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スペシャルレポート

NetWorld+Interop 97 Tokyo特集


今年で4回目となるNetWorld+Interop 97 Tokyo(以下N+I)の展示会が、ネットワーク協議会/ソフトバンクフォーラム株式会社の主催で、1997年6月4〜6日まで幕張メッセで開催された。筆者がN+Iの会場を訪れるのは今回が初めてであったが、日本コンベンションセンターのメインホール1〜8をフルに使用した、この手の展示会としては最も充実した内容となっている(最終的な出展社数は320社で、来場者数は90,820人となった)。
今回のN+Iでは興味深い基調講演もあったが、筆者は時間の都合で聴講できなかった。また、展示会についても、6月5日の午後しか時間を確保できなかったため、基調講演の内容や一般的な展示会の内容については大手のサイトに任せ、今回は内容をぐっと絞ってお届けしたい。



  • その1・ケーブルテレビでインターネット

  • その2・写真で見るNetWorld+Interop 97 Tokyo・会場の様子



    その1・ケーブルテレビでインターネット


    米国ではかなり話題になっているが、日本でも徐々に認知されてきた、ケーブルテレビを利用したインターネット接続システムがフジクラ、富士通、TTNetの3社のブースで展示された。その内、実際にハードウエアを展示したのはフジクラ、富士通の2社である。

    フジクラのブースでは、Com21のケーブルモデムシステムが展示された。このシステムは、ケーブルテレビの伝送路のみを利用して、上り(送信)最高2.56Mbps、下り(受信)最高30Mbpsでのデータ通信が可能な非対称の通信システムである。

    ケーブルテレビ会社の放送センターなどに設置するセンター装置(ComCONTROLLER)とシステム管理ソフトウェア「NMAPS」、各ユーザ宅に設置するケーブルモデム(ComPORT)で構成され、これらの装置間はATM(非同期転送モード)で結ばれる。このため、ATMの範囲内では特定のユーザのみ必要な帯域を確保する「仮想専用線」、つまりQoS(クォリティ・オブ・サービス)が実現できる。ただし、当然のことながらセンター装置から外側は、プロトコル変換によりIP接続となる。

    センター装置(ComCONTROLLER)
     
    ケーブルモデム(ComPORT)

    実は、我が江東ケーブルテレビ(株)が1997年7月以降に始める2回目のインターネット接続実験で、同システムを利用することになっている。やはり問題は、仮想専用線の性能、および大規模ユーザ接続時のパフォーマンスあたりになろう。十分な成果が得られることを期待したい。

    ユーザ宅に設置されるケーブルモデム(ComPORT)の価格は、ロット数にもよるが5〜8万円程度になるようだ。また、このモデムの設置は、横置き、縦置き、壁掛けの3通りが選べる。パソコンとは10BaseTで接続することになり、パソコン側にはイーサネット・ボートの装備が必要である。さらに、モデムには拡張スロットがあり、ケーブル電話ユニットが差し込めるようになっている。将来的に利用可能になるとのことだが、ただしケーブルテレビ会社が採用すればの話である。
    Com21のケーブルモデムシステムは97年4月より量産に入っており、日本国内ではフジクラなどを通して入手可能とのことだ。

    TTNet(東京通信ネットワーク)のブースは、TTCN(TTNet Computer Network)という通信サービスのプレゼン/展示がメインになっており、ケーブルテレビに関することは、数枚の説明ボードによる展示に留まった。TTCNは、簡単に言えばNTTのOCNのようなもので、日本テレコムのODN同様、NTTよりも低価格で提供されるとのことだ。
    ケーブルテレビに関しては、「CATV-ISP実用化実験」が平成9年6月〜平成10年3月の期間(予定)で計画中との展示がされていた。この構想は、既にIIJなどが昨年に打ち出しているが、要はこれからインターネット事業に参入するケーブルテレビ会社が、非常に手間のかかる、各種管理サーバ保守や運用管理といったプロバイダ業務的な部分を、各社が個別に持たず、TTNetがまとめて受け持つことにより、人材不足の解消や、初期費用および運営費の削減などが図れるというものである。ただそのためには、それなりの数のケーブルテレビ会社が、TTNetに接続する必要があり、コストダウンが図れるかは微妙なところだ。この実験では、むしろこのような形態がうまく機能するかといった点の方が重要になるだろう。

    CATV-ISP実用化実験

    富士通ブースでは、あまり目立たない場所にケーブルモデムシステムが展示されていた。このシステムは、上り2Mbps、下り8Mbpsの非対称型で、ケーブルモデムの背面には10BaseTのジャック以外に電話のジャックも備えられている。つまり、ケーブルテレビ会社さえその気になれば、ケーブル電話がすぐに始められる仕様になっている。ケーブルモデムの価格は8万円程度で、要求があれば、すぐにでも生産ができる体制にあるとの説明を受けた。

    富士通のケーブルモデム「CAU」
     
    富士通・CATV情報通信システム

    N+Iの会場で確認できたケーブルモデムシステムはこれだけであるが、展示こそないものの、日本のメーカ数社(松下や東芝、パイオニアなど)が既に開発しており、また海外製品も大手商社を通して入手できる段階にある。先日のヒューレット・パッカード(HP)撤退報道で、一時期雲行きが怪しくなったが、業界そのものは拡大傾向にある。
    実は、6月11日〜13日まで東京・池袋サンシャインシティで「ケーブルテレビ'97」という展示会が開催されているが、この会場で多数のケーブルモデムシステムを見ることができる。興味のある方は、是非足を運んでいただきたいが、筆者に余力があれば、本サイトでも紹介したいと考えている。もし興味のある方は、筆者までメールで連絡をいただきたい。






    その2・写真で見るNetWorld+Interop 97 Tokyo・会場の様子


    以下は、展示会の会場の様子を、ただ単に各ホールごとに並べた。写真を見ると一目瞭然なのだが、これだけのホールを使って、3日間の来場者数が9万人そこそこだから、大したことはないというよりも、むしろビジネス色の強い展示会であることがよく分かる。


    ホール1



    ホール2



    ホール3



    ホール4



    ホール5



    ホール6



    ホール7・8




    (この項おわり/なかみつ)


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