■■■SUNの観劇記■■■



蜘蛛巣城

新橋演舞場
2001年 6月4日〜28日 公演

観劇日:2001年6月17日(日)11:30〜(1階4列18番)


  共同シナリオ:小国英雄
         橋本 忍
         菊島隆三
         黒澤 明

   脚本・演出:齋藤雅文

      装置:堀尾幸男
      照明:勝柴次朗
      音楽:甲斐正人
      効果:森本 義
衣裳アドバイザー:黒澤和子
      殺陣:中村吉五郎
     演出補:成瀬芳一
    舞台監督:遠藤宣彦
         古山昌克
         小柳津暁生
         川上亜希子

      制作:岡崎哲也
         松本康男
         吉川博宗
         山根成之

      製作:松竹株式会社


@@@キャスト@@@@@@@@

               鷲津武時:中村吉右衛門
           浅芽[武時の妻]:麻実れい

     小田倉則保[都築国春の軍師]:中村歌昇
       五兵衛[鷲津武時の小者]:曽我廼家文童
        都築国丸[国春の嫡男]:茂山宗彦
        三木義照[義明の嫡男]:市川男寅
             物の怪の老婆:池畑慎之介
     細川正長[隣国細川家の国主]:青山哲也
         雁ヶ音[浅芽の侍女]:英 太郎
        都築国春[蜘蛛巣城主]:菅野菜保之
           若菜[則保の妻]:音無美紀子
三木美明[都築国春の家来 武時の朋友]:市川左團次

その他の方々



マーラーの交響曲が全編を貫く。

黒澤明 監督作品「蜘蛛巣城」が
見事に新橋演舞場によみがえった。

シェークスピアの「マクベス」を日本の戦国時代の物語に翻案した
黒澤明監督の名作映画が「蜘蛛巣城」だ。

映画やテレビドラマを舞台にするとき いつも思うことがある。
舞台にする意味は 価値は あるのか と。
それがなければ
映画のほうがよかったよね
だけなら やらないほうがマシなわけだ。

マシというか やっただけ無駄。みたいな。
そんな悲しいモノのほうが しかし実際は多い。

この舞台の「蜘蛛巣場」は 見事な舞台でした。

舞台の魅力である「様式美」というモノが
実に効果的で リアルで。
歌舞伎役者(だけじゃないか・・日本伝統芸役者さんたち か)
による「蜘蛛巣城」という舞台。
舞台の魅力 堪能させていただきました。

その中で、伝統芸の中で
負けずに その存在を光らせていた 麻実れい という女優は
やはり すごい女優だ。
生まれた時から伝統芸役者な役者たちに囲まれて
その伝統芸が、「蜘蛛巣城」世界のリアルであるという演技基本の中
それに拮抗するのは 並み大抵ではなかっただろう。
役するところの主人である中村吉右衛門(武時)の隣において
その存在が 物語の命運を決める役所の
マクベス夫人(浅芽)を 見事に演りきってくれました。

やはり すごい といえば
池畑慎之介(ピーター)。
「マクベス」では3人の魔女なところを
一人で演るのが「蜘蛛巣城」なんだが
映画での映像的効果なくとも
魔女でしたよ。
というか 物の怪。

その池畑慎之介が出演する舞台の
演出助手を只今はしている。
「ジンジャーブレッド・レディ」
ニール・サイモン作 の舞台。
アル中歴のある 娘ひとりある母親を演じる。
只今のNHKの大河では 実時という軍師役で髭つけている。
なんて楽しい役歴だ! と思う。
そのキャパシティに 驚くばかりだ。

脚本・演出のことに移ろう。
人物に絶対悪がいない。
全ては 誤解や妄想で事ココに至る と。
至ったのは 愛故である と。
それを、ドラマチック要素が欠ける と取るのは如何なものか。
ドラマとは 人の感情が紡ぐものだ。
重厚な人間ドラマでした。
そこのところが映画とは随分趣きを別にするところだ。
しかし、様式美という舞台のリアリティが
絶対悪という超人間を補う以上のドラマチックさを醸し出している。
音楽も効果的だった。
黒澤監督はその作品音楽をクラシックをアレンジしたものを使用する。
この舞台において アレンジせず そのまま使用していた。
それはしかし 大正解だったと思う。
やはり時代物にクラシックは、イコールにして溶け合うものだ。

幕が降りて 席を立ち 出口に向う途中
数人で観劇してらしたお嬢さん方の会話が耳に入る。

「日生劇場や新国で演ればよかったのにね」
「なんで?」
「なんか そのほうが凝縮されてた感じがしない?」
「そうかなー」
「それとさ、切られる時とか ブシュッとかバシッとか
 あったほうがいいよね」
「私イヤかなソレ ウザクなってくるんだよね」
「そうお?」

私もないほうがいいと思うよ この舞台。
と 異議を唱えていた娘さんの言葉に頷く。
歌舞伎の様式美を楽しめなければ 意味ないでしょ。
それに新橋演舞場という歌舞伎舞台を使ってのこの舞台
それを楽しめないのは 君達に問題がある。

と まぁそういうわけで(どういうわけだ?)
「ジンジャーブレッド・レディ」
 作:ニール・サイモン
演出:富田稔英

出演:池畑慎之介
   加納 竜
   松井 工
   田中宗一
   裕木奈江
   高汐 巴

東京公演は 7月 6日 かめありリリオホール 19時〜
      7月16日 グリーンホール相模大野 19時〜
チケ承り。
観にいらっしゃい。

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