観劇日:2002年3月23日(土)18:30〜(14列38番) 作:井上ひさし 企画・監修:鴻上尚史 演出:いのうえひでのり 美術:堀尾幸男 照明:原田 保 衣裳デザイン:小峰リリー 音響プラン:井上哲司・山本能久 振付:川崎悦子 舞台監督:芳谷 研 企画:日本劇団協議会プロデューサーの会 プロデュース:細川展裕(ヴィレッジ) 助成:社会法人私的録音補償金管理協会(sarah) 主催:社会法人日本劇団協議会・TBS @@@キャスト@@@@@@@@ 佐渡の三世次:上川隆也 お光・おさち:沢口靖子 尾瀬の幕兵衛・国定村の忠治:古田新太 蝮の九郎治・利根の河岸安・手付:池田成志 きじるしの王次・手付:阿部サダヲ よだれ牛の紋太・百姓:橋本じゅん お里・安中の老婆:西牟田 恵 お文・真岡の老婆・百姓:村木よし子 お冬・大間々の老婆・女郎・百姓:高橋礼恵 小見川の花平・笹川の繁蔵:粟根まこと 土井茂平太:山本 亮 鰤の十兵衛・飯岡の助五郎:小林勝也 ぼろ安・大前田の栄五郎・百姓:森塚敏 清滝の老婆:熊谷真実 その他の方々 <企画> 日本劇団協議会が社団法人化10周年を記念して、企画・制作する作品です。『天保十二年のシェイクスピア』は、1974年に西武劇場(現パルコ劇場)で初演して以来28年ぶりの再演となります。当時4時間以上あった上演時間を鴻上尚史の監修のもと2時間30分に短縮し、いのうえひでのりが独自のテイストに演出する、というねらいで企画は立ち上がりました。約30年前の作品ですが、必ずや古びることない「井上ひさし」ワールドが生き生きと蘇ることを確信しております。 日本劇団協議会プロデューサーの会 細川展裕 <あらすじ> 江戸時代天保の頃、下総国清滝村、鰤の十兵衛(小林勝也)経営の二軒の旅籠があった。十兵衛には、お文(村木よし子)、お里(西牟田恵)、お光(沢口靖子)の三人の娘がいた。 三人の娘に身上を譲ろうと考えた十兵衛に、お文、お里は要領よく答えるが、可愛いいお光は、きれい事が言えず、追放されてしまう。 <感想> 黒澤明 監督作品「用心棒」 「天保十二年のシェイクスピア」は、 先ずこの荘厳で華麗な映画音楽からはじまる。 砂塵の向こうから、三船敏郎が懐手に歩いてくるイメージが過る。 極上のエンタテイメントのはじまりの予見だ。 いのうえ歌舞伎と称される その舞台を 体感するのは 実ははじめてなのだ。 劇団新感線の舞台に参ったことは まだ ない。 『人間の気持など所詮受け手が決めるものなのだ。 どんな相手のどんな行為でも、 たとえ相手がどんな気持でいようとも、 好感を以て臨めば概ね好意として取れるものである。 逆に嫌悪感を以て見れば大抵の者は悪意を発している。 強迫観念に見舞われてしまえば周囲は凡て敵なのだろうし、 逆を云えばだから人は必ず騙されるのだ。』 世界が何層にも積み重なる。 言葉 言葉 言葉。 色と欲と 情。 『言葉に人情はない。 嘘も真もない。 言葉は言葉として完結している。 現実と離れている。 なのに現実を左右する。 真実を超える。 だから 拠り所は人柄だけだ。 人柄を疑ってしまっては、恐くて近づけるものではない。』 その拠り所が消されていく。 人の世とは まっこと恐しい。 そういう無常の絵巻物が絢爛豪華に何本も放り投げられる。 物語の交錯。 なのに。 気持ちのいい 舞台だった。 それがどうした だってそれが人の世 人じゃあないか。 憧憬が駆け巡る。 何故私は、こちら(客席)にいて、 向こう側(幕の後)にいないのか。 東京公演は 明日24日が千秋楽。 そして30日からは、 大阪厚生年金にて12ステージ(10日間)の公演だそうだ。 極上のエンタテイメントを求めている関西地区在住の君、 劇場へ走れ。 もう前売はないだろうから 当日券に並べ。 パンフだけでも買え。 むちゃくちゃカッコいいぞ。 高いけど 仕方あるまい。 今回チケ 骨折りくださったK氏に、 心より感謝を。 只今のBGMは「佐藤勝 作品集」でしょう もちろん。 |