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国文学:基本叢書

Q:和歌の基本資料は?

A:以下の書籍がそうです。

●『新編国歌大観』角川書店
勅撰集、私家集、私撰集、歌合、物語中の和歌etc…とにかく江戸までに詠まれた和歌を集大成した本。底本は基本的には信頼の置ける写本に求めている。歴史学などの分野の人が、論文で和歌を引用するときなどには、とりあえずこれに依っていれば大体文句を言われることはないはず。和歌は、作者名、詞書き、左註、本文などだけで、現代語訳は載っていない。
各冊末尾に付された底本の説明解題は、何が善本であるかが簡便に記されていて便利。
索引は四句索引なので、単語単位での検索などは出来ないが、CD-ROM版も出たので、(価格の問題をクリアできれば)単語単位の複合検索も可能になった。

●『私家集大成』明治書院
私家集のみを集めたもの。人麻呂集とか貫之集とかの個人歌集を集大成している。現在学会で名の通っている研究者が若い頃に編集を行った。長年増刷されず、入手困難な状況が続いたが、現在、改訂版を準備中との情報有り。
和歌は、作者名、詞書き、左註、本文などだけで、現代語訳は載っていない。
底本の異文表記なども細かく翻刻されているので、私家集に関して、細かく見て行く必要が有るときには『新編国歌大観』に加えて、こちらも参照すると良い。四句索引もついている。

●『平安朝歌合大成』萩谷朴篇 同朋舎
最初、編者の私家版10冊として出され、後に同朋舎刊。最近増補新訂版が五冊本として出版された。歌合で詠まれた歌の本文に関しては、この本が最高権威である。和歌は、本文などだけで、現代語訳は載っていない。索引もついている。又、歌合の作法次第などに関しても詳しく論じられているので、有職故実の面から調べたい向きにも薦められる。


Q:和歌や物語など,古典文学の現代語訳が見たい。

A:以下の叢書が、和歌のみならず、物語、随筆なども含め、最新の注釈と本文を提供する優れた叢書とされ、一般によく参照されています。

●新日本古典文学大系(岩波書店)
「新大系」と言われています。
ポイント:八代集が全部入っています。八代集に関しては、CD-ROM版も出ていますし、八代集総索引も冊子体で刊行されています。
江戸文学もかなり豊富に収録している点が特徴です。

八代集総索引 古今和歌集 後撰和歌集 拾遺和歌集 後拾遺和歌集 金葉和歌集 詞花和歌集 千載和歌集 新古今和歌集 M-324740 picture園録稿 けいせい色三味線 けいせい伝受紙子 たまきはる とはずがたり とりかへばや物語 伊勢物語 異素六帖 宇治拾遺物語 仮名草子集 閑居友 閑吟集 紀行 戯場粋言幕の外 狂歌才蔵集 狂言歌謡 狂言記 曲亭伝竒花釵児 近松浄瑠璃集 近松半二江戸作者浄瑠璃集 近世歌文集 句双紙 元禄俳諧集 源氏物語 古今夷曲集 古今俄選 古本説話集 己巳紀行 五山堂詩話 五山文学集 好色二代男 更級日記 江戸歌舞伎集 江戸座点取俳諧集 江戸繁昌記 江談抄 今昔物語集 催馬楽竒談 三宝絵 三野日記 山家鳥虫歌 仕懸文庫 四方のあか 紫式部日記 七十一番職人歌合 室町物語集 住吉物語 初期俳諧集 承久記 寝惚先生文集 新撰狂歌集 粋宇瑠璃 菅茶山頼山陽詩集 世間娘気質 西鶴諸国ばなし 西鶴置土産 西鶴名残の友 西遊記 昔話稲妻表紙 折々草 草双紙集 続日本紀 太閤記 袋草紙 大千世界楽屋探 竹取物語 竹田出雲並木宗輔浄瑠璃集 竹林抄 中華若木詩抄 中外抄 中世日記紀行集 中世和歌集(鎌倉篇,室町篇) 注好選 鳥辺山調綫 堤中納言物語 庭訓往来 天明俳諧集 田舎芝居 田舎荘子 田植草紙 徒然草 土佐日記 東路記 湯山聯句鈔 当世下手談義 当世穴さがし 日本詩史 日本霊異記 芭蕉七部集 梅M-054700 picture詩鈔 繁野話 比良山古人霊託 富家語 浮世風呂 武道伝来記 舞の本 平安私家集 平家物語 平治物語 米饅頭始 保元物語 宝物集 方丈記 本朝一人一首 本朝水滸伝 本朝二十不孝 本朝文粋 枕草子 万の文反古 柳橋新誌 謡曲百番 落窪物語 琉歌百控 梁塵秘抄 偐紫田舎源氏 蜻蛉日記 鄙廼一曲 など。

