志田歩&Teazer/最後のライオン
楽曲解説
(SEEDER RECORDS SDR-002/2007.10.11 
購入方法

1.最後のライオン (作詞作曲d志田歩)試聴
 90年代初頭のOZma末期に完成していた楽曲。
 自分が書いたオリジナルの中では、演奏もヴォーカルもずば抜けて難易度が高く、作況直後に自分一人の多重録音で制作した時は、ヴォーカルだけで50時間を費やしてOKテイクが録れないという泥沼状態に。
 しかし97年にTeaserを結成して以降は、ライヴの定番となる。
 「この曲のレコーディング音源が無いのは妙な気がする」というところから、このCDの制作のためのミーティングの場において、志田歩&Teazer結成。Teaserの結成からちょうど10年後のことだった。
 このタイミングでレコーディングしてみると、歌詞の内容が、今の町の状況とリンクしているように感じられ、不思議な気分になった。

2.
ハッピーエンドを蹴飛ばして (作詞作曲d志田歩)試聴
 曲も歌詞も並行して一気に書き上げ、その三日後には弾き語り生音ライヴで初お披露目。その場所は2005年1月28日に下北沢Cafe PIGAで行われた下北沢のフリー・ペーパー
「ミスアティコ」創刊記念パーティだった。以後のライヴにて定番となる。
 追悼の場で歌うと追悼の歌に、祝い事の場だと祝い事の歌になってしまう歌詞の内容は、自分が書いたものの中でも、最も強烈かも知れない。歌詞を掲載した際、まだ曲を聴いていない人からも、多くの反響があったのが嬉しかった。
 全員でのコーラスに元グルーヴァーズの西村茂樹もゲスト参加。

3.
カウンターの中で (作詞d志田歩 作曲d志田歩、久保昭二)試聴
 初お披露目は2007年5月16日、高円寺の稲生座。以前からお世話になっていた店だが、2月にマスターの柴田廣志さんが亡くなって以後、初めて志田歩&爆裂兄弟名義で出演させていただくにあたって、なんとか間に合わせたもの。2007年9月現在で一番新しい曲にあたる。演奏した時の手応えは特別なものがあり、急遽、このレコーディングの収録曲に加え、結果的にこの時のライヴの顔ぶれが、そのまま志田歩&Teazerと名乗ることになった。
 稲生座のイメージが入っているのはもちろんだが、作者としては単に稲生座に限らず、馴染みの顔ぶれが集える店、そしてそんな店がある町の大切さと感謝を歌っているつもりである。
 ギターの久保昭二が書いた間奏部が、楽曲のスケール感を広げてくれた。

4.
地上のリンカク(作詞d志田歩 作曲d剣持昌之)試聴
 久保昭二のドラムの師匠こと剣持昌之氏の書いた楽曲を、歌詞だけ全面的に僕が書き直したもの。実は久保と志田が初めていっしょに組んだバンドのレパートリーであり、80年代末期からライヴでも演奏している。
 歌詞の内容は「BOYS ON THE EDGE」(2003年の『花よ 大地よ 月よ 銀河よ』に収録)の続編というべきもの。親友の自殺に対する虚しさや悔しさをぶちまけた後、藤原新也の「東京漂流」が、その現実を引き受けようとするきっかけを与えてくれた。
 そうしたいきさつもあって、2003年以降再び頻繁に演奏するようになった曲である。

5.(Live Bonus Track)
バースデイ・ソング (作詞作曲d志田歩)
 初お披露目は、2005年08月29日、COS下北沢で行った生音弾き語りライヴ。
 ふだんバンド編成だとついアッパーに盛り上げる方向に向かってばかりなので、弾き語りの機会に、渋めの曲を書いてみようと思って仕上げた。
 それ以降、この曲は弾き語りの機会にひっそりと演奏することが多い。
 この時のライヴを楽しみにしてくれていたミスラベンダーさんの誕生日の日にちが近かったため、キーワードも誕生日にしたのだけれど、歌詞の物語は、ミスラベンダーさんとは全く関係のないものになってしまった(苦笑)。
 収録している音源は2006年6月24日、下北沢TIBET TIBETでの弾き語りイヴェント“アコギな奴ら”出演時のもの。最初は地味にやるつもりだったのだが、お客さんのテンションがものすごく高く、客席の歌声がやけに良い感じなので、ボーナス・トラックとして収録した。
 凄腕揃いのTeazer抜きで志田独りになった時の、ほころびだらけの等身大による締め括りである。


アートワークについて
 バンド結成第一弾ということを強調するため、ジャケットにはメンバー全員の集合写真を使用した。写真を撮影したのは、下北沢駅前市場の最奥にある通称立ち飲み(昼はらぶきょう、夜はなまず)。CDを外すと見える看板は、この店に掲げられているもの。
 “LET'S BE HAPPY WHILE WE'RE HERE”という言葉こそ、作品に込めるメッセージのシンボルに相応しいと感激し、制作者のななちゃんの許可を得て使用させていただくことにした。
 普段は見逃がしがちでも、ふと目を止めた時に、しみじみと染みてくるものを、価値あるものとして提示していきたい。