ドラマーKOKIのイルサンタバンサ
(日常茶飯事)




第6回 旅ガラス食獣日誌

 前回のイルサンタバンサから今回までの間、オレはまさに、スティックを握る旅ガラスだった。西へ東へ。しかしそれぞれのライヴは、ひとつたりとも同じモノはなかったよ。会場に来てくれたみんな、どうもありがとう。

 そんな中、オレの食に対する情熱は相変わらず。忙しければ忙しいほど、オレには美味しい食べ物と酒が必要なのだ。イルサンタバンサを読んでくれた人から「KOKIさんて、本当によく食べて飲みますねぇー」と、ライヴの後、声を掛けられる始末。

 さ、今回もモリモリ喰って飲んでますーーーーー。

9月12日
 張り切って書き出した割にはお粗末な食事から綴らねばならない・・・。
 昼食に、某ファミリーレストランで「ミソヒレカツ定食」を喰うも、全く納得できず!がっくり。夜、思い直して塚本晃と「つぼ八」へ。あああ、ファミレス→居酒屋という超カジュアルコースに甘んじてしまった。当然ビールから入って焼酎のお湯割りへ・・・。これしかないでしょ。イカのすがた焼き、出し巻き卵、春巻き、ギョーザ、水菜のおひたし、ザンギ(鶏の唐揚げ)、キムチトンペイを注文。塚ちゃんとオレがいっしょの時は、間違いなく食べ過ぎ飲み過ぎるのであった。

9月14日
 ARABAKI ROCK CIRCUIT 2002に参加するため、ソウル・フラワー・ユニオンのメンバー、プラス山口洋で、ツアーバスに乗って仙台へ。終演後の仙台名物・牛タン弁当、美味し!

9月15日
 初台「doors」にて、友人・モリチエの芝居を観る。
 そのあと石毛さんや志田さん達と中野に移動、焼き肉屋に飛び込んだ。カルビ、牛タン(2日続けて!)、レバ刺し、ビビンバ、冷麺、エトセトラ。元気にしこたま食べ尽くす。
 そこでやめときゃいいのに、石毛さんちの近くまで帰ってくると、ロイホの灯りにに吸い込まれてしまった。コーヒー・・・などと云うワケがなく、ピザをつまみに生ビールに手を出す。

9月16日
 明日行われる塚本晃のライヴのため、リハーサル。塚ちゃんの体調が少々すぐれない。リハ終了後バーミヤンへ。本調子でない人の食事がバーミヤンで良いものかどうか疑問だが、とりあえず「三鮮中華がゆ」「海鮮タンメン」と、体に優しそうな品を塚ちゃんの為にオーダーした。あとはオレの好みでキムチ、ギョーザ、麻婆豆腐、豚とニラの炒め物などをテーブルに並べてゆく。
 体の具合がどーのこーの云いながら、結局のところ塚&オレは、紹興酒を熱燗でいただかないと収まらなかったーーー。

9月17日
 昼、「ギョーザの王将」でチャーハン定食を食べた後、下北沢CLUB QUEへ。
この日はBlues Lionと対バン。CLUB QUEも8周年だという。
 全くの余談だけど、打ち上げのための店に向かってる途中、「この辺りは志田さんの庭なんだよなー」などと思いながらとある回転寿司屋を何気なくのぞき込むと、果たしてそこには皿を積み上げた志田歩その人が居た!かなりウケたよ。

9月20日
 久々に波人(パド)のメンバーが渋谷のスタジオに集まる。明日は竹の塚・ダンデライオンでライヴだ。リハが終われば楽しい食事!朴保、吉田達二、松藤英男、石毛賢一と一緒に、スタジオの近くにある小料理屋「味源」で焼酎片手に絶品の料理の数々をいただく。
 そこでやめときゃいいのに(このケースがやたら多いなぁ)、石毛さんちの近くまで戻って、白だし京うどん「麦わ家」にて改めて焼酎の生グレープフルーツ割りを飲み、勢い余って日本酒「朝日山」に突入。度が過ぎたか、さすがのオレもフラフラで布団に倒れ込んでしまった。あ〜、酒はやめよー。

