立川はいつ東京都になったか


1.神奈川県、砂川村・柴崎村

_立川市は、もともと砂川村と柴崎村でした。明治初めには、砂川村の人口の方が、柴崎村より多かった記録があります。
_慶応4年、明治の少し前は、韮山県に編入されました(1868年)。明治となり、韮山県が神奈川県(1871年)となり、神奈川県、砂川村・柴崎村となりました。
_この頃、入間県(埼玉県)に編入計画がありましたが、神奈川県の陸奥宗光知事が、八王子までの多摩地域は、横浜に居住する外国人の往来管理のため、多摩地域を神奈川県に編入することを主張し、実現させました。

2.神奈川県、立川村・砂川村

_江戸時代にあった玉川上水は、衛生上、舟運は認められませんでしたが、一時認められ(1870ー1872)、柴崎村・砂川村は、横浜よりも、東京との結び付きが多くなりました。
_また、東京市が上水管理上、多摩地域の東京移管を上申(1871)し、玉川上水周辺の官有地が東京府の移管となりました(1881)。多摩地域全体の東京移管上申は、その後何度も出されました。
_明治当初の柴崎村は、立川村(1881年)に改めました。

3.東京府、立川村・砂川村

_横浜と結び付いたことで、八王子、町田地域は、民主主義運動が盛んになり、自由党が設立(1881)され、この地域は自由党の一大拠点となりました。
_しかし、急進運動が激化し、自由党は解散(1884)、多摩地域の自由党の一部は、急進的な神奈川県の自由党派閥と分かれて、後の衆議院議長の星亨派になりました。
_一方、中央線の前身、甲武鉄道の開業(1889)により、多摩地域は、東京との結びつきが一層強くなりました。
_このころ、第2回の総選挙(1892)では、政府の選挙干渉が著しく、自由党の政府抗議に対して、神奈川県知事は、三多摩の東京移管上申に、賛成しました。
_衆議院議長の星亨が、僅か10日の審議で三多摩東京移管を成立させたのは、1893年のことです。

4.東京府と東京市の都制化の提案

_東京は、当時東京府と東京市の2段階で管理されていました。
_しかし、東京が拡大し都市化が進むにつれて、一元化の管理が必要になり、都制を敷き、東京都とする事が政府から提案(1896) されました。
_しかし、東京市長が公選であったことから、都長について、東京市は公選を主張し、政府は官選を主張するなど、難しい問題があり、すぐには決まりませんでした。

5.武蔵県案、神奈川復帰案、多摩県案

_政府は、東京都の問題は、都市化の問題であるから、郡部は除いて東京都として、三多摩と葛飾、豊島、荏原郡等は、武蔵県を作るように主張(1922)しました。これに対して、東京市は東京市出身の代議士から、隣接5郡を東京都に編入する、三多摩の神奈川復帰案が提出(1923)されました。
_その後、既に隣接5郡には東京の人口が流れ込んでいましたから、政府もこれを考えて、東京都に隣接5郡を編入して、三多摩のみで多摩県を作る案を提案(1924)しました。
_武蔵県案では、八王子に県庁を置く案でしたが、多摩県案では、当時飛行場が出来て発展を始めた立川に県庁を置く案でした。
_しかし、三多摩全体の発展を望むためには、当時密接な関係のあった、東京都と一緒になることが大事と考えていた多摩の人たちは賛成しませんでした。
_立川村が立川町になったのは、1923年です。

6.横浜独立と神奈川新県設立案

_東京市と隣接5郡が都制を敷く案が進む中で、横浜が独立し、残った神奈川と新県を設立し、八王子に県庁を置く案も議論されました。1932年に東京市は、隣接5郡に20区をおいた大東京となりました。
_その中で、東京市域拡大後三多摩を都域に編入拡大するという、東京府と東京市の暗黙の了解が成立しました。

7.三多摩は、市町村制か、区制か

 東京都に編入されたら、三多摩は市町村制を敷くのか、区制を敷くのかは、大きな問題でした。
 1931年、市制拡大が決まる前に、編入に積極的であった牛塚東京都知事から、三多摩区制案が出ました。しかし、三多摩の中の市町村の状況に差があったために、やはり市町村制でいく案が有力でした。

8.立川が東京都に入った

_立川町が立川市になったのは、1940年です。
_太平洋戦争が始まり、首都防衛体制を図ることで、都制が進められ、三多摩は、当時の内閣を絶対支持するという決議のもとで、三多摩を編入する都制の成立を待ちました。
_1943年、神奈川県に編入されてから75年目、戦争の最中に、立川は東京都に入りました。
_その後、1963年砂川町と立川市は合併しました。


  • 読んで頂きたい本

    __なぜ多摩は東京都となったか
    __梅田定宏先生著_株式会社けやき出版(1993年)


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    アップデート:1997年1月12日
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