ドラマーKOKIのイルサンタバンサ
(日常茶飯事)




第19回 謹賀新年、でもイルサンタバンサは夏なんです

(管理人より 第19回のデータは2004年の年末に受け取っていたのですが、管理人の都合により年内に更新することができませんでした。そのため、まことに申し訳ありませんが、本文は2004年に読まれることを前提にした語り口になっていることをご了承下さい)

  2004年も終わりに近づいてます。みんなにとって今年はどんな年だった?
 今年の韓国ブームは何だかスゴかったねぇ。韓国にはナイスガイがたくさんいるから、そういう人たちに惹かれるのも道理なんだけど、オレとしては、それだけじゃなくて韓国の色んな面を見て接してもっと好きになって欲しいなと思う。

 2005年は日韓国交正常化40周年。
 もっともっとお互いを知り合いたいね。

 でもって今年最後のイルサンタバンサ。今や韓国通なる人はたくさんいるんだろう
けど、オレも行けば行くほど体に心地いい場所になってる韓国。第2のふるさとって
こうゆうことを云うのかなぁーーー。そんな韓国便りをまたもやつづります。周りの
呆れ顔を振り切って(笑)。だって好きなんだもん、韓国。
 ・・・・・それは、今年の夏のことでした・・・・・遅っ!

8月18日(水)
 10時起床、シャワー浴びる。昨夜は石毛さんの誕生日と言うことで、新宿にて、石毛さん、テラさん、塚本晃と呑みまくる。三平食堂、鼎(かなえ)とハシゴし、3軒目に行くころにはほぼ記憶がない。ぐでんぐでんになりながらも、塚ちゃんの前回のライブの反省をしつつ10月以降の計画を練る。実のある話はしたと思う。だが何時に帰ったのかも分からず、結局、人間失格の二日酔いなのである。あああ。
 ロイヤルホストで朝食を済ませて羽田へ向かう。今回は福岡往復ルートで韓国に行くのだ。福岡空港に着いて、親友ウニのリクエスト土産、ビール(エビス&モルツ)を買い込む。お、重い・・・。だがウニに頼まれては断る事は不可能なのだ。ウニには、ここでは書ききれないほどの愛情をいつももらってるから・・・。実はハラも減っていたが、ここはひとつ「機内食のために我慢しとこう」と思ってソウル行きの飛行機に乗り込んだところで気が付いた!福岡〜ソウル間は機内食が無かったのだぁーーーっ!!!食いしん坊のオレはすっかり元気を無くし、そのうえ台風のため飛行機は揺れるし、ソウルに着くと雨、空港からのバスにもさんざん揺られて(運ちゃんがまた飛ばすんだ)涙目になった。

 23時、新村に着くと、バスを降りたところで偶然コーノ君とその彼女(じゃなかった・・・友達)に出くわす。彼らとは5月に知り合い仲良くなった。コーノ君たちとは後日ライブ会場で会う約束をして別れ、傘を1本買ってまずは行衛さん宅へ。
 馴染みの行衛さんちに到着するともうみんな「できあがって」いた。何しろ柴藤さんは午前中にソウルに着いてて、ずうーっと呑んじゃあ喰って昼寝して、起きたらまた呑んで喰っての繰り返しだったそうな。男前やねーーーっ!そんな中、一人ハラの減ってるオレは、すがるようにしてウニ特製のピビンパブを腹一杯いただき、ちょっとだけ山葡萄酒もいただいた。


(ウニ特製ピビンパブ)

 部屋の中をよく見ると、巨大な、まるで業務用のようなクーラーがそびえたってる。なんでも去年まではクーラー無しでも平気だったが、今年は日本同様、韓国も猛暑で、暑くて何する気にもなれなかったらしい。で、それを見かねたウニの仕事仲間ファヒョンがプレゼントしてくれたのだそうな。しっかしここは冷蔵庫もクーラーも超ビッグサイズでんなぁ〜。
 酒がすすみ、DVD鑑賞会となった。本日は「スクール・オブ・ロック」。字幕がハングルなので半分も追いついて行けなかったが、まぁ話が単純なので文句なしに楽しめた。オススメです。韓国では今こんなDVDが3本1000円位で売られているらしい(勿論、海賊版だけど)。26時終了、皆疲れ果ててる気配なので今日はこのへんで大人しく寝るとするか。おやすみなさい zzzzz

