■■■AYAの 観劇記■■■



東宝ミュージカル特別公演
マイ・フェア・レディ




2004年8月 2日(月)〜8月24日(火) 大阪・梅田コマ劇場



観劇日:金子亜矢さん=観劇

8月9日 1階7列25 →家族で観劇

劇場:梅田コマ劇場



HP主人 森(=SUN)筆。

今回も、金子さん メール投稿劇評 ありがとうございます。

ご家族でご観劇。
素敵です。

夏にミュージカル。
いいですねえ。
「マイ・フェア・レディ」は素晴らしい作品だ。

さて、この夏。
私は新潟の長岡というところで8月のほとんどを過ごしています。
夏休みではなく、仕事にて、東京/長岡 往復の夏であります。

8月2日は、長岡の花火大会に行って来ました。
花火打ち上げている河原まで出かけていったのは、高校の時以来です。

旅先で(仕事での滞在ではありますが)催し物にあたると、
普段していないことでも「行こうぜ!」気分になるのは、
それはきっと、誰でもですよね。

長岡まつり大花火大会。
2004年8月2日。

山の稜線ギリギリに浮かぶ大きな十六夜月を、右側に携え、
降るように空一面。
何発も、何発も。

まるで、演出されたような、自然と人間の芸術が混合した景色。
自然の偶然がくれたこんな景色を、
きっともう、この先観ることは出来ないだろうと、
そう思いながら観ていました。

花火のすぐ脇に、満月明けた十六夜月。

花火の音が、ビリビリと伝わって来ます。
音は空気の振動なんだなと、つくづくまたそんなことを思いながら、
降るような花火を見上げていました。
降るような花火を見上げながら、
近く(打ち上げ場所)まで来て良かったと心から思いました。

長岡の皆に「花火に行くなら、絶対近く(打ち上げ場所)に行かないとダメ」
と言われれていて、
「いいよ、どっからでも見えるだろー」
と思っていたところ、
やはり、「近くでないと駄目です!」
と、連れられて、近くまでてくてく歩きました。

地元の方の言葉は、聞くに限ります。

最後の花火が上がりました。
その火粉が信濃川に降り落ちると、
河川敷の観客は、打ち上げていた中ノ島に向かい、
拍手と、そして懐中電灯を振って、
「ありがとう」を伝えました。
私も一緒に伝えました。

とても うつくしい 景色でした。

長岡まつり大花火大会。
ぜひ、行かれて下さい。

ってなことで、金子さんの劇評いってみよう。




マイ・フェア・レディ



〔オリジナル・スタッフ〕

脚本・作詞
=アラン・ジェイ・ラーナー

音楽
=フレデリック・ロウ

アメリカ版製作
=ハーマン・レヴィン

バーナード・ショウ
=原作「ピグマリオン」&ガブリエル・パスカル製作映画(ピグマリオン)より

オリジナル・プロダクション演出
=モス・ハート


〔日本版スタッフ〕

演出=西川信廣
振付=上島雪夫
 訳=倉橋健
訳詩=滝弘太郎・若谷和子

製作=東宝



<メインキャスト>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

      イライザ=大地真央
    ヒギンズ教授=草刈正雄
    ドゥーリトル=上條恒彦
  ピッカリング大佐=浜畑賢吉
      フレディ=岡幸二郎
    ヒギンズ夫人=丹阿弥谷律子
トランシルバニア女王=月丘夢路
ゾルタン・カーパシー=藤堂新二
     ピアス夫人=冨田恵子
       ハリー=安崎求


<感想>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「大地真央のイライザの右に出るのは難しいなあ」

 「マイ・フェア・レディ」といえば思い出すことがある。
真央さんの帝劇初演のときに東京に出たばかりで、どうしても行きたくて、
東宝テレザーブの存在も知らなくて、いきなり帝劇に電話したのだが、

「真央さんの『マイ・ファア・レディ』のチケットは1枚もありません!」

と、がちゃんと切られて、田舎者を思い知った経験がある。
その後、某カードの貸切で、なんと1階1列が回ってきてリベンジしたのだが、
あまりの真央さんの美しさに「いや、完璧なイライザだ」と思ったのを覚えている。

 さて、今回はそういうわけで2度目の観劇となるのだが、
前回とあまりキャストも変っておらず、
安心して高いクオリティの舞台が観られると出かけた。
演出、装置などが、21世紀版ということで変っていたが、
「スタンダードの良さ」が味わえる舞台だった。

