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『大黒天変相――仏教神話学への誘い――』

――目次――

凡例	3

プロローグ 43

第一部 方法論的序説 43

1 仏教神話学の可能性 43 2 神話学の構造主義革命 44 3 仏教神話学のはじまり 46 4 仏教神話学の方法論 49 5 「思考の函数」としての神格 58 6 神話的思考とはどのようなものか 61 7 神話研究の目的 72 8 「知的ブリコラージュ」という方法/引用の形式について 76

第二部 85

I 大黒天信仰の謎 92 1 「大黒」の名前の意味 92 2 ヒンドゥー教におけるマハーカーラ 93 3 シヴァ神とカーリー女神――その概要 96 4 仏教におけるマハーカーラ――はじめの手掛り 100 5 三つの基本的テクスト 102 1『南海寄帰内法伝』 103 2『大日経疏』 106 3『仁王経良賁疏』 110

II 人喰い女鬼と大黒天 121 1  大黒と鬼子母 121 2  鬼子母神神話 123 3 密教経典における大黒と鬼子母の関係 129 4 人喰い女鬼ダーキニー 141 5 パーリ語説話文学における子喰いのカーリー女鬼 143 6 ハーリーティーとカーリー女神/パーンチカとマハーカーラ 145

III 「千人切り」説話と死と再生の儀礼 156 1 『仁王経疏』の摩訶迦羅‐大黒とカルマーシャパーダ王説話 156 2 『賢愚経』のカルマーシャパーダ王説話 158 3 日本の「千人切り」説話 165 4 アングリマーラ降伏譚 168 5 アングリマーラ降伏譚とカルマシャパーダ神話 172 6 清浄太子と初夜権の濫用−1 174 7 曠野鬼神の前生譚――初夜権の濫用−2 176 8 パーリ語の曠野鬼神降伏神話 180 9 古代インドの仏教信仰と「死と再生のイニシエーション」 181

IV 異形の仏弟子たち 192 1 仏弟子マハーカーラ長老――1.『長老偈』 192 2 仏弟子マハーカーラ長老――2.律蔵文献 194 3 在家信者マハーカーラとその前生譚 199 4 異常な肥満/異常な痩躯 202 5 空腹/大食の仏弟子――ピンドーラ尊者 205 6 牛神の仏弟子ガヴァーンパティ 216 7 空腹−醜悪な仏弟子たち 219 8 結論 222

V 不浄の神・炎の神 224 1 烏芻澁摩明王――1.「大力夜叉」とは何か 224 2 烏芻澁摩明王――2.ウッチュシュマ‐ジャンバラ 227 3 烏芻澁摩明王――3.不浄と料理 230 4 烏芻澁摩明王――4.「多淫人」としてのウッチュシュマ/ 降伏神としてのウッチュシュマ 232 5 烏芻澁摩明王――5.料理とウッチュシュマ 236 6 烏芻澁摩明王――6.出産の守護神ウッチュシュマ 239 7 烏芻澁摩明王――7.ウッチュシュマとヴァジュラクマーラ(金剛童児) 243 8 「子喰いの神」――1.スカンダ 245 9 「子喰いの神」――2.ヤムナー女神 248 10 「すべてを喰い尽くす火炎」――金剛薬叉明王 250

VI インドの宗教思想と仏教神話 258 1 「宗教社会」としてのヒンドゥー世界 258 2 インド宗教思想の原像――1.「供犠による秩序」 265 3 インド宗教思想の原像――2.「ダルマ体制」の内と外.苦行者の世界 268 4 インド宗教思想の原像――3.「信愛[バクティ]の宗教」 271 5 供犠・供犠としての食事・供物の残余 275 6 供犠としての火葬 282 7 「浄/不浄」の彼岸――シヴァ信仰の表象群 283

VII 日本密教の摩訶迦羅天像と盲目のアスラ・アンダカの神話 292 1 日本の大黒天の四つの像容 292 2 忿怒相の摩訶迦羅天――その図像の起源 295 3 「アンダカ・アスラ降伏神話」――インドのマハーカーラ像 301 4 アンダカ・アスラ降伏の図像 307 5 象皮の問題 311 6 「黒羚羊」のテーマ 317 7 パリに渡った摩訶迦羅忿怒像 320

