ドラマーKOKIのイルサンタバンサ
(日常茶飯事)




第20回 周回遅れのトップランナー

 やったぁーーーっ!イルサンタバンサ20回目!めでたいめでたい。パチパチパチ。
やれば出来るもんである。1回目から読んでみると、そのかたちは随分変わったようだ。
まぁハッキリ云えば、ここ最近は韓国モノ一色って話もあるんだけど(笑)、それはそれでオレのイルサン(日常)が韓国に染まってるからしょうがない。でも、他の話も織り交ぜていくよう努力するので、今後もどうぞご愛読くださいませ。
 ・・・と云いながら、舌の根も乾かぬうちにまたもや、去年の秋のソウル日記を書こうとしてます。遅っ!嗚呼、この季節感の無さ。どうか暖かく見守ってください。
 しっかし、久し振りの更新になっちゃった。ごめんごめん。

11月24日(水)
 10時、寝ぼけ眼で出発。もうすっかり馴染みの(笑)スカイライナーに飛び乗り、車内にておむすび(たらこ&こんぶ)とお茶のちょっと遅めの朝食をとる。
 13時55分成田発の大韓航空で11回目の渡韓。
 16時過ぎ、仁川に着くと、全くの偶然なのだが行衛さんとイ・ジョンミさんの「出迎え」を受ける。ビックリ!なんでもジョンミさんは丁度日本に帰るところで、それを行衛さんが見送りにきてたのだ。ジョンミさんとは、かねてから一緒に演奏させて頂きたいと思いつつなかなか実現出来ずにいたりする。またの再会を約束して見送り、行衛さんとオレは602番バスに乗り込み一路、第2の我が家(ウニ、行衛さん、ずうずうしくてゴメンなさい・・・)へ。
 バッグをおろしてホッと一息・・・ついたところで、何はともあれ夕食を食べにいこうゼェーッ!てことでウニを誘って3人で今夜はポッサム屋へ。

(ウニと行衛さん)
この店は約2年ぶり、内装が変わってちょっと綺麗になった気がするようなしないような..........。ここで、モギョクタン(韓国の銭湯ね)へ行こうと着替えをぶら下げてるコーノくんを無理矢理合流させる。そして4人はポッサムを喰いまくる野獣と化すのであった。無論ビールはハイト。
 2軒目はサヌリム。
(お店の愛犬)
と、コーノくんがもぞもぞ袋の中から怪しい瓶を2本程出してきた。見ると、一度開けたような跡がある。全員腰ひける。古くなったマッコリだそうで、ここで開けようと云うのだ。オイオイ、そもそもマッコリってのはそんなに保存のきくモンじゃないのに...........。みんながためらっていると、勇気あるサヌリムの店長が一口飲んで曰く、「ダンさん、こりゃあきまへんで!腹ぁ壊しまっせ!」・・・やっぱり・・・で、始末。気を取り直してお店の美味しいトンドンジュと定番のカムジャジョンをいただくが、一軒目でポッサムを喰い過ぎたらしく腹が受け付けてくれない........く、くるぢぃ〜。
 24時、やっと帰宅。風呂に行こうとしてたはずのコーノくんも何故かいる。よもやま話に花を咲かせていると行衛さんが、27日に知り合いのインディーズレーベル「ビートボール」のパーティーがAURAであるという。なら、そこに3人(行衛さん&コーノくん&オレ)で出演しちゃわない?とノリ一発、決めてしまった。オレは今回の渡韓では演奏の予定がなかったのだが、ちゃっかりスティックと譜面は持って来ていたし、キックペダルは1台、行衛さんの家にキープしてあるし。フッフッフ、こうゆう行動力って好きだなぁ。3人、ハイトビールで乾杯、バンド名を「コプチャングイ」に決める。コプチャンチョングイはモツ鍋、ならぬ「モツ焼き」って意味。
 そんなこんなで26時、眠気に勝てず体が溶けてゆくぅー。おやすみなさぁ〜い。

11月25日(木) 
 今日はジミヘンさん、行衛さんと1日遊ぶのだぁ!
 まずは12時30分、地下鉄でカンビョンまで行って、ジミヘンさんの車に乗り込み一路ヤンピョンの山の中へ・・・・・。ここでジミヘンさんの幼なじみがやってる牧場を訪問。かなりの広さで牛も200〜300頭くらいいそう。

思わず「おお牧場ぁわぁミドリ!」と唄ってもよかったのだが・・・ゴメンなさい、ニオイが強烈でちょっとそこから先は進めませんでした。オレも大いなる田舎モンなんだけどね。
 てなことでここは早々に失礼して昼食へ、幼なじみさんのお勧めのソルロンタン屋(「コバウソルロンタン」)に入ってみる。メニューはソルロンタンとスユクのみ。しばし待って出てきました、ソルロンタン!見た目はナンテことないのだが、いつものように塩をかけてひと口いってみると・・・これがモウ絶品!本当に旨い。中にはご飯だけでなく何やらラーメンのような麺まで入っていて、味も量もバッチリなのだ。ひたすら無言で食べ続ける3人。食べ物レポーターなら失格である(笑)。

