■■■AYAの宝塚歌劇 観劇記■■■


雪 組

2002年 5月24日(金)〜7月8日(月)  宝塚大劇場公演

2002年 8月16日(金)〜9月23日(月)  東京宝塚劇場公演

C'BONミュージカルサロン
ミュージカル・ロマン
追憶のバルセロナ



グランド・ショー
ON THE 5th
〜ヴィレッジからハーレムまで〜



観劇日:7月4日(木) 1階5列52番

劇場 :宝塚大劇場


HP主人 森(=SUN)筆。

今回は最後に金子さんの自己紹介がついている。
筋金入りの「ヅカファン」。
私なんて「青い青い」
金子さんの宝塚への愛情は深いものです。

私はミュージカルが好きです。
MGMミュージカル映画大好き。
雨の中、ジーン・ケリーが傘振り回して水たまり蹴飛ばしながら
歌い踊っている姿に、やられてしまって以来からです。

きっと、今このうれしさを具体的に表現出来るんなら、
誰だってこんなふうにしたいに違いないんだ。
そう思ったものです。
心情の表現として、これってすごいリアルだ と。

なんていう上記の理屈は、もちろん後づけで、
ただもう うれしくって歌い踊ってるビショ濡れ男のハッピーさに釘付け って感じです。

アステアのエレガントよりも、
ケリーのパワフルダンスのほうが好きだったですねえ。

そうしてフォッシーへ。
メジャーどころでストローマンも。
小道具を なんて洒落た使い方をするんでしょう この方達は。

フォッシーといえば、
7/31〜8/18にオーチャードホールに
ブロードウェイミュージカル「フォッシー」がきます。
去年に続きの来日公演。
セクシーで、デカダン。

ってなことで、金子さんの劇評いってみよう。




C'BONミュージカルサロン
ミュージカル・ロマン
追憶のバルセロナ


作・演出 正塚晴彦


<出演者>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

大劇場:宝塚歌劇団雪組66名、(専科)未沙のえる、成瀬こうき
 東宝:宝塚歌劇団雪組77名、(専科)未沙のえる、成瀬こうき


フランシスコ・アウストリア
(カタルーニャ貴族・アウストリア家の一人息子):絵麻緒ゆう

           イサベル(ジプシーの娘):紺野まひる

  アントニオ・ヒネメス(フランシスコの友人):成瀬こうき
     ロベルト(ジプシーのリーダー的存在):朝海ひかる
     ジャン・クリストフ(フランス軍大尉):貴城けい
         イアーゴ(クリストフの部下):未沙のえる
   テレサ・アウストリア(フランシスコの母):灯奈美
            エンセナダ(ジプシー):未来優希
           アルバラード(ジプシー):立樹遥
           フェルナンド(ジプシー):壮一帆
     フェイホオ(アウストリア家の使用人):音月桂
 レオポルド・アウストリア(フランシスコの父):美郷真也
 セシリア・オリバレス(フランシスコの婚約者):白羽ゆり

                          他 雪組組生

<解説>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 時は18世紀末のスペイン。
宣戦布告してきたフランスに対するべく、
勇躍戦場へと向かったバルセロナの青年貴族フランシスコと、その親友アントニオ。
しかし、フランシスコは瀕死の重傷を負い、アントニオは捕虜になってしまう。
旅芸人の一座の女、イサベルの介抱でようやく生還したフランシスコは、
カーニバルの季節、一座にまぎれてバルセロナに侵入し、
フランス占領軍の司令官の催す宴席に赴く。
そこで出会ったのは、いまやフランスの協力者となったアントニオと、
彼の妻になったかつての許嫁セシリアだった。
新生雪組のフレッシュなメンバーによる、愛と戦いの物語を描くミュージカル。

(ちらしより)


<感想>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「さわやか系ブンちゃんここに極れり」

 まず作品から述べるが、
しっかりとした骨格の通った、恋あり、友情ありの冒険活劇になっていたと思う。
また、主な役の各個人への書き込みがぴったりしていて、
座付き作者ならではと感じられた。
とにかく1時間35分飽きさせないドラマだ。

