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小型船舶検査受検の手引き(JCI日本小型船舶検査機構 発行H9.2)


目次

I.検査制度について

 1.検査の必要性と法規制
 2.検査の対象となる小型船舶
 3.検査の種類と時期
 4.船舶検査証書・船舶検査手帳・船舶検査済票
 5.航行区域と従業制限
 6.最大搭載人員
 7.船の長さ
 8.検査の合理化制度
 9.罰則

U.受検手続等について

 1.検査の申講と手数料の払込み
 2.検査の準備と立会い
 3.検査の主な内容
 4.船舶検査証書受領後の変更手続等

V.参考資料

 1.小型船舶法定備晶一覧表
 2.小型船舶の海難データ
 3.日本小型船舶検査機構の所在地


I.検査制度について

 1.検査の必要性と法規制
     船舶は、転覆、火災のような大きな事故はもとより、部品を替えれぱ 
     簡単になおるような機関故障であっても、陸上から遠く離されているた 
     めその場では修理ができず海上に取り残されて生命にかかわるような大
     事故につながることがしぱしぱあります.また、このような海難が発生
     した場合、その救助のための海上保安庁の巡視船の派遣等関係機関の社
     会的負担も少なからぬものとなっています。
     このため、船舶は、船体、機関等その構造が、航行する海域における
     天候、波浪等に十分耐え得るものであること及び万一海難に遭遇した場
     合にも、人命の安全を確保できるよう救命・消防設備等必要な設備が備
     えられていることが要求されています。
     このような船舶の構遣、設備等に関する要件は、法律(船舶安全法) 
     に規定されており、船舶の所有者はその所有する船舶を航行させる場合、
     これらの要件を満たす義務を負うとともに、これを定期的にチエツクす
     るための国の船舶検査(以下「船検」といいます。)を受けることが義
     務付けられています。
     総トン数20トン未満の船舶を小型船舶といい、この小型船舶の船検
     は、日本小型船舶検査機構が国の検査の代行機関として実施しています
     船検に合格した船舶に対しては、航行区域、最大搭載人員等航行上の
     条件を定めた船舶検査証書、検査の時期、検査等の記録などが記載され
     た船舶検査手帳及び船舶の両舷に貼付けて船検に合格したことを表示す
     る船舶検査済票1組が交付されます。

 2.日本小型船舶検査機構の検査対象となる小型船舶

     総トン数20トン未満の以下のような小型船舶が検査の対象となって
     おり、その総数は約50万隻になっております。

     工ンジン付の船

       モーターボート、機付ヨット、水上オートバイ、遊漁船
       漁船(12カイリより速くへ行くもの)、小型遊漁兼用船
       旅客船、交通船
       作業船、その他の船舶(貨物船等)

     エンジンのない船

       ヨット(20カイリより速くへ行くもの)
       被曳客船、被曳遊漁船、うかい客船(旅各定員7人以上)

 3.検査の種類と時期

  (l)検査の種類
        @定期検査−−初めて船舶を航行させるとき又は船舶検査証書の
                      有効期間が満了したときに受ける検査
        A中間検査−−定期検査と定期検査との間に受ける検査で、船舶
                      の用途等により実施時期が異なる。
        B臨時検査−−改造、修理又は船舶検査証書に記載された航行上
                      の条件を変更するときに受ける検査
        C臨時航行検査−−船舶検査証書の交付を受けていない船舶を臨時
                          時に航行させるときに受ける検査

  (2)検査の時期(定期検査、中間検査)
        定期検査及び中間検査は一定の周期で受けるもので、その時期は用
        途等に応じ以下のようになっています。
        @一般の小型船舶(旅客船以外)
         6年(船舶検査証書の有効期間)

         定期検査−3年−中間検査−3年−定期検査

        A総トン数5トン未満の旅客船(旅客定員13人以上)
        4年(船舶検査証書の有効期間)

         定期検査−1年−中間検査−2年−定期検査

        B総トン数5トン以上の旅客船は、毎年検査になります。
        4年(船舶検査証書の有効期間)

         定期検査−1年−中間検査−1年−中間検査−1年−中間検査−1年−定期検査

         これらの定期的な検査は、1ケ月以内であれば繰上げて受検しても
         次回検査が繰り上がることはありません。
         繰り上げの時期(検査の合格日)が1ケ月を超える場合は、検査の
         合格日から3年後(@の場合)に次回検査が指定されます。

  (3)検査の時期(臨時検査、臨時航行検査)
        臨時検査又は臨時航行検査は、その必要が生じた際に随時受検する
        もので以下のような場合に受検しなけれぱなりません。
        @臨時検査
          ◇以下の様な改造、修理、取替えなどを行ったとき
            ・船の長さ、幅又は深さを変更する改造
            ・船体の強度、水密性、防火性及び上部構遣物の取り付け等復
              原性に影響する改造又は修理
            ・かじ、操舵装置の改造
            ・主機又は機関の主要部(クランク軸、プロペラ軸など)の取
              替え(ただし、船舶検査手帳に指定されている船外機等と取
              替える場合は不要です。) 
            ・法定備品の取替え等(ただし、予備検査又は検定に合格し)
              備品と取替える場合は、膨張式救命筏等を除き不要です。)
            ・海難や火災などで、船体、主機、プロペラ軸など主要部に重
              大な損傷を受けたとき
          ◇船舶の用途、航行区域、最大とう載人員等船舶検査証書に記載
            された航行上の条件を変更するとき(変更の期間が1ケ月以内
            の場合には、臨時変更証が交付されます。)
          ◇船舶検査手帳に指定された臨時検査の時期がきたとき
        A臨時航行検査
          ◇船舶検査証書の交付を受けていない船舶を検査等のため受検
            へ回航するとき
          ◇船舶検査証書の交付を受けていない船舶を試運転等により止
            を得ず臨時に航行させるとき