(ソルロンタンとジミヘンさん)
 大満足の3人は、腹ごなしに近くのヨンムン山にあるヨンムンサという寺を訪ねる。
(愛の写真 その1)
散策路を30分ほど登った所にその寺はあり、中庭には樹齢1100年という巨大な銀杏の木がそびえている。記念撮影などして観光気分を盛り上げてみたりする。
(愛の写真 その2)
ふと見やると伝統茶屋があったのでそこでテチュ等の薬茶を頂く。ヌェーッ、甘さと苦みが強烈で、飲み慣れないオレはカップ1杯を持て余してしまった。でも薬茶だからきっと健康になったに違いない!


そう確信しながらオレたちは、さっきの幼なじみさん等と合流してホンチョンにある豚ファログイの店へ入った。ファログイとは火鉢で食べる焼き肉で、肉は豚のあばら肉だ。ちょっと甘めに味付けされた豚肉をつぎからつぎへと焼いては食べる。ホレ、ホレって風に。これはまさに「わんこ焼肉」状態なり!当然ハイトビールも進む進む。他にも料理はたくさんあるんだけど肉が多すぎて他までは手が回らない。なんて贅沢なことしてんだ、オレたちは。


 思いっきりご馳走になり、仕上げは皆でチムジルバンへ。簡単に云えば洞窟サウナ、オレは初体験である。



サウナは熱さが強いのと弱いのと2つあるのだが、強い方は入り口のドアをほんの少し開けただけでもモノ凄い熱がブワーッ吹きだして来て、とても入って行けるものではなかった。勿論、地元の人たちは平気で入ってるんだけど.......。オレは普通の熱さの方を出たり入ったりしながら、だだっ広い休憩室でゴロゴロしたり、テレビを見ながらそのまま寝ちゃったり、ただひたすらだらだらするのであった。極楽である。ハッと気が付くともう25時!イカン、帰らないとこのまま朝まで寝ちゃいそうだ。
 ということでジミヘンさんの車であわてて帰宅。27時30分、そのまま布団に流れ込んだのでした。ZZZZZ・・・・・寝る子は育つ・・・・・

11月26日(金)
 「ZZZZZ・・・・・!!」
 ウニのオモニの声で目覚める。いい予感。前にも書いたけど、ウニのオモニの作る料理は絶品中の絶品だからね。朝食はオモニ特製サムギョプサルetc......。この時期キムジャン(キムチを漬ける時期)ということで浅漬けキムチがでてきて、これもまた美味だった。韓国の人たちは暫く漬け込んで少し酸っぱい位のが好物らしい。ウニもよぉ〜く漬け込んだのが好みで、ウニ用のキムチ瓶があるとオモニはいう。

 食後の緑茶で落ち着いてお買い物に出かけることにする。東大門を目指しタクシーに乗ると、なんと初雪が!

どうりで寒いハズだぜなどと云いながら「冬支度」が頭に浮かんだので、クァンヒ市場で皮ジャンを物色する事に。市場では日本人だとバレると値段が日本人価格、つまり高く買わされる恐れがあるので、日本語は話さないようにね!とウニからアドバイスを受ける。そんなこと云われたらキンチョーしますぅー。でもせっかく寡黙に色々見て回ってたのに最初に日本語を喋ったのはウニだったんだけどね(笑)。 結局、ウニの並々ならぬ関西人顔負けのディスカウント術により、オレは17000円の黒い革ジャンを15500円でゲット。ショッピング魂に火が付いたか、ウニも1着お買い上げぇ〜っ。


 続いてはお馴染みアッキサンガ(楽器店街)を見物に。韓国伝統楽器のお店でチャンゴを物色、1番安いので7500円だった。欲しかったが、悩んだ末取りあえず今回は見送る事にした。
 さて、今晩はウニの友だち、ミンナムさんとミヨンさんのダブル誕生日パーティーである。マポの中華屋さんにファヒョンやチスギなど総勢11人が集まって笑いとエネルギーに溢れる食事会となる。当然ハングルの渦!聴き取れない言葉が多々ありながらも集中していると、徐々に耳が慣れてきてハングルが自然と体に入ってくるから不思議である。あと半年くらいここに居続けられたら結構上達すると思うんだけどなあ。


 2次会はビアホールへ移動。ビールをガンガンいってると、誰かがジンビームなんか開けちゃったもんだから何時になく(何時ものごとく!?)酔っぱらいモードに突入してしまう。フッと見やるとオレ以外唯一の日本人、行衛さんがダウンして寝てる。またもハングルの渦である。ハングルとアルコールでオレほとんど記憶なし。

 3次会はノレバン(カラオケ屋)に行こう!と云う陽気なみんなを振りきって、行衛さんを起こしウニと3人で帰宅。毎度毎度の気絶でございやす。すみません。ZZZ.......  

