■■■AYAの宝塚歌劇 観劇記■■■


宙 組

聖なる星の奇蹟
-いつか出会う君に-



2002年 12月20日(金)〜12月29日(日) シアタードラマシティ公演

2003年  1月 4日(土)〜 1月10日(金) 赤坂ACTシアター公演

観劇日
12月26日(木)8列30番
12月27日(金)5列30番

劇場
シアタードラマシティ


HP主人 森(=SUN)筆。

すみません金子さん。
去年頂いたものなのに、今年になっての更新です。

先ずは、お詫び。


私、これ観たんですよね、2003年になって赤坂ACTシアターで。
いや、もう……

金子さんは宝塚を、
「ロマンティック路線」と「人生路線」
というザックリしたものに分けて今回解説されている。

私は両方好きなんです。
分けると言うか、いい舞台であれば、どっち路線だっていいんです。
だけど、この「聖なる星の奇蹟」は、私的宝塚史上最悪だ。
私的舞台史上最悪かもしれない。

書き直そう、全部、この話し、な?
っていう勢いなので、もうコメントも何も。

和央ようかと花總まりを観ている分にはいいんです。
っていうか、だから観にいこうと思ったんだし。
あの二人がキレイなのも絵になるのも十分知っている。
そして実際十分美しかった。
それだけだって観る価値はある。
金子さんが「よかった」と仰っていることもわかります。
わかりますが、イケナイよそれだけじゃあっっっっっ。

「猫の手をひねる」くらい簡単な役。
と、金子さんは、和央ようかと花總まりの役について書いている。
それじゃダメだ!
私は2人のその上が観たい。
2人が、その役を演じることで、また違う自分を発見出来る、
そんな役をやってほしいし、そういう時のほうが、断然魅力がある。
今まで自分が持っているものだけで、勝負出来てしまうような舞台は、
それはつまんないんだ。

それに、正月あけに舞台上が思いっきりクリスマスモードは、辛いでしょう。
東京公演が新年にあるってことを考えて作ろうよ。
スケジュールわかってるんだからさあ。

もう、新年から舞台観てボヤクボヤク。

頼むよ、頼む宝塚。
歌って踊れて演技が出来て容姿端麗な舞台人達と、
優秀なスタッフ、
素晴らしい劇場、
熱いファンたち。
そんなうらやましい財産を持っている宝塚。
頼むよ、頼む。
夢のような、ものすごい、ものすっごいロマンティックな舞台を作ってよ。

熱く嘆願してみた。
ピーッッッス!!

ってなことで、金子さんの劇評いってみよう。




聖なる星の奇蹟
-いつか出会う君に-


作・演出:児玉明子


<メインキャスト>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

フレデリック:和央ようか
(時空間移動を研究している博士の助手として、現代から19世紀へと旅する男)

リディア:花總まり
(19世紀に生きる女性。クラウスの一人娘)

エドワルド:水夏希
(19世紀に生きる男。リディアの幼馴染み。ザカリアスのもとで研究する有能な研究員)

クラウス:萬あきら
(19世紀の科学者。時空間移動研究の発案者)

グレタ:貴柳みどり
(クラウスに仕えるただ一人の女性)

ザカリアス:美郷真也
(ザカリアス研究所の所長。クラウスの昔の研究仲間でライバル)

博士:寿つかさ
(現代の科学者)

ヤン:速水リキ
(ザカリアスの忠実な部下)

ミア:美羽あさひ
(ザカリアスの娘)

他 宙組「聖なる星の奇蹟」組


<ストーリー>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「また、同じ夢か・・・」。
目覚めたフレデレックは呟いた。
一体、あの夢の中の女性は、誰なのだろう。
彼女にはどこか見覚えがある。
何かは思い出せないが、とても大切な思い出が・・・。

 北欧のとある国。
ひっそりとした古い街で、密かに時空移動の研究が進められており、
フレデリックはその研究の実行者だった。
彼は、その夜19世紀へと旅立ち、そこでリディアという女性に出会う。
二人はお互いにいつかどこかで会ったことがあるような、不思議な感覚に包まれる。

(ちらしより)


<ポスターに魅かれて>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 東京の方もご覧になっているだろうが、この公演のポスター
(あるいはちらし)、
「これぞ宝塚」といわんばかりのロマンティック路線の王道を行っている。
金子もじっくりみたくてドラマシティの周りにちらしがおいていないか、
近辺を通るたびに寄ってみるのだがどうやらチケット購入者1人1枚しかくれないらしい。
金子はドラマシティの会員でちらしができる前に購入してしまったので
どうしようもないか、と思ったのだが意外と目は光らせるものである。
なんと、キャトルレーヴ本店の入り口に置いてあった。
そこでもらったのだが、和央ようかの長い足より、花總まりのおドレ
(金子の家ではゴージャスなドレスのことをこう言う)
の方が目立っているではないか。
どっちが主役なのだ、タカコさんのフロックコート姿もよいではないか。
なんて思いながら、超宝塚的ロマンティックドラマを期待して劇場に行ったのである。


