■■■SUNの観劇記■■■



グリークス
=10本のギリシャ劇によるひとつの物語=

Bunkamuraシアターコクーン

観劇日:2000年9月18日(月)
    12:00〜(2階 B列 13番)
           全幕通し券

2000年 9月 5日〜 9月24日 東京公演

      9月30日〜10月 1日 名古屋公演
     10月 7日〜10月15日 大阪公演


      原作:エウリピデス ホメロス
         アイスキュロス ソフォクレス

   編集・英訳:ジョン・バートン
         ケネス・カヴァンダー

      翻訳:吉田美枝

      演出:蜷川幸雄

      美術:中越 司
      照明:原田 保
      衣裳:小峰リリー
      音楽:笠松泰洋
      音響:井上正弘
      振付:花柳輔太朗
   ヘアメイク:武田千卷
 小道具デザイン:福田秋雄
    演出助手:井上尊晶
    舞台監督:白石英輔
    企画協力:笹部博司
   企画・製作:Bunkamura


@@@キャスト@@@@@@@@

トロイア王家

伴野俊太
瀬下和久

麻実れい
中嶋朋子
川本絢子
市川夏江
立石涼子
渡辺美佐子


神々

田辺誠一
田代隆秀
横田栄司

南果歩
久世星佳


ミュケナイ王家(ギリシャ)

平幹二朗
尾上菊之助
藤木 孝
錦部高寿
吉田鋼太郎
高瀬哲郎
菅生隆之
合田雅史

白石加代子
安寿ミラ
寺島しのぶ
宮本裕子
小林さやか
香月弥生


コロス、兵士の方々。
ミュージシャンの方々。



くやしくってナミダが出るさっっっっ!
観劇後、劇場で偶然会った女優さんに
「やっぱ演出家としてはくやしい?」
と言われて「くやしい」と。

頭なでられた。
ちょっと慰められる。おおいに慰められる。
己はポスペか・・・。
しかし・・しかぁっっっっし。
ああ、あんな舞台をつくれるなんて、やっぱり凄いよ蜷川さん。
ハイテンション状態。

いってきました! 通し9時間!
12時から22時30分まで、休憩いれて10時間半。
ああ・・・キャスト、スタッフお疲れさま。
本日「通し公演3日連続」の最終日・・。
観ている我等観客も「よく見届けた」
というか、「みせてくれてありがとう・・(感涙)」状態。

単独で主役やれる役者が何人いるんだよ!
と、誰もが思うこのキャスト。
この力強いキャストによって、壮大で単純で、だからこそ人間の本質を語るこのドラマは、雄弁に私に迫るのだ。
新劇、宝塚、歌舞伎、アングラ・・それらのパワーが、みんななんて素敵に響き合っているんだろう。

客席改造してまで「グリークス」という舞台に必要な劇場空間を創る制作者も素敵だ。
通常舞台であるところに階段客席がある。
フリースペースでなくて常設舞台の劇場でよ、これをやれること自体うらやましすぎる。
で、通常客席つぶして舞台つくっている。
舞台は客席が3方から囲む形となる。

全編語るのは、9時間だから無理なので、
観ながら頭ぐるぐる回すほど「いやんなるほどヤラレタ」こと。抜粋。
もう・・・まいりましたって感じ。

生演奏が入っているんだけどね、
パーカッションとか効果音的に入っているだけと思ってたの。
まあ、ずっと劇中そうやって使われていたんだけど。
それが3部で、いきなりジャズセッション。
バンド内だけじゃなくて、舞台上とセッション。
台詞、息遣い、走る音・・
役者の放出する熱と、ドラムとパーカッションとベースが、
劇場空間いっぱいにうねりをつくる。
ジャズで。
寺島しのぶ(エレクトラ)と尾上菊之助(オレステス)の姉弟
(実際もそうだが、劇中の役でもそう)
と、その友人と3人が、殺しの企みをする。
その潜めようのない熱が、息が。
走り回り乍ら、転げ乍ら、その企みの熱はドラムとベースと交わって
うかれたような発熱となって、劇場を包む。
効果音でなく、音楽でなく、その舞台上と音が溶け合う・・・。
ライブ。
ライブ空間。

ダンスと音楽(音)という関係でない、演技と音楽(音)との関係。
ライブによる。
今日の舞台は、その答えの一つだ。

すごいシーンだった。

「いつか、一人前の演出家になってみせる」
とは、只今の私の舞台(演出助手にて参加)
「ジンジャーブレッド・レディ」
池畑慎之介さん演じる アル中母のエヴィの台詞。
”演出家”のとこは、”女”ってのが本当の台詞だが。

あ、別に他意はない(間違った深読みはしないように)。
芝居にそういう台詞があるってことだけ。
池畑慎之介さんは、池畑慎之介さんという存在なのであります。
この世に唯一無二の才能と存在である。

しかし、まったく蜷川幸雄という方は・・・
後続に何も余地を残してくれないおつもりらしい。
なんて、甘えたこと言ってないで、しっかりやれよ森さゆ里。
おお、ひさしぶりに自分をフルネームにて文字上でドツキました。

とにかく、観に行こう。
こんなすごい事件に係われるのは、あと数日間だ。

シアターコクーンに走れ。

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