■■■AYAの宝塚歌劇 観劇記■■■


月 組

2002年1月1日〜2月12日 宝塚大劇場

ミュージカル
ガイズ&ドールズ


観劇日:1月31日(水)
      15:00〜
      1階9列27番

    2月4日(月)
      13:00〜
      1階18列64番

劇場 :宝塚大劇場


<はじめに>

金子=筆。

 この初演は今考えるとすごいスター陣であったのだが、
金子、○学生のとき観た。
ただ、当時金子は大地真央さんのファンであったので、正直

「マオちゃんカッコよかった」

という感想しか残っていない。
今回もなるべく初演を引きずらないようにして書こうと思う。
でも、初演はSUNさんに言われるように、
どうしても美化してしまうのだ。
そのへんは差し引いてお読みいただきたい。

金子、また、後に田原・杜の東宝版を観たりして、
このミュージカルはナンバーがいいミュージカルの
ベスト5に入れている。
(「初めての恋」のところでは、
 思わず客席で口ずさんでしまい、父に止められた)

ちなみに後の4本は
「サウンド・オブ・ミュージック」
「ウエストサイド・ストーリー」
「オペラ座の怪人」
「エリザベート」である。

そんなことで、今回は凄く期待していたのだが、
「チケットが余っている」という噂をきいた。
実際、15時の方は1階A席がらがらであった。

「何がいけないのか」
まずそれを考えるところから入ってしまった。


金子=筆。


HP主人 森(=SUN)筆。

さて、何故このように更新が観劇日にくらべて遅れているかと言うと。
私(=HP主人森(=SUN))が仕事でずーっっっと
東京の自宅を離れていたからです。
せっかく観劇日の翌日に送って頂いた観劇評の更新も
だからこうして更新出来ているのはその一ヶ月後。

申し訳ありませんっっっっっ。

この「ガイズ&ドールズ」観ました私も。
1月10日に。
関西にいたもので。
しかし、せっかく年始から2月末まで関西にいたのに、
この一回しか宝塚大劇場行ってない。
まあ、もともと同じ舞台繰り返し観る人じゃないんだけどね。

紫吹淳と映美くららのお披露目を観ておらず(大海賊)、
大和悠河がネイサンをやり、
霧矢大夢が女役、
そしてそして、何といっても「ガイズ&ドールズ」
大名作ブロードウェイ・ミュージカル。
これは観ないと ミュージカルファンじゃないでしょ。
映画にもなってます。
「野郎ども と 女たち」っていう凄いタイトルで。

金子さんは「感想」でしきりに
「アドリブをもっと」
みたいなことを書かれているが、これは
「アドリブにみえるくらい余裕を持った楽しい演技をしてほしい」
ってことと同義だろうと思います。

アドリブにしかみえない「ボケ」&「ツッコミ」
つまり「型」。
それが上質なコメディなのだと思っています。

この「間」でしかない「間」を、
繰り返せること。
それを出来ることが、プロのプロたるところでしょう。

それにしても、金子さんのお父上。
素敵ですねえ。

ってなことで、金子さんの劇評いってみよう。



ミュージカル
ガイズ&ドールズ

“Guys and Dolls”
A Musical Fable of Broadway


原   作 :デイモン・ラニョン(Damon Runyon)
作曲・編曲 :フランク・レッサー(Frank Loesser)

脚   本 :ジョー・スワーリング(Jo Swerling)
      エイブ・バローズ(Abe Burrows)

脚色・演出:酒井澄夫
   演出:三木章雄


スカイ・マスタースン(クラップ・シューター):紫吹 淳
      サラ・ブラウン(救世軍の女軍曹):映美くらら

ネイサン・デトロイト(クラップ・シューター):大和 悠河
 アデレイド(「ホット・ボックス」の踊り子):霧矢 大夢
     ブラニガン警部(賭場を取り締まる):立 ともみ
       カートライト将軍(サラの上司):夏河 ゆら
     ビッグ・ジュール(シカゴの大親分):汐美 真帆
  ナイスリー・ジョンソン(ネイサンの仲間):大空 祐飛
 ベニー・サウスストリート(ネイサンの仲間):月船さらら
  ラスティー・チャーリー(ネイサンの仲間):北翔 海莉
    ハリー・ザ・ホース(ネイサンの仲間):越乃リュウ
 アーヴァイト・アバーナシー(サラの後見人):嘉月 絵理
    ジョーイ・ビルトモア(車庫の持ち主):光樹すばる
               ミミ(踊り子):美々 杏里
           アンジー・ザ・オックス:大樹  槙

