■■■AYAの観劇記■■■



いつかヴァスコ・ダ・ガマのように

シアター・ドラマシティ(大阪)

観劇日:2001年10月11日(木)(9列21番)



<あらすじ>

 沢田研二演じる<海燕のジョー>と
「上海バンスキング」バクマツ役でおなじみの
笹野高史演じる<ミスター・チャン>は2人組の結婚詐欺師。

ある日、彼らの根城である浅草へ、
藤山直美演じる大阪船場のコイさん<お蝶>と
三木さつき演じる横浜の貿易商のお嬢さん<港のヨーコ>がやってきたが、
実はこの2人も女結婚詐欺師。

 騙し騙されの恋物語は、歌や踊りもふんだんに盛り込まれ、
ジュリーの美声も生で聴けるチャンス。
たくさんの笑いとちょっぴりの涙に包まれたステージに、
笑ってください!泣いてください!(チラシより)




AYAさんからのメール感想文だ。

お帰り!!
久々の登場、K.AYA。!!
そして、続投予定。
これで、「Tokyo劇場」観劇記更新も、
安泰安泰。安心安心。
って、HP主人 気ぃ抜くなっつーの。

みなさんもメールで劇評送ってくださいな。
「Tokyo劇場」主人 森 大歓迎にて待っております。

さてさて、関西支店(?)復帰第一劇評は、これが意外に宝塚外ネタ。
これは、これからの幅の広さを期待出来る走り始めだ。

ってなわけで、いってみよう。




[亜矢の観劇評]

<感想>

 まず、金子、復活いたしました。
これからもSUNさんのHPの関西支店として、頑張りますので、
よろしくご愛顧のほどを。

 はっきり言ってしまうと、金子、
沢田研二さんは好きなタレントさんである。
そのきっかけは、10年以上前の2月、
風邪でうなっているときに、
たまたまNHKBS2で沢田さん芸歴40周年の番組をやっていて、
所在無く、深夜放送のミュージカルを録画しておいたのである。
で、朝になってみたら、
「ええっ、この人こんな歌も芝居も上手いの?」
と頭を打たれた気分であった。
その時初めてオリジナルの「勝手にしやがれ」を聴いて、

「いい曲だなぁ」

と思うほど、ディープなファンの方には信じられないほどの、
遅蒔きファンである。(よって、ジュリーとは面映くて言えない)
しかし、それ以来、コンサートは昔からのファンのオネエサマ方には
ついていけそうにないので、
舞台で大阪公演があったら観たいと思っていた。
その機会は遅くて、昨年の「ペーパームーン」が初めてである。
その時は、余りに沢田さんの表情が豊かだったので、
本当に観ていて「この人、歌手だよね」といいふくめつつ楽しんでいた。


 で今回である。
一言で言うと、
「直美さん、血筋だねぇ。上手すぎる」
というところである。
本当は沢田さんのいい点からたくさんかきたいのだが、
相手が今回ばかりは悪すぎた。
歌舞伎の2代目とやってるようなそんな感じがした。

なにせ、一番直美さんが凄いと思ったのは、
終幕ちかく、地震が襲ってきてそのあと
「神様は悪い人間には罰を下すのだ」
といいつつ、すーっと両目から流れる涙。

その前も結構シリアスな人情劇だったけど、
いきなり泣く芸をみせられてはどうにもならなかった。

一応、「音楽劇」と銘打ってあるけれど、
彼女が他の出演者全員を振り回して、
「人情劇」にしてしまったようであった。
歌も沢田さんとのデュエットがあったが、
思っていたよりずっと上手であった。

 で、沢田さん。
ショー場面が3つほどあるのだが、
低音が多い曲が多くて、声のツヤもいまいちであった。
(ジュリーファンの人ゆるしててて・・・・)
やはり往時は戻らぬのか。

役所は、伊達男なのだが、
わたしとしてはあえてこの設定を変えて欲しかった。

推察するに、沢田さんなら、
この手の役はいままでたくさんされてると思う。
もっと男の脆さ、儚さ、そんな弱さをだす役でも良かったと思う。
でも、今回に関しては、
笹野さんがそういう役所だから、仕方ないのかな。

「いつか7つの海をヴァスコ・ダ・ガマのように渡って、
 女に不自由しなく暮らすんだ」

というのじゃ、50代の男性の考える理想としては簡単すぎると思った。
最後には、1等航海士を目指す、というのも、
なんかあっけなすぎる感じがした。
また、題名も結構意味深なのかな、と思っていたら、
上のようにやたらシンプルで呆気なかった。

 笹野さん。
これも脚本のミスだと思う。
別れにトランペットを吹くところからとっても、
「上海バンスキング」とだぶりすぎると思う。
また、虚勢を張り切れない情けない男、
という点でもやはり、バクマツだ。
もう少し、強い男にして、
沢田さんの方を弱い男にした方が良かったと思う。
設定にこの2人、難ありだ。

 あと、ヨーコ役の三木さんは、初めてみたが、
憎みきれない甘えん坊で、お蝶が世話をやきたくなるのがよくわかった。
直美さんに上手くあっていて、
この女結婚詐欺師ペアーはなんとなく、本当にいそうな気がした。

 観終わって、
ジヨーの死んだ母の声を黒柳徹子さんがなさっているのが分かって、
随分若い声だったので、すごいな、と思った。
一度徹子さんの芝居も観たくなった。

 結局、直美さんに振り回された、人情喜劇、という感じを強くした。
沢田さん、来年はもっと違った面をみせて下さい。
でも、生の歌はステキでした。

−SUNの舞台観劇記へ戻る−

−タイトルへ戻る−