されること。
宝塚で拍手しかしない金子にとって、
劇場で声を出す、というのはかなり普段とギャップがあった。
でも、こちらはあまりにこてこてすぎるのと、
周りが大阪のキタと違いすぎて雑多なので、
もういいか、1回いけたら、と思っている。

しかし、母が行きたいというので、
また無料観覧があったらはがきかネットで応募しそうだ。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□劇評■筆者□□□□
金子亜矢
bacew609@jttk.zaq.ne.jp
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