                        月組組生




<解説>

ブロードウェイでも最も陽気なミュージカル・コメディの一つとして現在でも人気 と評価が高く、ブロードウェイ、ロンドンで何度も上演され、ロングランを記録し、 大ヒットとなったミュージカル・コメディの傑作中の傑作。
宝塚でも、1984年宝塚歌劇70周年の年に大地真央、剣幸、黒木瞳らの月組によ り上演されて大きな話題となった。
今回の再演に当たり、2002年度バージョンとして新しい演出でお届けする。


<ストーリー>

何事に対してもすぐに賭けようと言い出す、ギャンブラーのスカイ・マスタースン は、ニューヨークの街角に現れる、イカサマのクラップ・シューター(サイコロ賭博 師)達を取り纏める男ネイサン・デトロイトとまたまた賭けをする事になる。ことも あろうに、ネイサンが指名する女性を口説いて、ハバナに連れていけるかどうかに、 1000ドル賭ける事になったのだ。その女性は熱心な伝道女でお堅いことで有名な ミス・サラ・ブラウンであった。伝道成果が上がらず教団の閉鎖を迫られていたサラ にスカイはまず、ディナーを一緒にしてくれるなら、1ダースの罪人を連れてくると 持ちかける。一方、ネイサンには14年来の婚約者でホットボックス・ナイトクラブ の芸人ミス・アデレイドがいたが、結婚を迫っても、クラップ・ゲームから足を抜け られない彼は、体よくすり抜けてきたのだった。

 ある時、シカゴから大物ギャンブラーのビッグ・ジュールがやってきてゲームに参 加する事になった。ところが、ネイサンは相変わらず金がなく、その大事な賭博場を 借りるのにも四苦八苦する有り様。仲間達とその工面におおわらわの最中、ブラニガ ン警部がその騒ぎを嗅ぎ付けて現れた。その場はネイサンとアデレイドとの結婚前祝 の集まりだと皆でごまかすが、ネイサンははずみで本当に結婚を承諾してしまう。

 そんな頃、やっとサラはスカイの条件を呑んでハバナに行く事に。そこで、初めて 羽を伸ばした彼女はお酒で羽目をはずし、酔った勢いでスカイにすっかり心を預けて しまう。サラに愛らしさを覚えるスカイ自身も、賭けのために誘い出したはずが、本 気になって行く自分が信じられなかった。ハバナから帰ってきたサラは自己嫌悪に陥 る。スカイはサラを救うためにも罪人1ダースを必ず連れて来ようとネイサンたちを 探すが、彼はビッグ・ジュールらとサイコロ・ゲームの真っ最中。そこへ、スカイが やって来て深夜ミサに出るように勧めるが、聞くはずのないギャンブラー達だった。 そこで、スカイが勝てば深夜ミサに全員出席、負ければ全員に1000ドルずつ払う という賭けを持ち掛ける。誰も来ない深夜ミサで諦めかけていたサラのところへ次々 とギャンブラーたちが現れ、己の罪を告白して集会は大成功。スカイはサラとの約束 が果たせたとして、その場から去っていく……。


<感想>

 観劇後であるが、上の
「何がいけないのか」
の答えは意外とはっきり出た。
一言で言ってしまうと、コメディをしていないのである。
もう少し言うと
「私たちは『ガイズ&ドールズ』という宝塚の名作、
 いやミュージカルの名作をやっております」という感じなのである。

昔、あるOGトップスターが
「自分たちも楽しまないとお客さんも楽しくない」
ということを言っていたが、まさにこれである。
演出の都合かもしれないが、もう少しアドリブなどをいれて、
ポップな感じが欲しかった。
なにか、弾んでいる感じがなく、言われたことに従ってやっている、
という感じをうけた。

私は、初演の時のこういうアドリブが忘れられない。
マオちゃんやっているスカイは最後に登場、なのだが、
そのときネイサンの剣幸さんが
「よう、スカイ。遅いじゃねえか!」
とアドリブを飛ばすと、マオちゃんは
「スターは最後にお出ましってもんだぜ。」ときた。
これぐらいの脱線もコメディにはあっていいものではないだろうか。
今回は、なんだか皆お行儀が良すぎる感じが最後まで払拭できなかった。
もう、こちらは日程が終わりのほうなので、
東京ではとにかくはじけて欲しい。

 後は、一人ずつ書いていこうと思う。
少し、4日に一緒に行った父の寸評も入れてみる。
ただ、あまりいいことが書けそうにないので、
各ファンの皆さんはご容赦を。

 紫吹淳、スカイ。
観る前にリカちゃんの喉を心配した。
去年の東京お披露目公演では、9月に行った時、
歌はなにをいっているのか分からない、
台詞はかすれていて内容が分からないという状態だったので、
今回は公演日程後半だったのでこれを心配した。
でも、今回は大丈夫だった。

