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スペシャルレポート

WINDOWS WORLD Expo Tokyo 96特集


  • 展示会情報
  • 基調講演・特別講演(マイクロソフト社、ジャバソフト社、オラクル社)

    −展示会情報−

     今回で第5回目となるWINDOWS WORLD Expo Tokyo 96が、幕張メッセで6月  26日から29日の4日間でスターとした。前回は約15万人の来場者で賑わっ  たが、主催のIDGでは今回の入場者数を約18万〜20万人と見ている。  これは、特にウィンドウズ95が昨秋に発売された後、はじめてのエキスポで  あるため、ビジネスユーザのみならず、個人ユーザの関心の高まりが、そのま  ま入場者数に反映されると見込んでいるからだ。  写真1 展示ホール123  というわけで、初日に展示会へ足を運ぶことと  なったので、展示会の様子を順次報告しよう。  また、ビルゲイツ氏の基調講演などについても  準備が整い次第紹介する。  初日の、しかも平日の午後遅く(16時以降)  ということもあり、比較的空いているという感  じを受けた。マイクロソフトをはじめ各ブース  とも来場者の流れはスムースで、目立った人だ  かりはなかった。  全体としては、ハードウエアはノート型PCや  写真2 展示ホール456  携帯端末、ディジタルカメラなど、またソフト  ウエアはインターネット関連(Webパブリッ  シングなど)といったところであるが、これと  いった目新しい発表が特になかったので、今一  つ盛り上がりに欠けているようにも思えた。  ノート型PCや携帯情報端末では、東芝、三菱、  IBM、シャープ、松下、DEC、NECなど  が力を入れており、特に東芝はノート型PCの  ラインアップを再編成(テクラ、サテライト・  プロ、サテライト、ポーテジェ、リブレットの  写真3 東芝ブース  5種類)したこともあって、展示に力を入れて  いた(写真3)。中でも一番の人気は、ウィン  ドウズ95搭載で世界最小・最軽量をうたうリ  ブレット20で、人だかりが絶えなかった(写  真4)。ノート型で世界トップシェアを誇る東  芝の力を見せつけられたようだ。  ペンベースのサブノートPCでは、三菱電機の  アミティーSP(写真5)と富士通のペンノー  ト(写真6)が目を引いた。どちらもペン・サー  ビス・フォー・ウィンドウズ95を搭載し、  写真4 リブレット20  7.5〜7.8インチのDSTNカラー液晶、  および340MBのHDDを持つ。ただし、ア  ミティーは重さが1キロ以下であるが、ペンノー  トは1.7キロと決して軽くはない。  松下電器のサブノートパソコン「レッツノート」  は、1.45キロ、B5サイズでありながら、  SVGA表示(800*600)が可能な  10.4インチTFT液晶搭載と、まずまずの  仕上がりである。MPUはペンティアム120  MHz、RAM16MB、HDD810MBと  写真5 アミティーSP  実用に耐える仕様だ。(写真7)  IBMもシンクパッドの新版を投入した。シン  クパッド535は、A5サイズの1.7キロで、  基本的にはレッツノートと変わらない。ただし  RAM8MBは現実的ではなく、増設は必須だ  ろう。(写真8)  その他ではディジタルカメラに注目が集まって  いた。カメラを手がける各社が揃って製品を既  に発表しており、来場者は実際にカメラを手に  写真6 ペンノート  取って使用感やパソコンに取り込まれた画像を  まじまじと見ていた。キャノンのディジタルカ  メラ「Power Shot600」は1/3インチ57万  画素のCCDを搭載しており、パソコンに取り  込んだ画像は非常にきれいで、しかも取込速度  が速い。またデータの記録にはタイプ2および  3のPCカードが使えるため、タイプ3のハー  ドディスクカードもOK。ただ、もう少しの小  型化と液晶モニターを付けてほしかった(写真  9)。12万8000円で7月の発売である。  写真7 レッツノート  一方で富士写真フィルムは1.8インチカラー  液晶モニタ搭載のディジタルカメラ「DS−7」  を7月に発売する。データ記録用に切手サイズ  のメモリーカードSSFDCを採用したのが特  徴で、カシオQV−30の競合製品になるもの  と思われる。(写真10)  コダックは既にDC40、DC50zoomと  いった10万円台クラスのディジタルカメラを  ラインアップしているが、徹底した小型化と低  価格化を実現したDC20(3万9800円)  写真8 ThinkPad 535  を新たに投入した。液晶モニタは無いが、この  価格でパソコンと接続するケーブルやソフトが  付属しているため、コストパフォーマンスは非  常に高い。