最近はドラマシティが多かった正塚先生だが、
久しぶりの大劇場ではナンバーもいれて、
大分「大劇場芝居」を意識しておられるようにプログラムからも感じた。

「それでも生きていくことが大切なのだ」

という正塚版メッセージは変わらないのがらしくていい。
特に最後、主役2人が未来に向けて歩みだすのが、
サヨナラだから死とかで締めるのではなくて、
2人の現実の未来に期待を持たせていいと思った。
それでは各個人に移っていこうと思う。


 フランシスコの絵麻緒ゆう(ブンちゃん)。
劇場に向かいながら、彼女の代表作といったらなんだろうな、
と考えていたら「誠の群像」の沖田総司であった。
あれは良かった。
純真でまっすぐで。
ああいうさわやか路線がこの人の身上であると思ったが、
今回のフランシスコも、自分の運命を真摯に受け入れて、
スペイン独立のため志を貫く、という公明正大な主人公だ。
この設定がブンちゃんに会っていていい。
(実際のブンちゃんの性格にもあっているのではないだろうか。
 金子、自分の性格がかなりブンちゃんと似ていると思う節を
 「グラフ」「歌劇」で感じるので推察するのだが)
いつも真摯でさわやかだ。

昔「フェンシングは苦手で」といっていたような気がしたが、今回は堂々たる剣さばきだ。
また髪の色なのだが、ブンちゃんはいつも染めていたように思うが、
スペイン人、ということでなのか黒で、一般人ですら茶髪流行の時代には、
かえって新鮮でりりしく見えた。
最後に魅力を充分に発揮できる役にであえてよかったと、1宝塚ファンながら思う。


 イサベルの紺野まひる(まひる)。
「歌劇」の座談会にあったように、「まひるそのまんま」の役で、
全く違和感がなく観られた。
「あたし、なにがあってもついていくから」
という一途な思いがなかなかフランシスコに届かないにしても、
最後には必要とされて結ばれる、というのはいいなと思った。
彼女もまた最後に彼女の特質にあった役をえてよかったのではないか。


 アントニオの成瀬こうき(おっちっよん)。
戦争で捕虜となったためにフランスに協力する立場になって、その運命に苦悩し苦悶し、
しかし最後は友と志を同じくできる、というある意味こちらのほうが主役より面白い役だ。
主役でないからにせよ、ぎりぎりの線まで書き込んであって、
隠れおっちょんファンとしては「最後にしていい役だなあ」と思った。
バウホールやドラマシティならこちらを主役にもっていっても面白いだろう。
正塚先生のおっちっちょんへの愛情を感じた。
やるおっちょんも苦悩する場面では台詞に深みがあって、
最後にしてベストアクトだと思う。
ディナーショー行きますのでよろしく。


 ロベルトの朝海ひかる(コムちゃん)。
ジプシーのリーダーとして、声を低めにおとして凄みをつけようとしていたのは分かるが、
苦言を呈するようだが もう少し、脚本の行間の書かれていることを表現して欲しい。
しかし、フランシスコにイサベルの愛情を気づかせようと説得する場面と
何箇所かある中心になってのダンスはよかった。
次期トップだと思うのであえて言わせていただいた。


 クリストフの貴城けい(かしげ)。
「アンナ・カレーニナ」以来演技開眼したのか、
今回も切れ者の大尉というのがよく表現されていた。
特に終盤の「無実の人間を殺すような『黒い旋風』には誰もついていかないでしょう」
という辺りは凄みを感じた。
この頃好調なので頼もしい限りだ。


 イアーゴの未沙のえる
最近の活躍を見ていると、
「この人をして不可能な役などあるのだろうか」
とすら思えてしまうのだが、今回は役が小さすぎる気がした。


 ジプシーの未来優希、立樹遥、壮一帆の3人は、未来の歌が目立ったが、
あとの2人はあまり個性を感じなかった。
これからの人たちなので頑張って欲しい。


   フェイホオの音月桂はプログラムで
「息抜きになるようになれば」といっていたと思うが、
違和感があるだけでなんか浮いていた。
演技の空回りなのだろうが、東京では改善をお願いしたい。


   最後にセリシアの白羽ゆり
貴族の令嬢なのだから、初めの出でもっとみずみずしさを出して欲しかった。
あと、メイクと髪型が上手くなればもっと舞台栄えすると思うのだが。
フランシスコにアントニオの助命を願うところなどは
感情が張り詰めているのが良く分かったので、
あとの場面ももう少し柔軟性があってもいいのではないか、と思った。
こちらもトップ娘役候補なのであえて。


