■■■AYAの宝塚歌劇 観劇記■■■


星 組

2001年11月16日〜12月23日 東京宝塚劇場

王朝ロマン
花の業平なりひら-忍ぶの乱れ


ダンシング・ファンタジー
サザンクロス・レビュー



観劇日:11月29日(木)
      18:30〜
      1階15列62番

    11月30日(金)
      13:30〜
      1階15列15番

劇場 :東京宝塚劇場



<はじめに>

今回は金子、
阪急交通社・あらうんどツアーでのこのこと東京まで行った。
実は9月にも東京には月組を観にいったのだが、
自力でチケットを取ると、ひどい席になってしまったので、
今回はあなた任せにした。
2階が一度もなかったのは良かったが、
センターは絶対回してくれないようである。

SUNさんに指摘されたことが2点。
1つは、この感想を書くために観劇しながら文章を作ってしまうこと。
これは確かに楽しくない。
帰りの新幹線のなかで考えた方がいいのだろう。
それと、今回は2本とも再演だったため、
どうしても見比べて、初演を美化してしまうこと。
自分では気づかなかったが、そういうものらしい。
そのあたりは差し引いてお読みいただきたい。

金子=筆。

HP主人森(=SUN)筆。

上記のように、メール投稿で劇評を送ってくださる金子さんに
偉そうに指摘なんぞしてしまっていたらしい。
このところちっとも自己観評更新していないのに、
ヒトに指摘している場合か。
しかも、せっかく送って頂いた観劇評の更新も
すぐに出来ていない有り様。

申し訳ありませんっっっっっ。

タータン(香寿たつき)のお披露目。
渚あきとの新トップコンビ。
結構私は祝福してたりするんだけど。
いいじゃないか熟年カップル。
娘役のトップが 抜擢ばかりじゃなくってもいいハズだ。

タータン(香寿たつき)。
何でも出来るこの人は、しかし華がない。
残酷だけど、そうなんだ。
だけど、3000人の観客の視線を1人受け止めて、
そして、1人 舞台のセンターに立つ。
その日々の舞台の積み重ねが、
彼女に「華」を背負わせるかもしれない。
っていうか背負ってほしい。
彼女の確かな技に、華が添うことが出来たら、
これは素敵なことです。

と、言うだけ言うが、
その御披露目も観れない有り様のこの私。

ってなことで、金子さんの劇評いってみよう。




王朝ロマン
花の業平なりひら-忍ぶの乱れ


    作:柴田侑宏

演出・振付:尾上菊之丞


 在原業平:香寿たつき
   高子:渚あき
   基経:汐風幸
   梅若:彩輝直
 安倍清行:初風緑

      星組組生




<解説>

伝説的美貌の貴公子、在原業平を主人公に、
平安貴族の世界を優艶に軽妙洒脱に描き出した
新しい感覚の王朝絵巻。
政敵・藤原良房の娘高子(たかいこ)とのままならぬ恋の行方は・・・。
古典文学「伊勢物語」の世界を自由な発想で現代に物語る意欲作。

今年の正月公演で絶賛を頂いた王朝ロマンに、
香寿たつきを中心とする新生星組が挑む。
(『歌劇』11月号より)


<感想>

 ご存知のとおり、今年の1月2日にBS2で生中継された作品だが、
ムラには2月に観にいった。
その時は、稔の高子を連れ出したものの、
連れ戻されたシーンの号泣がすごく印象に残った。
しかし、金子、この時は完璧に台本の意味を理解できていなかった。
つまり、副題「忍ぶの乱れ」とはなんなのか、ということである。

今回観てやっと分かったのは、
「忍ぶ」とは業平の現在のどうにもならない境遇、であり
「乱れ」とは高子への愛情のほとばしりである、と理解した。
それが分かると、この作品は本当に良く書けていると思う。
市井の人間をエッセンスに加えたり、柴田先生らしいと思った。
「紫子」以来の先生の日本物の秀作だと思う。
最後には「恋とはこんなに危険で、熱く、胸がせつなくなるのだ」
と自分が恋をしているように気持ちが分かるような気がした。


 さて、出演者別にいきたいのだが、
おのおの前回と比較してしまうのはお許し願いたい。

まず、業平のタータン(香寿たつき)。
初めのシーンで
「へえっ、随分重心のある業平だな」
と直感的に思ってしまった。
彼女の「忍ぶ」の解釈は「諦め」であると金子はとった。
もう、身分的には上がらないし、
女はついてくるけどそれは遊びだし、
と思っているところに高子が現れるのである。
ここで、押さえていたはずの恋愛の感情が
一気に湧き上がる(「乱れ」)のである。
そういう感じであった。