11月27日(土)
 12時起床。シャワーを済ませて、今朝も幸せなことにオモニの朝食をいただく。今夜はコプチャングイのライヴだが会場入りまで時間もあるので1人散歩に出ることにする。

 AURAやSTORMの前を通り過ごし弘大をブラブラ、ヒャンウマクサでCDを物色、スターバックスでひと休みした後は、キチャッキルやコーパス(舞踏集団)の事務所の場所を確認しつつ16時帰宅した。ふむ、新村〜弘大の地理はもう分かってきた気がするな。

 で、本番前に腹ごしらえしようぜって事で行衛さんらとコプチャングイ(モツ焼き)の店に入る。まさに今日のユニット名のコプチャングイである。共食いである。ははは。


 かなりいい気分のまま、21時AURA入り。

 ビートボール所属のバンドが次から次へと演奏してゆき、結局コプチャングイの出番は23時半になってしまった。しかぁ〜し、1曲目のミインを始めるやいなや会場は一気にもの凄い盛り上がり!どこに残してた、そのパワー!会場は踊るわ唄うわ、演奏するオレたちもテンションがグングン上がってゆく。いいねぇ、この感じ。続けてピッソゲヨイン、チュジョンベンイエノレ、イマジン、ヘイ・ジョー、そしてラストのボーン・トゥ・ビー・ワイルドで会場の熱気は最高潮に達した。アンコールのジャンピン・ジャック・フラッシュで大団円。25時終了。
 軽くビールで体の乾きを潤し、一行はすぐ近所のお馴染みサヌリムへ。チョゲタン(貝鍋)、豚キムチ、カムジャジョンなどをトンドンジュで流し込んだ。
(ウニの友だち)
テンションが上がってるモンだから時間の感覚も無くなってしまう。気が付くと29時。いやはや楽しかった。名残惜しいけどここらへんでお開き・・・・・で帰宅 → 撃沈 → 爆睡。

11月28日(日)
 
14時、起床。こんなダメダメのオレたちにも、オモニは優しくマンドゥグク(いわば餃子スープ)を作ってくれた。感涙。
 今日はお買い物をしようと、まずはヒャンウマクサにてCD5枚購入。続いてヒョンデデパートに移動し地下食品街へ。牛肉から作られてて鍋や炒め物などに使うと「あ〜ら不思議」何とも云えないコクと旨味が加わる行衛さんおススメ「魔法の調味料」、その名も「タシダ」を買ってみる。他にも山のように韓国海苔、インスタントラーメンなど買いまくる。でも全部で約850円。安っ!
 一旦帰宅し、しばしゴロゴロしながらテレビドラマを観てハングルの勉強。ウニとオモニが食い入る様にテレビに見入っている。ホント、韓国の人たちってドラマ好きなんだな。お店でもよくTVがついてるもん。そりゃドラマ産業は流行るわけだ。
 さて、今晩はまたも、ウニ&行衛さんの友だちの誕生パーティーである。誕生日ラッシュだね。お店の名は「ROCK」。大音量の中に入ると、そこにはステージがあってライブもできるようになっている。ステージ脇の大スクリーンには最近のクラプトンのライブが映されていた。
 コーノくんとササちゃんも合流し、ビールとコルベンイ、そしてバースデーケーキを喰らう。

2次会はコッテギ(豚の皮)のお店に。初めて食べたが、なかなかの味よ。皆さん一度お試しあれ。
(これがコッテギ)


(ササちゃんとコーノくん)
 早いモノで今日で今回の旅も終わり・・・。てことで珍しく焼酎を呑む。こっちの焼酎は甘いので普段は呑まないんだけど今晩は酔っぱらっちゃいましょう!なぁんて調子よくやってると、楽しい時間はアッという間に流れてしまうもので、気がつくと時計は午前0時をまわっていた。おっと、明日の飛行機が10時20分離陸で6時半起きだぁい。後ろ髪を引かれつつ帰宅。いつもの事ながら「日本に帰りたくなあああい!」などと子どもの我が儘のようなことを云いながら26時に床についた。ZZZZZ......

11月29日(月)
 
朝6時30分起床、7時出発。すでに冬の厳しさを感じさせる寒風の中バス停に向かう。暖かいバスに乗り込むとすぐにまた深い眠りの底へ........。空港に着く頃やっとアルコールも抜けてきて、空港の売店でハムサンドを買ってひとり寂しく朝食をとる。また例によって書店に立ち寄って、漫画を1冊、韓国全土の地図などを購入した。
 そして日本へひとっ飛び、しばし韓国とのお別れなのでしたーーー。

                     2005年4月

伊藤孝喜