9月21日
 きのうの日本酒が体内に残ったまま抜けない。ううう。
食欲は当然無かったが、ライヴのためのエネルギーを確保するため、竹の塚に早々と着いたオレは駅前の「吉野家」で牛丼をお腹にねじ込む。
 本番前、波人のメンバーで居酒屋に行くも、オレはトマトジュースしか飲めなかった。朴保がふざけてビールをつぎ足したから、レッドアイになっちゃったんだけど。
 それでもライヴが始まれば何もかもフッ飛んでお祭り気分!これだよね!
 お客さんの中には、甲斐バンド時代からの松藤英男ファンがたくさんいる。ライヴ終了後、ステージ上に残るドラムセットを松っちゃんが遊びで叩き出した。友人に云わせると、その姿は「胸キュンもの」らしい。
 打ち上げのため下北沢まで舞い戻る。志田さんの行きつけ「にしんば」では、納豆となめこと揚げ豆腐の和え物、豚肉とエビのエスニック焼きそばなど、オリジナリティー溢れるメニューがあってみんな喜ぶ。オレの体もすっかり蘇っていた。酒をやめようなんて話、笑っちゃうゼ!レッドアイを今度は能動的に飲み干し、みんなと共に焼酎のお湯割りを楽しんだ。

9月24日〜27日
 みっちり、こってり、もっちりと、ソウル・フラワー・ユニオン秋ツアーのリハーサルを大阪にて。

9月28日
 昼頃、新幹線で東京に戻る。体を休めようかと思ったが、塚本晃ほか5組のバンドが参加するツアー「ウタノチカラ」の最終日なので、高円寺ショーボートに駆け付ける。
 ライヴ前、小腹を満たしておこうと入った高円寺の中華料理屋「成都」。店の内装も接客もgood!青島ビールに、ピータンや青菜の炒め物がピッタリ合ってウマかったが、特筆すべきはギョーザ!注文してかなり経っても運ばれてこないので確認すると「すみません、もう少しで出来ます」とのこと。慌てて今焼いてんじゃないのぉ〜、なんて友人と笑って待っていると・・・「お待ちどおさま!」見てビックリ!皿の上には肉まん級のギョーザが5つ、鎮座していた。皮の厚さは2〜3ミリはあるかと思われる。具の量も肉まん級。こりゃ火が通るのに時間がかかりまっせ!味がいいのにも二度びっくりした。高円寺に行くことがあったらお試しあれ。

 んでライヴ会場へ。山田晃士はアノ濃い〜ぃ顔に似合わず爽やかに「あ、伊藤クン、元気?」なんて声を掛けてくれた。塚本晃は、今回のツアー中、意外(?)にも「父親的」存在だったらしい。横道坊主から中村義人さんと今井秀明さんが参加していたが、PAブースにベースの橋本潤さんの姿を発見。握手。潤さんは、黙ってオレの出演するライヴを見に来てくれたり、CDを買って聴いてくれたりする。そーゆー人なのだ。

 大矢郁史も見に来ていた。会うのは何ヶ月ぶりだろう。元気そうだった。

 打ち上げにもつれ込む。何が面白かったって、中村義人さんの友人によるマジックショー!みんな度肝を抜かれるやら喝采するやら。オレも「ぬおーっ」とか「ほえーっ」とか叫びながら目の前の「魔法」に釘付けになった。

 そんなこんなで、明日、朝霧行きなのに午前様・・・。

9月29日
 当然、起きるのがメチャつらい。自業自得。午前9時にBreastに集合し、スタッフとともに一路朝霧へ。

朝霧にてくつろぎのひととき

 天気も何とか味方してくれてライヴは気持ちよかった。生JOE STRUMMERも見られたし。

 ライヴ後、石毛、志田など、気のおけないメンツで東京に帰る途中、温泉を発見!迷わず飛び込んだ。くーーーーーーーーーーーーーーーーっ!たまらんねぇ、温泉。

 湯上がりビールガマン中

 ビールを美味しく飲むために敢えて飲まず喰わずでそのまま東京に戻り(こうゆうこだわりにオレは異常な精神力を発揮する)、午前0時近くになって漸く「聖味」の生ビールにありつき昇天した。オレの馴染みの料理屋とあって、みんなに「おススメ」の注文を任される。それならばと、サンマの刺身、山芋サラダ、豚キムチ炒め、イカワタ焼きなどをオーダー。ビールの後、青森の冷酒「じょんがら」が止まらない。4合、5合・・・・・えーっと、もう飲めましぇ〜ん。