このごろは『エリザベート』や『ファントム』など、
ハッピーエンドではない舞台が人気を集めているが、
自分としてはハッピーエンドのミュージカルが好きなので、
永遠に好きなミュージカルベスト1になるのだろう。
無駄なところなどどこもなくて、名曲ぞろいで、観終わって、
「ああ、やはりこれは永遠の名作だな」という思いを強くした。
あとは人別に。


 イライザの大地真央さん。
この人の持つ多くのレパートリーの役でやはりこれがベスト1、といわざるを得ない。
競馬場でのコミカルなところはフレディでなくとも笑えてしまうし、
そのあとの淑女ぶり、そして自立した女性、と
上昇志向が強い女の子を完璧に演じていた。

特に最後のピンクのドレスで降りてくるところは息を呑むばかりの美しさだ。
この美しさと、歌・踊り・演技が出来る人、となるとなかなか見つからないだろう。
次にこの役を引き渡すのはまだ先の話だろうな、と思った。
やはり、真央さんのイライザは最高である。


 ヒギンズ教授の草刈正雄さん。
このミュージカルの役の中でこの役が1番難しいのではないか、と今回思った。
ヒギンズはイライザに「エゴイスト」といわれるように自己中心主義なところがあり、
また「人の気持ちを考えない」とも言われるのだが、
これは感情、ましてや愛情表現が下手なのである。

イライザの教育のことも
「中流階級とその下の溝を埋めるべくやっているのだよ」
というように、考えているのである。
結局、倣岸なインテリという典型的な教授像から抜け出そうともがく
一人の男性なのである。

草刈さんはすごく外人らしく見えたし、
母親の家で、イライザへの思いをなんとかして伝えようともがくところなど
「あー、不器用な人だな」と理解できた。
ただ、歌は映画のように語るように歌っているのだろうが、
歌詞が聞き取りにくく、歌ってしまっているところのほうが良かった。


 ピッカリング大佐の浜畑賢吉さん。
イライザのことをわかってやる「好好爺」という感じではなく、
「常識人」という感じだった。
ヒギンズに振り回されているようで、
自分のペースを守っているところがなんともバランスが良かった。


 ドゥーリトルの上條恒彦さん。
マイクの都合だろうか、台詞・歌詞ともに聞きにくくて
せっかくいいナンバーが残念だった。
しかし、ドラ親父ぶりは板についたものである。


 ヒギンズ夫人の丹阿弥谷律子さん。
なんとも品のいい上流階級の老婦人で、
イライザの出現に初めは目を白黒させるものの
肩を持つようになるご夫人を出てくるだけで柔らかい雰囲気が漂って流石だった。
また、息子の服装に文句を言うところも母親の暖かさを感じた。


 フレディの岡幸二郎さん。
「♪君住む街で」がメインだが、この人をもってすれば完璧に歌い上げていたし、
役が軽すぎる感じもした。


 このほかには、カーパシーの藤堂新二さんのうさんくささは面白かったし、
ハリーの安崎求さんの歌唱と帽子の扱いの上手さが印象に残った。

 とにかく「ウエルメイド」という言葉がぴったりの、
「これぞミュージカル」というものを観てきたと思う。
猛暑の中暑かったけれど、行ってよかった。


<金子のよしなしごと>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 この梅田コマ劇場は阪急に売却されて、
大阪なんとか劇場に名前を変えてやるそうだ。

演歌歌手芝居を少なくし、ミュージカルや宝塚をやる、ということだが、
宝塚に関しては来年7月に月組が決定したが、いったい何をやるのだろう。
自分としては日生劇場でやったものをこちらでやってほしいのだが。
また、今年のようにジャニーズもあるのだろうか。

しかし、宝塚はドラマシティ3回、コマ1回で果たして上手く回るのだろうか?
あまりの激務になるのなら、この際、1つ組を増やしてもいいかも、と思う。
現在の宝塚はトップ候補生が多すぎる。
とりあえず、早くコマの来年のラインナップを発表して欲しいところだ。

しかし、演歌歌手の方々は、これから東京は新宿コマでやれても、
大阪は新歌舞伎座に行くしかないから大変だろうな。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□劇評■筆者□□□□
金子亜矢
bacew609@jttk.zaq.ne.jp
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