 メインキャスト以外に印象に残ったのはジプシーの親方ミゲルをやった風早優だ。
フランシスコに「生きていれば必ずいるべき場所にたどり着けるさ」
というところはさらっと言っていたが、重い言葉のように聞こえた。


 全体的に観て、メインキャストを中心によくまとまっていたし、
千秋楽までこの勢いで突っ走れ!とエールを送りたくなった。





グランド・ショー
ON THE 5th

−ヴィレッヂからハーレムまで−


  原案:小林公平
作・演出:草野旦   振付:ランディ・スキナー、イディ・コーワン(他)

<出演者>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

大劇場:宝塚歌劇団雪組66名、(専科)未沙のえる、成瀬こうき
 東宝:宝塚歌劇団雪組77名、(専科)未沙のえる、成瀬こうき


<解説>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ニューヨークの中心地マンハッタン。
その中央に位置する五番街は、
世界の文化をリードしてきたアメリカを象徴する、ありとあらゆるものが溢れている。
世界の名店。
名門ホテルの数々。
名画を収めた美術館。
美しい公園。
イースターパレードの起点にもなっている教会。
そんな五番街をテーマに、ハイセンスで、ゴージャスで、お洒落で、スピーディーなショーが始まる。
ショーはやっぱり面白い。


<感想>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「いつまでもこのショータイムがつづけばいいのに・・・」

 久しぶりに観ていて心がわくわくするようなショーだった。
草野先生の傑作に上げてもいいだろう。

まず、音楽。
5分の3ぐらいは知っている曲ばかりで、
振りも昔のMGMミュージカル映画を思わせるようでいい。
また、衣装も燕尾などシンプルで、シンプル好みの金子としては良かった。
その上のタップ。
公演の後半ということもあろうが、ぴしっと揃っていて心地よかった。
100点、といきたいのだが、最後全員のタップで終わるよりも、先にタップをして、
その後羽根のパレードとしたほうが、サヨナラ公演なのでいいのではないか、と思った。
99点。

 閑話休題。
音楽が知っている曲が多かったと書いたが、よくよく考えてみると、
これはすべて宝塚で覚えた、と言って過言ではない。
下の自己紹介を見ていただければ分かるが、
長くファンを続けると、宝塚ではガーシュイン、ポーター、
昔のMGM映画の曲などが何回も使われているので自然と覚えてしまったのだ。
何年も前、初めてジャズの全集のCDを買ったのだが、ほとんど知っていたのでびっくりした。
宝塚を観続けるとアメリカの古きよき時代の音楽には少し通になれる。


(第1場〜第3場 プロローグ)

 ここからタップがあるのだが、
ブンちゃんが中心となると雪組のショーがこんなに変わるとは思わなかった。
以前はなんというか、こじんまりしていたのだが、
急に「魅せる」ことに求心力をおいているように思えた。
花組の匠ひびきのときも思ったが、真ん中が変わるとこんなに変わるものであるのか、
ということである。
いかにも自由の国アメリカ、を象徴したようなプロローグだ。


(第4場〜第6場 ヴィレッジ・オン・ザ・5th〜ショップ・オン・ザ・5th)

 まひる扮するシャインが急にお金を得るものも、
仲間のおっちょん、コム、かしげの3人と楽しむうちに
あっという間にお金を使い果たしてしまう、という筋立てだ。
シャインも可愛いが、上級生の3人が思いっきり弾けているのが楽しい。
また、マネキンの男役4人はなかなかのお色気。
とにかく楽しい。
ただ、白羽ゆりがダンスでばたばたしてみえるのが気になった。


(第7場〜第9場 ナイト・オン・ザ5th)

 ブンちゃんの登場である。紫のタキシードで踊りまくるのだが、ただ一言、格好いい。
ブンちゃんのダンスは、素人から言わせると、体の筋がしっかり通っていて、
ポーズを変えてもぶれない上に、ポーズからポーズの移動がなめらかなのがいい。
ただ、1つ分からないのは、ブンちゃんのやっている
「Mr、フィフス」ってどういうお仕事の方なのでしょうか。
町の名士というのは想像がつくのですけど。