VIII 大黒の袋 1――「鼠毛色」の袋の謎 325 1 大黒と鼠・大黒と俵 325 2 大黒と鼠――江戸時代の学説 329 3 偽書『大黒天神法』の大黒天図像 333 4 『大黒天神法』の著者 334 5 『大黒天神法』の異本と典拠 336 6 大黒と大地女神――毘沙門天と大地女神と鼠 342 7 護国の軍神・兜跋毘沙門――東寺の兜跋毘沙門 345 8 兜跋毘沙門と鼠――1.中国唐代の毘沙門軍功譚 347 9 兜跋毘沙門と鼠――2.西域の図像 349 10 兜跋毘沙門と袋を持つ侍者 350 11 インドの「クベーラ神話圏」 351 12 クベーラ‐ジャンバラとマングース――「鼠嚢」 354 13 クベーラの袋−大黒の袋 357

IX 兜跋毘沙門の神話と図像 363 1 日本の摩訶迦羅‐大黒天像と兜跋毘沙門の図像 363 2 兜跋毘沙門の文献資料――1.足下の大地女神 365 3 2.雑密文献の批判 367 4 3.『金光明経』の毘沙門天と他の福神との関連 371 5 4.「城闍天王」伝説の源流――ホータンの毘沙門天神話 377 6 5.ホータンの毘沙門天と鼠神、大地女神 380 7 ホータンと毘沙門天信仰 384 8 兜跋毘沙門の図像資料――1.その図像的特徴と作例の歴史 386 9 2.図像資料から見た兜跋毘沙門と大地女神 390 10 3.兜跋毘沙門と翼の付いた宝冠――「盗み」のテーマ 396 11 4.炎の光背――古代イランの「帝王」の観念 402 12 兜跋毘沙門の「未生以前」――クシャーナ王朝下の北西インドへ 407

X クベーラの変貌 410 1 ホータンから「インドの入口」ガンダーラへ 410 2 ヒンドゥー教のクベーラ  1.クベーラとガネーシャ/クベーラとスカンダ 412 3 「ガネーシャ的クベーラ」の「スカンダ化」としての兜跋毘沙門 416 4 ヒンドゥー教のクベーラ 2.クベーラとシヴァ 418 5 ヒンドゥー教のクベーラ 3.クベーラとインドラ(王権) 421 6 仏教におけるクベーラ――転輪聖王の隠喩としての四天王 424 7 『金光明経』における二つのクベーラ―― 転輪聖王の守護神として/富の神として 429 8 クベーラとジャンバラ――その図像 431 9 ガンダーラの守護神としてのパーンチカ‐ハーリーティー 433 10 「イラン系パーンチカ‐ハーリーティー」―― ファロー‐アルドクショーの並座像 437 11 インド‐イラン宗教混淆におけるファローとアルドクショー 439 12 「パーンチカ‐ファロー習合体」と中央アジア以東のヴァイシュラヴァナ ――兜跋毘沙門の誕生 442 13 インド‐イランの宗教混淆と「クベーラ的大黒」 446 14 「クベーラ的大黒」とシヴァ――シヴァの変貌/大地女神の変貌 448 15 エピローグ 452

XI 大黒の袋・2――ガネーシャの太鼓腹 456 1 西北インドの文化混淆――神話表象の東西交渉 456 2 「日本型」大黒の大袋――「大袋を担いだ神」の類型論 458 3 「日本型」大黒の大袋――近世以来の説明とその限界 461 4 「日本型」大黒の大袋と摩訶迦羅忿怒像の背後の象皮 465 5 「鼠と象」――ガネーシャと鼠の神話 466 6 インド宗教における象神信仰の展開 470 7 ガネーシャとマハーカーラ/ガネーシャ(聖天)と巾着 475 8 大黒の袋の中身――大黒の袋と布袋の袋、ガネーシャの太鼓腹 477 9 仏教神話におけるガネーシャの位置(予備的考察) 481 10 聖天信仰と大黒信仰における「大根」 484 11 聖天・大黒・双身毘沙門の儀礼における「浴油供」 488

XII 三面一体の神々――異形の福神たち 494 1 比叡山の守護神「三輪明神=大黒天神」同一説の歴史――中世の暗闇から近世の福神へ 494 2 東寺の守護神・稲荷神の伝説 512 3 「奇神・摩多羅神」の正体 515 4 摩多羅神と人喰いの毘那夜迦の伝説 526 5 「三位一体の神々」――そのヴァリエーションと歴史 535 1.愛染明王・摩多羅神 535 6 2.三面大黒のヴァリエーション 546 7 3.弁才天と大黒天 550 8 「多位一体」の神々 552 9 日本から中央アジア、そしてインドへ――「三位一体の神々」の源流 556

