墳墓に関する罪

  1. 宗教施設にお墓
    1. お寺にお墓があるのは当たり前ですが、キリスト教会にもお墓があるのを先日知りました。
    2. お墓に関係しそうな刑法の規定としては189条から192条あたりでしょう。
  2. 墳墓発掘罪(刑法189条)
    1. 墳墓を発掘した者は、二年以下の懲役に処する。 とあります。発掘とは墳墓の覆土の全部または一部を除去し、もしくは墓石を破壊解体して、墳墓を損壊する行為をいいます。
  3. 死体損壊等の罪(刑法190条)
    1. 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する とあります。問題になりそうなものは遺棄でしょうか。遺棄とは死体等を移動させてから放棄、隠匿することをいいます。単なる放置も法令や慣習上葬祭の義務を有する者の場合には遺棄として不真正不作為犯とされていることです。 不真正不作為犯というのは不作為が明示的に構成要件要素として規定されていないが、通常は作為により実現される構成要件を不作為で実現する場合のことをいいます。
    2. 同居の親が病死してしまい、自宅に放置するような場合がこれにあたりそうです。万が一、同居の親が自宅でなくなりそうなときには、まずは周囲のものや消防に連絡をし、間に合わなかったときには周囲のものや警察に相談すべきでしょう。
  4. 墳墓発掘死体損壊等の罪(刑法191条)
    1. 第百八十九条(墳墓発掘罪)の罪を犯して、死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。 189条と190条の結合犯です。
  5. 変死者密葬罪(刑法192条)
    1. 検視を経ないで変死者を葬った者は、十万円以下の罰金又は科料に処する。とされています。お墓が乱れていたときには上記のほか変死者密葬罪も疑われます。この罪名は警察目的、犯罪捜査目的の行政的取締放棄とされています。つまり殺人罪等の捜査の端緒を確保するためのものです。
    2. お墓の管理が十分になされておらず、お墓に異変があったときにはまず変死者密葬罪(刑法192条)の嫌疑がかけられ、証拠品を鑑定にかけ、犯罪の可能性があるかどうかを調べることになります。

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