9月30日
 明日から再び大阪入り。そしてSFUのツアーに突入する。
 景気づけにと、友人がイタ飯屋でランチをおごってくれた。アラカルトに「パルマ産生ハム」を見つけ、それならばと、勢いワインも追加する。昼間っから幸福度満点。

10月1日
 関東では戦後最大級・・・らしい台風21号の上陸を尻目に、大阪へ向かう。

10月12日
 福岡・大阪・名古屋・仙台・東京と廻ったソウル・フラワー・ユニオンのツアーを無事終える。当然、この日は爆睡!意識無し。だめだめ君の一日でしたぁー。

10月13日
 甲斐よしひろライヴin東京厚生年金会館へ、志田さん達と出向く。松っちゃんこと松藤英男氏が呼んでくれたのだ。今回のツアーは、甲斐バンド70年代の作品が中心の構成になってるらしいが、最後まで全く飽きさせない。それより何より、松っちゃんの人気のあることといったら!黄色い声援(古い云い方だけど)が飛び交うんだもん。「まっつふじさぁ〜ん!」みたいな。
 ライヴ後は、見に行った顔ぶれで新宿の「魚屋一丁」で飲んだ。

10月14日
 オレの愛車・・・緑色の折りたたみ式自転車に乗って志田さんちへ行く。志田さんがご馳走してくれるというのだ。メインは水炊き鍋。酒もビール、焼酎、日本酒とバッチリ揃っている。ウッキー!BGMにレインボー、ザ・バンド、安全地帯、そして昨日のなごりで甲斐バンドなどをかけながら飲みまくった。
 必然的に、帰りの自転車は地獄でしたーーー。うぅ〜〜〜。

10月15日
 塚本晃の新居にお邪魔する。近くに大きな公園があってなかなか環境も良さそう。あ〜、オレも引っ越しを考えよぉー。
 塚ちゃん手作り絶品料理の数々&ビールに焼酎に赤ワインをいただき、そのまま泊めてもらうことに。この日は女性話で盛り上がる。え?どんな話かって?ヒ・ミ・ツ。

10月16日
 朴保が音楽を担当した映画「夜を賭けて」の試写会へ行く。原作は、映画「月はどっちに出ている」の原作者でもある梁石日(ヤン・ソギル)。人間の生に対するバイタリティーを感じさせる映画だ。11月下旬に公開するので多くの人に観て欲しい。そしてヒットして欲しい。試写会にはキャストの奥田瑛二氏の姿も。

 偶然、矢野敏広氏、そして達っちゃんこと吉田達二氏も観に来ていたので、渋谷の台湾料理屋で食事する。そこに石毛さんも合流して賑やかになった。

 で、そこでやめないのがオレ(出た!)。石毛さんたちと別れた後、別の友人を誘いだし、白だし京うどん「麦わ家」にてシメの焼酎&うどん等をいただく。食べた料理を店のお品がき通りに列記すると、冷やしトマトの青じそ風味、長ナスの一本漬け、高野山白胡麻豆腐、おでん(白たき・卵・大根)、ぶっかけじごぼ茸うどん。やっぱ食べ過ぎ飲み過ぎ・・・かな、オレ。



 さて、今までオレはライヴやCDで自分の名前をクレジットするとき、特に定めず、「コーキ」とか「KOKI」とか自由に表記してもらってたんだけど、今後は、本名の「伊藤孝喜」でみんなの前に出ていくことにしました。

 このイルサンタバンサのタイトルは、KOKIのままでいきます。ま、KOKIってのは呼び名だからね。これは今までと変わりなく気軽にそう呼んで欲しいにゃぁ。

 これからも、みんな、応援をよろしく。

2002年10月  伊藤孝喜