<感想>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「宝塚1ゴージャスなトップコンビが贈る、
            超宝塚的ロマンティクラブロマンスの舞台」

 ストーリーに関してはシンプルなので、
上のちらし以上に書いては赤坂に行く人の足が減るといけないから
(金子のこんな文章ぐらいでそんなことはないか ははは)、
最後はポスターどおりになる展開ですよ、とだけ書いておく。

少し書くなら、主人公は初め「踊れない」といっておきながら、
いざ恋する女性に手を引かれれば、完璧に格好よく踊る、
などという宝塚定番のシーンがあることぐらいは書いておきますか。

 しかし、である。金子は帰って母にこのストーリーを話したのだが、
なんと「私、そういう話一番嫌い。そんな夢のような話に共感が沸かない」
と言われたのだ。
そこで、おずおずと
「するとママは『ガラスの風景』みたいな話がいいわけ?」と聞いてみたら、
「うん、タータンさんの渋い男役の見納めしておきたかったわ」ときた。
しかし、金子自身は今回のロマンティク路線の方が好きである。
昔、宝塚のキャッチフレーズに「夢とロマンへの冒険」というのがあった。
「宝塚」という存在は、
「実際にはありえないような夢物語を繰り広げ、
 観客を普段の世界からひと時解放してくれるところ」
というのが原点なのではないだろうか。
しかし、現在の演目をみると「プラハの春」のような、
いわば「人生を考える」というものも昔より多くなっているのも確かだ。
皆さんは、宝塚に対して「ロマンティク路線」と「人生路線」のどちらがお好きだろうか。

 さて、作品に関して言えば、
実際現実にない「時空間移動」といったSF的なところも少しあるが、
よっぽどSF嫌いでないかぎり分かりやすく、宝塚的ロマンを存分に味わえるものである。
ただ、二幕の始めのほうのクリスマスソングのメドレーなど、
27日に聴いていてはお寒い感じがしたが、これを年明けの赤坂でもやるのだろうか?
なにも、12月25日までに観る人ばかりではないのだから、
あまりクリスマスを意識したものはやらないほうがいいと思う。
金子が感じている、この時期のドラマシティのベスト1の作品は
「Ryoma!」(真矢みき主演)である。

 あと、ストーリー展開について、時間が余っている感じで、
物語の進行や台詞の言い回しなど、
「ガラスの風景」の95分の中に何人もの人生観が示されてあたふたしたのに比べると、
19世紀仕様(?)なのか、ゆったりしているように思えて、
もう少しテンポがあったほうがいいと思った。
それと、最後ちょっとしたショーみたいなのがないのは、
それこそクリスマスプレゼントがないような感じで残念だった。
去年の「カナリア」など、チャーリーは何回衣装を変えて踊っていたことか。
主役の衣装の数からしてもさびしいところがあった。
また、ロマンティックストーリーの主人公の一人称に「俺」はちょっと、である。
せめて「僕」でしょう。
後は人別に。


 フレデリックの和央ようか(タカコさん)。
「現実世界には絶対いないような、女性が夢見るような男性」を
「宝塚の二枚目スター」として存分にロマンティクに演じていた。
金子はタカコファンなのだが、
「そう、こういうノーブルでロマンティックなタカコさんが観たかったわ」
というファン心理をばっちり突いた役である。
多分、今のタカコさんにとっと「猫の手をひねる」くらい簡単な役だと思う。
工夫として、開場アナウンスから、声のトーンが普段の声に近く、かなり高めであった。

あとはファンモードで書かせていただくが、衣装が4着しかないのは不満だが、
二幕の青とポスターに写っているフロックコートがとてもお似合いであった。
帰る道すがら「タカコさん、綺麗だねぇ」と電車で隣に座った奥様は言ってくださった。
思わず舞台写真を買ってしまった。
(青のフロックコートの分も年明けに買おうかしら)
あと、歌はもっとメロディーが美しく、最後は歌い上げる曲の方がいい。

先日、CS放送から録画しておいた「吉崎賢治オリジナルコンサート」を母と見たのだが、
タカコさんの「華麗なるキャツビー」の主題歌を歌い上げたところには親子で、
「おー、タカコさんすごい」と唸っていた。
そして、最後に「タカコさんの『ギャツビー』が一番良かったね」と意見が同意した。
(ちなみに父は安蘭けいの「ディーン」の曲をきいて、
「相変わらず上手いな」と言っていた。)
僭越だが、タカコさんがトップになられてから一番上達されたのは歌、
それも特に高音部を朗々と歌い上げられるようになったところではないか。
誰とは言わないが、高音部だけ上手い人はいるが、
タカコさんのように下から上まで朗々という人は少ないと思う。
なにをおいても、「おー格好いい」「あー素敵」で終わってしまった。