ただし、搭載CCDは1/3インチ  27万画素であるため、高画質は期待できない。  (写真11)  ソフトウエアでは、まずマイクロソフトのブース。  ビルゲイツが基調講演でも力説していたが、26  日マイクロソフトのメッセージングシステムで  写真9 Power Shot600  あるエクスチェンジ・エンタープライズ・サー  バが発売されたこともあり、エクスチェンジの  プレゼンに力を入れていた。ただ、機能そのも  のは特に新しいわけではなく、CC:MAIL  を導入している企業が、あえて入れ替える必要  性はない。エクスチェンジはウインドウズとの  親和性は高いが、約7割のシェアとマルチ・プ  ラットフォーム化の進んでいるCC:MAIL  の方が有利だ。  WWWブラウザでインターネット・エクスプロー  写真10 DS−7  ラ3.0の日本語版(以下IE3.0)が出展  され、これは他のブースでも多く使われていた。  ネットスケープ・ナビゲータがほとんど目立た  なかったが、これはマイクロソフトの戦略によ  るものと思われる。なお、ネットスケープ・コ  ミュニケーションズ社は出展していなかった。  インターネット・カフェ(体験コーナー)で実  際にIE3.0を使ってみたが、操作感はまず  まずといったところ。ただしJavaスプリク  トとJavaには、ベータ版ということもあり、  写真11 DC20  まだ対応していなかった。ネットスケープ・ナ  ビゲータに使いなれたユーザには、まだ満足の  いかない仕上がりだろう。IE3.0だけに限  ればネットスケープ・ナビゲータの優位は変わ  らないだろう。  またmsnの普及にも力を入れていたが、現時  点では割高感を否めない。接続料金を値下げし  たものの、現在のサービス内容では納得できな  いユーザが多いのではないか。  写真12 マイクロソフト・ブース  ロータスもノーツとCC:Mailを中心に、  インターネットとイントラネットの統合を進め  ている。特にグループウエアの先駆けであるノー  ツはシェア7割以上といわれ、Webパブリッ  シング機能を付加したインターノーツWebパ  ブリッシャーや、ロータスのビジネスソフトパッ  ケージであるスーパーオフィスにパーソナルノー  ツを追加するなど、徹底したノーツ中心の戦略  だ。CC:Mailもそうだが、ウィンドウズ  だけでないマルチプラットフォームに対応して  写真13 ロータス・ブース  いる点が、マイクロソフトその他の製品に対す  る強みだろう。ただノーツが独自のメッセージ  ングシステムを使っているため、ノーツの機能  を閉じた世界でしか利用できないのは残念であ  る。データベースとしての業界標準技術の早急  な対応を望みたいところだ。(写真13)  Webパブリッシングでは、アドビがアクロバッ  ト技術を、マクロメディアがショックウェーブ  技術の紹介に力を入れていた。両技術ともイン  写真14 アドビ・ブース  ターネットでは既に多く利用されており、標準  の座にまた一歩近づいた感じだ。  (写真14/15)  ちょっと変わったところで、アップルのマッキ  ントッシュ関連のブースを2つ紹介する。  マックでは定番のリレーショナルデータベース  である4Dファミリーがウィンドウズに完全対  応した。マックとウィンドウズで完全にシーム  レスな共通のデータベース環境が実現でき、ま  写真15 マクロメディア・ブース  たWWWサーバなどのインターネットサービス  と連携したデータベース運用が可能となってい  る。(写真16)  ソフト・ウインドウズ3.0は三菱商事が販売  している、マック上の1ウインドウとして動作  可能なウインドウズ・エミュレーションソフト。  このエミュレータはマイクロソフトからソース  コードの使用許可を得て作られているため、安  定性は本家ウインドウズ95と同等である。ま  た、マック本体やネットワークの資源を、ウイ  写真16 SRA・ブース  ンドウズ95からすべて受けられる上、ウイン  ドウズ95の基本機能がすべて利用可能な点は  ありがたい。速度の問題でウインドウズ95の  メインマシンとしては適さないが、ウインドウ  ズのソフト資産をマック上で使用できる点は、  さまざまなケースでプラスとなるだろう。  (写真17)  エキスポの中で一番人の集まるところは、何と  いってもショップである。ステップ(写真18)、  写真17 三菱商事・ブース  T−ZONE(写真19)などの出店は恒例と  なった。これらの店では、通常価格よりも更に  値引きされている物が多く、この機会に購入し  ていく来場者は特に多いものと思われる。  ただ、初日の夕方というだけあって、人はそれ  ほど多くなかった。やはりピークは、一般客が  多数訪れる最終日の29日(土)ということに  なるのだろう。  写真18 ステップ                写真19 T−ZONE

