ドラマーKOKIのイルサンタバンサ
(日常茶飯事)




第1回 散歩はグルーヴだ!

 ここのご主人・志田歩氏のご好意で、なんとオレがエッセイめいたモノを書くことになった。随分前から志田氏に勧められていたのだけれど、実はオレは自分の文章が人に分け隔て無く読まれるーーーと思うだけで異常にプレッシャーを感じるのである。そんなもん面白けりゃ読むし下らなかったら飛ばすし、自意識が強すぎるんじゃないかぁ〜って云われそうだけど・・・・・そうかもしんない。いや、少なくともステージでドラムを叩くのとは全く違う。アレは本当に「生き物」で、どの瞬間も二度と再現はできないもん。シビれるようなグルーヴを叩き出したとしてもヘナヘナのホニョホニョなビートを出したとしても、それはその日の自分であることに変わりはない。何よりその場の、みんなとステージ側で創りだした「空気感」が歴然としてあるのだから、それだけで得難いしうれしいし、誰にどう云われようが「かかって来なさい!」ってなもんです。だけど・・・文章となると、何だかこう読み返される感じがねー。二次元だしねー。「行間」から何も読みとれないなぁ、と思ったらホントに何にも無かったりして。むむむ。

キンチョーッ!!!

でも何とか思いつくままに書いてみます。

 前置きがとても長くなったけど、今回は好きな散歩についてでも書こうかな。え?やっぱスッゴク普通なトピックスかなぁ!?どーか暖かい目で見てやっておくんなせぇ。


 都内でオレの一番好きな場所は「井の頭公園」。池があって樹々が揺れてて湿った土を踏みしめることができる。都会の中の区切られた公園なんだけど、つい、あそこの緑と光が恋しくなって足が向いてしまうんだ。レコーディングに埋没した後やツアーに明け暮れた後など特に・・・ね。敷地が広いからかなぁ、季節が一発で感じられるんだよね。

癒される・・・というよりは包まれる感じ。何十回も歩いた同じ道をただ辿るだけなのに、目に見えないホスピタリティーがいつも迎えてくれて心地良い。もう、オレの頭ん中はカラッポ。心なしか鼓動もゆるやかに打ち始めて、視覚と聴覚が開放されていくのが分かる。好きな場所にいると、人ってそうなるんだろうね。

 オレは決して人間嫌いじゃないし、むしろ付き合いはいい方だと自負してるけど、「井の頭公園」を歩く時のように、いろんな呪縛(?)を断ち切って黙々と我が道をゆく時間を持つことによって、心身のバランスをとってる気がする。大したことじゃない、ちっちゃいことよ。人々の声を聴き色んな臭いを嗅いで目に映るものを流れるままに自由に追ってゆくだけーーーーー。

でも、こうゆう「時間」ってオレにとってとても大事です。

 話は変わるんだけど、以前バイト先のお茶の水からバンドの練習場所の江戸川区小岩まで歩いたことがある。ほら、散歩好きだから。地理的距離感が分からない人もいると思うけど、しかしそれって荒川を渡って軽く15Hくらいはあるんだよねー。あっはっは。「ま、疲れたらいつでも電車に乗ればいいし・・・」と陽気にスタートしたものの、途中からは「ここまで歩いたのなら・・・」と言い聞かせることの繰り返し。

42.195Hを走り抜くマラソンランナーだっているじゃないか!

いや、そんなの、そもそも普段から鍛えてないと無理に決まっとる!

そういえば競歩って根性要るよなぁ!

あああ、あぅっ、足、上がんないよぉ!

こんな感じで、最後には、たかが電車賃ごときをケチった自分に腹を立て泣きベソかきながらスタジオにゴールしたのでした。
ま、総武本線を横目に、荒川を跨いだ平井大橋をグングン(とぼとぼ)歩いてゆく「その姿」はきっと頼もしかった!・・・・・に違いない。・・・・・と思いたい。

 今、オレの家には、折り畳み式の緑色の自転車がある。近くの練習スタジオまで乗ってくこともあるし、塚本晃と飲みに行く時にも乗ってる。少しハンドルが固くって時々コケそうにもなるけど、目下オレの「足」として大活躍中。車の免許を持たない(人は大抵これに驚く)オレにとって、小回りの利くナイスなヤツです。その「足」がバイクに変わり車に変わる予定は、今のところ全くないでーす。

 こ〜んな類の話を、今後出来るだけここで書いてこうと思ってるんだけど、どお?
みんなのリアクションがあったりしたら、「二次元」の文章が「三次元」に感じられてドンドン楽しくなってきそうな気もしてる。あ、ドラムについての話だとかリクエストがあったら教えてください。

 ちなみに、ここのタイトルはオレが付けました。大好きな国・韓国の言葉ハングルです。韓国の話もいつか必ずするね。んじゃ。

                              2002年5月  KOKI