4.船舶検査証書・船舶検査手帳・船舶検査済票

    定期検査に合格した小型船舶には、船舶検査証書1枚、船舶検査手帳
    1冊、船舶検査済票1組が交付されます。
   (1)船舶検査証書には、次ページに示すように船名、船舶検査済票番
         号等その船舶を特定する事項や、航行区域、最大搭載人員等航行上
         の条件、その他証書の有効期間(定期検査の周期と同じ)等が記載
         されます。  
   (2)船舶検査手帳には、次回受けるべき検査の時期の指定、検査の記
         録等が記載されます。また、船舶所有者が点検及び整備の記録を書
         く欄がありますので上架、機関の整備等を行った場合その旨記載し
         ておくと検査の際の参考とされます。
   (3)船舶検査済票は、次の番号により構成されます。
        (例)
         定期検査合格年 交付支部番号   合格番号
               8          230  − 23336          8
               (船舶検査済票)                  (中間検査済票)

         なお、法令により、船舶検査証書及び船舶検査手帳は船内への備え
         付けが、船舶検査済票は船の両船側の船外から見やすい場所への貼付
         が、それぞれ義務付けられております。
         中間検査済票は、中間検査に合格したときに1枚だけ交付されます。
         左舷側の船舶検査済票の右に貼付して下さい。


5.航行区域と従業制限

    船舶は、その構造や性能などによって航行できる水域が指定されます。
    この水域を「航行区域」といいます。ただし、漁船の場合は航行区域の
    代わりに、その漁業の種類等によって「従業制限」が指定されます。
    これらの航行区域又は従業制限は、その船舶の航行上の条件として船
    舶検査証書に記載されます。

    (1)航行区域の種類

          @平水区域・・・・河川、湖沼や港内と、東京湾など法令に基づい
                            て定められた51ケ所の水域

          A沿海区域・・・・おおむね我が国の陸岸から20海里以内の水域

          B近海区域・・・・東経175。、東経94。、北緯63。、南緯
                            11。の線で囲まれた水域

          C遠洋区域・・・・全ての水域

          小型船舶の場合、これら航行区域のうち沿海区域の一部に限定した
          航行区域「限定沿海」が比較的多く指定されています。

    (2)限定沿海の航行区域の指定

          小型船舶が航行しようとする水域の中心に母港を定め、母港又は母
          港を含む平水区域からその小型船舶の最強速力で2時間の範囲に避難
          港を定め、さらにその避難港から片道1時問の範囲内の水域が指定さ
          れます。

          @限定沿海の航行区域の例

           「沿海区域ただし、00から00度に引いた線と、00県00
             町を経て、00からOO度に引いた線の間における本州の海岸から
            00海里以内の水域及び船舶安全法施行規則第1条第6項の水域に
            限る。」(船舶安全法施行規則第1条第6項の水域とは、前章(1)
            の平水区域を示します。)
 
          A可搬型小型船舶の航行区域の特例

            水上オートバイ、ゴムボートなど自動車等で運搬し使用される小
            型船舶(原則として、3メートル未満)は、安全に発着できる任
            意の地点を母港とする航行区域を選択することが出来ます。
            なお、小型船舶の場合、気象・海象条件が安全航行に及ぽす影響が
            とりわけ大きいことから、個々の船舶の構造、大きさ、復原性、乾げ
            ん、閉鎖装置等を考慮して必要な限定が加えられます。

    (3)従業制限

          小型漁船の従業制限は、比較的近くの海(およそ100海里以内)
          で操業する「小型第1種」及びそれ以遠で操業する「小型第2種」に
          分類されますが、それぞれに該当する漁業の種類等は以下のとおりで
          す。

          小型漁船の従業制限一覧
          
          漁業の種類          総トン数・操業海域等              従業制限
       
          採介藻漁業                                               @
          定置漁業                                                 @
          旋網漁業                                                 @
          曳網漁業                                                 @
          小型捕鯨業                                               @
          鮭・鱒流網漁業      東経147°以西の太平洋海域       @ ※A
                              で操業するもの
                              それ以外のもの                       A
          鮭・鱒延縄漁業      10総トン未満のもの               @ ※A
                              10総トン以上のもの                 A
          鮪延縄漁業          15総トン未満のもの               @ ※A
                              15総トン以上のもの                 A
          鰹竿釣漁業          15総トン未満のもの               @ ※A
                              北緯31°30′以北、東経           @
                              133°30′以西の太平洋
                              それ以外のもの                       A
          その他の漁業        100海里以内のもの                 @
                              100海里を超えるもの               A

         (注)@:小型第1種の従業制限
               A:小型第2種の従業制限
             ※A:該当する漁船のうち、陸岸から100海里を超えるものは
                   小型第2種


Last Updated: Apr 19 1997