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日本語寄贈図書

司書・川井政治

 東京国際ブックフェア98“日本におけるフランス年”実行委員会からフランス関係和書とフランス語の図書が寄贈されました。和書は図書室2階の和書コーナーに分類済みの本といっしょに大まかな分野別に配架して分類作業を進めております。総点数約600、内訳は多い順に、文学、美術、語学、哲学・思想、料理、地理・歴史。記念パビリオンに展示されたものですから一般向けの本が多く、ビジュアルなものがたくさん入りました。大物を拾ってみますと、ドーミエ版画集成3巻(みすず書房)、秘蔵浮世絵大観ギメ美術館2巻、パリ国立図書館1巻、秘蔵日本美術大観ギメ美術館1巻(講談社)、ルーブルとパリの美術8巻(小学館)、これは和書ではないのですが、Fabre: Souvenirs entomologiques. ed. 1920-24. 11 vol. ; La Bible d'Oliv'etan. Neusch^atel, 1535 の復刻本(臨川書店)。下世話な話ですけれども、金にすると云十万。 喉から手が出るほど欲しくても決して買えなかったものばかりです。

 今年は雑誌を除く図書購入予算が切られてしまいましたが、予算があっても買えなかったフランス料理、ワイン関係の和書も入りました。分類が済まないうちから貸出の要求があったのはこの分野です。

 ドクター論文を準備しているような人でも日本語の資料を要求する人が結構あります。膨大な資料を全部フランス語で読むというのは大変なことで、日本語訳のあるものは翻訳で済ませよう、ということなのでしょうか。近頃感じるのは、フランス文化へのあこがれは第2段階に入ったのではないか、ということです。第1段階は村上英俊に始まって戦後の復興期まで、石油危機からバブル経済へ、通信・交通手段の異様な発達とともにボーダーレス時代の幕開けが第2段階と私は考えています。現在の学生はだいたいこの時代に育ったか生まれています。第1段階の世代はフランス文化を知るにはまずフランス語を学ばなければと考えました。日本がまだ貧しかった60年代まではフランス語の本は日仏会館で探した、とよく聞きます。それが、ジャパン・アズ・ナンバーワンともてはやされる頃から事情が変わって、大学図書館にあるから日仏会館に行く必要がないと言い切られるまでに一変してしまいました。

 恵比寿に移転してから利用者層が変わってきました。私が第2段階と呼ぶ時代の利用者の割合が増えてきたのです。第1段階の刻苦勉励の努力で得られた遺産を使って卒論もかるーく済まそうと言う感じです。“フレンチ感覚”というのでしょうか? そんなタイトルの本も出てますね。リアルタイムなテーマでなければたぶん日本語資料だけで十分かもしれません。確かめたわけではありませんが、そんな気がしています。今回寄贈された和書が役に立つのではないかと大いに期待しております。

 ところで、先にも書きましたように、図書購入費については先行き非常に厳しいものが予想されます。友の会会員の皆様、フランス関係の著作をご刊行されました際には、1部図書室へ是非ともご寄贈いただきたく誌面を借りてお願い申しあげます。フランス語の寄贈書籍については別の機会にご報告いたします。


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