■■■AYAの宝塚歌劇 観劇記■■■


花 組

2002年3月1日〜4月8日 宝塚大劇場

ミュージカル・ロマン
琥珀色の雨にぬれて


レビュー・アラモード
Cocktail-カクテル-



観劇日:3月7日(木)
      15:00〜
      1階17列61番

劇場 :宝塚大劇場


HP主人 森(=SUN)筆。

匠ひびきがトップお披露目&退団。
このダブルの公演でありますね。

残酷だなって気がするね。
残酷だろうこれは 歌劇団。

ってなことで、金子さんの劇評いってみよう。




ミュージカル・ロマン
琥珀色の雨にぬれて


作・演出:柴田侑宏
  演出:正塚晴彦


          クロード・ドゥ・ベルナール公爵:匠ひびき
          シャロン・カザティ(マヌカン):大鳥れい

            ルイ・バランタン(ジゴロ):春野寿美礼
フランソワーズ・ドゥ・プレール(クロードの婚約者):遠野あすか
     ジョルジュ・ドゥ・ボーモン伯爵(銀行家):矢吹 翔
  ミッシェル・ドゥ・プレール伯爵(クロードの友人:瀬奈じゅん
                      エヴァ:矢代 鴻
          シャルル・ドゥ・ノワーユ子爵           (花屋・実はジゴロの総元締め):夏美よう

                          花組組生




<解説>

 1920年代の爛熟のパリ。

戦場から戻ってきた青年公爵クロードは、
フォンテンブローの森で神秘的なまでに美しい女性に出会った。
彼女の名はシャロン。
クロードの賞賛に、ジゴロの美青年ルイは
「ただのマヌカンですよ」と正体を明かす。
シャロンに恋するふたり。
奇妙な友情。
クロードの微妙な変化に気づく婚約者フランソワーズ。
高級クラブでの喧嘩から運命は動き出す。
銀行家ジョルジュと共に、ニースに旅立つシャロン。
後を追うクロードとルイ、そしてフランソワーズ。
それぞれの思いを乗せて、豪華列車トランブルーは走る。
1984年の初演と、奇しくも同じ花組で再演する心理劇の秀作。

(ちらしより)


<はじめに>

 実は金子、もし
「宝塚のオリジナルの芝居で一番好きなものを挙げよ」
と聞かれたら、これしかない、くらいにこの作品が好きである。
初演を観た時は○学生で
不倫のドロドロみたいな物は全然分からなかったが、

「大人ってこういう感情の処理をするのかぁ」

と大人の世界が少し見えてきた気がした。
そんなことを考えて余韻に浸って、いつもはすぐトイレに行くのに、
少し客席にぽかんと座っていた。
それまでの金子にとって、芝居はあくまでもショーの前座であり、
前傾姿勢の前の休憩、でもあったのだがこの作品でやっと

「芝居+ショー=宝塚」

という捉え方ができるようになった。
また、蛇足だが、この初演の時の併演のショー「ジュテーム」も
名場面「初恋」を含むいいショーだったので、
家に帰ってから何度も「今日は良かったね」といっていたらしい。
また、WOWOWで放送されてからは録画して何度も見ているので、
「好きだねぇ」と顰蹙をかいつつ、
初演のイメージは強くなっていくばかりであった。

こんな大好きな「琥珀色〜」であるので、
再演はどうなるかおっかなびっくりで劇場に足を運んだわけである。



<感想>

 まず、幕開きの「ジェラシー」から始まって
余り変わっていないのが嬉しかった。
ただ、2曲ほどの曲の変更と全く変わった装置はいただけない。
とくに、終盤の特別待合室の場面のセットが石のような壁
(これは何度も動く装置のキーポイントであるが)
というのは勘弁して欲しかった。
初演のように窓があって、というほうがいい。
上のような状況なので、台詞は4分の3ぐらいを覚えてしまっていたが、
これは本当のマイナーチェンジでそれでいいと思った。

プログラムを読むと、
「愛のドラマの図式として典型的といえるもの」
と書いてあったが、だから18年たっても色あせない。
4人のキャラクター分けがシンプルなのもガキの私にも
「ああ、こう言われたらこう思うだろうな」
と分かったのだろう。
良く書けたオリジナルである。
また再演ということもあってもいいと思う。
後は人別に書く。


 クロードの匠ひびき
これでさよならだが、初演の高汐の「純粋な大人」というより、
「青年」という感じだった。
(ちらしにもそう書いてあるけど)
ただ、一応戦火を経てきているのだから、もうすこし世慣れていても、
と思うがそれがクロードの「変わらない」ところなのだから、
それはそれでいいのかもしれない。

