■■■AYAの宝塚歌劇 観劇記■■■


花 組

バウ・ミュージカルプレイ
月の燈影 つきのほかげ



2002年 8月 2日(金)〜8月11日(日) 宝塚バウホール公演

2002年 8月16日(金)〜8月22日(木) 東京特別公演(日本青年館大ホール)

観劇日8月11日(日)ろ列14番

劇場 :宝塚バウホール


HP主人 森(=SUN)筆。

「ドス」ってものは上級生にならないと難しいのかな。

と、金子さんは書いている。
「ドス」ねえ。

この場合の「ドス」は、『どす黒い』のソレではなくって、
舞妓さんの『そうどすー』のソレでもなくって、
匕首でもなく。
匕首を持ってる人が出す声に「ドスのきいた」ってのがあって、
その場合の「ドス」。

低く凄みがきいている。
低く凄みがきいている様 か。

座り所ってことなんですかね。「ドス」。
あ、ここまで「ドス」のこと考えつつ書いてて思い付いた。
「どすこい」ってここからか?
「はっけよい」の「はっけ」って「八卦」か?
調べてみる。

間。

そうかも しれない。
「八卦」かも「はっけよい」の「はっけ」は。
断定は出来ないけれど。
こういうモノって「そう かもね」というのが多い。
伝承ってそういうものだろうな。

で、「どすこい」のことはどうなったか というと。
わかんなかったの今。
そのうち調べてみる事があるかも しれない。
あるのか本当に?

「のこった」は「残った」でしょう。
これはマンマでしょう。

あ、別に私は相撲ファンじゃないよ。
連想でいってしまっただけだから。

ってなことで、金子さんの劇評いってみよう。




バウ・ミュージカル

月の燈影 つきのほかげ



作・演出 大野拓史


<出演者>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

  幸蔵(「川向う」の博打打ち。通り者を仕切る男):彩吹真央
      次郎吉(「江戸」二番組火消ろ組の平人):蘭寿とむ

        喜の字(「川向う」門前仲町の芸者):沢樹くるみ
        おゑん(淀辰の女房で船宿のお内儀):城火呂絵
               丑右衛門(ろ組の頭):一樹千尋
淀屋辰五郎「淀辰」(「川向う」一帯を仕切る地回り):夏美よう
           蝶之之助(喜の字の芸者仲間):翔つかさ
        文字春(「川向う」の端唄の町師匠):幸美杏奈
     大八木七兵衛(「江戸」北町奉行所の同心):悠真倫
                新助(喜の字の弟):桐生園加
           お壱(「川向う」の巾着切り):桜一花
            粂八(「川向う」の通り者):嶺輝あやと


                        他 花組「月の燈影」組

<解説>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 江戸後期。
当時江戸市中に加えられて間もない、
欲望の交錯する危険な新開地「川向う」を背景に展開していく物語。
故あって「川向う」に流れ着いた人々の哀愁を軸に、江戸の美意識に彩られた世界を描く。
尚、この作品は彩吹真央、蘭寿とむのバウホール初主演作となる。

(「歌劇」8月号より)


<感想>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「江戸情緒は難しゅうおます」

 悲しいかな、兵庫県民の金子、東京に住んでいた時期もあるが、
この両国・深川といった「川向う」がぴんとこないまま終わってしまった。
いくらプログラムに書いてあっても、台詞で説明されても、
概念的には分かるのだが、実感が沸かないのである。
家に帰って両親に斯く斯くしかじかのところの話、と説明して、
「大阪で言うとどこ?」と聞いて
「○○じゃない」と言われて、ははーんと分かった次第である。
関西人にはここがまず越えなくてはならないハードルだ。
東京の特にその地区にお住まいの方には簡単なことかもしれないが。

 次に、言葉であるが、次郎吉のべらんめえも余り感じなかったし、
「わっち」くらいしかあまり江戸言葉を感じなかった。
もっと多用したほうが関西との違いが分かってよかったと思う。

 また、所作であるが、「やってまーす」という感じの人(特に下級生)が多くて、
先生の指導に頑張ってついていっている、というにわか日本物という感じがした。
これは日ごろのレッスンがものをいうのだから、こういう作品が来ることを考えて、
花組生も日舞に力を入れて欲しい。