 リディアの花總まり(ハナちゃん)。
ああ、やはり「令嬢」という役をやらせたらこの人の右に出る人はいない。
この間のトーランドットの怖いプリンセスよりやはり、「お嬢様」の方がいい。
昔のビデオを比べると腰つきが少しふくよかになられたようだが、
初めはフレデリックをちょっと興味本位に茶化して見せるところ、
嬉々として恋人として語りかけるところ、肩を震わせて本当に涙しながら
「もう19世紀に置き去りにしないで、離れないで」と切々と訴えるところなど、
感情のひだが感じられて、彼女にとってもこの役はタカコさん以上に
「猫の手をひねる」くらい簡単だっただろう。
こんなハナちゃんを観ていると、
いつか「花總まり伝説」が宝塚に残るのではないだろうか、と思ったしだいである。


 エドワルドの水夏希
フレデリックの恋敵だが、正義感があり、
リディアの心がフレデリックのものだと分かると諦める好青年である。
水はこのところアクの強い役が続いていたような気がするので、
こういう恋に悩む二枚目は久しぶりですっきりとした出来であった。
また、台詞も最後の独白などを含めて、大分演技の解釈力がついたようで、
観ていて安心できる役者になりかかっているように思える。


 リディアの父、クラウス博士の萬あきらさん。
威厳に満ちた中国皇帝からうってかわって、失敗続きの実験で変人扱いされていても、
成功した爆弾研究は闇に葬り、
娘を溺愛しているひょうひょうとした好々爺を好演していた。
こんな萬さんをみたのは初めてだが、なかなか合っていてさすが専科でいらっしゃる。


 家政婦のグレタの貴柳みどり
この人は、「タカラジェンヌ」と言う前に、
「役者だなあ」とどの役をみせてもらっても思ってしまう。
今回は口やかましい家政婦を出すぎず、しかしインパクト強く演じていた。
これからの宙組では大きな戦力となるだろう。


 クラウスのライバル、ザカリアスの美郷真也
こちらも宙組では初のお目見えだが、重圧感のある演技で、主役たちだけでなく、
こういう脇をしっかりしめる人がいてこそ芝居はなりたつのだな、とつくづく感じた。
なんだか、このごろ宝塚ではこういう脇をしっかりしめてくれる人が少なくなったな、
と感じるこのごろである。


 ザカリアスの研究員のヤンの速水リキ
ミアに横恋慕して、クラウスの爆弾の資料を盗むためには他人に見られたら、
その人間はピストルで殺そうとするほどの野心家だが、
今ひとつ野心家のギラギラした執着心を表せたら、と思った。


 ミアの花帆杏奈美羽あさひは「エイジ・オブ・イノセンス」のメイに続いて
純粋無垢な乙女の役だが、この人には暖かさがあってそれはとてもいいのだが、
もう少し少女の「削りたての鉛筆の芯のような清冽さ」
(金子の好きな表現です)があってもいいのではないかと思った。
しかし、メイに比べて役が小さいので、
出来る限りのことは限られているので仕方ないと思うが。


 とここまで書いてきたが、とにかく「ロマンティックな宝塚」を求める人は
1度行かれることをお勧めする。
最後にポスターの衣装で2人がワルツを踊るところなどは必見です。
ただ、「人生路線」が好きな方は、1度観たら満足されるかもしれません。
それでは、ひたすらタカコさんにただひたすら入れ込んで観ていた金子からの感想でした。


<金子のよしなしごと>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

今回のテーマは「原作本」

 このHPの読者で、金子の「プラハの春」の感想を読んでくださった方には
お分かりだろうが、あの時は原作を読んでいなくて相当ピンチだった。
(ちなみにリアルタイムを生きた母はハイビジョンで放送されたこの公演を観ても
「分からない」とは言わなかった)
それ以来、金子本来、本はそう好きではないのだが、原作本は読もうと思った。
それで最近読んだのが「傭兵ピエール」。
次の宙組大劇場の原作本である。
しかし、紀伊国屋でお姉さんに本を出してもらったとき、
ビデオテープぐらいの厚さのものが2冊だったので、思わず買うのをやめようか、
と思ったのだが「タカコさんのため」と購入して、この間、やっと読み終えた。
しかし、次に取り掛かっている「捨て童子・松平忠輝」は
正直もうプログラムに頼ろうか、と思っている。
とにかく歴史書などが多く引用されており、
物語、というより史実を読んでいるようで読みにくい。
その上、3冊だ。
また輪をかけて、春野が主人公のイメージで読んでいたのに、轟閣下のお出ましらしい。
こんなところである。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□劇評■筆者□□□□
金子亜矢
bacew609@jttk.zaq.ne.jp
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