なんだか、スリムな体型のせいもあるが、
なんだが少し強いことを言えば壊れてしまいそうな、
ガラス細工のようなクロードであった。

台詞をなるべく普通のトーンで言うことで、
繊細さを出していたと思うが、
本当にシャロンでなくていいなら、私が、
と母性本能をくすぐらせるところがあった。
最後に失礼だが、歌はもっと情感を持って歌って欲しい。
とくに、主題歌の「ああ」というところは、
少々音を外してもため息のように歌えばもっと良くなると思う。


 シャロンの大鳥れい
よかった。
「女であるもの」という感じだろうか。
自分のための計算と抑えられない感情が交互しながらも、
最後はクロードを愛するゆえに去る、
という大人のそれこそ「なりあがりの」賢い女性を上手く演じていた。
ただ、もう少しクロードを純粋に愛している台詞かシーンがあると、
シャロンにもう少し同情も出来るのだが。

大鳥はメイクが良くなったのか、目が大きく見え、
随分すっきりと垢抜けた感じがした。
次はエリザベートだが、皇后の気品をどうだすのか楽しみだ。


 ルイの春野寿美礼
がんばっているのだが、
どうみても「なりあがり」の「裏街道」の人間には見えなかった。
これは初演の大浦みずきの印象が強すぎるせいであるのだが、
ナツメファンでもあった金子、
なんとかなんとかしてオサのルイを良くみようと思ったが無理であった。
やはり、これはスターの特質の問題で、
ソフト路線売り物のオサにはシャープなこの役は似合わなくてしょうがないと思う。
でも、台詞のいいかたや体のポジションの置き方など、
随分工夫していてクロードとの対比はきちんと効いていたと思う。

これをみると、
「この作品、愛華みれ=クロード、匠=ルイでやって欲しかったな」
と思った。
あと、現在の宙組コンビでも面白いと思う。
あ、いけない脱線してしまった。


 フランソワーズの遠野あすか
秋篠の「硬派な美しさ」にくらべて「柔軟な優しさ」であった。
そつなく無難にこなしているし、この人の武器は声の美しさ、
なので優しさは十分表現されていた。
ただ、クロードが段々シャロンに傾いていくのをとめる術がないので、
きつい言葉しかはけなくなる、という所が優しすぎてもう一歩であった。
あと髪型をご一考願いたい。


 ミッシェルの瀬奈じゅん
クロードの不倫を許すところが一番の見せ場だとおもうが、
さらっと出来ていて良かった。
髪が長いのは次のスカーレット役のためでしょうか。


 あと印象に残ったのはエヴァの矢代鴻さん。
歌が素晴らしくて、ジゴロを教育するところもさすが、であった。
前々から言っているが、こういう昔からの(?)専科の方も
大切な存在であることを忘れて欲しくない。


 若手のジゴロでるが、さよならのはびしっと決まっていた。
それと蘭寿とむに勢いを感じた。


 また、この芝居では貫禄のいる男役が必要なのだが、
組長の夏美、矢吹の2人はきちんと締めていた。


 どうしても初演が頭から離れないのであるが、
今回の再演、観ることができて本当に良かったと思っている。
ビデオ買おうかな。




レビュー・アラモード
Cocktail-カクテル-


作・演出:藤井大介

     花組組生




<解説>

 疲れたとき、悲しいとき、人はカクテルを飲む。
楽しいとき、幸せなときもまた、人はカクテルを飲む。
どんなときにも様々な夢を見せてくれるカクテル。
カクテルこそ、人生に不可欠な芸術なのだ。
それはどこか、宝塚のステージにも似ている。

一夜の夢、一夜の幻、一夜の甘い香り。

様々に彩られた美しく個性的なカクテルたち。
それはまさにタカラジェンヌそのものだ。
華やかで、お洒落で、
ドラマチックなカクテルから受けるイメージを綴り合わせ、
スターの個性というスパイスをシェイクしたレビュー。
カクテルで世界は一つになれる。
熟成された音楽と個性こそがカクテルにふさわしい。

(ちらしより)


<はじめに>

 さあ、最初で最後のチャーリーのショー、
と意気込んで観始めたのだが、金子、
上の席番から分かるように通路側に座っていた。
すると、ショーの間中、
係りのお姉さんがちょろちょろと前へ走っては戻って、
また走っては戻っていくのである。
どうやら、誰かが録画か録音かしているらしいのだが、
隣の人も気になるほど鬱陶しかった。
現在はビデオも売っていることだし、
アングルの違いとかいいだせばキリがないのだから、
やめていただきたい。
今回は切に思った。



<感想>

 全体的には最後の黒燕尾以外、ぐちゃぐちゃしたショーだな、
と思ったが場面別に書いていこうと思う。


(オープンニング・カクテル)
 にぎやかな幕開きで良かった。
特に大鳥が匠を持ち上げてしまうところなんて面白かった。
ただ、印象としてチャーリーが真ん中に立つと、
こんなに皆のダンスがきちんと整然として見えるのね、と思った。


