みなし寄付金

  1. 宗教法人は収益事業に課税されます。
    1. 「内国法人は、この法律により、法人税を納める義務がある。ただし、公益法人等(略)については、収益事業を行う場合、(略)に限る。」と規定されています(法人税法4条1項)。
    2. 宗教法人は、「公益法人」に該当しますので、宗教法人は「収益事業」を行う場合に法人税の納税義務を負うことになります。
      1. 宗教法人は公益法人に該当することにより、法人税の取り扱いについて優遇されることになります。この点で、他の公益法人と同じ根拠での優遇措置ということになります。宗教の自由があるから優遇されるという論理ではありません。この点については誤解のないようにしたいものです。
      2. 公益法人等とは、法人税法別表第二に掲げる法人をいうとされています(法2六、別表二)。 宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)にいう宗教法人が含まれています。
    3. 宗教法人は、収益事業以外の活動つまり、宗教活動及び公益事業については法人税は課されません。
      1. 宗教活動とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成する活動をいいます。(宗教法人法2条)
      2. 公益事業(宗教法人法6条1項) とは公衆の日常生活に必要不可欠な物またはサービスを提供する事業のことをいいます。。労働関係調整法で,運輸事業 ・ 郵便、信書便又は電気通信の事業・水道、電気又はガスの供給の事業 ・医療又は公衆衛生の事業を公益事業に定めており(同8条)、その他では土地収用法や独占禁止法、地方公営企業法や各種事業法に規定があり、公益事業の定義として参考にできるものになるでしょう。。
    4. 「収益事業」については、別記を参照してください。
  2. 公益法人等が収益事業と収益事業以外の事業を行う場合、それぞれの事業を区分しなければならないとされています。
    1. 会計を区分して費用収益、資産負債計算を行うことが前提となります。つまり、みなし寄付金制度の適用を受けるためには区分経理を行っていることが前提になります。
  3. みなし寄附金について 宗教法人が収益事業から得た収益について、その対象となります。
    1. 宗教法人が収益事業に属する金銭その他の資産のうちから収益事業以外の事業のために支出した金額は、その収益事業に係る寄附金の額とみなされます。
    2. 公益法人等が行う収益事業は、その公益事業の財源を賄うものであると解釈されます。従って、収益事業に属する資産から公益事業のために支出する金額については、これを寄附金とみなして法人税等の計算上、一定の範囲内で損金算入を認めるという法人税法上の軽減措置です。
    3. 同じ公益法人等の法人内部での取引であっても、収益事業から公益目的事業へ金銭等の支出をした場合には、その金額を収益事業に係る寄付金の額とみなすことになります。同一法人内であるにも関わらず、寄付金の損金算入の適用を受けることができるのが優遇策とされる所以です。
    4. その一方で収益事業以外の事業から収益事業へ金銭等の金額の戻し入れの経理処理をするなど、実質的に収益事業から収益事業以外の事業への金銭等の支出がなかったと認められる場合には、当該金額に対するみなし寄附金制度の適用はありません。
  4. 収益事業に係る寄附金の額については、各事業年度の所得金額(寄付金支出前)の20%まで損金に算入できます。
    1. 他の公益法人と損金算入限度額が異なります。

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