 作品のことについてまだ続けるが、
「歌劇」に「下級生まで台詞を割り振った」とあったが、これが困った。
「ナントカですからね」という「ナントカ」が聞き取れなくて、
「はっ?」という感じで終わってしまった。終演後また頭痛に襲われた次第である。
やはり4500円とっているのだから、台詞は全部わかるようにしていただきたい。

 日本物だからテンポが少々遅くなるのは仕方ないと思うが、
もう少し時間の区切りをきちんと示して欲しかったし、
例えば幸蔵が「俺がお前の探しているさっちゃんだ」と告白する件など、
もう少しドラマティックな場面があってもいいと思った。
その方が、舞台にめりはりがついていいと思う。

 また、次郎吉の役名を見て、「鼠小僧次郎吉」を想像される方もいられるだろうが、
本当に辻褄合せに使ってあるだけなので、
これから見られる方には全く関係ない、と言っておこう。
しかし、いきなり辻褄合せに使うのもなんですね。
全体的には60点。あとは人別に書いていこうと思う。


幸蔵の彩吹真央(ゆみこ)。
陰のあるドスの効いた男の役だ。
正直、少しハードルが高すぎたのではと思う。
最近になって、父とビデオで月組ドラマシティ公演の
「プラクティカル・ジョーク」をみたのだが、父が真琴の主人公を見て、

「こういう陰のある役、女にはたまらなくいいのやろ。格好よくて」

と言っていたが、当時の真琴は月組トップ。
失礼だが今のゆみこさんとはキャリアが違う。
その上ドスも効かさなくてはいけないのだから大変だ。
なるべくぶっきらぼうに振舞うなど工夫の努力は買うが、
やはりこの学年でのバウ主演なら、さわやか青春路線のほうが無難だったと思う。
役のイメージのためか、得意とする歌も低音が多くて、
悪いのだけどいつもほど上手く感じられなかった。
大健闘、とは申し上げるが、
もっとニンにあった役のほうがよかったなぁ、とつくづく思った。

 一方次郎吉の蘭寿とむ(とむ)。
こちらは素直な若者らしい役で、今の彼女によくあっていた。
歌も無理せず直線的に声がでていて、好感がもてた。
着物の捌きかたなどいま一歩であるが、なかなかの好演だった。
本公演でも、ダンスで目立つ人なので、いまはジャンプのときなのだろう。
新人公演を卒業してこれからが正念場である。

 喜の字の沢樹くるみ
新人公演でなんどかヒロインを務めているのにこれで退団とか。
花組女役陣にとっては大切な戦力を失うことになりそうだ。
今回の役は弟のこと以外は自分は自分、といった矜持をもった役で、
凛としていながらも過去をひきずらずにはおけない、というところがよく出ていた。
また、次郎吉に対して同情から恋愛に変わるところがあり、なかなかやりがいのある役だ。
沢樹は初めのバックスタイルの出から、はんなりしており、
最後にしてなかなかの出来だった。
特に、妾の話を断るところなど、
「自分は誰のものでもない」という気概が見えたのなど良かった。
上に書いた所作は、なかなか板に就いており充分芸者らしく見えた。

あとは気づいた人から。
その喜の字の弟の新助の桐生園加は、一服の清涼剤となっており、
博打に手を出して負けてしまって、幸蔵を刺そうとする、
という気持ちの流れがよく分かった。

 お壱の桜一花はなかなかかわいらしい娘約さんだが、
今回は人恋しそうなところが出ていてよかった。

 一方同心の悠真倫は時間の流れをきちんを演じ分けていて脇をしっかり固めていた。
こういう中堅の脇役どころの勢力も失ってはいけないものである。

 文字春の幸美杏奈は歌の上手い人なのに1曲もなく、
それでも一生懸命「川向う」と「江戸」の違いを説明していたのはよかった。
それに、妾というだけなかなか仇っぽかった。

 そして組長、夏美よう
さすが上級生、ドスの入り方が違う。
地回りの親分、というのが充分納得させられる役作りだった。
やはり、「ドス」ってものは上級生にならないと難しいのかな。

 最後に専科の城、一樹さん。
台詞が1つも「ええっ」というところがなくて、流石だった。
専科の力ここにあり、という感じを受けた。


 以上、少々辛口の感想になってしまったが、妄言多謝。
読んでくださってありがとう。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□劇評■筆者□□□□
金子亜矢
bacew609@jttk.zaq.ne.jp
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