XIII スカンダ/ガネーシャの神話圏  1. スカンダ‐韋駄天の変容 578

1 ガネーシャの誕生神話――不浄と豊饒 578 2 スカンダの誕生神話――解脱と戦闘 587 3 ガネーシャ/スカンダの対比 592             * 4 音写「韋駄天」の謎――韋駄天と韋将軍 597 5 「韋駄天走り」の神話 604 6 韋駄天神話とヒンドゥー神話のスカンダ 609 7 寺院の門神としての韋駄天/「大胞弥勒」 616 8 韋駄天と密迹金剛の神話――終末論的空間としての寺院の門房 620 9 密迹金剛の神話的位置 625 10 ヴェトナムの<双身韋駄天>と日本の双身毘沙門天 628             * 11 韋駄天と観音菩薩 634 12 韋駄天、「飛鉢の奇跡」、千手千眼観音――近代中国の一寺院の伝説 636 13 「飛鉢」の伝説 1.文殊菩薩と鉢/文殊菩薩とピンドーラ=賓頭盧尊者 639 14 「飛鉢」の伝説 2.呪法としての飛鉢と Kie-tユai sseu 伝説 644 15 后と僧正――「愛法神」としての千手観音 652 16 Kie-tユai sseu 伝説における「浄/不浄の対立」とその超越 656 17 禁欲主義/「超越主義」/「メタ‐超越主義」 ――チベットの「ルドラ降伏神話」を中心として 658             * 18 寺院の厨房の神としての韋駄天 1. 道宣禅師と韋駄天 663 19 寺院の厨房の神としての韋駄天 2. 厨房の神としてのマハーカーラ‐大黒/スカンダ‐韋駄天 666 20 もう一人の「聖僧」――食堂の神としての文殊師利菩薩 669 21 千手千鉢文殊/千手千眼観音/韋駄天 673 22 文殊菩薩とスカンダ‐韋駄天 676 23 文殊菩薩と美声のガンダルヴァ・パンチャシカ 683 24 「愛の神」としての文殊菩薩 687 25 パンチャシカ/文殊菩薩/パーンチカ ――パーンチカと密迹金剛手およびスカンダ‐韋駄天 692

XIV 象頭神の歓喜 ――双身毘那夜迦天の起源と観音/軍荼利の関係―― 702 1 「大聖歓喜天」という名前――1.「歓喜天」 703 2 「大聖歓喜天」という名前――2.「大聖」と呼ばれる神々 706 3 双身毘那夜迦天信仰の特殊性 718 4 毘那夜迦天信仰の原典――十一の経軌の分析 719 5 基本文献へのコメント 739 1.『大聖歓喜天念誦供養法』の縁起譚 739 6 基本文献へのコメント 742 2. 含光の教義的・神話的解釈 742 7 軍荼利菩薩=アムリタ・クンダリン尊の神話的背景 749 8 後期密教におけるアムリタ・クンダリン/ヴィグナーンタカ尊 756 9 「食の上分」の奉献――毘那夜迦天と軍荼利菩薩への供養法の一致点 762 10 毘那夜迦・観音の密通の物語―― 毘那夜迦/観音/軍荼利三尊の「三角関係」 766 11 双身毘那夜迦の起源神話の異型――『智証雑記』の逸文とその原型 770 12 十一面観音による毘那夜迦「調和」の神話 ――『大聖歓喜天念誦供養法』の縁起譚の脚色 773

XV 「我れ婦女の身を現じ……」 ――観音菩薩の女性化をめぐって―― 778

第一部  光明皇后からの出発 778 1  光明皇后の愛欲と聖性 778 1  光明皇后と実忠 778 2  光明皇后と湯屋の癩病人 784 3  光明皇后と観音菩薩 788 2  古代インドの観音・概観 794 3  菩薩の性別 808 1  小乗から大乗へ 808 2  「方便」としての性による誘惑 815 3  観音菩薩と女性性 821 1  観音三十三身中の「婦女身」 821 2  観音菩薩と産出するものとしての蓮華の象徴 824 4  女身観音の起源――中国において 828 1  「送子観音」と「白衣大士」 828 2  「白衣大士」成立の背景 833 3  中国の女身観音信仰 840 4  日本の子安観音信仰 842