(第10場〜第13場 ミート・オン・ザ・5th)

 成瀬を筆頭とした6人の浮浪者から燕尾の紳士への引き抜きから始まり、
ブンちゃんのとどめの白燕尾(似合いますね)が現れダンスとなり、
ラインダンスに続く中詰めである。
ここでMr、フィフスとシャインは恋におち、幸せな後半が予想できる。
このへんでは、金子感想もなにも忘れてショーに没頭していた。


(第16場〜第17場 パーク・オン・ザ・5th)

 主役2人がセントラル・パークへ馬車で乗りつけ、
「ダンシング・イン・ザ・ダーク」の曲に合せてデュエットダンスを踊るのである。
ああ、これぞ昔のMGMの世界、いまは宝塚のみが出来る夢の世界。
リフトも腰を持ってやるという高度なものを12回もまわしていた。
後半のブンちゃんの歌も気持ちがこもっていて良かった。


(第18場〜第19場 プレイ・オン・ザ・5th)

 昨年のNYのツインタワーの事故に対しての祈りのシーンだが、
正直金子、プログラムを読んだとき
「あ、ここは暗くてかなわないのかな」と思ったが、
コムちゃんを中心とした求心力のあるダンスと美穂圭子を中心とした
ソウルフルな歌で感情を昇華させていた。
充分祈りになったと思う。


(第20場 ハーレム・オン・ザ・5th)

 おっちょんの最初で最後の1人中心の場面である。
ただ「ひたすら明るい成瀬さん」をみると、前後との関係があるからとはいえ、
歌ワンコーラスのほうがよかったような感じがする。


(第21場〜第22場 グッバイ・オン・ザ・5th)

 ブンちゃんとまひるの最後のお別れの場面である。
ここのブンちゃんの歌は「やめたくない」と聞こえる方もいるそうだが、
金子には「ありがとう」の歌に聞こえた。
歌詞がシンプルなのがいい。
また、ピンクの衣装も2人ともよく似合っていた。


(第23場 パレード)

 初めに降りてきた3人が歌わないのには驚いたが、
最後なのだから、歌劇団よ、
おっちょんをセンター寄りに立たせて、
衣装もコムちゃんよりすこうし飾りをつけてもいいのではないでしょうか。


(第24場 パレード・オン・ザ5th)

 ただ一言、「爽快だった」。
皆さんの努力以上に、その努力を全然感じさせないスマイルが素晴らしかった。
お見事。

 以上で感想は終わります。
見応えのある2本立てでした。


<プチ自己紹介>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 このHPにも何度も感想をUPしていただいているので、
そろそろ金子のことも知ってもらうべく。

名前:
金子亜矢(本名です)

住所:
兵庫県(結構田舎です)

観劇歴:
幼稚園のときからいままで、知らないうちに25年をオーバー

初観劇:
宝塚月組「長靴をはいた猫」(大滝子さんサヨナラ公演)

観劇時携行品:
オペラグラス(8〜20倍)・座布団(身長145cmのため)

宝塚以外で初めて観たミュージカル:
劇団四季「Cats」

好きなミュージカル:
「マイ・フェア・レディ」

好きな宝塚のミュージカル:
「琥珀色の雨にぬれて」

好きな宝塚のショー:
「ノバ・ボサ・ノバ」

主に行く劇場:
宝塚大劇場、宝塚バウホール、シアター・ドラマシティ、梅田コマ劇場

印象が深い舞台:
幼稚園のとき→「ノバ・ボサ・ノバ」のシナーマン
(当時はあれで終わり、パレードなどなく、
 あの歌もスタンドマイクで歌っていたのですよね)

中学生のとき→「琥珀色の雨にぬれて」
(ジゴロが『広辞苑』で引くと「ひも」でさっぱり意味が分からなかった)

大学生のとき→「エリザベート」
(最初のコーラスで震えがきて、新人公演も素晴らしかった)

現在→「モーツアルト」に期待
(しかし高いね〜チケット代)

好きなタカラジェンヌの変遷:
安奈淳→大地真央→大浦みずき→真矢みき→和央ようか


こんなところでしょうか。
これからもよろしく。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□劇評■筆者□□□□
金子亜矢
bacew609@jttk.zaq.ne.jp
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