サスシリンダシール
左側が取り外した、右が新品シールです、上から、フェルト:PTFE:ゴムOリングの配列。
この写真ではフェルト製ダストシールのヘタリが認られます。
今日的な見方では、”フェルト”なんてという見方もありますが、しっかり役目をはたしていることが
汚れとなって現れていると、筆者は考えています。
PTFEシール新旧の比較
こちらは、サスシリンダの肝とも言える、PTFE製のシールです。
肉厚は旧0.84mmと新0.86mmと2/100ミリの差異が認めれれます、ただこの数字は磨耗減量を表しているのか、元々の加工公差なのかを確定することは困難ですが、仮に磨耗減量だと仮定すると・・・
このような円形のシールの場合、両側分を考慮に入れる必要があるので、4/100の磨耗が認められることになります。
さらに、PTFEの内周表面には、硬質な汚れが付着しているのですがこれもリーク量を増やす遠因になりうると考えています。
この汚れのために摩擦抵抗も増大するので、サスペンションの動きも悪くなると推測してます。
測定の趣旨
LHMのリークバック量を測定する前に、新品、中古品のサスペンションシールを同一のサスシリンダに組み込み、無荷重、無潤滑でのサスピストンの作動荷重を測定する。
その結果から、サスペンションシリンダのリペアの必要性の有無を検討する。
測定
測定準備
まず、サスピストンの外径を測定し、ピストンの状態を把握する。
サスピストンの外径を5箇所均等に測定する(1/1000のマイクロメータ使用)
1は開放側、5はシリンダの奥側
測定箇所 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
外径 | 29.970 | 29.971 | 29.971 | 29.970 | 29.967 |
以上の結果から さほど磨耗は無いのではないでしょうか?
測定方法
原理は簡単、右の写真のように秤の上にサスシリンダを置き、上から押してサスシリンダを
作動させ、そのときの荷重を測定する。
そして測定値からはサスシリンダの重量を除き、作動荷重とする。
そのとき、シールとピストンには潤滑材等は塗布しない。
結果
サスシリンダの重量:0.94Kg
中古サスシール組み込み時の作動荷重 :1.8〜2.05Kgf
新品サスシール組み込み時の作動荷重 :0.75〜0.82Kgf
考察
上記の結果から、明らかにサスシールの状態によって、作動荷重に差異があることが認められる。
これは、新品のPTFE製シールに比べ中古品の作動表面に付着した、物質によって摩擦抵抗が
増大したものと推測する。
さて、この荷重の差が、実際の乗り心地にどれだけの影響をもたらすのか、興味のあるところである。
とわいっても、このような結果を見ると、やはりDSの本来の乗り心地を維持するためには定期的な
サスシリンダのシール交換、保守が必要なのではないでしょうか?
あと問題はその期間もしくは 走行距離の規定でありましょう。