(ブランデー)
 ここは女役陣によるカンカンで、
衣装も変わらないので家に帰ってプログラムを見るまで
プロローグの一部か、と思っていた。
兎に角、チャーリーも女役さんたちも弾けていて楽しい。


(テキーラ)
 春野中心のバスケットボールの試合の場面だが、
正直ちっとも面白くなかった。
相手チームの中心の蘭寿のほうにまたまた目が行ってしまった。


(リキュール)
 ANJU(安寿ミラ)先生の振付けで、
なかなか妖しい雰囲気から始まるのだが、後ろの方で観ていたせいか、

「チャーリーってあんな素晴らしい目をしているのに、
 ダンスではあまり効かないな」
ということと

「アサコを誘う場面なのだから、そう振りに忠実に踊らずとも、
 少しタメがあるほうがもっと中性的に見えるのではないかな」
と思った。

チャーリーの髪型などはなかなかよく工夫されていて、
もう少し長く見ていたかったか、あっという間に終わってしまった。

また彩吹真央の歌は良かった。
彼女は今回ソロが多くて目立つ。
しかしどうも、こういう男役が男役を誘う場面、というと
「サザンクロス・レビュー」の真矢みきの「食虫花」を思い出してしまうのだが。


(ラム)
 ラテンの中詰めで次から次へスターが出てくるうちに、
これまたあっという間だった。
若手が頑張るのを見ると、
「次の花組はこういう人たちに支えられるのね」と世代交代をかんじた。

最後は羽根をつけての銀橋で豪華だった。
その中で、鳥Sをやっていた眉月凰の女役のダルマ姿の美しかったのが目に付いた。


(ジン)
 楓のさよなら用の場面であるが、
こういうスペシャリスト用の場面が昔はよくあったが、
昨今はとんとないので嬉しかった。
楓と鈴懸の2人のハイレベルなダンスと、
初めてソロで聞く矢吹の歌がマッチして、
ひときわアダルトな場面に仕上がっている。


(ウイスキー)
「チャーリーズバー」でのひとこま、
という設定なのだがもうこのへんからサヨナラモードだ。
ここでのチャーリー決めの衣装がピンクというのは
私にとってはいまいちだったが
(もう、総スパンにすればとか思った)
ひたすら明るくしていてもなんか、しんみりしたものが漂っていた。


(ウオッカ)
「マスター、俺この店やめようかと思うんだ。
 この店は俺の青春のすべてだったから・・・」
などといわれると、

「きたきた」
という感じであった。

ま、ファンならこの辺で涙腺が・・・でしょうかね。
でもその後の構成が興ざめであった。
「チャーリー!チャーリー!」の皆の呼び声
→「ジャンクション24」か?
ライトオンでほとんどの衣装が高嶺ふぶきサヨナラのときの
「ゴールデン・デイズ」と見間違うか、
もしかしたら同じもの? で困った。
チャーリーがピンクなら皆ピンクのおニューを作ればいいのに。
そのあとの大鳥の歌は心がこもっていて良かった。


(ワイン)
 これぞ男役の究極、花組の伝統、燕尾服でのダンスである。
こちらのANJU先生の振り付けはよくチャーリーの特徴を捉えていて、
ターンの多いスピード感のあるものであった。
オサが最後の歌として、「乾杯」を歌ったのにはびっくりしたが、
(日本の歌で最後なんていうのを聞いたことがなかったので)、
大階段にチャーリーの字の電飾が輝き、
最後に1人踊るところは私もぐっときた。
最後はなにか、訴えかけられるようなダンスで、
ダンサーといわれた人の面目躍如であった。


 そして、パレード。
最後の白の羽根を背負って降りてきたチャーリーは、
まだ息が上がっていたが、なにか

「燃え尽きた」

という感じがした。
歌もやっとの状態だったので。

 観終わってなんだか、無性に泣きたい気分になった。
「チャーリーさん、怪我もいろいろあったけど、
 ちゃんとトップやれたじゃない。
 どうしてやめちゃうの?
 もう、これ以上宝塚を愛して燃えてくれないの?」と。

私は、普通、何年かトップ務められた方のサヨナラ公演を観ると

「○○さん、長いことありがとう。
 これからも今以上にいい人生送ってください」

となるのだが、今回の1作だけのトップは複雑な気持ちであった。
そんな思いを胸に帰路に着いた。

 読んでくださってありがとう。
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□□□□□□□□□□□□□□□□□□劇評■筆者□□□□
金子亜矢
bacew609@jttk.zaq.ne.jp
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