一番の見所は、号泣ではなくて、
その後の「負けると分かっていた勝負だ」の件である。
重厚で涙もあり、良かった。

一方、稔の業平は「乱れ」の解釈は同じだと思うが、
「忍ぶ」の方が、鬱々としてやけっぱち状態であった。
どちらがいいかは、人によるだろう。
とにかく、タータンらしい計算しつくされた業平であった。


 渚の高子
高子という役は、世間知らずの、気位の高い、
深窓の姫が業平との初めての恋愛によってとろけていく、
というコントラストが面白いのだが、
本当にアキちゃんには悪いのだが、アキちゃんのニンではない気がした。

第一声の「私は舞いません!」は
思いっきりタカビーにでて欲しいのだが、
そこで「あらあら」であった。
アキちゃんの高子は
「時代と運命に流され行く哀れな女性」にしか見えなかった。
それと、
「あなたによって初めて一人の女になりました」というんだから、
年齢設定も大分・・・と思ってしまった。
あんなに痩せてしまって、観ていてもいたいたしかったが、
次回作で頑張っていただきたい。
歌はよかった。

一方、星奈の高子は、彼女の声質が硬質だったせいもあるが、
舞姿もふわふわと飛ぶようで、その姿に業平が惹かれるのも分かるし、
年齢設定もそう気にならなかった。
この役ばかしは、ユリちゃんに軍配をあげる。


 基経の汐風
これまた悪いが、貫禄不足であった。
それに「この手に権力を!」の歌ももう少し迫力が欲しかった。
随分低音で、台詞をゆっくり話したりしている苦労は買うが、
やはりどうしてもタータンと比べてしまうと駄目だった。
日本物はこういうところがやはり難しいのだろう。


 清行の初風
いきなりでなんだが、
日本物のメイクをもう少し綺麗に出来ないだろうか。
目のあたりなど描きすぎのような気がした。
歌、演技ともに2月よりUPしていて、
たまには大劇場にも出ていただきたい。


 梅若の彩輝
悪いが、台詞・歌詞の一部がわからないときがある。
これは勘弁していただきたい。
見た目はいいのだが、
いまいち、「棟梁」としての大きさが感じられなかった。
パーソナルカレンダーが出るほどの注目の専科なのだから、
基本的なところはしっかりやっていただきたい。
絵麻緒に比べて役が小さくなってしまったような気がした。


 常行の安蘭は声がよくでていたし、
国経の夢輝も新場面が増えて
坊ちゃんぶりが良くわかるように改定されていた。
また、業平の家来の朝澄・真飛の場面も増えていて、
彼らの業平への忠義がよく分かるようになっていた。


 そして、専科の汝鳥・鈴鹿のお二人はさすがだ。
きちんと締めるところはしめてらした。


さて、最終的にこの「花の業平」大劇場バージョンと
どちらがよかったか聞かれたら、私は個人的には大劇場をあげる。
主役2人の息の合いかたは東京のほうがいいぐらいだが、
やはり、高子の点で大劇場になってしまうのだ。
皆様はどうでしょう。




ダンシング・ファンタジー
サザンクロス・レビュー


作・演出:草野 旦

     星組組生




<解説>

1997年に花組で上演され大好評を得た
パワフルなダンシング・ショーを、
香寿たつき率いる新生星組に向けて一新し、
更にスケールアップして新作としてお届けします。

南アフリカの夜空に輝くサザンクロス。
その下で営まれる様々な人間模様を、
力溢れるダンスナンバーで綴る、人間賛歌のファンタジー・ショー。
(『歌劇』11月号より)

<感想>

 始めに言っておくが、金子、
真矢みきのファンで今もある。

で、このショーはタダ券もあったこともあって、
4回は行ったと思う。
それで印象に残っているのは、
やはり「食虫花」と最後の歌い上げの曲が、
もう楽譜なんかどこかに行ってしまって
「夢みて!!!サザンクロスゥ!」と大絶叫だったことと
「やたら手拍子させられたなぁ」という3点である。
このノリが今回どうなるか、
と見比べてはいけないのだが・・・・。


(プロローグ)

 花組とまったく同じ入りであったが、
指揮者の先生にまで手拍子を要請されるとは思わなかった。
旧東宝より、ずっと全編とおして手拍子はおとなしめであった。

さあ、タータンここで、総ラメの衣装でぐっと観客を惹きつけられるか、
で全編が決まってしまう勝負どころであるのだが、
あの・・・気持ちが出ているのは分かるのだが、
こちらまで伝わらなかった。
「やっぱり、タータンは優等生だ」と思ったが、
これが最後まで続くことになる。