●日本古典文学大系(岩波書店)
「旧大系」と言われています。菅原道真の菅家文草・菅家後集など、日本漢詩文の注釈も含んでいる点が特徴的です。
但し、現代語訳は付いていないので取っつきにくいかもしれません。
索引が二冊出されていますが、この索引も非常に便利です。
その用法の幾つかを紹介します。

最後の辞書として・・・と言うのは、「旧大系」の頭註で言及された言葉を一覧にした索引が付されているので、それを参照すれば、実際の用例=本文。その注釈=頭註、と言う風にして確認できます。
「あげまき(総角・角子)」の項目を見ると日本書紀、栄華物語、夜半の寝覚め、狭衣物語、古今著聞集に用例があることが直ぐにわかります。勿論、この索引で「総ての」用例が分かるわけではありませんが、語の性格を知る際の手がかりになりますし、伝説的な人名などがどこで使われているか、(十二神将と言う語は日本文学にどのような場面・イメージ使われているか、など)を調べるときにも役立ちます。

上田秋成集 浮世草子集 浮世風呂 宇治拾遺物語 歌合集 宇津保物語 榮花物語 江戸笑話集 大鏡 落窪物語 堤中納言物語 御伽草子 懐風藻 文華秀麗集 本朝文粹 假名草子集 假名法語集 歌舞伎脚本集 歌舞伎十八番集 歌論集 能楽論集 菅家文草 菅家後集 黄表紙 洒落本集 狂言集 近世思想家文集 近世随想集 近世俳句俳文集 近世文學論集 近世和歌集 義経記 愚管抄 源氏物語 古今和歌集 古今著聞集 古事記 祝詞 古代歌謡集 今昔物語集 五山文學集 江戸漢詩集 西鶴集 狹衣物語 山家集 金槐和歌集 三教指歸 性靈集 沙石集 春色梅兒譽美 正法眼蔵 正法眼蔵随聞記 新古今和歌集 親鸞集 日蓮集 浄瑠璃集 神皇正統記 増鏡 川柳狂歌集 曽我物語 戴恩記 折たく柴の記 蘭東事始 太平記 篁物語 平中物語 濱松中納言物語 竹取物語 伊勢物語 大和物語 近松浄瑠璃集 中世近世歌謡集 椿説弓張月 東海道中膝栗毛 土佐日記 かげろふ日記 和泉式部日記 更級日記 日本書紀 日本靈異記 芭蕉句集 芭蕉文集 風来山人集 風土記 蕪村集 一茶集 文樂浄瑠璃集 平安鎌倉私家集 平家物語 保元物語 平治物語 方丈記 徒然草 枕草子 紫式部日記 萬葉集 謡曲集 夜の寝覺 連歌集 連歌論集 俳論集 和漢朗詠集 梁塵秘抄 など

●日本古典文学全集(小学館)
「旧全集」と呼ばれています。
全現代語訳が付いているので親しみやすいです。

和泉式部日記 紫式部日記  更級日記 讃岐典侍日記 井原西鶴集 宇治拾遺物語 大鏡 落窪物語 堤中納言物語 御伽草子集 神楽歌 催馬楽 梁塵秘抄 閑吟集 仮名草子集 浮世草子集 歌論集 黄表紙 川柳 狂歌 狂言集 近世俳句俳文集 義経記 源氏物語 古今和歌集 古事記 上代歌謡 今昔物語集 洒落本 滑稽本 人情本 新古今和歌集 浄瑠璃集 竹取物語 伊勢物語 大和物語 平中物語 近松門左衛門集 東海道中膝栗毛 土佐日記 蜻蛉日記 日本霊異記 英草紙 西山物語 雨月物語 春雨物語 平家物語 方丈記 徒然草 正法眼蔵随聞記 歎異抄 枕草子 松尾芭蕉集 萬葉集 謡曲集 夜の寝覚 連歌俳諧集 連歌論集 能楽論集 俳論集 など。

