りそな外税控除否認事件
  1. 外国税額控除の制度は,内国法人が外国法人税を納付することとなる場合に,一定の限度で,その外国法人税の額を我が国の法人税の額から控除するという制度である。これは,同一の所得に対する国際的二重課税を排斥し,かつ,事業活動に対する税制の中立性を確保しようとする政策目的に基づく制度である。とします。
  2. 全体としてみれば,本来は外国法人が負担すべき外国法人税について我が国の銀行が対価を得て引き受け,その負担を自己の外国税額控除の余裕枠を利用して国内で納付すべき法人税額を減らすことによって免れ,最終的に利益を得ようとするものであるということができる。これは,我が国の外国税額控除制度をその本来の趣旨目的から著しく逸脱する態様で利用して納税を免れ,我が国において納付されるべき法人税額を減少させた上,この免れた税額を原資とする利益を取引関係者が享受するために,取引自体によっては外国法人税を負担すれば損失が生ずるだけであるという本件取引をあえて行うというものであって,我が国ひいては我が国の納税者の負担の下に取引関係者の利益を図るものというほかない。と認定をしました。
  3. 本件取引に基づいて生じた所得に対する外国法人税を国税額控除の対象とすることは,外国税額控除制度を濫用するものであり,さらには,税負担の公平を著しく害するものとして許されないというべきである。と結論づけました。
  4. 事案としては、Back-to-Back Loan という形態で貸付及び預金受け入れが行われたものです。銀行がE社に貸付をし、同額をF社から預金を受入するというものです。直接ローン契約をするのではなく、銀行を中にはさんだものです。
  5. 銀行が貸付金利子を受け取る場合には源泉徴収を控除して受け取ることになります。その金額を外国税額控除の対象としました。
  6. 一方、預金利息については、貸付金元本を受け入れた範囲で利息に上記源泉徴収額を加算し手数料を控除した金額をF社から受け入れることにしました。
  7. 控除した源泉税を外国税額控除の制度における控除余裕枠を利用して取り戻しができたとすると貸付金利子を受け取った際、源泉徴収された金額は取り戻しができます。一方預金利子を支払った際に源泉徴収税額を加えて払ったとしてもその金額については外国税額控除を利用して取り戻しているので、その源泉徴収税額の見合い分については、損益がトントンになります。銀行としては手数料相当額が収益となります。
  8. 直接金銭を貸し借りするより、銀行を経由し、銀行の外国税額控除余裕枠を利用することにより、E社の源泉徴収税に見合う金額が得となるわけです。
  9. 外国税額控除をこのように利用されると我が国ひいては我が国の納税者の負担において取引関係者の利益を図るものというほかないとし、上記、外国税額控除制度の濫用とされた事例です。
  10. 本件はりそな銀行(旧大和銀行)の案件であり、三井住友銀行(旧住友銀行)にかかわる同様の事例について平成17年12月19日つまり本件と同じ日に上告棄却不受理決定がなされました。また、三菱東京UFJ銀行(旧三和銀行)については平成18年2月23日に破棄自判し請求棄却されました。その後法人税69条1項で租税回避が明文で否定されています。

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