    −基調講演・特別講演−

     6月26日、Windows World Expo Tokyo'96の開催と同時に、国際会議場2階  コンベンションホールで、マイクロソフト社の会長兼最高経営責任者(CEO)  であるビル・ゲイツ氏の基調講演が行なわれた。またこの日はビル・ゲイツ氏  を含めて4名の基調講演・特別講演があり、そのうちジャバソフト社の社長で  あるアラン・バラッツ氏、オラクル社の副社長であるロブ・モレル氏の3つの  講演について、その概略をお届けする。  最初の基調講演は−当然のことではあるが−ビル・ゲイツ氏により行なわれた。  ゲイツ氏は、まず現在のパーソナルコンピュータ(以下PC)が速度・価格・  信頼性において ―MPUがゴードンムーアの法則通り、約2年に2倍の性能  アップしていることを含めて― 順調に開発が進んでいることを強調し、ハー  ドディスク(HD)、RAMの大容量化、3次元・動画像(MPEG2)サポー  トなど現在の流れを歓迎するとともに、マイクロソフト社が4月に提唱した  SIPC(シンプリー・インタラクティブ・PC)の仕様も、これらの高性能  化の流れを享受できると説明した。SIPCは1クリックでゲーム、ミュージッ  ク、留守電などが利用でき、IEEE1394やUSB(ユニバーサル・シリ  アル・バス)を通して、さまざまな周辺機器が簡単に接続・操作できるように  なると強調した。SIPCは拡張不可能なシールドケースを利用するため、ハ  イスペックな仕様(ペンティアム150MHz以上、RAM16Mバイト以上)  となるようだが、1000ドル以下で提供できるのかどうかは疑問だ。  インターネットに関しては、この爆発的な増加が、かつてFAXがそうだった  ように、臨界質量に到達した場合の当然の現象と説明。この臨界質量の到達に  はPCの普及が必要だったし、また大きな影響を与えたとし、今はインターネッ  トがPCを変えようとしていると力説。ほとんどの企業で単純な使われ方をし  ていたネットワークは、インターネットの普及でLANとWWWの世界が一体  となる「イントラネット」へと変化し、イントラネットも以下に示す応用分野  でさらに進化していくと強調した。  (1)意志決定システム  (2)コミュニケーション  (3)日常業務      など  またゲイツ氏の考える今後のトレンドを、以下のように示した。
    項   目現   在将   来
    ネットワークLANグローバル・ネットワーク
    ユーザ・インターフェースGUIベースページとリンク
    情報へのアクセス手段リンクアクティブ・デスクトップ
    情報の格納方法複合ドキュメントWebドキュメント
    デスクトップ・アプリケーションスイートパーソナライズ
     これ以降はマイクロソフト社製品の宣伝が続いた。コンテンツに息を吹き込む
     (アクティブにする)ビジュアル・プログラミング・ツール(VB、VC++
     およびVisual Java++)、高価なワークステーションよりもウィン
     ドウズNTやBack Office、新しいPCのデスクトップとなるエク
     スプローラなどなど。当然ウィンドウズ95の宣伝も −国内で500万本、
     全世界で2500万本出荷と− 忘れない。ただ最も宣伝したかったのは、こ
     の日に正式出荷が始まったディレクトリサービスを提供するエクスチェンジ・
     サーバだったようだ。後述するが、いかにも作られたようなエクスチェンジ・
     サーバ導入成功事例ビデオを見せて、「あなた方は今のままでいいのですか?」
     といわんばかりであった。このあたりのプレゼンテーションの巧さは、やはり
     マイクロソフト社は技術の会社ではなく、マーケティングの会社なのだと考え
     させられてしまう。導入ビデオを見た人の何割かが、心を動かされたのかと思
     うと滑稽である。
    
     またこれからは統合化がキーワードとし、アプリケーション/クライアントツー
     ル/サーバのあらゆる部分で統合化を進めていくと強調した。
    
    項   目対             応
    アプリケーションデスクトップ、ヘルプ、フォーム、メールの操作性は皆同じ
    クライアントツールウィンドウズファミリー
    統合された開発環境(VB,VCなど)
    サーバ統合化されたディレクトリサービス
    (ファイル、メール、データベース)
     基調講演の中でデモンストレーションされたのは、今夏に出荷が予定されてい
     るWWWブラウザのインターネット・エクスプローラ3.0(以下IE3.0)
     と、IE4.0でウィンドウズと統合されるアクティブ・デスクトップ、そし
     て先にも述べたディレクトリサービスを提供するエクスチェンジ・サーバであ
     る。(エクスチェンジ・サーバはビデオ紹介のみ)
     IE3.0は、インターネットの標準技術をすべて採用し、さらにネットスケー
     プナビゲータ(以下NN3.0)にはない機能まで取り込んで、突き放そうと
     する姿勢を見せた。
    