初めのダンスのシーンで父は「リカちゃんカッコいい」と唸っていたが、
大変失礼だが、マオちゃんスカイを観た身としては、
もっとスッとした二枚目をお願いしたかった。
リカちゃんの「売り」というのはあの派手さとダンスだと思うが、
スカイという役はどちらも禁じ手であったので、
両腕をそがれたようなものだ。
でも、サラに対する思いやり、みたいなのはよく現れていたと思う。
下水道でのダンスのカッコよさは言うまでもない。

ただ、問題は歌である。
伸ばすところを切ってしまうのと、決めの歌
「Luck be a Lady」
「座れ、ボートがゆれる」
の歌詞がはっきりしなかったのは痛い。
それと、その歌詞であるが、
1回公演時と2回公演時とでは全然聞こえ方が違ったので、
そこをイーヴンにして欲しかった。
3時公演の客とて客に変わりはないのだから。
髪型のことは言うまい、言うまい。

あと、父が不思議に思っていたのだが、
フィナーレの大階段に板つきから始まるダンスナンバーで
歌ってから踊らないのは変だそうだ。
美々杏里に陰ソロでパワフルに原語で歌われるのはどうもおかしいそうだ。リカちゃんが歌ってから踊るべきだそうだ。

そんなこんなで色々書いたが、東京ではより、
リカちゃんが考えるところの二枚目のスカイを追求していただきたい。
それと歌。


映美くらら、サラ。
そつなく、無難にこなしていたと思う。
歌は少し高いキーに不安はあるが
「私がベルなら」などきちんとしていた。
しかし、どーしてもサラの感情、人間性が感じられないのだ。
サラとして、舞台に息づいてほしいのだ。
上に書いたが、なんだか
「私はサラという大役を一生懸命やっております」という感じなのだ。
そりゃ、まだ研3で余裕がないのだろうが、
なにかサラの可愛さ、純粋さ、といった人間性をみせて欲しい。
今では「サラを演じる映美くらら」の域を出ない。
まだ研3で大変だと思うが、
役を通して人間として舞台に息づいて欲しい。
でも、父によると「研3か、磨けば玉になりそう」とのことである。


 大和悠河、ネイサン。
もう少し、フットワーク軽く、
小ずるいようなところがあっていいと思った。
コメディリリーフで大変だろうが、
もう少しアドリブも入れてもいいかと思う。
父は彼女が2番手だとつげると、
「線が細い。華がない。リカちゃんに3〜4年は頑張って貰わないと」ときた。
私は「華がない」とは思わないが、もっともっと経験が必要だと思う。
その意味で今回の役は、
新人公演を卒業した今、やっておいて損はないと思う。
東京では更なる精進を期待する。


 霧矢大夢、アデレイド。
いや、もう目が離せなかった。
ダイナマイトアデレイド。

よくしたもんだと思う。
まだあんな高い声がでるので、
あまり男役がやっているという違和感はなかった。
ただ、もう少しおつむが足りないところが出せたら完璧だと思う。
小道具(ハンカチなど)の扱いも上手い。
帰りに彼女のペルソナカードのポスターを見て、
父、「上手いな」と一言言った。
私としては、もっともっとキリヤンアデレイドを観たかった。
意外と出番が少ないので。
この役を経て、男役に戻ってどう変わるか見物だ。


 汐美真帆、ビックジュール。
背が高いので、なかなか威圧感はあった。
上演中に唯一父が「あの人なんていうの」と聞いてきた人である。
目のないダイスで勝負をするなど、
強引な奴だが、可愛げもあってよかった。


 大空祐飛、ナイスリー。
私は初演の未沙のえるさんのおかしさが印象に残っているのだが、
この役、なかなか重要な役で、
主題歌を歌ったり、群舞の真ん中にいたり、大変である。
が、まあまあこなせていたと思う。
子分の2人に比べて面白くしよう、
という心意気が見えたのは学年が上のせいであろう。
でも、もっともっと軽さが欲しい。


 あと、気になったのは、
ナイスリーの子分の月船さららと北飛海莉である。
とても目立つ役であるが、どうしても映美のように
「役をやってます」
という感じを強く受けた。
一番アドリブとかいれていいポジションなのであるが、
やはり下級生の故か、言われたとおり、という感じであった。
新人公演の戦力なのだから、頑張って欲しい。

 色々書いてきたが、正直、もう少し面白いかと思っていたので
東京でのグレードアップを望みたい。

読んでくださった方、有難うございました。
筆者へのメールお待ちしています。
(ファイル形式は開けませんので、普通のメールでお願いします)

□□□□□□□□□□□□□□□□□□劇評■筆者□□□□
金子亜矢
bacew609@jttk.zaq.ne.jp
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