8月19日(木)
 11時起床、シャワー。近所に新しく出来た「ミョンドン・カルグクス」にて貝カルグクス。なかなか美味だった。

(貝カルグクス)
 一旦帰宅して、DVD「BEAT CLUB」を鑑賞しながらアイスクリームなど食べてゴロゴロしてみる。


 15時、やっと起きだし、お馴染みRUSHにてリハーサル開始。汗だくになりながら、定番の曲に始まり久し振りの「トナヤハルクサラム」、今回からの新曲「オモニメチャジャンガ」(サラングァピョンファのカバー)など練習する。19時までほぼノンストップでひと通りさらって、まあ今日のところはコレくらいで勘弁してやろう!ってな具合に終了した。やるときゃやるけんね、フッ。
 でもって、お待ちかねのアルコール・タイム!まずはラガーマニアにて、生ビールのピッチャーで駆け付け2杯。ちなみにピッチャー1杯約700円という安さよん!


(柴藤さんとラガーマニアのマスター・チャンシク氏)
 ここでジミヘンさんと合流し、渡韓10回目にして初のサムギョプサル屋へ。サムギョプサルってのは豚バラ肉を焼いて食べる料理なんだけど、ニンニクとキムチも一緒に焼いて食べるとこれが旨いのなんのって!しかも肉が山盛りであとからあとから出てくるもんだから思わず食べ過ぎてしまうじゃなぁーい。ニンニクは多分ひとり20個くらい食べてるね・・・(笑)。





 サンサチュンをクイクイやってると、店先にリヤカーのマッコリ売りが通りかかった。行衛さんは馴染みで、彼が通りかかったら必ず買うと決めてるそうで、5本、計約1000円のお買い上げ。それにしても驚きの安さよ!日本で買ったら3000円はするだろうな。


(マッコリを買う行衛さん)
 さて、腹ごなしに、明日と明後日のライブ会場のAURAとSTORMへ下見に行く。ここでさっきのマッコリを1本開けるも、ぐふふ、腹が受け付けず。当ったりめーじゃあ!
 仕方なく帰って、大人しく就寝してみた・・・。ああ、今日もたくさん食べてもうた。

8月20日(金)
 いつものように11時に起きてシャワーを済ませると、ウニから電話。一緒に昼食を食べようとの事で、慌てて準備をしてオレたちはタクシーに飛び乗った。すると運ちゃんがえらい陽気で、柴藤さんを見るなり、カタコトの日本語で「オーッ!少しジーザス!」、つまり少しイエス・キリストに似てるとな!爆笑。3人はコプチャンチョンゴルというロックバンドで、今日と明後日ライブがあるというと、運ちゃん、音楽が大好きでしかもシンジュンヒョンのファンだと言う。僕らが彼の曲をたくさんカバーしてるよん!て話をすると、いきなり「ミュージック・パワー・1st」を大音量でかけだすわ、話に熱が入り過ぎて手振り身振りあっち向いたりこっち向いたりするわ、もう、ちゃんと前見て運転してくれーーーっ!とヒヤヒヤしながら、やっとチョンノ6街に到着したのだった。


(街中をウロつく行衛さんと柴藤さん)

 ウニとその後輩パクチヒと合流し、毎度お馴染みタッカンマリを腹一杯いただく。何度食べても旨いなぁ!この量、この味、でこの安さはやっぱり日本じゃ無理だろうなぁ。


(行衛さん、自分が書いた記事とともに)

 一旦家に帰って機材をまとめようと地下鉄に乗ろうとしたら、ナント、初乗りが700ウォンから900ウォンに値上げされてるぅぅぅ!ヒドイじゃないか、ソウル市長!!さっき食い物の安さに感激したばっかりなのに。庶民の「足」は大事にしようぜぇ、ブツブツブツ・・・・・云いながら一路、本日のライブハウス、AURAへ向かう。
 17時から18時までサウンドチェックし、本番前に軽く食事でも・・・と思ったが、昼間のタッカンマリがつかえてて何も食べられず、そのままライブ、スタート。


(チューニング中の行衛さん)

 トップバッターはイッタ。


(イッタ)

 続いてマリファナ。そしてトリのコプチャンチョンゴルは22時にスタート。「アルムダウンカンサン」、「チョウムプトサランヘンネ」、「トナヤハルクサラム」、「クリウォラ」、「NORWEGIAN WOOD」、「チュジョンベンイエノレ」、「BODY」、「BLUE NOTE CITY」、「ミイン」、そしてアンコールの「HEY JOE」と全10曲、完全燃焼するともう24時である。そのままその場で打ち上げに突入し、つたない韓国語でチヒなどと大いに語り合った。


 そしてやっぱり今回も行きます、ワンカルビのキチャッキルへ。ここでコーノ君も合流し、27時半まで盛り上がる。食い倒し、飲み倒し、帰宅したと思ったら、即、沈没。全くもって進歩がないのである。

8月21日(土)
 10時半、ウニのオモニ(お母さん)の訪問で目覚める。シャワーを浴びてオモニ特製の朝食。夏といえばコングクス、そしてオレの大好物チャプチェ。チョー幸せ!