第二部  観音とシヴァ 845 1  毘那夜迦‐歓喜天と千手千眼観音 846 2  観音とシヴァ神話圏のかかわり 850 3  変化観音の諸相――シヴァ神話との関連から 856 1  「青頸観音」 856 2  「襄麌哩童女」 858 3  「僑履菩薩」 860 4  付・『不空羂索神変真言経』 865 4  インテルメッゾ――神話的表象と両価性/観音と「性の問題化」 866

第三部  中国の二つの説話 874 1  妙善説話の諸相 875 1  妙善説話の古典的形態 875 2  妙善説話からの連想――ウトパラヴァルナー尼の説話/ 「大自在天」菩薩本生譚/『夷堅志』二話/「粉河寺縁起」/ 「中将姫」説話 882 2  馬郎婦/魚籃観音説話の諸相 902 1  馬郎婦/魚籃観音説話の古典的形態 903 2  禅の語録における馬郎婦/魚籃観音の賛 905 3  馬郎婦/魚籃観音説話の原型――「延州婦人」の物語 909 4  馬郎婦/魚籃観音説話――後代の展開/「妖魚の降伏者」 としての魚籃観音 912

第四部  妙善説話からの探究 921 1  千手千眼観音の諸相 921 1  千手千眼観音と十一面観音 921 2  唐・宋代中国における千手千眼観音信仰 930 2  ヒンドゥー世界の多眼多臂の神々 938 1  宇宙の原人としてのプルシャ 938 2  多眼の神とエロス 944 3  多眼の神のヴァリエーション 952 3  ターラー菩薩の諸相 962 1  中国/チベットにおける多羅菩薩 962 2  ヒンドゥー世界のターラー女神 966

第五部  馬郎婦/魚籃観音説話からの探究 974 1  「骨鎖菩薩」の象徴 974 2  秘教を盗む妖魚 978 3  マツィエーンドラナータの物語 982 4  魚からの誕生 987 5  水界の妖怪と火を吹く馬/劫末の「牝馬の口」の神話 994 6  火を吹く馬頭観音 1003 7  ユーラシア大陸の諸神話における「馬と女性性」 1009 8  死・破壊・暴力と馬/馬の供犠の諸相 1013 9  馬と蚕の由来譚 1021 10  馬鳴菩薩の神話 1028 11 もう一つのインテルメッゾ――信仰者との関連における 女身観音信仰 1037

第六部  観音女性化の起源へ向けて 1043 1  中国の場合 1044 1  中国における観音菩薩女性化の第一期 1045 2  宋代以降の事例/和合神としての「放光菩薩」 1047 2  日本の場合 1052 1  日本における観音の女性化/九〜十三世紀 1052 2  千手千眼観音の敬愛法 1059 3  如意輪観音と女性性 1062 4  如意輪観音/玉女の表象 1068 5  如意輪観音/玉女・荼枳尼天と王権神話 1078 6  如意輪観音/愛法神としての如意輪観音 1084 7  観音霊場の世界・山/巌/滝 1088 3  ふたたびインド、中央アジアへ 1093 1  観音=女神起源説 1093 2  女神「ミトラ」の謎 1101 1  ミスラと古代イランおよびオリエントの女神たち 1102 2  豊饒の女神/ミスラ/スーリヤ 1107 3  セム系の女神とミスラ 1116 4  観音の起源と女性性の「種子」? 1121 3  女身弥勒の可能性 1125 1  弥勒神話像の形成 1125 2  弥勒菩薩の図像における女性的表現 1130 3  『弥勒為女身経』 1131 4  弥勒としての則天武后――弥勒千年王国と女帝・弥勒 1134 5  大胞弥勒=布袋和尚の腹と「世界の子宮」 1154

XVI エピローグ 布袋の袋・大黒の袋・盗みと恵比寿 1160

1 布袋和尚と弥勒 1160 布袋とピンドーラ/弥勒と羅漢〜老僧 1161 布袋=契此の伝説 1168 風癲の異僧/弥勒聖[ひじり] 1176 2 布袋和尚と福神としての大黒 1181 風狂の福神・大黒/布袋 1181 大黒と「袋持」、「大袋」 1187 3 大黒と盗み 1192 十四世紀の基本資料 1192 大黒神像盗み 1202 大黒と「間接的盗み」 1205 中国における大黒信仰と「間接的盗み」 1212 日光・中禅寺の「走り大黒」と法を盗む大鼠 1217 大黒・恵比寿の盗賊退治・「大黒舞」の福神信仰 1220 4 「魚の神」としてのエビス? 1231 大黒・エビス二神並祀の意味 1231 門神としての大黒・エビス/大黒・鬼子母神 1234


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