●新編 日本古典文学全集(小学館)
「新全集」と呼ばれています。
全現代語訳が付いているので親しみやすいです。
万葉集の最新の本文と現代語訳は、新全集が良いようです。
古今集も、旧大系、新体系、新全集と読み比べると、少しずつ解釈の差が現れていて、研究者の間で、どの位までが共通合意点なのかが専門外の人にも見えて来やすいかもしれません。

和泉式部日記 紫式部日記  更級日記 讃岐典侍日記 宇治拾遺物語 栄花物語 大鏡 源氏物語 好色一代男 好色五人女 好色一代女 古今和歌集 西鶴諸国ばなし 本朝二十不孝 男色大鑑 新古今和歌集 太平記 竹取物語 伊勢物語 大和物語 平中物語 中世日記紀行集 東海道中膝栗毛 土佐日記 蜻蛉日記 日本永代蔵 万の文反古 世間胸算用 西鶴置土産 日本書紀 日本霊異記 英草紙 西山物語 雨月物語 春雨物語 平家物語 方丈記 徒然草 正法眼蔵随聞記 歎異抄 松尾芭蕉集 萬葉集 冥途の飛脚 忠兵衛梅川 女殺油地獄 丹波与作待夜のこむろぶし 長町女腹切ほか 夜の寝覚 古事記 十訓抄 曾根崎心中 高野山女人堂心中万年草 心中宵庚申 大経師昔暦 鑓の権三重帷子ほか 風土記 枕草子 謡曲集 など。

●新潮 日本古典集成(新潮社)
「集成本」と呼ばれています。
本文に、セピア色の現代語訳が付いていて、分かりやすいです。

和泉式部日記 和泉式部集 伊勢物語 浮世床 四十八癖 雨月物語 癇癖談 宇治拾遺物語 大鏡 落窪物語 御伽草子集 蜻蛉日記 閑吟集 宗安小歌集 金槐和歌集 建礼門院右京大夫集 源氏物語 好色一代男 好色一代女 古今和歌集 古今著聞集 古事記 今昔物語集(本朝世俗部) 狭衣物語 更級日記山家集 三人吉三廓初買 新古今和歌集 浄瑠璃集 世間胸算用 説経集 世阿弥芸術論集 太平記 竹取物語 歎異抄 三帖和讃 近松門左衛門集 竹馬狂吟集 新撰犬筑波集 堤中納言物語 徒然草 東海道四谷怪談 土佐日記 貫之集 とはずがたり 日本永代蔵 日本霊異記 誹風柳多留 春雨物語 書初機嫌海 芭蕉句集 芭蕉文集 平家物語 方丈記 発心集 枕草子 萬葉集 無名草子 紫式部日記 紫式部集 本居宣長集 謡曲集 與謝蕪村集 梁塵秘抄 連歌集 和漢朗詠集 など。

これらの他に、日本古典評釈全注釈叢書(角川書店)というものもあります。これは出版の方針が、<執筆者に原稿の枚数制限を全く加えないで、満足行くまで書いて貰う>という非常に冒険的な試みをした優れた叢書でしたが、その結果、註が詳しすぎて、他分野の方が使用するには内容が細かすぎるかもしれません。

又、やや古いものとしては朝日新聞社で出していた、「朝日古典全書」というものもありますが、現在、本文をこれに基づいて引用する事は無いようです。
但し、頭註が現行のものよりも優れている部分も無いわけではないので、国文学専攻の人は、昔の注釈書もきちんと見ている人が多いようです。

Posted on 98/07/26: Nifty:FJAMEA:11:00236 by でびさん(SGZ00211@nifty.ne.jp


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