(コングクス)


(チャプチェ)

 ガッツに食べ進んでいくが、一人前のコングクスの量が尋常じゃない!オモニは不思議そうにしてるが、すいません、朝からこれは多すぎます。「スープも飲みなさい!」と云うオモニには申し訳ないが少々残してしまう。ああ、オレはまだタフさが足りないのね・・・。

 食後に、コーヒー好きの柴藤さん持参のコーヒーをお裾分けしてもらってしばし休息。ホーーーッ。今日のライブ会場のSTORMには15時に入る予定だったが、そんなこんなでちょいとばかりくつろぎ過ぎて、入りが16時になってしまった。

 会場には専属のエンジニアがいるはずなのに、いるのはチャンシク氏だけ。しかも昨日終わってるはずの照明の取り付けが今、真っ最中なのだ!エエ〜ッ、またかよ。当日になって予定が変わることは、ここ韓国ではよくある話だが。むむむ。まぁ気を取り直して、さてセッティングしよう・・・と思ったら、今度は行衛さんのギターが行方不明になっている!複数の楽器が入り乱れて誰かが間違えて持っていってしまったようだ。おいおい!仕方がないので、そこにたまたまあったココアのミョンスのギターを拝借。うまい具合にふたりともレスポールだからね。・・・って、オレたちもすっかり韓国式にはまってるじゃん。


(開場前のSTORM )

 そんなこんなでライブは20時スタートし、オープニングはコピーキャット。


(コピーキャット)

 コプチャンチョンゴルは21時頃スタート。演奏曲目は「アイゴ・アイゴ」(「アイコ・アイコ」のカバー)、「ミイン」、「チョウムプトサランヘンネ」、「トナヤハルクサラム」、「チュジョンベンイエノレ」、「アンゲルルヘチゴ」、「ピッソゲヨイン」、「BODY」、「BLUE NOTE CITY」、「IMAGINE」、そしてアンコールで「オモニメチャジャンガ」、「クリウォラ」と全12曲、案の定たっぷり2時間コースとなったが、途中オレのハングルMCもはさみつつ楽しいライブとなった。

 さて、デュプリ(打ち上げ)はサヌリムに向かったが満員で入れず残念。そこで柴藤さんはサムギョプサルをリクエストしていたが、オレはカルビを強く希望。この豚牛対決の結果、昨日と同じキチャッキルへ行くことになった。柴藤さん、すみません。


(ジミヘンさん)


(ウニ、ヘギョン、チスギ)

 肉と酒でとりあえず食いしん坊の胃は落ち着いた。2次会は近所のスルチブ(居酒屋)に入り、初のケランタン(行衛さん曰く、「オバケ茶碗蒸し」!?)をいただく。


(ケランタンと行衛さん)

なかなか美味しく、いよいよ元気になってきたオレ。家に帰るという行衛さん、柴藤さん、ウニを見送って、オレは、チャンシク氏、ヘギョン、「マリファナ」のギターのソンノク、コピーキャットのメンバーたちとラガーマニアへ移動した。いよいよ日本語を喋る人間が一人もいないので会話はかなりチンプンカンプンになるが、これこそハングルの勉強、何とか聴き取ろうと頑張ってみた。と同時に、調子に乗ってタダでウィスキーやらワインやら呑みまくってみた。
 さんざん喋りまくって、帰りはヘギョンの車で送ってもらい、家に着いたのは朝6時半。そろーーーっと玄関を開けて・・・しゅみましぇーん。

8月22日(日)
 ウニとヘギョンの声で12時に起こされる。オレ昨夜はほとんど酒ばかりであまり食べてないせいか少々空腹気味。
 ・・・と云うことで、朝食はヘギョンの車で中華屋さんへ行くことに。野菜炒め、エビチリ、チャンポン、チャジャンミョン、おこげ等々。アーンド、ビールまで頂戴してしまい、起きたてにもかかわらずすっかり食べ過ぎである。