     ・フレーム機能、WWWスタイルシート、Webフォント
     ・コミュニケーションとコラボレーション
     ・アクティブXコントロール、Java、VBスクリプト、Javaスクリプト
    
     例えば、IE3.0では文字ごとにTrueTypeフォントが指定できるが、
     NNはバージョン4.0までお預けである。またNN3.0でサポートしない
     アクティブXコントロールとVBスクリプトは、業界標準技術ではないが、マ
     イクロソフト社の製品を利用しているユーザが多いだけに、IE3.0の出来
     次第ではNN3.0の脅威となる可能性がある。
     エクスチェンジ・サーバは、簡単にいうとロータス社のCC−Mailと
     Notesの中間に位置するようなソフトウエアといえそうだ。ゲイツ氏は、
     より強力、高速でスケーラブルなインターネットのメールシステムとしたうえ
     で、今後はメッセージングシステムの業界標準になると説明していた。またゲ
     イツ氏は、エクスチェンジ・サーバを社内で1年間実験したことによる実績と、
     X.400やデータ復旧性の高いトランザクション・ログの採用など、安全面
     や信頼面への配慮を特に強調していた。
     米国での導入企業として、ボーイング、EDS、テキサコ、シェルなどをあげ、
     日本でも日産自動車、石川島播磨重工業、トステム、エプソン、ニッセンなど
     が導入を決めたとし、導入事例ビデオをこの後で見せた。ビデオでは石川島播
     磨重工業(以下IHI)とエプソンが紹介された。参考までに説明しておくと、
     IHIではつい最近まで全社共通で利用できるPCベースのメッセージングシ
     ステムは存在しなかったので、タイミング的に導入しやすかったという経緯が
     ある。このような会社にとっては、どんなソフトでも、導入すればコミュニケー
     ションが改善されるのは当たり前で、ソフトの選定はほとんど意味がない。
     もし、あなたの会社でCC−MailとNotesが導入されていたら、高い
     お金を払ってエクスチェンジに乗り換えるのは、ほとんど意味がなく、投資し
     た入れ替え費用を回収することは極めて難しい。私が見る限り、機能的に特に
     優れているといった部分はなく、何よりマルチプラットホームに対応していな
     い。ただ、IHIのように全く新規に導入する場合は、選択肢の1つに加えて
     もよいと思う。
     
     そして最後に紹介されたのが、従来「ナッシュビル」というコード名で開発が
     進められていたIE4.0のデモである。IE4.0では、ファイル管理プロ
     グラムの「エクスプローラ」と統合され、インターネット/イントラネットの
     内外を問わずに、ファイルなどの検索ができるようになる。さらにウィンドウ
     ズのデスクトップを、ブラウザ(IE4.0)で覆い隠すことができるように
     なり、これをゲイツ氏は「アクティブ・デスクトップ」と呼んだ。つまりIE
     4.0はブラウザとメッセージングを統合するOSの一部になるというわけだ。
     このブラウザそのものであるアクティブ・デスクトップでは、アクティブXコ
     ントロールを利用することで、同社のWordやExcel、Power−
     Pointなどのファイルをそのまま開くことができる。また、アクティブ・
     デスクトップではネット・ミーティングが利用でき、その1形態としてアプリ
     ケーションのネットワーク・シェアリングを、実際にExcelを使って説明
     した。
     デモを見て、確かにネットの内外を意識することなく利用できるとは感じたが、
     インターフェースの出来が悪いため、逆にユーザの混乱を招くことになるとも
     感じた。最も気になるのは、まだ十分にユーザインタフェースの練られていな
     いWWWブラウザを、PCのデスクトップに置き換えてしまうことの危険性で
     ある。マイクロソフトという会社は、今までの製品開発は2番手戦法のいわゆ
     る「ものまね」で、確実なマーケティングを行なってきたが、アクティブ・デ
     スクトップについては先走りの感がある。とはいってもブラウザの技術そのも
     のは、やはり「ものまね」だが・・・。ユーザインタフェースに関わる部分で
     未熟なものに、しかも大幅に変更することは、企業や個人ユーザに過大な負荷
     と修得コストを課すことになりかねない。またゲイツ氏はダメなものを簡単に
     切り捨てることで有名だが、アクティブ・デスクトップはその危険性を十分に
     含んでいると見る。何故なら、OSをWWWブラウザが覆い隠すという構想を
     最初に示したのは、NNをもつネットスケープ・コミュニケーションズ社であ
     り、マイクロソフト社はこれを阻止するために、同じ手で先手を打とうとして
     いるだけなのである。結局ユーザ本位の製品開発ではなく、メーカ押しつけの
     状態は少しも変わっていないことになる。
    