アキちゃんはピンクのお衣装が良くあって、
全編とおしてよく動けていたと思う。
それと、花組でタータンが歌っていたとことを、
トウコが歌っていたのだが、歌歌いとしては、
トウコのほうが上かな、と思った。
やはり、現在の宝塚歌の上手ベスト1はトウコさんなんでしょうかね。
専科組も盛り上げていて、やはり専科がいると公演が面白くなる。


(カリブ)

 安蘭けい、初1場面、であるが、
設定自体があんまりおもしろくないので、
必死に盛り上げよう!、で終わってしまった。
初演どおり、3人で踊りまくった方が良かったのでは。

後半のダンスナンバーは、
始め「誰が真ん中かしら?」と思ったのだが、
ガイチで、「へえっ、意外とダンス上手い(失礼!)」
となってしまった。
前回の「ジャズマニア」に続くガイチの真ん中の場面だが、
段々と余裕が出できたようにみた。


(アマゾン)

 武道館でまでやった、「食虫花」の亜流のように取った。
悪いけど、とてもさえちゃんもタータンもあの域にはいかない。
まず、2人とも鬘がいまいちである。
タータンはこれから、もっと外見(特に髪型)に拘って頂きたい。
もう、どうしようもなければ、7:3でいいのだ。
普通が一番。

一生懸命さえちゃんを誘おうとしているのは、
オペラグラスで見れば分かるのだが、もっとアピールを。
さえちゃんも妖しい感じはいいのだから、
とけていくような感じがもっとでればいいとおもう。

でも、この場面は根本的にやるべきではなかったと金子は一人思う。


(中詰め)

 いきなり早いクリスマスソングメドレーであるが、
スターがつぎつぎと歌い継ぐ、普通の形式で楽しかった。
しかし、プロローグからここまで、アキちゃんがでてないんですね。
不思議に思った。

しかし、クリスマスソングの締めに「ベサメ・ムーチョ」。
なんの関係があるのだ?
初演でやっていたから?
ここもクリスマスソングのデュエットにしたほうがいいのでは。

私は、このショーのなかで一番この中詰めでの、
白いスーツを着たタータンが粋に、なにも歌わずに踊るところがすきだ。
タータンらしい、1つの振りをきちっとこなしたあとでの、次の振り、
という楷書的なダンスが楽しめる。

一方、同期のリカちゃんは振りと振りの間は流れている。
いわば、行書的なダンスだ。
どちらも私は好きだが。

ラインダンスの前のねったんの歌は、
かってタータンさんが歌っていたものだが、
やはりタータンさんのほうが上手かった。


(パタゴニア)

 プログラムを読んだとき、
「あーミキさんが赤いスーツをきてたやつね」
というバカなことしか思い出さなかったのだが、今回は黄色であった。

ガイチグループとさえグループの対立は
さすがどちらも本当の「ウエストサイドストーリー」をやっていたせいか、初演に劣らなかった。

ただ、2人が死んだ後の、こうちゃんの歌は、
やはり芝居と同じで今ひとつ説得力がなかった。
ガイチと役を交換してはどうだろう。


(カルナバル幻想)

 ここがショーのクライマックスだし、私の好きな場面でもあるのだが、
タータン・アキちゃん、息がぴったり合っていて良かった。
ただ、ダンスのパワーみたいなものが、
一丸となってこちらに感じられなかった。
後ろで観ているだけかも知れないが。
観客を息ずまらせてしまうような迫力を千秋楽までにお願いする。

それと、大変だが、専科ももう少し早くから登場願えないだろうか。
歌になってからでは遅すぎる。

そして、上にかいた最後の歌い上げの歌だが、
タータンさん、楽譜どおり、という感じがします。
もうすこし、「夢みて!」なんだから、
客席に訴えかけるようにお願いしたいところです。

ここまでくれば、歌唱力うんぬんの問題ではない気がした。


(最後に)

 久しぶりに黒塗りのパワフルなショーで楽しめた。
しかし、まだ新しくなったばかりなので、
もう一つ団結力がこちらに伝わらなかった。
でも、初演のころの花組はミキ政権中盤であったし、
それは仕方のないことだと思う。
ただ、せっかくのお披露目なのだから、
トップコンビの場面をもっと多く作るべきだと思う。


2本とも他人がやって手垢がついた作品で大変だったと思うが、
出だしは快調である。
今度の新作の大劇場公演をムラで待っている。

読んでくださった方、有難うございました。
筆者へのメールお待ちしています。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□劇評■筆者□□□□
金子亜矢
bacew609@jttk.zaq.ne.jp
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