 取りあえず帰宅して、ひと休みひと休み...........。今晩は行衛さん主催のフリーミュージック・イベント「プルガサリ・24」があるのだが、柴藤さんとオレも急遽、出演する事になった。
 17時30分、RUSHへ。楽器をセットし終えたところで、柴藤さんとフラっと買い物に出かけた。ヒャンウマクサで、シンジュンヒョン先生のCDを2枚、つづいてサラングァピョンファ・2枚組ベスト、シンスンフン・8集をゲット。これで全部で3700円ほどである。安さバンザイである。シンスンフン・8集は、大好きな映画「ヨプキジョギンクニョ(猟奇的な彼女)」のテーマソング「I Believe」が入ってるので是非手に入れたかったしね。その後シンナラレコードへ移って柴藤さんがブルースのCDを数枚ゲットした。またヒョンデデパートの地下ではミニ・キムチ・パック10個セットを900円で購入(しかし後日、自宅で食べてみるとこれがイマイチ「ん?」ってな釈然としない味だった、残念)。
 外へ出てみると今日は日曜日ということもあって新村の街中は人でごった返していた。近くに大学もあるせいか若者が多いのだ。でも渋谷などの混雑と違う心地よさを感じるのは、単にオレの贔屓目からだろうか・・・。

 雨が降り出したので慌ててRUSHへ戻り、まずはビールで乾いた喉を潤した。くーっ、滲みるね。
 20時、「プルガサリ」スタート。1部は「ジョーフォスター&佐藤行衛」、2部は「イッタ&ミリンドデイト」。ミリンドデイトはインドからやって来たバンブーフルート奏者である。そして3部は「イハンジュ&伊藤孝喜」。ハンジュは「プルガサリ」ではお馴染みのギタリストなのだ。つづいて4部「ミリンドデイト&柴藤耕一郎&キムチェク」。・・・・・でもって、本日無事終了!と思いきや、なんとミリンドから、オレと二人でセッションしたいとの申し出が!何故なんだぁ〜?なんかオレ気に入られちゃったかなぁ〜(笑)伊藤孝喜、フリーの世界でも開花しちゃうのかしらん・・・。で、10分ほどオレたちのオマケ即興となる。

 やっとホントに終了。


(柴藤さん、ミリンドデイト、ヘギョンと)

 で、デュプリはスジェビ屋となった。日本語を勉強中のイッタなどと国際交流しながら(笑)、スジェビ、ケランマリ等をビールとともにいただく。


(ケランマリを手にしたイッタとオレ)

 話が盛り上がり調子こいてノリノリでいると、気が付けばもう12時!やばい、明日、福岡行きの飛行機は午前8時10分発なのだぁーっ。後ろ髪を引かれながら仕方なく帰宅。しかし、やはりソウル最後の夜はそう簡単には終わるワケはない。いや終わらせたくない。行衛さんセレクションによる、つボイノリオ、マリちゃんず、あのねのね等をBGMにもうひと騒ぎ!マッコリを空けてゆくのであった。


(今回のギャラを手に喜ぶ3人)

2本目が半分空いたあたりで27時半、もうダメです、と云ったかどうか分からないが、オレは布団に倒れ込んだ。瞬時撃沈。

8月23日(月)
 5時起床。1時間半しか寝てません。最悪です。誰に見送られることもなく(皆、当然寝てるので)ひとり寂しくバスで仁川空港へ向かう。眠すぎる。クラクラしてくる。でも何とかいつもの楽しみ、書店で漫画を1冊(「天才柳教授の生活」1巻)購入した。
 8時10分離陸、おーい、メチャメチャ揺れてんでねぇの?気持ち悪ぅーい!アタシの二日酔い?操縦が下手なんでねぇの?・・・そんな状態だから、食事もとらず水1滴とらず、機内で大人し〜くしてました。
 9時30分、なんとか福岡に着陸。はーーーっ、少しでもソウルを満喫したいから、帰りはどうしてもこうなっちゃうのよねー。反省反省。でも、日本に帰った途端、早くも次の韓国行きを画策するオレなのでしたーーー。そんな経験、みんなにもあるでしょ?

 実はこのあと、コプチャンチョンゴルは初来日のジミヘンさんとともに、福岡〜山口とライヴを続けていった。何だか云うと照れ臭いけど、絆の深まる旅でしたーーー。
 さて、来年も韓国モノが多くなるとは思うけど、色んな人からリクエストもあるので、できるだけ視野を広げて(笑)オレのまわりで起こるイルサンタバンサを綴っていくつもりです。2005年もよろしく。よいお年を。

2004年12月  伊藤孝喜