     ゲイツ氏は、今回の基調講演の結論として以下のようにまとめて講演を締めく
     くった。
    
      結         論
    イントラネット時代の到来
    コスト削減のためにインテグレーションが重要
    ビジネスや教育を変革するインターネットとPCの融合



    
    
     ビルゲイツに続いて基調講演を行なったのは米ジャバ・ソフト社の社長である
     アラン・バラッツ氏である。(タイトルは−次世代コンピューティングへの突
     破口−)
     まずバラッツ氏はアプリケーションが持つ重要な特徴として、TCP/IP、
     HTTP、HTML、そして何処にでも、安全に利用できるJava、と話を
     切り出した。
     約1カ月前にJavaの会議であるJavaOneが多くの企業の支持のもと
     に行なわれたことを示し、JavaがPC業界の大きな勢力となっている理由
     について、以下の4つの分野にJavaが価値をもたらすことで説明した。
    
    分   野効             果
    4つのグループ
    (PC業界)
    アプリケーションとOSの間のロックを壊すことができる
    業界全体の土俵を同じにする
    エンドユーザインタラクティブなネットワーク上のアプリ同士の連係が可能になる
    ディベロッパー大型アプリを小さなアプレット(20〜100KB)の集合体にできる
    ビジネス参入コストを抑えることができる
    移植コストが抑えられる
    ネットワークのみでの利用が可能なので売上原価をゼロにできる
    企業のIS部門アップデートなどの保守メンテナンスが大幅に低減される
     1年前に発表されたJavaがどのようにしてここまで来たのか、その革命的
     な歴史が
      ・ゼロコスト・ディストリビューション
      ・インスタント・サプライ&デマンド
      ・コラボレーション&イノベーション
     などにより起こったことを力説し、さらに今後のミッション達成のためのゴー
     ルを以下のように示した。
    
     1.API、ライブラリのJava環境への統合
       〜6つのAPI「Java Applet APIs」を発表
         ・Media APIs
         ・Servlet
         ・エンタープライズ APIs
         ・セキュリティー APIs
         ・マネージメント
         ・コマース APIs
        Java Applet APIsはJavaOneで発表したもので、
        順次出荷するとしている。
       〜エージェント・テクノロジーの付加
       〜Java APIsストラテジー
         ・アーキテクテャのインクリメントで競争することを目指している
         ・プラットホームに対して中立でなくてはならない
       〜Java Beans
         ・コンポーネント・アーキテクチャ
         ・OpenDoc、OLEと連係可能
       〜HotJava
         ・WWWブラウザ
         ・Javaプラットホームのデスクトップ
         ・メールクライアントにもなる
         ・コンテント・ハンドラ、プロトコル・ハンドラでブラウザをコント
          ロールできる
         ・動的に拡張可能なデスクトップ
       〜エンハンスメント
         ・パフォーマンスの向上
         ・AWT fixes
    
     2.すべてのコンピュータ・デバイスにJavaをのせる
       〜OSライセンスは9社
         ・Apple
         ・HP
         ・IBM
         ・マイクロソフト
         ・ノベル
         ・SCO
         ・SGI
         ・SunSoft
         ・Tandem
        これにより「どのプラットホームにも存在する」が可能になるとした。
       〜JavaOSは40社以上が支持
        これはネットワークコンピュータなどでJavaアプレットを利用する
        ためのコンパクトなオペレーティングシステム。
       
     3.ディベロッパーへのサポート
       〜Javaスクール
       〜オンライン・テクニカル・サポート
                          など
    
     バラッツ氏の講演で印象的だったことは、これからはインターネットでの利用
     が当然のこととなり、従ってその利用環境やアプリケーションはマルチプラッ
     トホームで、しかも中立・公平でなくてはならないと力説していたことである。
     これは単にウィンテルを非難したものではなく、バラッツ氏自身が、健全な環
     境やあらゆる人への利益還元、という願いを強く持っているのではないかと、
     筆者は強く感じた。
    
    
    
    
     (なお、ロブ・モレル氏については、都合により掲載を中止することとなりま
     した。大変ご迷惑をおかけしました。)
    
    
    
    
    

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